ぐうたらバンザイ！

かつさんのレビューに刺激されてレンタルしてみました。
とても面白かったです。

働き者の妻の尻に引かれて10年。
元来怠け者であるアレキサンドルは、本当は寝て暮らしていたいのに
朝から晩まで妻の監視のもと、馬車馬の如く働かされています。
黒板に本日の予定がびっしり書かれていて
それはそれは気の毒なほど。
いくら夫だからといっても、こき使い過ぎでしょう。
妻の一声で、ロボットのように動き出すアレキサンドル。
まるで刑務所か強制収容所のようです。
近所で子犬を譲り受けても、妻がダメというから飼えないと
なかなか引き取ることも出来ないし
友人に箪笥を動かして欲しいと頼まれても
妻が呼んでいるから動かせない、と途中で止めてしまい、1年も庭の真ん中に放置(笑)
お祭りの日にも、かぼちゃを収穫せよと、祭りにも行かせてもらえないのです。
だんだん、観ているこちら側も、この妻が憎らしく思えてきたころ
いよいよ”その時”が来ます。
さあ、ここからが、本当のぐうたら生活の始まりです。
ぐうたらは、疫病のように村を浸食して行き。。。
その後の展開も実にシニカルだけど笑えます。
人は休息も大切、オンとオフを切り替える時間も大切
たまにはぐうたらな1日を過ごしたっていいんじゃない！？
自由きままに生きたっていいんじゃない！？
そんな気にさせられる楽しい作品でした。

アレキサンドルを演じるのが、「ニューシネマパラダイス」のアルフレードを演じた
フィリップ・ノワレ。
当時39歳、体力有り余る感じのもっさりタイプの夫を見事に演じていました。
（ニューシネマ。。。のときがまだ50代だったとは！凄くおじいちゃんに見えましたのでびっくりです）
それと、愛犬”ワン公”が超かしこい！そして愛らしい。
助演男優賞もののワンコの演技は感動的に見ものですよ。

1969年　フランス
監督：イヴ・ロベール

何の心構えもなく観ましたが、面白い”おフランス”のコメディ映画でした。
「ニュー・シネマ・パラダイス」でアルフレード役のフィリップ・ノアレが主人公の農夫アレキサンドルを演じていて、髪型や人相が全くの別人です。「あ、アルフレードだ」と気が付いたのは少し経ってからでした。この時は39歳、「ニュー・シネマ・パラダイス」では58歳だと思うので、アルフレードを演じる19年前の作品ということになります。

とある田舎街に住む夫婦「怠け者の夫アレキサンドルVS働き者の妻」という序盤の構図が面白く、掴みはOKです。サボっていると妻が追いかけて来たり、無線で畑を耕す様に指示したりするのですが、アレキサンドルは自分が妻の尻に敷かれている事は重々承知しています。友人からもらった仔犬もなかなか家に連れて帰る事が出来ず、「一体いつになったら連れて行くんだ！」と急かされる始末。アレキサンドルは、仔犬をもらってから一年も預けっぱなしになっていて、意を決して連れ帰る時は既に成長したワンちゃんに。(笑)
犬はダメ！という妻に対して何とかして居所を見いだそうとするアレキサンドルですが、この日は結局、屋根裏部屋に寝泊まりする事になります。

この後の展開はアレキサンドルと犬が主人公といった感じで、”その時”が来ると、アレキサンドルの自由気ままな生き方に「いいぞ、アレキサンドル！」と言いたくなります。
何しろ寝て暮らすのが夢で”その時”が来ると、訪れた街中の男達を追い払い、ベッドの上で完結させる暮らしを始めるのです。仕事も辞めて、飼っていた動物も手放してしまいます。
アレキサンドルの感情を簡潔に言うと、「やーめた！」という感じでしょうか。
このアレキサンドルの思想（？）が次第に街中に伝染してしまい・・という展開で一波乱ありますが、終始アレキサンドルの自由奔放さが軸になっています。
実際には有り得ない生活かもしれませんが、いやぁ面白かった。
田舎町の風景が癒される程美しいのと、優しい雰囲気の中にあるユーモアが堪りません。
フィリップ・ノアレの作品をもっと観たいと思いました。

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人間賛歌。オチが秀逸。でもね、120ヘクタールの大地主なんだよな。

誰かが自由を叫ぶと、誰かが奴隷になる、わけではないから羨ましい。