野良犬 / 三船敏郎
全体の平均評価点: (5点満点)
(30)
解説・ストーリー
恐ろしく暑い真夏の午後。射撃練習を終えた若い刑事村上はうだるような暑さに辟易しながら満員のバスに乗り込み帰路につく。しかし、村上は車内でコルトを盗まれたことに気づく。慌てて犯人らしき男を追うが結局路地裏で見失ってしまう。コルトの中には実弾が7発残っていた。必死にコルトを探す村上だったが……。 巨匠・黒澤明監督が初の本格的な犯罪サスペンスに挑んだ意欲作。徹底してディテールに拘った周到な脚本とどこまでもリアリズムを追求した演出でそれまでの日本映画には見られない高い緊張感が全編を支配する。
恐ろしく暑い真夏の午後。射撃練習を終えた若い刑事村上はうだるような暑さに辟易しながら満員のバスに乗り込み帰路につく。しかし、村上は車内でコルトを盗まれたことに気づく。慌てて犯人らしき男を追うが結局路地裏で見失ってしまう。コルトの中には実弾が7発残っていた。必死にコルトを探す村上だったが……。 巨匠・黒澤明監督が初の本格的な犯罪サスペンスに挑んだ意欲作。徹底してディテールに拘った周到な脚本とどこまでもリアリズムを追求した演出でそれまでの日本映画には見られない高い緊張感が全編を支配する。
もっと見る▼
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- 無料お試し期間中『新作』はレンタル対象外です。
新作をレンタルする方法はこちら
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
「野良犬」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
恐ろしく暑い真夏の午後。射撃練習を終えた若い刑事村上はうだるような暑さに辟易しながら満員のバスに乗り込み帰路につく。しかし、村上は車内でコルトを盗まれたことに気づく。慌てて犯人らしき男を追うが結局路地裏で見失ってしまう。コルトの中には実弾が7発残っていた。必死にコルトを探す村上だったが……。 巨匠・黒澤明監督が初の本格的な犯罪サスペンスに挑んだ意欲作。徹底してディテールに拘った周到な脚本とどこまでもリアリズムを追求した演出でそれまでの日本映画には見られない高い緊張感が全編を支配する。
「野良犬」 の作品情報
「野良犬」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
野良犬の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
122分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV2805R |
2004年04月09日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
11枚
|
0人
|
1人
|
野良犬の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
122分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV2805R |
2004年04月09日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
11枚
|
0人
|
1人
|
TSUTAYAだから可能な圧倒的作品数!!
洋画・邦画
約35,500
タイトル以上
国内ドラマも一部含まれております
※2022年2月 現在のタイトル数
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- 無料お試し期間中『新作』はレンタル対象外です。
新作をレンタルする方法はこちら
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ユーザーレビュー:30件
三船敏郎・・・29歳。志村喬・・・44歳。
1949年。黒澤明監督作品。
世界のミフネ。
そう呼ばれる伝説の男・・・三船敏朗。
考えてみれば、黒澤監督作品の『天国と地獄』でしか観たことがない・・・と、思う。
三船をはじめて知ったのは、
「男は黙ってサッポロビール」
このテレビCMだったと思う。
このCMは1970年だから三船は50歳の筈だ。
だからこの映画の28〜29歳の三船の美しさに、驚きました。
この頃私は多分、アランドロンに夢中で、日本人の俳優・三船がアランドロンより、
同じか、それ以上美しいなんて思いもしなかった。
そういう意味で衝撃でした。
映画は新米刑事の村上(三船)が満員のバス内で、拳銃(コルト)を盗まれたことから、
動きはじめるストーリーです。
その拳銃が女スリ(千石規子・・・この方もはじめて見たときは、お婆さんでした)
から、ピストル屋に流れて、そこから野良犬とも狂犬とも、刑事佐藤(志村喬)が呼ぶ犯人の手に渡ってしまう。
そして村上が畏れた通り、一件目は物取りの強盗・・・そして二件目は金持ちの奥さんが殺されて5万円を奪われる強盗殺人事件に使われてしまうのだ。
村上が責任を感じて、顔が引きつり、憔悴して行くのも当然である。
今なら懲戒免職とまでは行かなくても謹慎を命じられた警官は殆ど退職するような
あってはならない不祥事だ。
戦後4年経った東京は復興とは程遠い焼け野原的だが、刑事・村上は白い麻のスーツをで、
ハンチングを被り身なりが良い。
靴も白い革靴を履いている。
犯人の男・遊佐は復員軍人で、復員途中のリュックを盗まれたことから絶望して悪の道に入る。
同じく復員兵でリュックを盗まれた村上は、「盗んだ男を捕まえる警官」を志願して今は刑事。
この対比も、人の行動の違い・・考え方の違いを浮き彫りにしている。
内容に触れるのはこの位にします。
ただ、貨幣価値が分かりずらかったです。
巨人VS阪神を神宮球場でやっていて、ピストル屋が立ち回ると張り込む佐藤と村上が食べる
アイスキャンデーは20円。
第一の犯行で盗まれた金が3万円。
第二の強盗殺人事件で盗られたお金が5万円。
第一の犯行の3万円は若い娘が結婚資金に貯めるのに3〜4年かかった・・・
そして第二の犯行で、妻を殺された夫は、
「たかだか5万円のために妻が殺された・・・」
そう言うのでした。
5万円は今の500万円位なのか?
