激怒 / スペンサー・トレイシー
激怒
/フリッツ・ラング
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全体の平均評価点: (5点満点)
(6)
解説・ストーリー
ノーマン・クラスナー原作、無実の罪で集団リンチに掛けられようとする男を描いた人間ドラマ。婚約者に会うため車を走らせていたジョーは、途中で誘拐犯と間違えられ投獄されてしまう。犯人が捕まり激昂した市民は、ジョーのいる拘置所に放火するが…。 JAN:4988182111218
ノーマン・クラスナー原作、無実の罪で集団リンチに掛けられようとする男を描いた人間ドラマ。婚約者に会うため車を走らせていたジョーは、途中で誘拐犯と間違えられ投獄されてしまう。犯人が捕まり激昂した市民は、ジョーのいる拘置所に放火するが…。 JAN:4988182111218
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「激怒」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
ノーマン・クラスナー原作、無実の罪で集団リンチに掛けられようとする男を描いた人間ドラマ。婚約者に会うため車を走らせていたジョーは、途中で誘拐犯と間違えられ投獄されてしまう。犯人が捕まり激昂した市民は、ジョーのいる拘置所に放火するが…。 JAN:4988182111218
「激怒」 の作品情報
「激怒」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
激怒の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
92分 |
日 |
英:モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
JVD3221 |
2011年06月27日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
6枚
|
0人
|
0人
|
激怒の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
92分 |
日 |
英:モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
JVD3221 |
2011年06月27日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
6枚
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0人
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ユーザーレビュー:6件
憎しみは伝染する。
「 いのちの紐 」
ロキュの69日連続レビュー V 第53日
濁音で始まる題名の映画レビュー 「 ゲ 」
( ネタばれあり )
フリッツ・ラングの渡米第1作。 プロデューサーは監督になる前の若きジョゼフ・L・マンキウイッツ 27歳。
新婚生活を始めるために婚約者キャサリン( シルヴィア・シドニー )のもとへ向かう途中の町で、誘拐犯と間違えられた青年ジョー(スペンサー・トレーシー)
ここで起訴もされていない彼を群衆がリンチにしようと襲うシーンがすごい。
ドイツ時代に続いて、狂気の群集心理を描いています。
映画制作の逸話を拾ってみると、ドイツ時代そのままに、監督は絶対君主とふるまうラングは、会社側とも、現場でも揉めてしまう。
濡れ衣で捕まりリンチの危機に見舞われる青年を黒人にし、スペンサー・トレーシーには弁護士役を考えていたが会社側に却下され、また、暗澹たるラストにしようとしたが、これも却下される。
撮影現場では凝り性から、ジョーがピーナッツを食べるシーンだけで何テイクも撮るし、次のシーンのセッティング中に自分だけ簡単に昼食を済ませ、集中力が途切れないうちに続けて撮ろうとしたため、スタッフのことを思って怒ったトレーシーはメイクを落とし、ランチタイムを宣言して撮影現場を離れた・・・とかあったらしい。
