ダイヤルＭを廻せ！

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うーん。私はあまり楽しめませんでした。

他の方も書いているように『刑事コロンボ』を思い出しましたし、
綿密に練られた殺人計画。周到な準備。
不測の事態にも臨機応変に対応。と退屈しなかったし
登場人物も少なくわかりやすいんですが。

観終わって、何となくスッキリしないです。
「おもしろかった」という感じがほとんど残っていません。

古いのはいいんです。承知してましたし。
舞台っぽいのもいいんです。
わりと好きです。

つまらなかったかというと、そこまでではないです。
自分的にどこが、何が足りなかったのか
または気に入らなかったのかはわかりませんでした。

不倫のことは確かに納得いきませんが、
そこだけじゃないような。
と、一日ほど考えました。
そしてやっぱり、不倫をしていた側が完全に被害者として描かれていること。
裏切られた側が復讐を遂げられないこと。
でもその、裏切られた側の苦悩が伝わらないこと。
この３つなんだろうなと思いました。

と、そっちの方に感心していてはいけません。冷めた夫婦の息詰まるミステリー。室内劇を見ている様で、狭い空間の中で、いやでもドラマの中に引き込まれて行きます。G・ケリーの演技も見もの。ヒッチコック最盛時代の作品。近年、ハリウッドでリメイクされました。足元にも及ばなかった・・・未見の方はぜひご覧を。

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１９５４年の作品。
シンプルな起承転結が実にうまく出来ている。
以前、この作品を観てから今まで数多くの作品を観ているにもかかわらず全く
色褪せてないのだから恐れ入る。

完全犯罪を計画する夫は、事の始めからつまづき始め、遂には依頼したはずの
レズゲートを妻が殺してしまい。。。一見、無茶な計画を見せておき事実をそれ
にかぶせることで、リアリティが見事に増していく。
結局は刑事の推理で解決に至るわけだが、マークの苦肉の策は、トニーの計画
を見事になぞっていた。つまりは推理小説レベルの計画だったということだろう。
痛烈な皮肉は夫を逮捕へと導いていく。

不倫をしていたのは妻。
映画としてはこちらをこらしめなければいけないところだ。
時代を考えれば特にそのはずだ。
が、夫が悪となるエンディングに違和感を残さないのもヒッチコックの上手さだ。

突っ込みどころはたくさんあるのだが、実はそれを気にさせるかは、させないかは
作品の出来次第ではないだろうか。ヒッチコックを観てるといつもそう思える。

なによりも、グレース・ケリーが見たかった。
気品があって美しい。現代の女優さんは一流と評される人でもみな小粒に思えてしまう。

さすがヒッチコック監督と感心したのが、撮影場所がほぼ夫婦のアパート一箇所なのに画面に飽きさせないところだ。部屋のシーンばかりでセリフも多く、最初は舞台演劇を観ているような気分になったが、天井あたりからのカメラワークで撮ったりといろいろ工夫を凝らしている。特に夫が帰ってきたとき、部屋で抱き合っていたマーゴとマークがあわてて分かれる瞬間を、玄関ドアに映るふたりの影で表現した絵は秀逸。また、室内に置かれている品のいいランプを効果的にカメラフレームに収めていて、ここら辺も心憎い。

日本のサスペンス・ドラマ、観光地案内兼用で断崖絶壁解決編ワンパターン小娯楽に比べると、この作品は芸術ではないかと思うくらいの差がある。

先にリメイク版を見てしまっていたので
だいたいの筋はわかっていました。

なので、謎解きよりも映画そのもののつくりに目が行きました。
影の使い方とか、小道具の使い方が上手いです。
見せすぎずに、説明的にならずに、ちゃんと
伝えたいところは伝えている。
さすがと言うほかないですね。

グレース・ケリーはため息が出るほど美しいです。