空の青さを知る人よ

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　両親が事故で亡くなった姉妹と東京でミュージシャンを目指すために地元出て行った男性とかの恋愛の話。



日本のアニメーションらしい背景や景色が綺麗で、その中を主人公やその他大勢のキャラクターが動いているだけで視覚的に気持ちのいい映像なのがさすがでした。

音楽がモチーフになっているので、主人公たちがベース弾いたりギター弾いたりする動きとかもかっこよかったです。両親が事故で亡くなり、恋人と別れて妹と地元で生活することを選択したお姉さんと彼女のお荷物にならないように地元を出たい妹。地元に大物演歌歌手がやってくることをきっかけに姉の別れた恋人がバックミュージシャンとしてやってきて、姉妹がざわざわしはじめて。妹がお堂でベースの練習すると高校時代の別れた恋人が現れて…というファンタジーの設定もありつつ、青春もの恋愛ものとして描かれていきます。

ミュージシャンは東京へ出たけど思っていたのと違って地元に戻るかどうか悩んだり、過去の自分は未来の自分へ叱咤激励して、妹はそのミュージシャンに淡い恋心を抱いていて姉の気持ちを探りながら思わず自分の思っていることと逆のことをぶつけてしまって傷つけたりと、みんなが成長していくのを丁寧に描いていました。クライマックスのいきなりのアニメーション的な躍動感ある救出劇もわくわくできる演出でした。

ただ一応、ファンタジーの設定ではありますが、基本は日常の延長線上で昔の気持ちがひっかかったままだったのが動き出すみたいなものはスケールが小さすぎて、主人公たちがどうなろうが知ったこっちゃないという冷たい気持ちになってしまう設定の映画でもありました。

キャラクターデザインがいい。動きもいい。背景は写真に近い描き込みで手が込んでいる。
ストーリーは途中に中だるみがあるものの絵に助けられて最後まであきなかった。
ただ、音楽がイマイチだった。バンドをテーマにしてるのだから、もうちょっと心に残る歌をつくってもらいたかった。
声優については、若山詩音がメリハリのある声でうまかったが、吉沢亮や吉岡里帆はモゴモゴしゃべってるって感じでぱっとしない。
全体のクオリティは宮崎アニメには遠くおよばないが、若手の成長を感じられて少しワクワクした。

ちなみに、岡田斗司夫さんによると、最近のアニメは「君の名は。」や「天気の子」などのように「祝福で終わる」というのが多いそうだ。ひと世代前の日本映画やアニメの主流は厭世気分を前面に出していて、「無力感で終わる」ようになっていたのだが、ここ数年前から、そこが変わったきたらしい。
我々バブル期経験者はいい時代を知っていて、どん底に落とされた日本を見ながらあえいでいるわけだが、その次の世代はバブル期を知らず、絶望のなかでサバイバルしている。で、この世代に対しては厭世気分なんてものはおそらく通じないのだろう。どん底で生まれて夢も希望もないまま呆然と生きている世代には厭世感もないのだと思われる。彼等に必要なのは祝福であるらしい。金銭欲も性欲もなくしてしまい、留学なんかしたくもないし、マイカーも欲しくないし、ガールフレンドもいらない・・と言っているような若者にとっては「応援」なんてものは役に立たない。彼等を喜ばせるものは、彼等の人生を祝福してくれる何かであるらしい。
このアニメのラストもモロにその祝福で終わっていて、そこんところで胸に残るものがあった。