結局、作品は完成したものの、トレーシーは以後二度とラングとは仕事をしませんでした。
一方、シルヴィア・シドニーは次の『 暗黒街の弾痕 』にもラングを監督に推しますし、『 真人間 』と続けて出演します。
さて、本作にはモデルとなる事件があります。
1933年カリフォルニア州サンノゼのデパート経営者の御曹司ブルック・ハート( Brooke Hart )が身代金目的で誘拐され、殺された事件。
犯人二人はつかまり自白もしたが、判決はおろか起訴もまだされていない段階で、リンチが懸念されているにもかかわらず、新聞は煽り結果発行部数は倍増。
知事は容疑者警護のために州兵を動員することを拒否し、リンチをしたとしても恩赦にすると発表して、これも事実上リンチを扇動。
襲撃者と野次馬からなる群衆が留置場に押しかけ、引きずりだされた容疑者は、ラジオの実況中継がされる中、公園の木に縛り首にされ、警察が遺体を降ろすまでそのままにされたそうです。 その後、警察はその木の枝葉が記念品として売られることを懸念して伐採。
フランクリン・ルーズベルト大統領をはじめ全国からリンチを非難する声が起こりましたが、
地元市民からは部外者の干渉だと反発の声が上がりました。
7人が逮捕されましたが、誰も有罪判決を受けず。
容疑者の遺族はラジオ局と知事を相手に民事訴訟を起こしましたが、知事の急死で訴訟は取り下げられました。
事実は映画よりも奇々怪々ですね。
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5人の会員が気に入ったと投稿しています
人間の良心によって救われる
投稿日:2013/09/16
レビュアー:趣味は洋画
人間の愚かさと醜さが描かれる。 なぜ人間はこうも集団心理・群衆心理にあっさり埋没してしまうのか...現代に置き換えても、この現象は日常よく目にし、耳にする。 これはマスコミの影響大である。(マスコミを非難するものではありません) 本作の中でもマスコミに扇動された市民の感がしないでもなく、無実の被害者の心情はいかばかりか...邦題の「激怒」そのままであろう。 ただ映画は当然のようにこれに終わらず、「アメリカの正義」をもって、人間の良心、正義感、勇気によって、清々しい結末を迎えるのである。 この最大の功労者は、キャサリン役のシルヴィア・シドニー。 小柄で愛くるしい表情で登場する彼女、とてもラストの「強い大人の女性」に変身するとは思わなかった。 スペンサー・トレイシーを無実の罪で監獄送りにした22人の被告たちは、死刑を宣告されそうになるのだが、最後はそのトレイシーによって救われる。 何とも皮肉な結末だ。 だが、人間の愚かさと醜さをすべて吹き飛ばすほどの、人間の良心によって、この映画は最高のエンドロールを迎える。
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真実の行方
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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自分がこれまでに観たフリッツ・ラング監督作は数本に過ぎないが、いずれもペシミスティックで人間存在の不確かさを思わされるものだった。心や魂を持った主体であるハズの人間が、宿命のような外在的な“何か”に翻弄される姿が描かれていたように記憶している。本作「激怒」もまた、主人公をリンチする群衆だけでなく、主人公自身も暗い衝動に突き動かされて行動する人物に変貌してしまうので、長く真っ暗なトンネルに奥深く入って行くような息苦しさを覚えた。そして、その暗闇の先にある光明は燦然と輝く陽光という訳ではなく、おぼろげながら祈るように掴み取った希望の灯であった。「罪」の問題は単純な善悪の秤で量れるものでもないと自分も思うので、人間の心理や行動の多義性を透徹した眼差しで見据えているこの峻厳な作品には「良心」を感じた。
