ワーロック / リチャード・ウィドマーク
ワーロック
/エドワード・ドミトリク
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全体の平均評価点: (5点満点)
(4)
解説・ストーリー
無法のカウボーイたちに悩まされていたある町に、西部を渡り歩く凄腕のシェリフ、クレイが招聘された。かつてカウボーイ仲間だったジョニーは、クレイに一目置きつつも、自分の手でトラブルを処理しようとするが……。三大スター共演による娯楽ウェスタン。
無法のカウボーイたちに悩まされていたある町に、西部を渡り歩く凄腕のシェリフ、クレイが招聘された。かつてカウボーイ仲間だったジョニーは、クレイに一目置きつつも、自分の手でトラブルを処理しようとするが……。三大スター共演による娯楽ウェスタン。
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「ワーロック」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
無法のカウボーイたちに悩まされていたある町に、西部を渡り歩く凄腕のシェリフ、クレイが招聘された。かつてカウボーイ仲間だったジョニーは、クレイに一目置きつつも、自分の手でトラブルを処理しようとするが……。三大スター共演による娯楽ウェスタン。
「ワーロック」 の作品情報
「ワーロック」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
ワーロックの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
122分 |
日英 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/英語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
FXBR337 |
2011年08月03日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
11枚
|
0人
|
0人
|
ワーロックの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
122分 |
日英 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/英語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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FXBR337 |
2011年08月03日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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11枚
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0人
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ユーザーレビュー:4件
もしや「ブロークバックマウンテン」の先駆けでは?
投稿日:2013/05/31
レビュアー:港のマリー
ヘンリー・フォンダとアンソニー・クインの関係が男の友情の域を超えていたような…
とくにモーガン(アンソニー・クイン)のクレイ(ヘンリー・フォンダ)への熱愛ぶりには見ているこちらが赤面するほどでした。顔も存在感もこの上なく濃い男優たちがかもし出す微妙に同性愛的な雰囲気は日本の任侠映画を思わせて、銃を撃ち合ってスッキリ、という一般的な西部劇とはひと味違います。
お昼のBSプレミアムシネマで鑑賞。この時間帯は昔の西部劇がかかることが多く、なかには異色の作品もあって楽しみです。アルドリッチ監督カーク・ダグラス主演の「ガンファイター」などまさかのメロドラマ的展開であっと驚いたのですが、ディスカスにはないようですね。
本作の異色ぶりの一点は、のちの「ブロークバックマウンテン」につながる西部の男たちの同性愛をそれとなく描いたところにあると私は思います。色っぽい女性たちも登場しますがしょせんクレイとモーガンの絆を確かめるための存在でしかなかった。それとアリバイづくりでしょうか、まだ1959年のことだから。
