ニュー・シネマ・パラダイス

古き良き時代の映画館を舞台に、老映写技師と少年の心の交流を描いたヒューマン・ドラマ。

シチリア島に住む少年トト（サルヴァトーレ・カシオ）は、毎日のように街の映画館パラダイス座に通う映画好きで、映写技師のアルフレード（フィリップ・ノワレ）を慕っていた。
ところがある日、フィルムへの引火が原因で映画館が火事になり、アルフレードは失明してしまう。
彼に代わって改築されたパラダイス座の映写室を任されることになったトトは、初恋や徴兵を経て成長し、アルフレードの勧めで島を出ていくことにする．．．。

監督のジュゼッペ・トルナトーレの長編第２作。
１９８９年度のカンヌ国際映画祭で、作品賞に相当する「審査員特別賞」を受賞、同年のアカデミー賞では「外国語映画賞」の栄誉に輝いた。３３歳での快挙だった。

第二次世界大戦直後、物資や食料難のころ、映画は心のよりどころであったろう。
トルナトーレ監督は、こうした時代の人々の人生模様を、情緒たっぷりに描いている。
まるで往年の名匠ピエトロ・ジェルミを彷彿とさせる作風だ。

トルナトーレ監督の作品は、本作の３年前、８６年「‘教授’と呼ばれた男」を観ている。
ベン・ギャザラ主演で、ナポリの地下犯罪組織を描いた暗黒ものだったが、これがまさにトルナトーレ監督の長編デビュー作だった。「ニュー・シネマ・パラダイス」とは似ても似つかぬ映画だった。
他の有名作品に、９９年「海の上のピアニスト」や、近作では２０１３年「鑑定士と顔のない依頼人」がある。

哀切極まりないエンニオ・モリコーネの音楽は永遠の名曲であるし、少年トトを演じたサルヴァトーレ・カシオの愛らしい好演が脳裏に焼きついて離れない。

本編は国際版のため、未公開シーンを加えた３時間の完全オリジナル版とは異なる。（微妙に印象が異なるが．．．）
依って、ブリジット・フォッセー（５２年「禁じられた遊び」の名子役）扮するエレナが、葬儀シーンのワン・ショットしか登場しないのは残念だ。

映画への比類なき愛情がにじみ出た名作に乾杯！！

今、思いっきり泣きたい時に見るべき映画。
ライフイズビューティフルに並んで感動映画の最高傑作です。ラストシーンでは、もう号泣です(泣

あ、あとこれ３時間の完全版なので注意。劇場公開版のほうが僕は好きです。

1988年　イタリア映画
同年カンヌ国際映画祭審査員特別賞とアカデミー外国語映画賞を受賞

完全版の方を先に観てこちらのオリジナルの方も観ました。
観終わった印象が随分と違います。
完全版の方は青年期のエレナとトトの恋愛が中心になっていて、完全版よりこちらの方が好きだという方も多い様です。
私の好みというと元彼女との再会シーンは無い、もしくはカーテン越しに電話で語るだけの方がいいかな。ただこれは両方観たから言えるのかもしれません。

主人公サルヴァトーレの愛称「トト」は、イタリアの喜劇王「トト」に由来しているそうです。この時代、映画というと人々の唯一の娯楽の一つで、映画そのものを観るというより集う場だったというのがよくわかります。
また、アルフレードが小学校の卒業試験を受けるシーンは学校に通えなかった事をよく表していて、トトの力を借りる（早い話がカンニング）という微笑ましい好きな1シーンでもあります。やはり幼いトトを演じたサルバトーレ・カシオのアルフレードを慕う姿は最高に可愛かった。
完全版より本作の方が映画を紡ぐ、または紡ぐ人を描いた作品という感じがしました。

≪挿入されている映画≫
・どん底　　・駅馬車　　・揺れる大地　　・チャップリンの拳闘　　　・無法者の掟　　
・にがい米　　　・白い酋長・　　ジキル博士とハイド氏　　・風と共に去りぬ　　
・ヴィッジュの消防士たち　　・アンナ　　・CATENE（作中題「絆」）　　・素直な悪女
・掠奪された七人の花嫁　　・青春群像　　・貧しいが美しい男たち
・ユリシーズ　　・さすらい　　・嘆きの天使　　・街の灯　　・激怒　　・白雪姫
・カサブランカ　　・戦場よさらば　　・ロビンフッドの冒険　　・素晴らしき哉、人生!
・ベリッシマ　　・夏の嵐　　・マンボ　　・ヨーロッパ1951年　　・ウンベルト・D
・サリヴァンの旅　　・越境者　　・ならず者　　・黄金狂時代　　・熱砂の舞
・ノックアウト　　・ナポリの黄金　　・ローマの休日　　・ヒズ・ガール・フライデー
・美女と野獣　　・玩具の国　　・底抜け極楽大騒動　　・丘の羊飼い