プロットは単純だ。新生活を始めようと婚約者の元へ旅立った男が、道中で誘拐犯に間違われ拘留される。小さな町で「犯人逮捕」の噂はあっという間に広まり、まだ裁判前で容疑が固まっていないにも関わらず、許すまじき犯罪に怒り狂った民衆が暴徒と化し、留置場を襲う。焼き討ちの中、からくも逃げ出した男は復讐に燃え、後息詰まる法廷劇が始まる・・・。ここで男が取った秘策については伏せておくとして、この法廷劇が決して胸のすくような正義の戦いではないところがミソ。人間の愚かしさ、その罪の結果と下される罰の重さ、それらと人の命とを量りにかける時、果たしてそこに本当の「公正さ」はあるのだろうかと、この作品は問いかけてくる。
裁判も結局は人間が行っているもの、判決を下すのも一般市民たる陪審員だ。誤謬だらけの人間たちのドラマで唯一、「真実」の方向を見失わない羅針盤の役割を担っていたのは凛としたヒロイン。そして、汚泥の中でガラス片がキラリと光るように「真実」の輝きを放っていたのが、一人の女性が流した悔悛の涙と、為すべき行為に勇気を持って身を投じ安堵と幸福を得た主人公の最後の姿であった。
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裏『M』
投稿日:2011/07/18
レビュアー:よふかし
フリッツ・ラングの渡米第一作である。面白い映画だ。
以前出ていたVHS版と同じ販売元で、映像にもそれほど大きな違いはないと思うので、VHS版を観た人は必ずしもDVDを手にする必要はないかもしれない。が、しかし、見直せばまた面白いところが見つかりそうな映画でもある。
デマを鵜呑みにした集団によるリンチ、という物語。この群集心理の恐ろしさについては、同じ亡命者のビリー・ワイルダーも後年『地獄の英雄』という秀作を撮っているのは興味深いところ。ヨーロッパでの全体主義の経験が生きているのだろうか。二本の映画はアメリカを舞台にしているけれど、それがヨーロッパの出来事でもおかしくないし、日本が舞台であってもおかしくない。
不安心理とデマとが結びつくとき、人はより深刻な、過激な情報を信じてしまうのだろうか。関東大震災後の朝鮮人虐殺もしかり、もっと卑近に言えば、現在の日本、現在の僕だ。過激な情報こそもっともらしく見えてしまうのである。
ドイツ時代の『メトロポリス』や『M』のように、この映画でもラングは「群集」の描き方がうまい。とくにこの映画は、『M』のクライマックスの人民裁判のシーンをアメリカに置き換えたようなもので、『M』は真犯人だったが、本作のジョー(スペンサー・トレイシー)は無実だというだけの違いだ。いわば裏『M』で、本家と違って群集が爆発して暴動となり警察署まで襲撃してしまうのは、権力に対する民衆の心理の違い、米独のお国柄を思わせてこれまた興味深い。
圧巻は、後半の法廷で流されるニュースフィルムに映る、一般市民、善男善女の狂った姿のすさまじさである。ラングが周到に、 終盤までその狂気の振る舞いの本当のおぞましい部分――リンチという暴力に興奮して悦びを感じているさま――を描いていなかったこともあり、ひじょうにショッキングだ。
スペンサー・トレイシーがポケットに入れているピーナッツや指輪などの小道具の使い方も楽しませてくれる。後半のトレイシーの大げさな「激怒」芝居や、テーマを前面に押し出す生硬さはドイツ時代の作品に比べれば幼く、やや退屈とも言えるが、シルヴィア・シドニーの真っ直ぐな心が救いである。60点。
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Over the rainbow
フリッツ・ラング、渡米第一作目(1936年)。
マスヒステリーを突いている点で「M」のアメリカ版と言えるだろう。
しかもこちらの方が野蛮だ。
「M」と違いリンチの標的となるのは無実の人間である。
自分勝手に妄想を拡大させておきながら、怒り狂った群衆は
ジョー(スペンサー・トレイシー)がつながれた留置所めがけ火を放ち、
とどめにダイナマイトを投げつけ、炎に包まれたジョーを見て嘲り笑う。
