ゴッドファーザー　ＰＡＲＴ　ＩＩ

　２代目ドン、マイケルことアル・パチーノが終始むつかしい顔をしている本作、アカデミー賞でいえば続編ながら異例ともいえる作品賞を受賞し、作品としては大成功でしょうが、またしても（今度は主演男優賞）ノミネート止まりだったアル・パチーノにすれば、内心忸怩たるものがあったのではないでしょうか。
　それほど、若き日のビト・コルレオーネを演じたロバート・デ・ニーロは鮮烈でした。

　本作は、若き日のビトと、現在のマイケルのパートが交互に描かれていくのですが、若く活き活きと、仲間たちとのし上がっていく青年ビトと、変わりゆく時代の中、ファミリーを守っていくために苦悩するマイケルとの落差があまりにも大きく、どちらを観ている方が楽しいかというとこれはもうビトのパートというしかなく、正直マイケルのパートはどんよりしてしまいます。けっして、つまらないとかいうのではなく十分観応えはあるのですが、何回も言いますが、ほぼ全部デ・ニーロに持っていかれてしまってるのです。

　そのデ・ニーロ。ご存じのように本作で助演男優賞のオスカーを獲得しました。そりゃもう２００％納得です。
　素晴らしいです。オレは本作のデ・ニーロを見て、完全に彼のファンになりました。初めて観たとき、映画の中で、歳を経るにつれ、だんだんとマーロン・ブランドのビト・コルレオーネに似てくる姿に、「ああ、マーロン・ブランドに声と顔がよく似ているから、本作に起用されたんやな」と思っていたのですが、これが大きな間違いで、劇中での彼の姿は、もう死語なのかもしれませんが彼の徹底した役作り、“デ・ニーロ・アプローチ”の賜物であることをほどなく知り、あらためて心底感嘆したのをよく憶えています。
　とにかく、若き日のデ・ニーロのとんでもないカッコ良さを観るだけでも、十分価値のある一作だと思います。


　※ところで、本シリーズでコルレオーネ家の次男、つまりマイケルの次兄フレドを演じていたジョン・カザール。たまたま続けて観たから気がついたんですが『ディア・ハンター』にも出ていました。で、あっと思って調べてみたら、『ディア・ハンター』で共演したメリル・ストリープと婚約した矢先、骨肉腫から肺ガンを併発して死去されたとのこと。だから『ディア・ハンター』が遺作となってしまってたんですね。両作とも、どこか頼りのない感じの人物を演じていて、それが逆に印象に残っているのですが、もしご存命なら、きっと味のある名バイプレーヤーになっていただろうなと、今更ながら思っているところです。

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登場人物が多い話はそれだけで難解なものになる。一般に、ひとつのストーリーの中でスポットを当てて描くことのできる人数は最大でも４、５人と言われているので、これほど登場人物が多ければ相関図を観客に理解させるのが精一杯であろう。
だからこれは、できれば原作を読み、映画自体も何度も味わうべき作品なのかも知れない。しかしこちらにも都合というものがあって、ゴッドファーザーにばかり時間をかけてもいられない。そこで今回も大いに助けになったのが、フランシス・フォード・コッポラ監督の音声解説であった。
パート２はとくに内面的な描写が増えているし、時系列的にも入り組んでいる。もしかしたら従来、難解という評価がつきまとっていたかも知れない。そこをコッポラ監督がわかりやすく読みほぐしてくれたために非常に興味深く見終えることができた。コメンタリーがあってもなくてもいい映画、あるとかえってうっとうしい映画などあるが、これはぜひあってほしい、そういう作品であったと思う。
どれほど緻密に記録をとっているのか、はたまた記憶力がずば抜けているのか、コッポラ監督の解説はまるで最近撮り終えたばかりの作品について語っているかのようにすみずみまで明瞭である。個人的には撮影所との確執や、パート２でも起用しようとした俳優に出てもらえなかったいきさつなどに興味を覚えた。ただ相変わらず家族自慢が激しい。父が出てる母が出てるこれは私の叔父これは妹（っつーかタリア・シャイア）これは私の息子、人ごみの背景に聖堂が映っているシーンでも「私の息子の背後にある聖堂」といった調子で、世界的大監督であっても画面に息子が映っていれば嬉しいんだなあと微笑ましいような生暖かいような微妙な気持ちになる。
年をとってからしか知らないデ・ニーロが若い頃こんないい男だったとは知らなかった。父ヴィトーの若い時代になると画面がセピアがかる。その映像がなんとも好きだ。
そして、タホ湖の四季の美しさも十分堪能した。あんなところに住んでみたいと思う。
パート３はおもに経済面から撮影を決意したそうだが、２で完結のはずの物語をどのように展開させたのか興味を持って見たいと思う。

