８月のクリスマス

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

主題歌「８月のクリスマス」（山崎まさよし）がとても切なくて、それでいて静かな激しさ（矛盾してる？）があって、映画を盛り上げてくれています。
山崎まさよしって、こういう演技をする人だったんですね。
若々しいという印象はない人ですが、そのままの飾らない演技がよかったです。
彼の病気が何なのか、最期まで分かりませんでしたが、静かに「死」を見つめながら、自分の感情を抑えているのが見て取れました。
彼がただ一度だけ感情をあらわにしたのは、親友の亮二と酒に酔って、その勢いで泣きながら食って掛かった時でした。
臨時教員の由紀子との関係は、由紀子役の関めぐみが身長も高く大人っぽいのに、「おじさん、おじさん」と寿俊を呼ぶのが子供っぽくて、どうも違和感がありました。
寿俊と由紀子のデートのシーンは、自分の命の限界を知っている寿俊と、将来の事を話す由紀子との、それぞれの持つ時間の意味や重さが違っていて、哀しいシーンでした。
元気で明るく生命力にあふれた由紀子を、彼はどんなに眩しく愛おしく見ていたことでしょう。
自分が居なくなった後のことを考えて、父のためにＤＶＤの使い方のマニュアルを作ったり、葬式用の写真を撮ったり、手紙を書いたりと、静かに穏やかに準備を整える彼の姿が、遣る瀬無かったです。
オリジナルの「八月のクリスマス」も見比べてみたいと思います。

スクータで近所を廻る街の写真屋さん。設定が良い。
悲しいはずの平凡なエピソードが、平凡ゆえの幸せを感じさせてくれます。
リメイクだったので、ラストの名シーンも知っているはずなのに不覚にもまた涙です。
個人的にリメイクで泣けることは滅多にないのでオリジナルの良さを、きちんと伝えることのできる良い作品だと思います。

山崎まさよしの“寿俊”役もはまってます。『月とキャベツ』の“花火”に少しダブリましたが、独特の「間」が小津映画のようで、日本版として合っていたと感じます。
こちらのリメイクの方がラスト間近で少し語り過ぎている気もしましたが…。

オリジナルの『八月のクリスマス』の喫茶店のシーンがなかったので、またオリジナルも観たくなりました。

再度、ラストで泣けたらラスト名シーンランキングの上位評価です！

死期が近い主人公っていう話を、わざわざ韓国映画のリメイク作るなんて、山崎まさよしの歌で泣かせようって意図が見え見えです！
話自体は韓国映画の「８月のクリスマス」と、ここまで似せるかってほどですけど、やはり日本人は日本の俳優が演じてるほうが感情移入しやすいですね。それでも、静かに運命を受け入れる姿が新鮮でした。
ラストはやはり・・・エンドロールで山崎まさよしの歌が流れると涙ぐんでしまいます。

残念だったのが、関めぐみ（由紀子役）の演技の大根さ。未熟です。。。

以前にドラマで演じてたのを見た事があり、その時は『歌手の割りにまぁまぁやるな。』位の印象だったけど・・・。
いや〜。良かったです。
今回はチョット哀しい内容だけど、彼の持っている雰囲気にはピッタリでした。
後半のセリフがほとんどないシーンが、なんていうか心に沁みました。

ハン・ソッキュとシム・ウナ（2006年春、遂に結婚）が共演して大ヒットした同名の韓国映画の日本版リメイク作品です。
韓流ブーム以前の作品でこれだけ有名になったのは、非常に完成度の高い、心に残る作品だったからだと思います。
したがって、日本版にリメイクしたとは言っても、ほとんど忠実に原作がコピーされていて、シム・ウナが演じた交通取締官役を関めぐみが演じる臨時教師役に変えている程度です。
限られた命の中で、人を恋するという感情すら押さえ込み、勤めて明るく自らをだましながら生きてきた青年の前に現れた若き女性。恋してはいけないと思っていても彼女に惹かれてしまい、最後にああいう形で愛の告白をします。
韓国作品が非常に素晴らしい出来でしたので、日本版はさらに磨きをかけて欲しいと思いましたが、日本らしさはあまり感じられず、コピー商品の域を出ませんでした。