デッドマン

やすさん　死んじゃったなあ　また同志が減っちゃったよ
そのやっさん　文学はＯＫだが映画が今ひとつわかってくれない
ゴダールもまったくだめ　こうゆう人多いよな　わがレヴュアにも　この映画もわけわからん最低の物だと言う

ロビー・ミューラのキャメラ　ニール・ヤングのギター　映画が始まって数分で映画が達する　最高水準の成果がここに見られる
ジャームッシュはムードで見られるような作家ではなく　超一流の映画作家なんだ　肝に銘じて欲しい

そうでしたか、ラヴァ様は安原顕さんとお知り合いだったのですか。

今更ながらラヴァ様のレビューを読み返していて、こんな衝撃的な事実に出くわしました。いや、同士と言うからには単に知り合い程度の話ではなかったのかも。ラヴァ様のレビューに出てくる固有名詞(ジャンジュネ、クロカン等々)からただ者ではないと思ってはいましたが、もしかして名の通った著述家か編集者だったとか? ま、こんな「公道」でゲロしていただく必要はありませんけど。

そう言えば、安原さん、村上春樹に糾弾されちゃってますね。生原稿を持ち出して売っ払っちゃったとかで。もしそれが事実なら(と言うか、どうやら間違いのないホントの話のようですが)、何とも暗澹たる気分になります。『海』を舞台に様々な人々をスターダムに押し上げ、70年代から80年代にかけて一世を風靡した実績も霞んでしまいます。もっとも、わたくしは三浦雅士や中野幹隆に被っていた恩恵の方がずっと大きいので、ラヴァ様ほどおセンチにはならないと思いますけど。

ジャームッシュはお洒落系(ラヴァ様の言葉で言うと「ムード」)の監督と観られがちなのですが、わたくしもラヴァ様に同じく、そうじゃなくて超一流かつ最も正統的な映画作家なんだと思っています。別にムードで観たらいけないということはないんだけど、どう考えても彼の作品は雰囲気を味わうために軽い気持ちで観るものじゃなくて、身を清めて襟を正し畏まって鑑賞すべきものでしょう(ちょっと大袈裟)。いや、これは単に映画の見方の話をしているのではなく、映画と言うものとどのようなものとして捉えるかという倫理感の話だと思うのです、はい。ゴダールが、ズームを用いるか用いないかというのはスタイルの問題ではなく映画に対する倫理の問題なのだ、と言ったのと同じ意味合いにおいて。

なんたって、ジャームッシュはニコラス・レイの正統的な後継者であり、ロンドン留学時代に年間数百本の映画を見続けることにより意識的かつ能動的に映画に目覚めた人なんですから。

独特なこの世界が理解しきれませんでした。モノクロにする意味もわからない。
ただ運命という河に流され、はじめから定められていた最終地点に有無を言わさず流れついていたという、宿命のようなものは感じた。結局、行き着く先は同じ、死。努力でなんとかなるという甘さは無意味、ということか。

ジョニー・デップが本当にいいです。昔見たのを、ＤＶＤになったというので、また見てみましたが、独特の奥行きのない白黒画面といい、わけのわからんインディアンの村、人々（本当か？）といい、不思議な世界が展開されていて、たまりませんね。
またジョニーのきれいなことったら！それだけでもジョニーファンならみてみましょう。

男の銃弾を　左胸に受けたことが全てのはじまり。
いや、マシーンという町を選んだこと
名前がウィリアム・ブレイクというからには
生まれつき　運のない男だったというべきかも知れない。
生き伸びるために逃げる主人公と
故人で詩人ウィリアム・ブレイクの魂を静めんとするインディアン。
冥界からさまよい出した男（人違いです）を
再び葬り去るための　「死に場所」へ向かう逃避行。

逃げても逃げても　死が追いかけてくる。
返り討ちは　ほんの僅かな　悪あがきに過ぎない。
死とは　忌むべきもの　不条理なもの。
それ以上にこの作品では　軽軽しく　身近で
我が身に寄りそうものとして描かれる。
遅かれ　早かれ訪れるもの。
平等に　誰の身にも訪れるもの。
そもそも　この旅は　死にゆくための旅なのだ。


凄い作品でした。
とても　美しい作品です。
美しいし独特の世界観、ユーモアを忘れない。
西部劇としても　追っ手が厳しく鋭く
脱力系な逃避行を引き締めます。

ダウンバイローの次に好きな作品。
このクラスのジャームッシュ作品に
これから先お目にかかれるでしょうか。
是非　作り出していただきたいものです。