なかなか良かったです。
アニメとしての完成度も高いです。
埼玉の秩父は特急で池袋から約80分。
とはいえ特急は一時間に1本なので、東京は近いようで遠い。
山に囲まれた盆地で、豊かな自然が売り物の地です。
夏は暑く、雄大な自然の中で長瀞のライン下りが楽しめます。
冬は埼玉の中で最も極寒の地で、長瀞の天然氷の切り出しが有名。
そんな秩父から若者は抜け出したいと思うのでしょう。
夢を抱いてレッドアロー（西武線の特急電車）に乗って東京を目指す若者が多いことでしょう。
夢半ばで挫折して地元に帰るに帰れない若者もいるでしょう。
そんな彼らに捧げる心優しいファンタジー。
あいみょんの歌う主題歌が絶妙な相乗効果を生んで感動を呼び起こします。
ストーリーはディスカスさんのイントロダクションに珍しく（失礼！）ばっちり書いてあるので
語る必要はありますまい。
意外にも吉沢亮クンの吹替はとても上手でした！
18歳の慎之介と31歳の慎之介をしっかり演じ分けていました。

若いうちは視野を広げることは大事でしょう。
でも、井の中の蛙で何が悪いのでしょうか？
狭い世界しか知らないからこそ、突き詰めて物事を考えられるのだよ。
そう、空の青さだって知ることが出来るのだから。。

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放映されていたテレビのコマーシャルでは、あまり期待していない作品でした。
想定していたよりもずっと良い作品で、嬉しいサプライズでした。

ご両親を事故で亡くした姉の「あかね」は妹の「あおい」のために、恋人だった金室慎之介（しんの）と別れて13年が過ぎます。
お姉さんの「あかね」も、30代になり、結婚せず、仕事の日々。
「あおい」は、自分のために恋人と別れた「あかね」に負い目を感じて、独り立ちを目指します。

お互いを想い合う姉妹の心の揺らぎが良く描かれていたと思います。

そして現れた二人の金室慎之介（しんの）。
後悔を恐れず進む、高校時代の自分、そして年を取り現実に絶望し、希望を失いヒネクれ素直になれない今の自分。
若さと大人になるということを考えさせられました。

ややもすれば複雑なストーリーですが、上手くまとめた手腕は見事だったと思います。
あいみょんの歌も作品と見事にマッチングして、悲喜こもごも感じることができました。

残念なのが、作中に登場する演歌歌手「新渡戸 団吉」とCVの松平健。
あり得ないくらい滅茶苦茶なキャラ設定かつ声のミスマッチが痛かったです。
作中での出番が少なかったのが救いです。

良い作品でした。
面白かったです。

埼玉県秩父を舞台にした長編アニメです。
高校時代の初恋と、13年後に故郷に以外な姿で戻って来たボーイフレンド。
高3の金室慎之介(しんの)は、相生あかねに音楽で天下を取るから、
一緒に上京しようと誘い結果断られる。
あかねの本心は、その頃交通事故死した両親の事故が尾を引いていた。
5歳の妹あおいをひとりに出来なかったのだ。
市役所に就職したあかねはあおいのママ代わりを完璧にこなす。
そして13年後。
お堂でベースギターの猛練習をするあおいに、突然18歳のしんのが現れたのだ。

秩父の音楽堂の催事として大物演歌歌手のステージが開催予定だ。
そこのバックバンドには31歳になり、天下を取り損ねた慎之介がメンバーのベースだった。
(演歌歌手のバックバルドになる・・・そんなことも有りでしょう！！人生)
そしてあおいは18歳のしんのに恋をして、あかねは31歳の慎之助に再会するのだけど、
態度のハッキリせん2人だ。
あかねは結婚を迷う年齢ではないし、慎之助は才能は多分ないから、きっぱりやめるべきだと思うのは、私がオバサンだからなのか！？
同一人物なのに18歳のしんのは明るくやんちゃでめちゃ魅力的。
吉沢亮もこの辺りすごく上手いのだ。
31歳の慎之助は見た目も暗く、吉沢亮の声もグーンとトーンが低い。

しんのと慎之介がどうやって一体化するかは見てのお楽しみ。
あおいちゃんのキャラが、真っ直ぐで一生懸命で好きでした。
『井の中の蛙大海を知らず・・けれど空の青さを知る』

田舎は良いところです・・・空気も風も空も、最高だぜ！！
大海は知っても良し、知らなくても良し・・ダネ！！