二作目までの一貫した構想を元に作られただけあって、一作目よりもさらに深い味わいのある映画になっています。字幕を読んでストーリーを追っていると人間関係が複雑ですし、確かに分かりづらいかもしれませんが、登場人物それぞれに共感できる葛藤があり、見れば見るほど味がでるという点で、三部作の中で一番好きなのがこの第二作です。シェークスピア的悲劇という観点で見れば、第一作は序章でしかなく、第二作こそ主人公の思惑とは全く違った方向に突き進んでしまう悲劇を描いた一大叙事詩です。

家族を愛するからこそ組織の合法化を図り、勢力を拡大しようとするマイケルですが、ファミリーの中で父ビトのような絶対的な威厳を確立することが出来ません。三男という立場で父の跡を継いだマイケルですから、兄弟の中の不平は包容力だけで抑え込んでしまえるものでもなく、ゴッドファーザーとしての威厳を持とうとすればするほど解決が遠ざかってしまうものでしょう。物語は一方で父ビトがゴッドファーザーとなっていく過程を描いていますが、時代の流れも後押しし家族への愛がプラスに作用して、大きくなっていくビトの姿がマイケルの悲劇を増幅させます。

マイケルには他の選択肢がなかったのでしょうか。そんなテーマだけでおそらく数時間議論できてしまうほど、この映画の登場人物たちはとてつもなく現実味を帯びています。ラストシーンの回想で、マイケル自身も他の選択肢がなかったのかと自問自答していたと思います。また、マイケルと同じように、この映画を見る観客は、絶えずスクリーンの裏にビト（マーロン・ブランド）の大きな存在を意識しながら見続けているのではないでしょうか。父を目指し父のようになれなかったやりきれない孤独感には、深い共感を覚えます。

映画の完成度という点では第一作が一番だと思いますが、奥行きの深さという点ではこの第二作を一番にしたいです。5段階評価は、5。

前作に引き続き、マフィアの世界を淡々と、かつリアルに描いた2作目。
今作ではヴィトの若かりし頃が拝めます。
しかも、若いヴィトを演じるのがロバート・デ・ニーロ！
マーロン・ブランドが演じたヴィトの若き日ということで、声をかすれさせてヴィトを演じるデ・ニーロは、いわばマーロン・ブランドの物まねを、巧みにしているかのような錯覚を覚えます（いい意味で）。

そして、マフィアの道に入り込んでしまったマイケルは、もうどっぷりとその世界に浸かってしまい、二度とそこから抜け出せなくなってしまっていたのだが…、
そこにあるのは、家族の崩壊と兄弟愛の喪失だった…。

悲しくかつ衝撃的な作品は1作目と同様。壮大です！
そして、ついでに言わせてもらえば、3作目は必要なかったのでは？
2作目で完結していてもよかったような気がします。

が、話は、若き日のドン・コルレオーネのシシリーの少年時代に遡る。何故、故郷を離れなければならなかったか。アメリカに渡ってから、ゴッドファーザーの地位を築きあげていったエピソードと、父の跡を継いだ、三男マイケルの苦労や闘争、復讐心など過去と現在を交互に描いていきます。若きドンを、これまた若きロバート・デ・ニーロが実にすばらしく好演。人物描写がとても丁寧で、前作より深く、又淡々と描かれており、すばらしい作品となっています。一作目を超えていると、私は感じました。今回の作品で監督賞も取っています。さぞかし、嬉しかったことでしょう。ぜひ続けてご覧下さい。