もう一点の異色さはリチャード・ウィドマークの存在で、フォンダやクインに比べると華というものがまるでないこの男が、いつのまにかふたりを差し置いて活躍しているのです。
ジョニー(リチャード・ウィドマーク)はワーロックの町を牛耳っていた極悪カウボーイの一味を改心して抜け、薄給の保安官補として高給で雇われたクレイとモーガンのスゴ腕コンビに協力する。正義のためとはいえ人を撃ち殺すことをためらうジョニーの良心、真面目さ、実直さ、心の優しさ、恥じらいなど、英雄ではなくふつうの人間に望まれる良さが、観客の心をぐっと捉えます。
善悪突き抜けて傑出した人物が一筋の光芒を残して去る。その輝きが映画のテーマなのか、それとも悩みつつ自分の義務を果たした凡人こそが真のヒーローであると言いたいのか。見るものを悩ませるところもユニークだと思いました。
このジョニーが極悪カウボーイ集団を一人で迎え撃つクライマックスでは「真昼の決闘」1952年とはまったく逆の現象が起こります。
それはそれでとても感動的なのですが、赤狩りで訴追され服役後「転向」したという監督ドミトリクの心の傷を思わないわけでもありません。
結局ひとりで意思を貫くことはできなかったという悔い、後ろめたさ。群衆の歓呼を拒絶するように、ゲイリー・クーパーに怒りとともにバッチを投げ捨てさせたジンネマンとは違うところです。
しかしながらこの映画を見る限りドミトリクは人間の弱さを自覚して誠実であろうと努力しており、痛ましいと思いこそすれ批判する気持ちには私はなれませんでした。
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ヒーローの法的根拠
投稿日:2011/09/26
レビュアー:よふかし
ワーロックというのは町の名前であるということが、案外意味があるのかもしれない。単に勧善懲悪のヒーローものではなく、大作なのにカタルシスもなく、入り組んだ苦味のようなものが残るのは、この映画が「町」つまり「社会」を描こうとしているからかもしれない、と思ったのだ。
――アウトローによって保安官(シェリフ)が追い出され、無法地帯となった西部の町。有力者たちが相談して、マーシャル(字幕では執行官とされているが連邦保安官でもいいのだろうか)を雇うことにする。ヘンリー・フォンダとアンソニー・クインという重量級のふたりがやってくる。面白いのは、二人はアウトローであるということだ。ペキンパーの『ビリー・サ・キッド/21歳の生涯』などでもはっきりするように、西部劇で法の番人とアウトローの境目は極めて曖昧だ。昨日までの人殺しが今日から保安官になったりする。だから、イントロダクションのような、単純なヒーロー西部劇にはなり得ない。ヘンリー・フォンダは善と悪の入り混じったようなキャラクターを得意としているので珍しくはないが、人好きのするアンソニー・クインが、フォンダに同性愛的な愛情を注いでいるというのがなかなか面白い。
映画を複眼にするのが、もうひとりの主人公リチャード・ウィドマークだ。どう見たって悪役顔で、実際チンピラ風の悪役が多いのだが、ここでは「アウトローの一味だったのに、道を誤ったことを後悔し更生しようとする男」。ハートのうえでは一番真っ当で、観客の共感を得やすいポジションにウィドマークが置かれているのだ。その彼が自らシェリフに名乗りを挙げ、法を執行する=公認のもとで暴力を振るうことへの正当性を得ようとしたのに、結局はその是非に悩むことになる。
したがって、フォンダ&クインのコンビが悪をやっつけるという爽快な物語にはならない。途中まではそういう感じだが、急カーブを描くようにどんどん映画はおかしな方向へ進む。彼らをヒーローとする「(法的な)根拠」こそが問われてしまい、フォンダ&クインは結局のところ、私情で動いているに過ぎないことが暴かれてしまうからだ。
おかしな映画だ。主人公が暴力をふるう「正当性」について、こんなにも考えさせる西部劇はあまりないだろう。『真昼の決闘』だって、保安官の地位はいくら軽くても、基本的に揺るがない。
本作が製作された50年代末という時期をみると、本格的な西部劇の崩壊は60年代だから、ちょっと早い。でも萌芽をみることは出来るのかもしれない。