志村喬の人間味溢れる先輩刑事が出色でした。
滲み出る優しさ。黒澤作品では『生きる』を観ましたが、
凄い役者だと思う!!
(演技があまりにも自然体)
暑い、その年の東京はあまりにも暑い夏です。
村上が拳銃を探しあぐねてさすらう東京。
普通にベンチで野宿したりするのも、今では考えられないです。
この映画が俄然面白くなるのは80分過ぎから。
犯人の遊佐は踊り子のハルミ(淡路恵子・・・調べたら16歳です)に恋していて、
ハルミに連絡をよこすのです。
遊佐と言う野良犬(狂犬)と呼ばれる男に、一眼会わねばならない・・・
観客の私はそう言う期待でいっぱいになりました。
本当に最後の最後で野良犬(遊佐)は姿を現します。
ここまで観客の興味をラストまで引き付ける手法は上手いです。
黒澤明監督に上手いなどとは、恐れ多いのですが、正直な気持ちです。
三船は盗まれた拳銃を取り戻す責任感で頭がいっぱいの警官を・・・
清潔感溢れる真面目な村上を一途に演じています。
この映画の警官が怒鳴ったり脅したりしない。
係長はいましたが、縦割りの上下関係が希薄なのも刑事ドラマを見慣れた眼には
新鮮に映りました。
『七人の侍』
また宿題が増えました。
このレビューは気に入りましたか?
8人の会員が気に入ったと投稿しています
犯人は狂犬と思え
作品との出会いは、何がきっかけになるか分からないものです。
「野良犬」を知ったのは、2ヶ月ほど前に、何とは無しに観た「PTU」という香港映画でした。
「拳銃を失くした刑事」という設定は、黒沢明の「野良犬」へのオマージュだということでした。
丁度その時、「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」を観たばかりで、犯人が「のらいぬ」と名乗っていた理由も そういうことだったのか・・・と、一つの事柄をきっかけに次々と色々な所につながって行くのでした。
さて、本作は終戦後間もない東京の町が舞台であり、戦争による荒廃と戦後の復興が入り混じった混沌とした雰囲気に加え、真夏の猛暑の温度、湿度、空気感が、観ている方にも べったりとまとわり付いてくるような感じでした。
混雑したバス内で拳銃をスラれた新米刑事・村上を演じるのは、とっても長身でハンサムな三船敏郎でした。
その後の「用心棒」などで見るようなワイルドなイメージは、まだありませんでしたが、ギラギラとした眼力はすでにありました。
スリのお銀の言葉をヒントに、ピストル屋を捜し歩くシーンは、当時の東京の街並み(歓楽街、ドヤ街、闇市など)も見られて、退廃的な人間も多い中、活気や時代の大きな力を感じる場面でもありました。
同じような体験をしても、犯罪者になる者と刑事になる者がいるという対比。
犯罪を犯して、その理由を社会や戦争のせいにする者。
盗まれた拳銃によって 犯罪が起きたことに責任を感じるばかりか、犯罪のきっかけを作ってしまったと自分を責める刑事。
罪は罪だ、と言い切るベテラン刑事など、人間のもつ弱さや善悪の判断などが、ぎっしり詰まっていたように思います。
実際の後楽園球場での巨人対南海の試合シーンがあり、その大勢の観客の中からどのようにして犯人を探し出し、いかにして犯人をその他の観客から引き離して捕まえるのか?など、なかなか面白かったです。
