鏡の国の戦争

当然でしょうね。３６年前の作品ですから。東西冷戦時代のスパイ物です。時代が変わったことを痛感させられます。その時代ならスパイ物の傑作に入っていたでしょうが。今、見ると少し物足りない感もします。しかし、クリストファー・ジョーンズの二枚目ぶりやＡ・ホプキンスの勇姿、そして何とも非情なスパイの世界を一見する価値は、あるでしょう。しかし、原作を読んだ方が、私には、よかったかな。

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　東西冷戦を背景に、イギリス情報部に雇われた一人のスパイの悲しい顛末を描いたサスペンスドラマ。ジョン・ル・カレの原作を映画化したもので、第二次世界大戦後２５年ほどを経た、当時の冷戦時代を反映している作品だ。今となっては、なかなかその背景を想定しにくいが、近年暴露されつつある、東西両陣営の尋常ではないスパイ合戦を思い起こしながら見ると、なかなか興味深いものがある。

　製作当時、スパイが暗躍していたことは事実だが、公にスパイの存在が公表できる時代ではなかったわけで、原作者も制作側も当時のスパイ像を想像して作ったのであろう。
　本作では、敵側陣営の武器動向を探るため、イギリス情報部がスパイを東ドイツに送り込む設定だ。送り込まれたのは自由を求めて亡命したポーランド人青年ライザー（当時ポーランドも東側社会主義陣営の構成国だった）。青年は東ドイツで活動を行うも、事態が急変するとイギリス情報部は無情にも彼を切り捨ててしまうのだ。　

　スパイ活動とはとっても非情で、平気で嘘もつくし、簡単に裏切ったりもしちゃうのだよ、ということを表現したい映画のようだが、ストーリーとしては今ひとつで、盛り上がりにも欠ける。音楽もオープニングもいかにも６０年代後半的な感じで、旧世代から脱皮した新生代の幕開けというか、泥臭さのない都会的な匂いのする作りである。この軽々しいノリは、今となってはやや空虚な印象を与えるもので、映画としてはインパクトに欠ける印象。当時としては新鮮だったかも知れないが・・・。

　本作で印象的だったのは、主役のクリストファー・ジョーンズ。あまり映画には出演していないようだが、とにかく甘いマスクでいい男。女心をくすぐるというか、甘えたようなフェイスは女が黙っていないだろう。だが、それがために役者としては強烈すぎて、いささか浮いてしまっている感じもする。本作中でも女にモテモテという役柄であるが、ちょっとそのフェロモンが強すぎて、映画のシリアス性に没頭できない節があった。
　また、出てくる女優も美女ばかり。ピア・デゲルマルク、スーザン・ジョージ・・・いい女だ。本作はちょっと美形ばかり使いすぎの嫌いがあるかも。その中で、ブサイク系の若きアンソニー・ホプキンスにも注目だ

権力によってスパイに仕立て上げられた挙句、最後は非業の死を遂げる１人の青年の姿から、表面的な共存の裏で繰りひろげられている冷戦の不気味さを浮かび上がらせた作品。　主人公のスパイ、レイザーを演じたクリストファー・ジョーンズは、７０年の名作「ライアンの娘」で英軍守備隊の指揮官ランドルフを好演、そのエキセントリックな雰囲気をもつ美男子ぶりが本作でも如何なく発揮されている。　ポーランド人レイザー（Ｃ・ジョーンズ）は、妊娠した愛人（スーザン・ジョージ）に会うため英国に密入国し、諜報本部からスパイに仕立てられる。　彼はドイツの新型ミサイルの所在を確認するため、単身、国境の鉄条網を潜り抜け、警備隊員を刺殺し、手に傷を負いながらもドイツ潜入に成功する。　目的地カルクシュタットに急ぐ彼は、途中、一人の娘（ピア・デゲルマルク）と知り合うが．．．
オースティン・デンプスターのカメラワークが実によく、ドイツの田舎の風景が詩情豊かで郷愁をそそる。　キャストも上述の３人に加え、英国諜報部長ルクレック役のラルフ・リチャードソン、部員エイブリー役のアンソニー・ホプキンス、そしてアンナ・マッセイ、レイ・マカナリーと重厚な布陣だ。　原作のジョン・ル・カレはスパイ小説の巨人といわれ、６５年「寒い国から帰ったスパイ」、９０年「ロシアハウス」などの代表作があるが、２０１１年「裏切りのサーカス」では、製作総指揮に名をつらねている。　日本が高度成長期の階段を上り始めた頃、ロシア、東ドイツをはじめとする東欧諸国と西側諸国の間では、東西冷戦の真っただ中であり、本作の背景は当時真に迫るものであったことが想像できる。

先日「ファーザー」で見たアンソニー・ホプキンスがちょこっと登場。
若い・・。

もっと歴史の面白い部分を見れる映画だと期待していたんだけど、主役に据え置かれた
クリストファー・ジョーンズが甘すぎて、彼と彼にすぐに夢中になってしまう女の子のイチャイチャが
メインになってしまっているようで深みは感じられず。

女の子がどの子も可愛いし綺麗。
そこは見ていて楽しいのだけど。

女の子はすぐに（本当に一瞬で）クリストファーのことを好きになっちゃうし、
そのままベッド行っちゃうし、現実離れしすぎていて娯楽より。
１９６８年のアメリカ映画界はこういうのじゃないと映画制作にお金を出してもらえなかったのだろうか。

スパイものとしても単純すぎておすすめはできない。

そもそも何故あの若い男が大して能力もないように見えるのにスパイに選ばれたが不明。しかし、今現在から見れば、東西冷戦のばかばかしさがよく分かる意味では面白い作品。ルカレの作品は、やはり「寒い国から帰ってきたスパイ 」が最高なのだが、未だにレンタルリストにないのが残念至極。