摩天楼を夢みて

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　ニューヨークの不動産セールスマンの地獄の仕事の日々の話。

　ジャック・レモン、アル・パチーノ、エド・ハリス、アラン・ラーキン、ケヴィン・スペイシー、ジョナサン・プライスなど豪華キャストが同じ画面に映っているだけで大満足の1本でした。もとが舞台のため、画面としてはそこまで動きがないですが、役者さんたちのセリフ量の多さでその場その場でマウントを取り合うパワーゲームを堪能できました。

　それぞれが全員が嘘を当たり前につくので誰も信用できない胡散臭さが楽しかったです。ジャック・レモンの老ビジネスマンの悲哀ったらなくて、何とかネタを集めて契約が取れたと思ったら、自分の立場が危うくなって最後の涙を目にためて…な最後のお芝居とかかわいそうすぎて同情の涙すらありました。アル・パチーノ演じる1番のやり手セールスマンも客に対するセールストークと仲間に対するセールストークが全く一緒で怖すぎるキャラクターでした。エド・ハリスの同僚に盗みを働くように話すのも胡散臭すぎて最高でした。

　100分間あっという間の映画でしたが、上映時間が短すぎるのが欠点でこの内容だったら3時間くらいあってもよかったのではないかと個人的には思う作品でした。

俳優陣の豪華さが、兎にも角にもこの映画の肝であります。
既に書かれているレビューの中には、俳優に依り過ぎて演出が不満・・・等のコメントがありますが、私にとって俳優の演技を食い入るようにして見た映画は久しぶり、でした。
（逆に、最近映像・カメラワークの凄さに目を見張る映画はよくあるのですが）
ストーリーが展開する中、次々にスポットが当たる俳優のアップ・表情の機微を見るだけでこの映画の価値はあるし、特にジャック・レモンやエド・ハリスのように、後で考えてもこの映画に欠かせないな、と思わせる配役の妙は、いつまでも印象に残りますし、また演出や設定がシンプルなだけに、いつまでも個々のディテールが記憶に蘇ります。

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　人によっては傑作に数えることもあるのですが、僕はあまり評価できない作品です。昔見たときもそう思いましたが、今回もそう思いました。
　キャストがひじょうに豪華で、それだけでも楽しいといえば楽しいです。何といっても、ジャック・レモンとアル・パチーノ、アラン・アーキン、エド・ハリス、ケヴィン・スペイシーが同じ部屋にいるということだけで、俳優を観る歓びは満たされます（ある程度）。アレック・ボールドウィンも、ジョナサン・プライスも悪くありません。
　俳優たちは、熱演です。お話は不動産セールスマンたちの人間群像というもので、あまり面白くはありませんが、それは大した問題ではありません。問題は、やはり映画的演出力のなさに尽きると思います。映画というよりも、明らかに舞台演出を意識した（引用した）、人工的な色づかいがなされています。冒頭の中華料理店などもそうですが、主舞台となるオフィスも、窓の外がまったくリアリティがなく、作り物めいています。わずかに外の風景――オフィスの前の道や鉄道の高架――も、リアリティが感じられないような工夫がなされています。これは、おそらく、この物語をドラマティックで濃密な一夜に描くために、あえて空間を限定した演劇的演出が取られているのですが、そのやり方があまり感動をもたらしません。
　また、オフィスには外部へつながる入口とスペイシーの所長室につながるドアがあるのですが、この二つの開口部をとおってひっきりなしに人の出入りがあります。この「出入り」が少しも映画的に魅力的に撮られないのです。室内の照明もよくありませんし、構図やつなぎも工夫がなく、同じ位置からの寄りと引きを無造作につないでしまう。俳優に演技させるのに必死で、せっかくの緊迫のやり取りを少しも緊迫感をもって描き出せない。
　たとえばこの脚本を、『怒れる12人の男』のシドニー・ルメットが演出したらどうだろう？　あるいはウィリアム・ワイラーが演出したら、どんな構図で捉えただろう？　と想像する、あまりにもふがいない本作の演出が、もったいないばかりです。
　デヴィッド・マメットの脚本はピュリッツアー賞をとっているそうですが、正直なところあまり感心できませんでした。たとえば8万ドルの契約をしたジャック・レモンにはどんでん返しが待ち構えていますが、スペイシーの台詞のみで説明してしまう。それでいいの？　と思ってしまいます。マメットは監督した『プロフェッショナル』も少しも面白くなかったので、相性が悪いのかもしれません。演技は見応えがありますが、50点。