出演者も 今では故人となられている方も多く、また、若い頃の顔からは誰だか分からない人も多くて、後でオープニングのキャストと照らし合わせる作業が必要でした。
三船敏郎が、若い頃、あんなにハンサムだったとは知りませんでした。
淡路恵子が、踊り子の並木ハルミ役だったのにも気づきませんでした。
しかも、当時のダンサーて あの程度だったのですね。
そう考えると、確かに淡路恵子は目立って綺麗だったように思います。
千石規子の若い頃は、面影はあるけれど可愛かった。
長い前髪をかき上げた文学青年が、千秋実だと分かった時は、思わず笑いがこぼれてしまいました。
ベテラン刑事を演じたのは 志村喬ですが、見事な存在感でした。
若い頃の飯田蝶子、東野英治郎、伊藤雄之助は、直ぐに分かりました。
いい忘れましたが、村上刑事のピストルで犯行を重ねたのは、木村功でした。
1981年に58歳で他界しているそうなので、若い方には分からないかもしれないですね。
万年青年、ニヒルという言葉が似合う役者さんだったと記憶しています。
このレビューは気に入りましたか?
7人の会員が気に入ったと投稿しています
脚本の勝利。
投稿日:2005/11/28
レビュアー:ホワイト
日本の刑事ドラマの原点はここにある。
detailにまで拘った脚本には賛美の拍手を与えたい。
最後の最後に、犯人に行き着くドキドキ感。
日本の映画史に残るドラマであろう。
ただ、「世界の三船」の台詞が聞き取りにくい。
字幕スーパーで見た方が分かりやすいのは残念だ。
このレビューは気に入りましたか?
7人の会員が気に入ったと投稿しています
野良犬が殺しを覚えたら狂犬になる
1949年・黒澤明監督作品。
『天国と地獄』に続いて、本作を見た。
社会の底でうごめきながら生きる人たちの姿が、
戦後間もない時代もあって、本作ではよりリアルに描かれていた。
ただ、声が聞き取りにくく、何度か巻き戻さなければならなかった。
そのうち面倒くさくなって、もう聞き流して見ていた(;^_^A
それでも、とても引き込まれて、すごく面白かった。
戦後間もない殺伐とした東京で起こるピストルによる殺傷事件を追う
ベテラン刑事・佐藤(志村喬)と若き刑事・村上(三船敏郎)。
そのピストルは村上がバスの中ですられたコルトだったのだ。
足を使った地道な捜査が、往年の刑事ものという感じが逆に新鮮だった。
些細な手がかりから、次の手がかりを追っていき、
そしてまた新たな手がかりへとたどり着き、
次第にジワリジワリと犯人に近づいていく様は
実にスリリングで引きこまれた。
まだ20代の三船がハンサムなことは言うまでもないが
私の中ではおじいさんのイメージしかなかった志村喬が
40代半ばだろうか、いやはや若い!
ザ・刑事という雰囲気を醸し出していて
自然な演技が素晴らしかった。
特筆すべきことは、16歳の淡路恵子!
とても大人っぽくて、16歳にはとうてい見えない。
失礼ながら、可愛いらしいとは到底言えない容姿ではあるが
16歳とは思えない演技はあっぱれだった。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
映像に勢い、力強さを感じる!
