心の旅

たいして評価もされてない作品だけど、私はなぜか好きです。ハリソン・フォードというととにかくアクションという感じですが、こういう全くアクションなしの作品もけっこういいですよ。家族を全く顧みない冷血な弁護士が、事故をきっかけに別の人間に生まれ変わっていくのですが、事故の後の彼のやさしい表情がとっても好きです。

10年以上前に見たのに、あの映画よかったよな・・・
ときどき思い出すような映画です。

特にその場で超感動なわけぢゃないんですが、じわじわいいんです。

アネット・ベニング狙いで観た。33歳。薄化粧のショートカットが可愛い。

この映画は観た事あるんだけど、ジェフリー・エイブラムスが脚本書いているとは今回初めて知りました。25歳の時の作品。本人、野菜のデリバリーボーイ役で出演してます。今や「ロスト(2004-2010)」を大ヒットさせた大プロデューサー。

しかし、この映画のストーリーは25歳の若者が書いたらしく、ちょっと奇麗ごとに過ぎる。当時のアメリカの次のような価値観の足もとをすくってやろうという意図は明らか。

■ 弁護士は偉い←本当に正義を貫いてるのか
■ 働きずくめで家族を顧みない夫←それでいいのか
■ 勉強は他人との競争に勝つ為←違う

その意図は悪くないが、悪い事をしている弁護士稼業を辞め、冷えきった妻との関係を戻し、子供をエリート寄宿学校から戻して地元の学校に行かせて、…それで何かが解決するのか？と大きな疑問符がつく。こんな仕事は辞めたいと、誰でもが思っている。辞められないのは家族を食わさないといけないから。会社辞めて何が出来る？

そういう疑問符を全部無視して映画が終わる。このあとどうなったのかが知りたい。続編は無いのか？

アネット・ベニングは奇麗だが、消化不良の映画だ。

※クローゼットのスーツの数が凄いが、私もバブルの頃はこの映画を真似してたくさんスーツを作った。懐かしい。

※キャビアって、あんなに山盛りして喰うものなんだ…。初めて知った。食べた事あるけど、あんな量とは。

※ラブレターを下着と一緒に箱にはしまわないだろう。普通。

※淋しいとセックスしてくれる男が欲しくなるものなのである。普通。

※秘書がコーヒーにミルクを入れる時に、「もういいという時にwhenと言って下さい」と言う。これは弁護士事務所を辞めるときに秘書に「もういいと思ったからwhenと言った」と言うセリフの伏線になっている訳だが、say when に対して when と言うのはどうもアメリカ人だけのような気がする。他の国の英語だと say when に対して It's OK. とか That's fine. とか言うよね。あと、Thank you.とか。

恐れ、戸惑い、落胆、怒りを表現するハリソン・フォードの目の演技は素晴らしい。それ以外は、脚本に人間表現の面白みがないのか役者に本を越えた演技をしてみせる実力がないのか、つまらない。
W不倫（おやおや）の挙句とはいえ気持ちの良い結末なのだから、もうちょっとなんとか、あっ、コメディタッチにすればひねた私にも受けたかしら、だって主人公のリハビリによる驚異の回復力なんかはあんまり劇的すぎてコメディそのものでしょ。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

高度脳障害によって、人格が変化するのは良く聞く話で、身近にも脳卒中になり助かったけれど失語症となってしまった人が、かつて好きだったお酒が飲めなくなり、何事にもニコニコして穏やかな人格に変化したのを見ている。
この映画の主人公は、売店で頭を撃たれるまで冷徹だが切れる仕事をする弁護士だった。
脳を撃たれて死線をさ迷い助かる。妻の献身的愛が眩しい。
トレーナーの仕事ぶりが愛情あふれて、ああいう人は日本にはいないのかな。
とにかく、その変身ぶりがこの映画の主題だ。

所謂エリートは華やかだけれど冷たい部分が多い。彼はドロップアウトしたが、一応情けで働かせてもらうが陰口も囁かれる。
主人公は日がたつにつれて善悪の判断がつくようになり、別人となり第二の人生を歩むことになる。

この映画では、撃った犯人に対する話は弁護士が「捕まれば死刑にしてやる」と言う程度で、ほぼ蚊帳の外である。
ラストの幸福感の方が犯人への憎しみを超えている。
超えるどころか、あれから全てがスタートしているのだ。

ハリソン・フォードの一種たどたどしい演技がこの映画に合っている。
ブラッドレーというトレーナー役が核心なる部分のセリフを二人でビールを飲みながら言う場面が胸に詰まる映画である。