少女革命ウテナ

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普段アニメなんぞ見ない人にこそ見てほしい。ぶったまげますよ。世の中にこんなものがあったのか、と。
哲学的な主題、独特な間が生み出すギャグ、演劇的に高度に演出された入れ子状の虚構、とてもこのスペースでは語り尽くせない魅力があるが、なかでも傑出してるのは、故寺山修司と組み、優れた仕事をしたJ.A.シーザーの音楽だろう。あなたも見終わった後、しばらくはこの呪文のような楽曲が頭の中をぐるぐる駆け巡ることでしょう。

以下ネタバレ
最後まで見てもなんかよくわからん、と思った人にヒント。
「ウテナ」と「アンシー」は同じ一人の人間の（精神的）半身。

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「ウテナ」の世界観には、1980年代の文化の仕掛け人の１人と言われる、「寺山修司」の演劇が反映されていると言われます。
（音楽のＪ．Ａ．シーザーは、寺山修司の「劇団天井桟敷」の関係者。
生徒会が合言葉にしている「世界の殻を破らねば・・」の詩を作ったのは寺山）

「ウテナ」は、劇中劇の形態を取る事で、「観客」の視点を我が物にしています。
影絵娘たちが登場する劇。生徒会室で演じられる寸劇。「世界」のからくりを語る「世界の果て」の独白。
それは、「物語の外から物語を見ている誰か」を感じさせるように仕組まれているように思えます。

基本的に「あり得ない事ばかり起き、それが特に説明されない」と言うのは、お伽話の世界です。
このお伽話では、主要な登場人物が必ず二つ以上の顔を持っています。
お姫様＝魔女、善の王子＝堕落した悪の王子、王子様志望の主人公＝お姫様願望を持つ普通の娘。

普通のお伽話であれば、「悪は滅び、王子様とお姫様（あるいはヒーローとお姫様）はいつまでも幸せに暮らしました」で終わりなのですが。
「ウテナ」が魅力的なのは、「世界は革命されました。みんな幸せになりました」では終わらないところです。

普通の「小説」や「映画」であれば、基本設定に従って物語は自然に進み、毒を呷ったロミオとジュリエットは必ず悲劇の結末を迎えてしまいます。

ところが元々不条理な「お伽話」の場合、突然に不思議な事が起き、それに対しては何の説明もない事もある。
この物語が、登場人物の誰かの心の影で起きている事なのか。
それとも、それを写す観客の心の影で起きている事なのか。

忘れた頃に見ると、再び不思議な世界が広がる。確かに、１００年経ったらまたおいで、なのかも知れません。
その頃に見た人々は、この作品に自分の心の影を見つけて、また不思議な感慨を得るのではないでしょうか。

不条理小劇場演劇が好きな方には激しくおすすめです。とんでもない怪作。けれんみあふれる作品なので子どもも調子よく見て気に入ってましたが、後半セックスとバイオレンス方面に多少やばくなってきて、子どもを他のものにひきつけてこそこそ見ていた覚えが…。。そろそろ見返してみたいと思っています。

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絵柄が綺麗で、考えながら見れる作品に9点。
分かりにくい点が-1点。

後半タブーでアダルティーな内容なので注意！

■　以下ネタバレ　■-----











全話を観て。

結局ウテナとアンシーは同一人物であり対極の別人格で
それぞれがキャラクター化していることらしい。

アンシーの人格とウテナの人格がいて
様々な問題に依存し抵抗できない人格のアンシーに
ウテナの人格がそれらの問題に立ち向かう格好。

ウテナの人格が暁生の存在によりどんどん強くなるが、
アンシーの人格が自害しようとした時引き止めている事から
結局、第二の人格であるウテナは、本来の目的である
アンシーの人格の確立に戻る。

結果、アンシーの人格がウテナの人格の影響を受け
殻から出ようとする意思によって、
ウテナの人格よりもアンシーの人格が強まった事により、
ウテナとアンシーの人格は融合せず、ウテナは消滅。

アンシーはこれまで自分を束縛・依存してきた問題に
区切りをつけ、自立。

おそらく、ウテナを追い求める強い生き方を続ける以上
ウテナの存在には会えることはなく
良い思い出として残っていくような終わりかた。


■でもって、暁生の目的はウテナではなくアンシーの忠誠心
　だったように思える。
　白いバラの扉を開けようと試みる時にウテナが苦しむ
　所をみると、白いバラの扉はウテナであり
　殻ともみれる。

　最終的に、アンシーの忠誠心よりもウテナの抵抗心が勝ち
　兄、暁生の存在は無価値に成り下がる。



と、観た。

１巻のみ見ただけでの感想です。
なお、偉そうなことを書いてますが、わたしはアニメに特に詳しいわけではありませんので、そのあたり割り引いてお読みください。


以前から評判を聞いていたので思いきって借りてみました。（放映当時に５分ぐらい見たことはあったんですが、その時は「なにがなんだか」で流してしまったので）
２話まで見終わって大声で一言。
「なんて斬新な！」
１０年近くも昔の作品なのに、今見てもとても新鮮ですね。
そのまま５話まで一気に見て、つい気づいたら全体を通しで５回も見直していました。

「新鮮」「斬新」と思うのは、何と言っても「提示の仕方」・・つまりは「見せ方」「表現」の部分です。
キャラクターの絵は「いかにも少女マンガ」ですし、ストーリーも・・・まあ「ありがち」ではないかもしれませんが、類が無いというほどでもないだろうと思います。ストーリーに関しては、まだ「わけがわからない」部分も多いのでひとまず判断保留ですが。（でも「こんな話ならわざわざ見る必要もない」とは思いませんでした。結末は予想できるような気がするんですが、それは別に「つまらない」というものでもなさそうな。本当にそうなるかどうかはともかく。）

ですが、そのアレコレの「提示の仕方」が、とにかく手が込んでいるんですよね。
「わざとらしく芸術的」な背景とか、毎回進行役で出てくる「影絵」とか、あるいは単なるＢＧＭとしてではなく「世界の一部」として組み込まれているらしき音楽とか。
カメラ回し（と、アニメの場合は言わないのでしょうか？）も「こう来るだろう」というこちらの無意識の期待を、しょっちゅう（良い意味で）裏切ってくれます。
「お約束」の設定を活用することで逆に「説明的」な部分を大幅にカットし、ただただ「世界のイメージ（雰囲気）だけ」を打ち出してくるような作りも面白いですしね。
絵だけ、セリフだけ、ストーリーだけ、キャラだけ、音楽だけ・・etc.ではなく、その「組み上げ方」に工夫があり、「組み上げたもの」として完成しているのが見事です。


テレビで放映するようなアニメでも（深夜枠でさえなく夕方の放映だったはずなのに）、こういうモノが作れる（作れた）んですね・・・　最近、安易な演出のアニメばかり見せられていたので、（ああいうモノがアニメの限界なのではなく）「やれば出来るのね」と、ちょっとため息をついてしまいました。

P.S.余談ながら、ＤＶＤの縁に「卵の殻を破らねば〜」という決まり文句（？）が、「わざわざフランス語で」書いてあったのには大笑いしました。
「革命」というと「フランス」というイメージなんでしょーか。