投稿日:2021/06/18
レビュアー:趣味は洋画
野良犬(1949年、日本・東宝、モノクロ、122分)
終戦から4年、日本がやっと落ち着きを取り戻し始めた頃の作品です。
下山事件や三鷹事件などの暗いニュースが流れる一方、湯川博士が日本人初のノーベル賞(物理学賞)に輝いた年でもあり、日本の高度成長期の礎が築かれるべく、人々のエレルギーを感じる映画でもありました。
猛暑の東京。若い村上刑事(三船敏郎)は射撃訓練からの帰り、バス車内で拳銃を掏られたことに気づき、犯人を追うが見失ってしまう。上司の警部に報告し、スリ係の刑事の助言を得て、お銀という女スリから情報を引き出した村上は、拳銃の闇取引の現場を突き止める。‘ピストル屋’ が袖を引くという情報から、村上はそのヒモの女(千石規子)を確保するも、売人の男に逃げられる。そんな折、淀橋で強盗傷害事件が発生、村上の拳銃が使われたことが分かり、責任を感じた村上は辞表を提出する。だが上司から逆に励まされ、村上は淀橋署のベテラン佐藤刑事(志村喬)と捜査にあたることとなる。やがて拳銃の闇ブローカーの存在を知った両刑事は、ターゲットが無類の野球好きと知り、後楽園球場に向かう...。
バスや電車のなかでスリ行為をする者を、専門用語で「箱師」というのを初めて知りました。
その箱師のひとり「お銀」に扮した岸輝子や、上述のヒモの女に扮した千石規子が勇ましいです。
特に千石規子は黒澤作品に最も多く出演した女優と云われていますが、彼女を初めてテレビで見た頃は、既に老け役を得意としていた頃ですから、本作での若い彼女(27歳)に驚きました。
でも、若い頃も、お祖母ちゃん役を演じていた頃も、見るからに可愛い女性だったのですね。
クレジット3位で淡路恵子が出演していますが、本作が16歳の映画デビューながら重要な役でした。
化粧っけもない役柄でしたが、出演シーンの長さ・多さもあり、彼女であろうと想像できました。
いつもながら黒澤組の常連俳優が多数出演しており、誰がどんな役を演じているのかを確認するのも楽しみのひとつです。上述の俳優以外では、東野英次郎、木村功、千秋実、本間文子、三好榮子、飯田蝶子、伊藤雄之助、菅井一郎といった面々が出ています。
黒澤監督は、殺人事件を捜査する映像に臨場感を出すため、実際の殺人現場の資料写真を見せてもらい、俳優たちにカメラを意識させない遠方からの撮影を行って、リアルな映像作りに成功したそうです。
東京の街の風景は時代を感じますし、巷には「東京ブギウギ」や「ブンガワン・ソロ」のメロディーが流れています。又、刑事がターゲット確保を狙って後楽園球場に出向くのですが、試合は「巨人」対「南海」とアナウンスされます。へえ〜〜と思って後で調べてみると、プロ野球が1リーグ時代の最後の年が、この1949年でした。この年の終わりに2リーグに分離することとなります。
どうりで球場の場内アナウンスで、南海の攻撃では「2番、センター河西」、巨人の攻撃では「3番、センター青田」、理解できました。巨人の4番は勿論、「ファースト川上」でした。
球場の熱気もすさまじく、アイスキャンデー売りがいたり(2つで20円)、フェンスの広告も時代を感じるものでした。
このように、古い映画には、ストーリーの展開や俳優の演技を観る楽しみとは別に、それぞれの「時代」に触れられる側面があることも大きなポイントです。
黒澤明監督作品の鑑賞も、いつのまにか9本目となり、溝口健二監督作品の鑑賞8本を抜いてしまいました。両監督作品にかぎらず、これからも古い日本映画の名作に親しんでいきたいと思います。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
三船敏郎・・・29歳。志村喬・・・44歳。
投稿日
2020/06/10
レビュアー
カマンベール
1949年。黒澤明監督作品。
世界のミフネ。
そう呼ばれる伝説の男・・・三船敏朗。
考えてみれば、黒澤監督作品の『天国と地獄』でしか観たことがない・・・と、思う。
三船をはじめて知ったのは、
「男は黙ってサッポロビール」
このテレビCMだったと思う。