もうひととつは、監督がエドワード・ドミトリクということだ。この社会への不信、ヒーローへの不信は、彼の赤狩り体験とは無縁ではないのだろうか。少し手元の資料を読んでみたが、その辺り確証はない。けれども、この映画からひしひしと伝わってくるように思える不信感・絶望感は、ドミトリクの転向に生まれるシニスムと関係あるような気がした。55点。
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問答あり 迷いあり 矜持ありの 西部劇
( ネタばれあり )
『 真昼の決闘 』『 リオ・ブラボー 』と同様、ならず者と町側の対立の構図ですが、正義と悪の単純な構図にならないところがユニークでもありますし、勧善懲悪の痛快さもなければ孤高のヒロイズムもなく、観客に考えさせて心理的なカタルシスを与えないところが何かもやもやさせる。
正義と法と秩序というのは、しばしば混同されますが、それぞれ異なります。
力による秩序というのは、力あるものの恣意的な行使につながりますし、民意というものも群衆による私的制裁となれば、その正当性が問われます。
執行する力のない法など画に描いた餅ですし、執行する立場にすれば法は行動と責任の足かせとなり負担は大きい。
またこの登場人物たちがいずれも、世間に言えないような負の過去を抱えていて、また肉親や恋人や友人への情があって、悩んでいますし、だからといって居直って鬼になりきれないのですね。
( 『 十字砲火 』でも元々は同性愛への憎悪を描こうとしたが、時期が早すぎて実現できなかった。 ユダヤ人問題に置き換えたがそれでも先駆けの一作であり、結果的に共産主義的と見なされる原因となったようです。
アメリカン・ニューシネマなどでゲイが否定的にではなく描かれるようになったのも、本作の約10年後のこと )
外からの掟だけでなく、内からの良心や、個人や社会を超越する正義や良識への意識がある。
驚くほど、自他への問答があり、相手への説得がある。
そして自分が属している集団や友人への「裏切り」が多く描かれますが、それは必ずしも「背徳」とは描かれず、「葛藤」や「苦悩」が読み取れるのです。
昨今の敵を躊躇なく拷問や殺害し、自分に非があっても割り切って冷酷になる作風とは全然違いますね。
屈折した思い 『 ケイン号の叛乱 』もそうでしたが、エドワード・ドミトリクの人生とどうしてもそこがダブって見えてしまいます。
アメリカ映画と赤狩り その9
エドワード・ドミトリク( 1908 〜1999 )
カナダ出身ですが、そのルーツはウクライナ(ロシア帝国からの移住)で、アメリカ国籍を取ったのは、1939年31歳の時。
ハリウッド10の1人として、下院非米活動委員会への証言を拒否し、6か月の投獄と1000ドルの罰金を科せられるが、出獄直前に転向を表明、委員会で再証言を行い、ジュールス・ダッシン( 『日曜はダメよ』『トプカビ』などを監督 妻は女優のメルナ・メルクーリ)らの名前を証言。( ハリウッド10の中で唯一 )
彼がアメリカ生まれではなく、移民として国籍を取得したことも立場の弱さの一つだったでしょう。
この結果、仕事に復帰できますが、60年代後半以降は逆に批判と汚名の元となって、第一線から退くことになったのではないでしょうか。
なお、下院に召喚された47年の頃に離婚し、左翼的な活動家であった元妻は50年代になって自殺していて、赤狩りの犠牲者の1人と目されています。
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見て良かった。
傑作ではないか。
娯楽西部劇のフリをしながらこれほど複雑な人間ドラマを描いてみせるとは。
実人生のように先の展開が読めないストーリーと、1人として割り切ってとらえることのできない登場人物たち。
監督はそれまで西部劇で描かれてきた人間ドラマのすべての要素を一作に押し込めようとしているようだ。
原作小説も読んでみたくなった。
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ユーザーレビュー
もしや「ブロークバックマウンテン」の先駆けでは?
投稿日
2013/05/31
レビュアー
港のマリー
ヘンリー・フォンダとアンソニー・クインの関係が男の友情の域を超えていたような…
とくにモーガン(アンソニー・クイン)のクレイ(ヘンリー・フォンダ)への熱愛ぶりには見ているこちらが赤面するほどでした。顔も存在感もこの上なく濃い男優たちがかもし出す微妙に同性愛的な雰囲気は日本の任侠映画を思わせて、銃を撃ち合ってスッキリ、という一般的な西部劇とはひと味違います。