「M」において、弁護士を付けた人民裁判がまだ紳士的と思える程だ。
この大衆の無知、無責任、不寛容そして暴力性を容赦なく描き切る前半、
Mass(集団)としての「M」が第一級殺人罪を問われる法廷劇の後半。
その前半は「地獄の英雄」などでワイルダーが戦後やったことを
ラングが戦前やっていたという印象。
また、日比谷焼き討ち事件もこういう勢いだったのかと思うと恐ろしい。
どの時代にも、どこの国にも、誰にも起こりうる事を
そして報復の連鎖が行き着く果て、その取り返しのつかない世界をも想像させる。
「M」で見せた不安は絶望に、絶望から激怒へ。
それでも人生にイエスという境地へ導く花・シルヴィア・シドニーが美しい。
個人的には犬が印象的だった。
いきなり芸をして雨の駅でジョーに拾われ、レインボウと名付けられた。
繊細な雰囲気が伝わってくる犬だったので調べるとTerryという女の子で、
この3年後「オズの魔法使」でジュディ・ガーランドと共演するTotoだった。
(本作のレインボウという名前が運命的)
可哀想に撮影中、魔女の護衛役に踏まれ脚を骨折、命を失いかけるが数週間後に復帰し
最後のシーンの撮影に臨んだという。
1945年に11歳で亡くなるが生涯、16本のハリウッド作品に出演。
シャーリー・テンプルとの「輝く瞳」はTerryが1歳の時、どちらも可愛い。
ジョーの激怒は自分への仕打ちに対するものだけではなかったはず、と信じたいし、
ずっと信じている。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
憎しみは伝染する。
投稿日
2020/07/31
レビュアー
ロキュータス
「 いのちの紐 」
ロキュの69日連続レビュー V 第53日
濁音で始まる題名の映画レビュー 「 ゲ 」
( ネタばれあり )
フリッツ・ラングの渡米第1作。 プロデューサーは監督になる前の若きジョゼフ・L・マンキウイッツ 27歳。
新婚生活を始めるために婚約者キャサリン( シルヴィア・シドニー )のもとへ向かう途中の町で、誘拐犯と間違えられた青年ジョー(スペンサー・トレーシー)
ここで起訴もされていない彼を群衆がリンチにしようと襲うシーンがすごい。
ドイツ時代に続いて、狂気の群集心理を描いています。
映画制作の逸話を拾ってみると、ドイツ時代そのままに、監督は絶対君主とふるまうラングは、会社側とも、現場でも揉めてしまう。
濡れ衣で捕まりリンチの危機に見舞われる青年を黒人にし、スペンサー・トレーシーには弁護士役を考えていたが会社側に却下され、また、暗澹たるラストにしようとしたが、これも却下される。
撮影現場では凝り性から、ジョーがピーナッツを食べるシーンだけで何テイクも撮るし、次のシーンのセッティング中に自分だけ簡単に昼食を済ませ、集中力が途切れないうちに続けて撮ろうとしたため、スタッフのことを思って怒ったトレーシーはメイクを落とし、ランチタイムを宣言して撮影現場を離れた・・・とかあったらしい。
結局、作品は完成したものの、トレーシーは以後二度とラングとは仕事をしませんでした。
一方、シルヴィア・シドニーは次の『 暗黒街の弾痕 』にもラングを監督に推しますし、『 真人間 』と続けて出演します。
さて、本作にはモデルとなる事件があります。
1933年カリフォルニア州サンノゼのデパート経営者の御曹司ブルック・ハート( Brooke Hart )が身代金目的で誘拐され、殺された事件。
犯人二人はつかまり自白もしたが、判決はおろか起訴もまだされていない段階で、リンチが懸念されているにもかかわらず、新聞は煽り結果発行部数は倍増。
知事は容疑者警護のために州兵を動員することを拒否し、リンチをしたとしても恩赦にすると発表して、これも事実上リンチを扇動。
襲撃者と野次馬からなる群衆が留置場に押しかけ、引きずりだされた容疑者は、ラジオの実況中継がされる中、公園の木に縛り首にされ、警察が遺体を降ろすまでそのままにされたそうです。 その後、警察はその木の枝葉が記念品として売られることを懸念して伐採。