このCMは1970年だから三船は50歳の筈だ。
だからこの映画の28〜29歳の三船の美しさに、驚きました。
この頃私は多分、アランドロンに夢中で、日本人の俳優・三船がアランドロンより、
同じか、それ以上美しいなんて思いもしなかった。
そういう意味で衝撃でした。
映画は新米刑事の村上(三船)が満員のバス内で、拳銃(コルト)を盗まれたことから、
動きはじめるストーリーです。
その拳銃が女スリ(千石規子・・・この方もはじめて見たときは、お婆さんでした)
から、ピストル屋に流れて、そこから野良犬とも狂犬とも、刑事佐藤(志村喬)が呼ぶ犯人の手に渡ってしまう。
そして村上が畏れた通り、一件目は物取りの強盗・・・そして二件目は金持ちの奥さんが殺されて5万円を奪われる強盗殺人事件に使われてしまうのだ。
村上が責任を感じて、顔が引きつり、憔悴して行くのも当然である。
今なら懲戒免職とまでは行かなくても謹慎を命じられた警官は殆ど退職するような
あってはならない不祥事だ。
戦後4年経った東京は復興とは程遠い焼け野原的だが、刑事・村上は白い麻のスーツをで、
ハンチングを被り身なりが良い。
靴も白い革靴を履いている。
犯人の男・遊佐は復員軍人で、復員途中のリュックを盗まれたことから絶望して悪の道に入る。
同じく復員兵でリュックを盗まれた村上は、「盗んだ男を捕まえる警官」を志願して今は刑事。
この対比も、人の行動の違い・・考え方の違いを浮き彫りにしている。
内容に触れるのはこの位にします。
ただ、貨幣価値が分かりずらかったです。
巨人VS阪神を神宮球場でやっていて、ピストル屋が立ち回ると張り込む佐藤と村上が食べる
アイスキャンデーは20円。
第一の犯行で盗まれた金が3万円。
第二の強盗殺人事件で盗られたお金が5万円。
第一の犯行の3万円は若い娘が結婚資金に貯めるのに3〜4年かかった・・・
そして第二の犯行で、妻を殺された夫は、
「たかだか5万円のために妻が殺された・・・」
そう言うのでした。
5万円は今の500万円位なのか?
志村喬の人間味溢れる先輩刑事が出色でした。
滲み出る優しさ。黒澤作品では『生きる』を観ましたが、
凄い役者だと思う!!
(演技があまりにも自然体)
暑い、その年の東京はあまりにも暑い夏です。
村上が拳銃を探しあぐねてさすらう東京。
普通にベンチで野宿したりするのも、今では考えられないです。
この映画が俄然面白くなるのは80分過ぎから。
犯人の遊佐は踊り子のハルミ(淡路恵子・・・調べたら16歳です)に恋していて、
ハルミに連絡をよこすのです。
遊佐と言う野良犬(狂犬)と呼ばれる男に、一眼会わねばならない・・・
観客の私はそう言う期待でいっぱいになりました。
本当に最後の最後で野良犬(遊佐)は姿を現します。
ここまで観客の興味をラストまで引き付ける手法は上手いです。
黒澤明監督に上手いなどとは、恐れ多いのですが、正直な気持ちです。
三船は盗まれた拳銃を取り戻す責任感で頭がいっぱいの警官を・・・
清潔感溢れる真面目な村上を一途に演じています。
この映画の警官が怒鳴ったり脅したりしない。
係長はいましたが、縦割りの上下関係が希薄なのも刑事ドラマを見慣れた眼には
新鮮に映りました。
『七人の侍』
また宿題が増えました。
犯人は狂犬と思え
投稿日
2011/04/26
レビュアー
kazupon
作品との出会いは、何がきっかけになるか分からないものです。
「野良犬」を知ったのは、2ヶ月ほど前に、何とは無しに観た「PTU」という香港映画でした。
「拳銃を失くした刑事」という設定は、黒沢明の「野良犬」へのオマージュだということでした。
丁度その時、「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」を観たばかりで、犯人が「のらいぬ」と名乗っていた理由も そういうことだったのか・・・と、一つの事柄をきっかけに次々と色々な所につながって行くのでした。
さて、本作は終戦後間もない東京の町が舞台であり、戦争による荒廃と戦後の復興が入り混じった混沌とした雰囲気に加え、真夏の猛暑の温度、湿度、空気感が、観ている方にも べったりとまとわり付いてくるような感じでした。