お昼のBSプレミアムシネマで鑑賞。この時間帯は昔の西部劇がかかることが多く、なかには異色の作品もあって楽しみです。アルドリッチ監督カーク・ダグラス主演の「ガンファイター」などまさかのメロドラマ的展開であっと驚いたのですが、ディスカスにはないようですね。
本作の異色ぶりの一点は、のちの「ブロークバックマウンテン」につながる西部の男たちの同性愛をそれとなく描いたところにあると私は思います。色っぽい女性たちも登場しますがしょせんクレイとモーガンの絆を確かめるための存在でしかなかった。それとアリバイづくりでしょうか、まだ1959年のことだから。
もう一点の異色さはリチャード・ウィドマークの存在で、フォンダやクインに比べると華というものがまるでないこの男が、いつのまにかふたりを差し置いて活躍しているのです。
ジョニー(リチャード・ウィドマーク)はワーロックの町を牛耳っていた極悪カウボーイの一味を改心して抜け、薄給の保安官補として高給で雇われたクレイとモーガンのスゴ腕コンビに協力する。正義のためとはいえ人を撃ち殺すことをためらうジョニーの良心、真面目さ、実直さ、心の優しさ、恥じらいなど、英雄ではなくふつうの人間に望まれる良さが、観客の心をぐっと捉えます。
善悪突き抜けて傑出した人物が一筋の光芒を残して去る。その輝きが映画のテーマなのか、それとも悩みつつ自分の義務を果たした凡人こそが真のヒーローであると言いたいのか。見るものを悩ませるところもユニークだと思いました。
このジョニーが極悪カウボーイ集団を一人で迎え撃つクライマックスでは「真昼の決闘」1952年とはまったく逆の現象が起こります。
それはそれでとても感動的なのですが、赤狩りで訴追され服役後「転向」したという監督ドミトリクの心の傷を思わないわけでもありません。
結局ひとりで意思を貫くことはできなかったという悔い、後ろめたさ。群衆の歓呼を拒絶するように、ゲイリー・クーパーに怒りとともにバッチを投げ捨てさせたジンネマンとは違うところです。
しかしながらこの映画を見る限りドミトリクは人間の弱さを自覚して誠実であろうと努力しており、痛ましいと思いこそすれ批判する気持ちには私はなれませんでした。
ヒーローの法的根拠
投稿日
2011/09/26
レビュアー
よふかし
ワーロックというのは町の名前であるということが、案外意味があるのかもしれない。単に勧善懲悪のヒーローものではなく、大作なのにカタルシスもなく、入り組んだ苦味のようなものが残るのは、この映画が「町」つまり「社会」を描こうとしているからかもしれない、と思ったのだ。
――アウトローによって保安官(シェリフ)が追い出され、無法地帯となった西部の町。有力者たちが相談して、マーシャル(字幕では執行官とされているが連邦保安官でもいいのだろうか)を雇うことにする。ヘンリー・フォンダとアンソニー・クインという重量級のふたりがやってくる。面白いのは、二人はアウトローであるということだ。ペキンパーの『ビリー・サ・キッド/21歳の生涯』などでもはっきりするように、西部劇で法の番人とアウトローの境目は極めて曖昧だ。昨日までの人殺しが今日から保安官になったりする。だから、イントロダクションのような、単純なヒーロー西部劇にはなり得ない。ヘンリー・フォンダは善と悪の入り混じったようなキャラクターを得意としているので珍しくはないが、人好きのするアンソニー・クインが、フォンダに同性愛的な愛情を注いでいるというのがなかなか面白い。
映画を複眼にするのが、もうひとりの主人公リチャード・ウィドマークだ。どう見たって悪役顔で、実際チンピラ風の悪役が多いのだが、ここでは「アウトローの一味だったのに、道を誤ったことを後悔し更生しようとする男」。ハートのうえでは一番真っ当で、観客の共感を得やすいポジションにウィドマークが置かれているのだ。その彼が自らシェリフに名乗りを挙げ、法を執行する=公認のもとで暴力を振るうことへの正当性を得ようとしたのに、結局はその是非に悩むことになる。
したがって、フォンダ&クインのコンビが悪をやっつけるという爽快な物語にはならない。途中まではそういう感じだが、急カーブを描くようにどんどん映画はおかしな方向へ進む。彼らをヒーローとする「(法的な)根拠」こそが問われてしまい、フォンダ&クインは結局のところ、私情で動いているに過ぎないことが暴かれてしまうからだ。