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現在公開中の標記映画を観たのでそれについて書きたい。今まで彼の人となりや創作手法過程等、自分は何ひとつ知らなかったので、この作品には本当期待していた。冒頭彼の自宅の居間らしき部屋のカメラの前で生い立ちから始めて時系列に彼の話がスタートする。話の合間合間に当時の映像や関係者のコメントを挟んでいくスタイルで、これが最後まで続いていく。彼はトランペット奏者の父を持つ。当初は医者になりたかったんだそうだ。しかし、結局父が決めた音楽院に入学する事になる。しかし、程なく父が病に伏した事で彼は家計を助ける為に父の代りにナイトクラブでトランペットの演奏をする事になる。辛い時代だったそうで、この時期の彼の心の支えは学院で学んだ「作曲」の技術だった。しかし、彼が映画音楽の世界に乗り込む前に彼にはかなり長い別の時期があった。編曲家時代である。卒業後彼は生活の為にRCAレコードと契約し、あちらのいわゆる「歌謡曲」にアレンジを加える仕事を次々とこなしていく。この頃から、彼はアレンジの中に金属を叩く音等、ノイズを足したりする実験的な試みも加えて独自のスタイルを確立していく。この頃から彼は既にもう多作だった。この実力が評判を呼び遂に映画界からお呼びがかかってくる。しかし、本来彼が目指していたのはクラシック音楽の世界だった。彼の師や学友達のアカデミックな音楽に対し商業音楽に携わる事に彼は葛藤し引け目を感じていた。転機は彼を指名してきた「荒野の用心棒」を準備していたセルジオ・レオーネが偶然同じ小学校の出だった事だった。意気投合した二人は以後生涯のコンビになる。面白かったのはマカロニ・ウェスタンで大当たりした二人だが、「時計じかけのオレンジ」を企画していたスタンリー・キューブリックがモリコーネに仕事を依頼してきたそうだ。しかし、これを知ったレオーネがモリコーネに知らせないで勝手に「今、彼は自分と「夕陽のギャングたち」にかかっているから無理だ」と断ってしまう。この件を彼はコメントしていて、この時「ギャング」の音楽は既に完成していて当時自分はキューブリックとの仕事が出来た、と述べているのだ。これが一番の心残りと彼はコメントしている。おそらくレオーネは嫉妬からキューブリックに彼を取られたくなかったのだろう。この作品はモリコーネと晩年「ニュー・シネマ・パラダイス」以降ずーっとコンビを組んだジュゼッペ・ペルナトーレの監督作である。実現したのはモリコーネ自身が、ベルナトーレでなければ製作を承諾しなかったからだ。指名を受けた彼がプロデューサーに要求したのは「私は映画のドキュメンタリーなのに、映像を使用出来ず写真にばかりに頼らざるを得ないような作品は好きではない。それは私にとってはとても本質的なことだ」素晴らしい。このお陰でここで紹介される映画はほぼ全て映像を見せるので当然盛り上がる。彼の要望で、音楽の縛りの外にあるモリコーネの人生に踏み込む必要があるとして、単に歴代の作品を紹介するだけでなく彼の人柄、人間性にかなり踏み込んで喋らせているのが素晴らしい。彼は身振り手振りを頻繁に加えて時にメロディーを口ずさみ、時に涙を浮かべる。この作品に喜んで参加し彼についてコメントする関係者達には蒼々たる面々が揃った。クリント・イーストウッド、ベルナルド・ベルドリッチ、オリヴァー・ストーン、テレンス・マリック、ダリオ・アルジェント、クウェンティン・タランティーノ、同業者としてジョン・ウィリアムズ、ハンス・ジマー、クインシー・ジョーンズ、そして初期のマカロニ作品であのシンボルになった口笛とギターを演奏した友人アレッサンドロ・アレッサンドローニ、「続・夕陽のガンマン／地獄の決闘」や「ウェスタン」等抜群のスキャットの歌声を披露したエッダ・デッロルソ、「死刑台のメロディ」でモリコーネから歌詞を書いてくれと依頼されて完成した名曲「勝利への賛歌」を歌ったジョーン・バエズ、といった人々の当時の話が聞けるのも嬉しい。彼が作った映画、ＴＶ作品の音楽は５００作品以上なんだそうだ。驚異的な数字である。彼は「１９００年」「ミッション」「アンタッチャブル」みたいな大作も任される一方で、「タランチュラ」「ヒッチハイク」みたいなＢ級作品や数多い日本未公開映画も請け負う。そこまでしなくてもいいのにとも思うが、一方でこの大家ぶらずに、あらゆるタイプの作品に書く間口の広さが他の大物作曲家達と違う、それこそ彼独自の個性であり魅力なのである。彼はまず作品が出来ると、愛妻で音楽家ではないマリアに監督よりも先に一早く聴かせて彼女が良いと思ったものだけが昇格するのだそうだ。晩年遂にアカデミーを屈服させて獲得したオスカーを壇上から客席の妻に向かって感謝の言葉を述べる彼に、自分も感謝しかない。どれだけ心を潤わせてくれた事か。

「鑑定士と顔の無い依頼人」が面白かったので、こっちも見なくては。とレンタル。
映画は安定感があって面白く、子役は上手くてカワイイですね。映像もキレイでシチリアの美しさを感じました。
以下は内容にはあまり関係ないんですが
２時間ちょいの劇場版をレンタルしたつもりが、入れ物には「完全オ　175分」と書いてあり、どっちなんだよと思いつつ鑑賞（両方観たことありません）。結果的に劇場版でＯＫでしたが、なんてゆうか気が散ってしまったのは否めません。