フェティッシュ

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あまり、期待をせずに見て、当たりだった時ほど嬉しいことはありません。
殺人現場の魅力に取り付かれてしまったガブリエラ。
生首は「最後に一言、何か言うのか？」
その一言が知りたくて、殺人事件現場の清掃員になった殺人事件フェチのコロンビア娘と、富豪女性連続殺人事件の犯人とが、現場でばったり出くわして、踊りながらのやりとりが面白い。

短編として作られたものが、タランティーノがほれ込み、長編となったのも頷けます。
猟奇殺人サスペンスを読みすぎの娘がふけ入った妄想を、楽しく映画化してくれました。という感じです。
警察が見落としてしまった事実を、犯人の行動が全て分かってしまうという一枚上手の娘がいたという感じでしょうか？

タラちゃんが最後のオチを描きたいがために、３０分のショートフィルムを９０分の長編に焼き直したブラックコメディです。

見た目は可愛いんですが、殺人事件フェチという悪趣味な嗜好を持つ主人公がかなりイッちゃってます。
殺害現場で恍惚とした表情で踊る姿はシュール過ぎて苦笑い。
全編通して物語に起伏は無く、どちらかと言うと淡々と進むので、ノリに合わないと退屈かも。
最後のオチも突っ込みどころなんだけど、さすがに笑けてしまった。
タラちゃんの遊び心に「良くぞここまで引っ張ったなぁ！」って褒めてあげたい。
個人的には十分面白かった。

主人公の女性が殺人現場マニアという設定の面白さ、映像における色彩の鮮やかさ、使用されている音楽のかっこよさ、適度に加えられているユーモア、配役の的確さと、プラス要素は多いのですが、話が単純すぎました。もともとは、短編映画で、それを長編化したものだということですが、長編化するならば、ストーリィに肉付けをしないことには、長編にした意味がありません。

彼女の表情を追うだけで大満足。
くるくる動くモノ言う瞳、盛大に上下するへの字眉、黙して語る可愛い口元（とんがり具合がまた♪）。
なんてキレイな眉山、動きに連れる額のシワまでチャーミング。
猟奇事件に興味津々、想像を巡らせる彼女のイキイキと綺麗なコト。
大顔（こんな言葉あったかな？）で老け顔なのにこの愛嬌なんだから、豊かな表情ってのはおんなを素敵に見せるんですねぇ。
殺人現場で恍惚のひとり芝居、動きはモダンダンサーのそれ。
すっかりツボにはまってしまって何度も何度もリピートし、すっかりこちらも恍惚状態。
この作品、ウィリアム・ボールドウィンもなかなかですが、アンジェラ・ジョーンズに尽きますねぇ。

物語は極く単純、「果たして生首は喋るのか？」。
短編映画をむりくり長編にしたんだそうですが、なるほど清掃会社もほのぼの彼氏のエピソードも要りませんでしたね。
で、千載一遇のチャンスをモノにする、おんなの執念おそるべしです。

血の赤とモスグリーンのドレスがイイ感じ。
音楽も最高！
ラストシーンもお見逃し無く。

　「オーストラリア」「GOEMON」「バビロンA.D.」と３タコで迎えた最終打席。終に走者一掃のクリーンヒットをぶちかましたバッターの気分だ。やっとバットの芯に当たったぜ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
　今まで爆笑系のホラーなら幾つか観たけど、こんなタッチのホラーは無かった気がする。オイラが観てなかっただけかも知れないけどねぇ。これが卒業制作映画の焼き直しって話もおもしろい。多摩美グラフィックデザイン課の卒業制作展を2回ほど観に行ったことがあるが、学生のレベルは玉石混交で、かなり質の高い作品も見受けられるので私的には納得するエピソードだ。さすが制作タランティーノ、目の付け所が違うね。