おかしな映画だ。主人公が暴力をふるう「正当性」について、こんなにも考えさせる西部劇はあまりないだろう。『真昼の決闘』だって、保安官の地位はいくら軽くても、基本的に揺るがない。
本作が製作された50年代末という時期をみると、本格的な西部劇の崩壊は60年代だから、ちょっと早い。でも萌芽をみることは出来るのかもしれない。
もうひととつは、監督がエドワード・ドミトリクということだ。この社会への不信、ヒーローへの不信は、彼の赤狩り体験とは無縁ではないのだろうか。少し手元の資料を読んでみたが、その辺り確証はない。けれども、この映画からひしひしと伝わってくるように思える不信感・絶望感は、ドミトリクの転向に生まれるシニスムと関係あるような気がした。55点。
問答あり 迷いあり 矜持ありの 西部劇
投稿日
2013/09/30
レビュアー
ロキュータス
( ネタばれあり )
『 真昼の決闘 』『 リオ・ブラボー 』と同様、ならず者と町側の対立の構図ですが、正義と悪の単純な構図にならないところがユニークでもありますし、勧善懲悪の痛快さもなければ孤高のヒロイズムもなく、観客に考えさせて心理的なカタルシスを与えないところが何かもやもやさせる。
正義と法と秩序というのは、しばしば混同されますが、それぞれ異なります。
力による秩序というのは、力あるものの恣意的な行使につながりますし、民意というものも群衆による私的制裁となれば、その正当性が問われます。
執行する力のない法など画に描いた餅ですし、執行する立場にすれば法は行動と責任の足かせとなり負担は大きい。
またこの登場人物たちがいずれも、世間に言えないような負の過去を抱えていて、また肉親や恋人や友人への情があって、悩んでいますし、だからといって居直って鬼になりきれないのですね。
( 『 十字砲火 』でも元々は同性愛への憎悪を描こうとしたが、時期が早すぎて実現できなかった。 ユダヤ人問題に置き換えたがそれでも先駆けの一作であり、結果的に共産主義的と見なされる原因となったようです。
アメリカン・ニューシネマなどでゲイが否定的にではなく描かれるようになったのも、本作の約10年後のこと )
外からの掟だけでなく、内からの良心や、個人や社会を超越する正義や良識への意識がある。
驚くほど、自他への問答があり、相手への説得がある。
そして自分が属している集団や友人への「裏切り」が多く描かれますが、それは必ずしも「背徳」とは描かれず、「葛藤」や「苦悩」が読み取れるのです。
昨今の敵を躊躇なく拷問や殺害し、自分に非があっても割り切って冷酷になる作風とは全然違いますね。
屈折した思い 『 ケイン号の叛乱 』もそうでしたが、エドワード・ドミトリクの人生とどうしてもそこがダブって見えてしまいます。
アメリカ映画と赤狩り その9
エドワード・ドミトリク( 1908 〜1999 )
カナダ出身ですが、そのルーツはウクライナ(ロシア帝国からの移住)で、アメリカ国籍を取ったのは、1939年31歳の時。
ハリウッド10の1人として、下院非米活動委員会への証言を拒否し、6か月の投獄と1000ドルの罰金を科せられるが、出獄直前に転向を表明、委員会で再証言を行い、ジュールス・ダッシン( 『日曜はダメよ』『トプカビ』などを監督 妻は女優のメルナ・メルクーリ)らの名前を証言。( ハリウッド10の中で唯一 )
彼がアメリカ生まれではなく、移民として国籍を取得したことも立場の弱さの一つだったでしょう。
この結果、仕事に復帰できますが、60年代後半以降は逆に批判と汚名の元となって、第一線から退くことになったのではないでしょうか。
なお、下院に召喚された47年の頃に離婚し、左翼的な活動家であった元妻は50年代になって自殺していて、赤狩りの犠牲者の1人と目されています。
見て良かった。
投稿日
2011/12/10
レビュアー
KH
傑作ではないか。
娯楽西部劇のフリをしながらこれほど複雑な人間ドラマを描いてみせるとは。
実人生のように先の展開が読めないストーリーと、1人として割り切ってとらえることのできない登場人物たち。
監督はそれまで西部劇で描かれてきた人間ドラマのすべての要素を一作に押し込めようとしているようだ。
原作小説も読んでみたくなった。
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