フランクリン・ルーズベルト大統領をはじめ全国からリンチを非難する声が起こりましたが、
地元市民からは部外者の干渉だと反発の声が上がりました。
7人が逮捕されましたが、誰も有罪判決を受けず。
容疑者の遺族はラジオ局と知事を相手に民事訴訟を起こしましたが、知事の急死で訴訟は取り下げられました。
事実は映画よりも奇々怪々ですね。
人間の良心によって救われる
投稿日
2013/09/16
レビュアー
趣味は洋画
人間の愚かさと醜さが描かれる。 なぜ人間はこうも集団心理・群衆心理にあっさり埋没してしまうのか...現代に置き換えても、この現象は日常よく目にし、耳にする。 これはマスコミの影響大である。(マスコミを非難するものではありません) 本作の中でもマスコミに扇動された市民の感がしないでもなく、無実の被害者の心情はいかばかりか...邦題の「激怒」そのままであろう。 ただ映画は当然のようにこれに終わらず、「アメリカの正義」をもって、人間の良心、正義感、勇気によって、清々しい結末を迎えるのである。 この最大の功労者は、キャサリン役のシルヴィア・シドニー。 小柄で愛くるしい表情で登場する彼女、とてもラストの「強い大人の女性」に変身するとは思わなかった。 スペンサー・トレイシーを無実の罪で監獄送りにした22人の被告たちは、死刑を宣告されそうになるのだが、最後はそのトレイシーによって救われる。 何とも皮肉な結末だ。 だが、人間の愚かさと醜さをすべて吹き飛ばすほどの、人間の良心によって、この映画は最高のエンドロールを迎える。
真実の行方
投稿日
2011/10/04
レビュアー
ポッシュ(卒業)
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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自分がこれまでに観たフリッツ・ラング監督作は数本に過ぎないが、いずれもペシミスティックで人間存在の不確かさを思わされるものだった。心や魂を持った主体であるハズの人間が、宿命のような外在的な“何か”に翻弄される姿が描かれていたように記憶している。本作「激怒」もまた、主人公をリンチする群衆だけでなく、主人公自身も暗い衝動に突き動かされて行動する人物に変貌してしまうので、長く真っ暗なトンネルに奥深く入って行くような息苦しさを覚えた。そして、その暗闇の先にある光明は燦然と輝く陽光という訳ではなく、おぼろげながら祈るように掴み取った希望の灯であった。「罪」の問題は単純な善悪の秤で量れるものでもないと自分も思うので、人間の心理や行動の多義性を透徹した眼差しで見据えているこの峻厳な作品には「良心」を感じた。
プロットは単純だ。新生活を始めようと婚約者の元へ旅立った男が、道中で誘拐犯に間違われ拘留される。小さな町で「犯人逮捕」の噂はあっという間に広まり、まだ裁判前で容疑が固まっていないにも関わらず、許すまじき犯罪に怒り狂った民衆が暴徒と化し、留置場を襲う。焼き討ちの中、からくも逃げ出した男は復讐に燃え、後息詰まる法廷劇が始まる・・・。ここで男が取った秘策については伏せておくとして、この法廷劇が決して胸のすくような正義の戦いではないところがミソ。人間の愚かしさ、その罪の結果と下される罰の重さ、それらと人の命とを量りにかける時、果たしてそこに本当の「公正さ」はあるのだろうかと、この作品は問いかけてくる。
裁判も結局は人間が行っているもの、判決を下すのも一般市民たる陪審員だ。誤謬だらけの人間たちのドラマで唯一、「真実」の方向を見失わない羅針盤の役割を担っていたのは凛としたヒロイン。そして、汚泥の中でガラス片がキラリと光るように「真実」の輝きを放っていたのが、一人の女性が流した悔悛の涙と、為すべき行為に勇気を持って身を投じ安堵と幸福を得た主人公の最後の姿であった。
裏『M』
投稿日
2011/07/18
レビュアー
よふかし
フリッツ・ラングの渡米第一作である。面白い映画だ。
以前出ていたVHS版と同じ販売元で、映像にもそれほど大きな違いはないと思うので、VHS版を観た人は必ずしもDVDを手にする必要はないかもしれない。が、しかし、見直せばまた面白いところが見つかりそうな映画でもある。