混雑したバス内で拳銃をスラれた新米刑事・村上を演じるのは、とっても長身でハンサムな三船敏郎でした。
その後の「用心棒」などで見るようなワイルドなイメージは、まだありませんでしたが、ギラギラとした眼力はすでにありました。
スリのお銀の言葉をヒントに、ピストル屋を捜し歩くシーンは、当時の東京の街並み(歓楽街、ドヤ街、闇市など)も見られて、退廃的な人間も多い中、活気や時代の大きな力を感じる場面でもありました。
同じような体験をしても、犯罪者になる者と刑事になる者がいるという対比。
犯罪を犯して、その理由を社会や戦争のせいにする者。
盗まれた拳銃によって 犯罪が起きたことに責任を感じるばかりか、犯罪のきっかけを作ってしまったと自分を責める刑事。
罪は罪だ、と言い切るベテラン刑事など、人間のもつ弱さや善悪の判断などが、ぎっしり詰まっていたように思います。
実際の後楽園球場での巨人対南海の試合シーンがあり、その大勢の観客の中からどのようにして犯人を探し出し、いかにして犯人をその他の観客から引き離して捕まえるのか?など、なかなか面白かったです。
出演者も 今では故人となられている方も多く、また、若い頃の顔からは誰だか分からない人も多くて、後でオープニングのキャストと照らし合わせる作業が必要でした。
三船敏郎が、若い頃、あんなにハンサムだったとは知りませんでした。
淡路恵子が、踊り子の並木ハルミ役だったのにも気づきませんでした。
しかも、当時のダンサーて あの程度だったのですね。
そう考えると、確かに淡路恵子は目立って綺麗だったように思います。
千石規子の若い頃は、面影はあるけれど可愛かった。
長い前髪をかき上げた文学青年が、千秋実だと分かった時は、思わず笑いがこぼれてしまいました。
ベテラン刑事を演じたのは 志村喬ですが、見事な存在感でした。
若い頃の飯田蝶子、東野英治郎、伊藤雄之助は、直ぐに分かりました。
いい忘れましたが、村上刑事のピストルで犯行を重ねたのは、木村功でした。
1981年に58歳で他界しているそうなので、若い方には分からないかもしれないですね。
万年青年、ニヒルという言葉が似合う役者さんだったと記憶しています。
脚本の勝利。
投稿日
2005/11/28
レビュアー
ホワイト
日本の刑事ドラマの原点はここにある。
detailにまで拘った脚本には賛美の拍手を与えたい。
最後の最後に、犯人に行き着くドキドキ感。
日本の映画史に残るドラマであろう。
ただ、「世界の三船」の台詞が聞き取りにくい。
字幕スーパーで見た方が分かりやすいのは残念だ。
野良犬が殺しを覚えたら狂犬になる
投稿日
2022/06/13
レビュアー
飛べない魔女
1949年・黒澤明監督作品。
『天国と地獄』に続いて、本作を見た。
社会の底でうごめきながら生きる人たちの姿が、
戦後間もない時代もあって、本作ではよりリアルに描かれていた。
ただ、声が聞き取りにくく、何度か巻き戻さなければならなかった。
そのうち面倒くさくなって、もう聞き流して見ていた(;^_^A
それでも、とても引き込まれて、すごく面白かった。
戦後間もない殺伐とした東京で起こるピストルによる殺傷事件を追う
ベテラン刑事・佐藤(志村喬)と若き刑事・村上(三船敏郎)。
そのピストルは村上がバスの中ですられたコルトだったのだ。
足を使った地道な捜査が、往年の刑事ものという感じが逆に新鮮だった。
些細な手がかりから、次の手がかりを追っていき、
そしてまた新たな手がかりへとたどり着き、
次第にジワリジワリと犯人に近づいていく様は
実にスリリングで引きこまれた。
まだ20代の三船がハンサムなことは言うまでもないが
私の中ではおじいさんのイメージしかなかった志村喬が
40代半ばだろうか、いやはや若い!
ザ・刑事という雰囲気を醸し出していて
自然な演技が素晴らしかった。
特筆すべきことは、16歳の淡路恵子!
とても大人っぽくて、16歳にはとうてい見えない。
失礼ながら、可愛いらしいとは到底言えない容姿ではあるが
16歳とは思えない演技はあっぱれだった。
映像に勢い、力強さを感じる!
