告白的女優論

難解でストーリーは意味不明なんですけど、岡田茉莉子、浅丘ルリ子、有馬稲子と大女優の共演が見もの。この三人が主人公の３つのストーリーが平行して進み、最後にひとつになる演出なんですけど、このストーリーがそれぞれ面白い。
３つとも三角関係で、岡田茉莉子ＶＳ女優志願の付き人（太地喜和子）、浅丘ルリ子ＶＳ小学校からの同級生（赤座美代子）、有馬稲子ＶＳ母（月丘夢路）と、どの対決も豪華メンバー。
有馬稲子がレオタード姿でトランポリンをしたり、赤座美代子がシャワールームで木村功に胸を鷲づかみにされたり、太地喜和子が全裸でシーツをまとって全力疾走したりと、女優好きにはたまらないショットもあって、ストーリーを度外視すると、結構楽しめました。

内容は難しくて付いて行けません。理解しようとすると疲れます。そんな無駄な努力はせずに（分かる人もいるかもしれませんが）、ただ豪華な女優さん達を見て楽しむ分には面白い映画です。赤座さんや太地喜和子さんの若いときの映像が見られます。ヌードはでてきますが、エロチックではありません。

美術がセツ・モードセミナーの朝倉摂さん、衣装がご存知、森英恵さん（最近では孫のファッションモデルでタレントの森泉さんがよく出てます）、ニコルの松田光弘さん。（有馬稲子さん付きのデザイナー）中林洋子（なみこ）女史。です。
スタイリッシュで、女を綺麗に”描く”のが好きな吉田監督が撮ったオシャレーなイメージドラマ。

心理劇だか不条理劇だかが、だらだらと続きますが、最初から女優目当てですから、テーマなんてあってないようなもんです。

では、最初の女優。
浅丘ルリ子さん。
この方は、「女優」ではなく「スター」でしょ。
最近は、林真理子氏が本書いてます。満州生まれだったんですね。とにかく気構えやオーラが違います。
堂々と裸になって、原田芳雄さんと絡んどります。
若いときのルリ子さんは山口百恵さんに似ています。

吉田監督は鏡好きですが、浅丘ルリ子さんにだけその特権を与えています。

岡田茉莉子さん。
監督の奥様。フランス人形みたいに中身が空っぽだと思っていたら、操っていたはずのマネージャー三国連太郎さんを破滅に導いてしまう女優。
ムーンはこの方の半開きの目が好きです。この方ほど華がある女優さんはなかなかいらっしゃらない。

ここでは大地喜和子さんがご立派な体躯をご披露してます。
それよりも何よりも、三国連太郎さんが今の佐藤浩一さん位の年頃で体つきから表情、しぐさまでそっくりです。服（ニコル）の着こなしもこれまたそっくり。血は争えないわ。

有馬稲子さん。
母の淫蕩な遺伝子を継いで、男を糧にして自分を輝かす魔性の女。ど根性もあって、演歌歌手にでもいそうなタイプ。
いつも一緒に賛美者であるファッションデザイナーが付いているのは、何か実生活とも重なるのでしょうか。ミーハーのムーンとしては気になるなー。

どの女優さんも魅力的だし、脇の方々もいいです。
映画監督役に木村功さんが出てきて、浅丘ルリ子さんと岡田茉莉子さんが取り合ったという設定（有馬稲子さんとだったかな？）とか、モテモテ男、吉田監督いい気なもんです。

女優と結婚するというのは、女優の奴隷になることでもあります。

吉田監督におかれましては、白雪姫の継母女王がいつも問いかける鏡の役を一生続けるのは、さぞや辛いだろうとお察しいたします。（それとも嬉しいのかな？）

　過去にトラウマを抱え、それを「女優」というひとつの所作（偽りの生の作法）でもって生き耐えてきた人間が、告白を通じて徐々に自己との対面へと追いやられ、苦悩に陥る。
　しかしながら、彼女たちはまた再びそれを、「女優」であることによって克服し、カメラの前を颯爽と歩みゆく。

　あき（朝丘ルリ子）は、26歳の女優。かつて、学校の教師を訪ねた際に暴行を受け、それがトラウマとなって、不感症になってしまったものの、みだらな欲望は彼女の中に潜在しており、妄想や幻覚を通じて、それを秘かに満たしてもいる。

　万紀子（有馬稲子）は、18歳のときに男と心中し、自分だけが生き残ったことをトラウマとして抱えている。継父とも関係を持ち、母の男を寝取った彼女は、その後、自殺未遂を重ねながらも、もはや死ぬことさえ演技として、生のすべてを女優であることに侵食されてしまっている。

　笙子（岡田茉莉子）は、別居している夫が、住みこませている女優研究生と関係する場面を夢に見、精神科医の診断を乞う。しかし、そのことがきっかけとなり、彼女は、自分の中に潜む淫らな欲望を暴露されてゆく。夢まで他人に見られ、無意識においてまで女優であることを課される。

　最後は、共演を控えた三人の女優にそれぞれインタヴューがなされ、三者三様の女優観が語られる。インタヴューを終えた彼女たちは、横並びになって、堂々とした足取りで、カメラに向かって歩み来る。

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題名がすごくかっこよくて、パッケージもおしゃれなので借りた。
最近こういう借り方ばっかり。

前にレビューを書かれている方達がみなさん、難解な内容で意味がわからないと
言われているので、そのへんは覚悟しておしゃれな雰囲気を楽しもうと思っていたが、
難解でありつつも、期待していたほどはおしゃれではなかった。
岡田茉莉子は女優らしく華やかでおしゃれだったけど、
有馬稲子はおしゃれっぽい装いなのに野暮ったかった。髪型がすごく似合ってない。
彼女についていたスタイリストはおしゃれだったけど。（特にかぶりものが素敵）
というわけで、おしゃれ映画というジャンルではなかったと思う。
ただ、（素人目ながら）ちょんぎれた構図なんかは独特で、玄人好みしそうな感じだ。

ずっと女のイヤな部分がクローズアップされている映画だ。
嫉妬、コンプレックス、優越感、独占欲、悲劇のヒロインきどり。
最後は３人が映画で競演して終わる。
浅丘ルリ子は、見ず知らずの人とはいえ、やっと交じわえたから解決？
有馬稲子は彼氏に説得されて自殺を思いとどまったから解決？
岡田茉莉子はマネージャーさんを失ったけどそれでよかったの？
ハッピーエンドかどうかもよくわからない。謎は深まるばかり。