デマを鵜呑みにした集団によるリンチ、という物語。この群集心理の恐ろしさについては、同じ亡命者のビリー・ワイルダーも後年『地獄の英雄』という秀作を撮っているのは興味深いところ。ヨーロッパでの全体主義の経験が生きているのだろうか。二本の映画はアメリカを舞台にしているけれど、それがヨーロッパの出来事でもおかしくないし、日本が舞台であってもおかしくない。
不安心理とデマとが結びつくとき、人はより深刻な、過激な情報を信じてしまうのだろうか。関東大震災後の朝鮮人虐殺もしかり、もっと卑近に言えば、現在の日本、現在の僕だ。過激な情報こそもっともらしく見えてしまうのである。
ドイツ時代の『メトロポリス』や『M』のように、この映画でもラングは「群集」の描き方がうまい。とくにこの映画は、『M』のクライマックスの人民裁判のシーンをアメリカに置き換えたようなもので、『M』は真犯人だったが、本作のジョー(スペンサー・トレイシー)は無実だというだけの違いだ。いわば裏『M』で、本家と違って群集が爆発して暴動となり警察署まで襲撃してしまうのは、権力に対する民衆の心理の違い、米独のお国柄を思わせてこれまた興味深い。
圧巻は、後半の法廷で流されるニュースフィルムに映る、一般市民、善男善女の狂った姿のすさまじさである。ラングが周到に、 終盤までその狂気の振る舞いの本当のおぞましい部分――リンチという暴力に興奮して悦びを感じているさま――を描いていなかったこともあり、ひじょうにショッキングだ。
スペンサー・トレイシーがポケットに入れているピーナッツや指輪などの小道具の使い方も楽しませてくれる。後半のトレイシーの大げさな「激怒」芝居や、テーマを前面に押し出す生硬さはドイツ時代の作品に比べれば幼く、やや退屈とも言えるが、シルヴィア・シドニーの真っ直ぐな心が救いである。60点。
Over the rainbow
投稿日
2016/05/21
レビュアー
コリンスキー
フリッツ・ラング、渡米第一作目(1936年)。
マスヒステリーを突いている点で「M」のアメリカ版と言えるだろう。
しかもこちらの方が野蛮だ。
「M」と違いリンチの標的となるのは無実の人間である。
自分勝手に妄想を拡大させておきながら、怒り狂った群衆は
ジョー(スペンサー・トレイシー)がつながれた留置所めがけ火を放ち、
とどめにダイナマイトを投げつけ、炎に包まれたジョーを見て嘲り笑う。
「M」において、弁護士を付けた人民裁判がまだ紳士的と思える程だ。
この大衆の無知、無責任、不寛容そして暴力性を容赦なく描き切る前半、
Mass(集団)としての「M」が第一級殺人罪を問われる法廷劇の後半。
その前半は「地獄の英雄」などでワイルダーが戦後やったことを
ラングが戦前やっていたという印象。
また、日比谷焼き討ち事件もこういう勢いだったのかと思うと恐ろしい。
どの時代にも、どこの国にも、誰にも起こりうる事を
そして報復の連鎖が行き着く果て、その取り返しのつかない世界をも想像させる。
「M」で見せた不安は絶望に、絶望から激怒へ。
それでも人生にイエスという境地へ導く花・シルヴィア・シドニーが美しい。
個人的には犬が印象的だった。
いきなり芸をして雨の駅でジョーに拾われ、レインボウと名付けられた。
繊細な雰囲気が伝わってくる犬だったので調べるとTerryという女の子で、
この3年後「オズの魔法使」でジュディ・ガーランドと共演するTotoだった。
(本作のレインボウという名前が運命的)
可哀想に撮影中、魔女の護衛役に踏まれ脚を骨折、命を失いかけるが数週間後に復帰し
最後のシーンの撮影に臨んだという。
1945年に11歳で亡くなるが生涯、16本のハリウッド作品に出演。
シャーリー・テンプルとの「輝く瞳」はTerryが1歳の時、どちらも可愛い。
ジョーの激怒は自分への仕打ちに対するものだけではなかったはず、と信じたいし、
ずっと信じている。
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