摩天楼を夢みて（１９９２年・アメリカ、カラー、１００分）

不動産セールスマンたちの悲哀を描いた作品で、地味な展開ながら、７名のトップ俳優による演技合戦が見もの。劇作家として名を馳せるデヴィッド・マメット氏のピューリッツァ賞受賞戯曲を、彼自身が脚本化、ストーリーにブレがなく、重厚な印象を受けました。

ニューヨークの不動産会社ミッチ＆マレー社。営業会議に本社からやってき来た幹部ブレイク（アレック・ボールドウィン）は、‘月間成績トップと２位以外の者は解雇する’ と衝撃の発言をする。現状のトップセールスマンはリッキー・ローマ（アル・パチーノ）だが、かつてトップセールスマンだったベテランのシェリー（ジャック・レモン）は成績不振で、苦しい日々。同僚のモス（エド・ハリス）やアーロナウ（アラン・アーキン）の成績も芳しくなかった。追いつめられたシェリーは、支店長（ケヴィン・スペイシー）に対し、有力な顧客名簿を見せてほしいと依頼するが一蹴されてしまう。そんな折、モスとアーナロウの２人は、会社に復讐しようと、ある計画を企てるが．．．。

上述のストーリー前段の中で、６名の俳優が登場しています。これにジョナサン・プライスが加わり、冒頭に記した「７名のトップ俳優」が成立するわけです。ジョナサンはリッキー・ローマの顧客として登場しますが、キーとなる役柄です。

原作・脚本のデヴィッド・マメットですが、彼が脚本を手掛けた作品は、本作以外に８本観ています。
８１年「郵便配達は二度ベルを鳴らす」、８２年「評決」、８７年「アンタッチャブル」、８９年「俺たちは天使じゃない」、９２年「ホッファ」、９７年「ザ・ワイルド」、９７年「ウワサの真相／ワグ・ザ・ドッグ」、００年「ハンニバル」。
粒ぞろいの作品群、あらためて彼の才能の豊かさに驚かされます。

演出力がないとか、リアリティがないとか、様々な批評をされておられる方もいますが、本来、舞台劇であり、その戯曲を映画化したものですから、ジェームズ・フォーリー監督もそのあたりは百も承知でしょう。「映画」としてどう見せるか、スクリーンに展開する名優たちの表情や、練りに練られた一言一句の台詞回しなど、十分脇を固めた隙をみせない作品に仕上がっていると思います。

女優の出演はゼロで、ジェームズ・ニュートン・ハワードのスコアも効いています。

Ａ・パチーノ、Ｊ・レモン、Ｅ・ハリス、Ｋ・スペイシーら豪華競演の群像ドラマ。

ハードな目標を達成するよう命じられた不動産会社のサラリーマンたちを豪華キャストが
ほぼ表情とセリフのみでバチバチの闘いを熱演しておられます。

『摩天楼を夢みて』というタイトルからマイケル・J・フォックスさんの
”バラ色”チックなサクセス・ストーリーを想像して鑑賞し、
うちひしがれた初見時の衝撃を思い出しました。

社会人生活が長くなるとＪ・レモンさんのラストの表情に痺れますわ~。

常日頃から挨拶がわりに気軽に”まけてぇ~や~”と値段交渉してしまっていますが、
その気軽さの裏には、直面している担当さん、脇で見守るフロア・マネージャー等の
熱い視線バトルが繰り広げられているってことでして…

って、ことは、こちらも”気軽”でなく”真剣”に交渉しないといけないってことなのかも？？
（たぶん、違うんだろうけど。交渉しないでそのまま購入する優しさを持つべきなのかな…）