投稿日
2021/06/18
レビュアー
趣味は洋画
野良犬(1949年、日本・東宝、モノクロ、122分)
終戦から4年、日本がやっと落ち着きを取り戻し始めた頃の作品です。
下山事件や三鷹事件などの暗いニュースが流れる一方、湯川博士が日本人初のノーベル賞(物理学賞)に輝いた年でもあり、日本の高度成長期の礎が築かれるべく、人々のエレルギーを感じる映画でもありました。
猛暑の東京。若い村上刑事(三船敏郎)は射撃訓練からの帰り、バス車内で拳銃を掏られたことに気づき、犯人を追うが見失ってしまう。上司の警部に報告し、スリ係の刑事の助言を得て、お銀という女スリから情報を引き出した村上は、拳銃の闇取引の現場を突き止める。‘ピストル屋’ が袖を引くという情報から、村上はそのヒモの女(千石規子)を確保するも、売人の男に逃げられる。そんな折、淀橋で強盗傷害事件が発生、村上の拳銃が使われたことが分かり、責任を感じた村上は辞表を提出する。だが上司から逆に励まされ、村上は淀橋署のベテラン佐藤刑事(志村喬)と捜査にあたることとなる。やがて拳銃の闇ブローカーの存在を知った両刑事は、ターゲットが無類の野球好きと知り、後楽園球場に向かう...。
バスや電車のなかでスリ行為をする者を、専門用語で「箱師」というのを初めて知りました。
その箱師のひとり「お銀」に扮した岸輝子や、上述のヒモの女に扮した千石規子が勇ましいです。
特に千石規子は黒澤作品に最も多く出演した女優と云われていますが、彼女を初めてテレビで見た頃は、既に老け役を得意としていた頃ですから、本作での若い彼女(27歳)に驚きました。
でも、若い頃も、お祖母ちゃん役を演じていた頃も、見るからに可愛い女性だったのですね。
クレジット3位で淡路恵子が出演していますが、本作が16歳の映画デビューながら重要な役でした。
化粧っけもない役柄でしたが、出演シーンの長さ・多さもあり、彼女であろうと想像できました。
いつもながら黒澤組の常連俳優が多数出演しており、誰がどんな役を演じているのかを確認するのも楽しみのひとつです。上述の俳優以外では、東野英次郎、木村功、千秋実、本間文子、三好榮子、飯田蝶子、伊藤雄之助、菅井一郎といった面々が出ています。
黒澤監督は、殺人事件を捜査する映像に臨場感を出すため、実際の殺人現場の資料写真を見せてもらい、俳優たちにカメラを意識させない遠方からの撮影を行って、リアルな映像作りに成功したそうです。
東京の街の風景は時代を感じますし、巷には「東京ブギウギ」や「ブンガワン・ソロ」のメロディーが流れています。又、刑事がターゲット確保を狙って後楽園球場に出向くのですが、試合は「巨人」対「南海」とアナウンスされます。へえ〜〜と思って後で調べてみると、プロ野球が1リーグ時代の最後の年が、この1949年でした。この年の終わりに2リーグに分離することとなります。
どうりで球場の場内アナウンスで、南海の攻撃では「2番、センター河西」、巨人の攻撃では「3番、センター青田」、理解できました。巨人の4番は勿論、「ファースト川上」でした。
球場の熱気もすさまじく、アイスキャンデー売りがいたり(2つで20円)、フェンスの広告も時代を感じるものでした。
このように、古い映画には、ストーリーの展開や俳優の演技を観る楽しみとは別に、それぞれの「時代」に触れられる側面があることも大きなポイントです。
黒澤明監督作品の鑑賞も、いつのまにか9本目となり、溝口健二監督作品の鑑賞8本を抜いてしまいました。両監督作品にかぎらず、これからも古い日本映画の名作に親しんでいきたいと思います。
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- 無料お試し期間中『新作』はレンタル対象外です。
新作をレンタルする方法はこちら
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ご利用の流れ
@ 会員登録
申し込みフォームへ記入したら登録完了!
A 作品をレンタル
借りたい作品をリストアップするだけ!
発送可能な商品を自宅にお届けします。
B ポストに返却
商品をポストに投函すればOK!
各プランはこちら
※1 無料お試し期間中の「新作」レンタルは対象外です。
野良犬