ブロードウェイ・メロディー

第２回アカデミー賞作品賞受賞の、豪華絢爛たるミュージカルです。
ＭＧＭ初の完全トーキー作品でもあるのですが、キャッチフレーズが、‘１００％オールトーキー！　１００％オールシンギング！　１００％オールダンシング！’．．．つまり、‘すべてが語り、すべてが歌い、すべてが踊る！’という訳です。
１９２９年といいますから昭和４年ですが、トーキー初期のこの頃、この種の作品は無数に作られていて、本作はその典型といっていいでしょう。
サウンドという武器を得た映画が、歌や演奏で観客たちを楽しませ、興業的に大成功を収めたのは当然といえば当然ですが、当時の映画界を思えば、いわゆる‘性的シーン’などは倫理観からして‘論外’だったことが想像されます。
肌もあらわで曲線まる出しの若い踊り子たちは、大きな売りもの（映画の興行上の武器）となり、当然のことながら、今のミュージカルとはまったく別物で、見どころはもっぱらレビュー・シーンです。その‘健康なお色気’で観客のニーズに応えたのでしょう。
主演のベッシー・ラヴは子役出身で、出演時３１歳。某誌によれば、１５３センチという小柄な女優ですが、ハリウッド草創期の巨匠、Ｄ・Ｗ・グリフィスに認められ、可愛らしさを武器に人気スターへと成長したようです。
５４年「裸足の伯爵夫人」、６１年「ローマの哀愁」、７１年「マーベリックの黄金」、７１年「日曜日は別れの時」など良質作品に出演し、そして、８１年「レッズ」では８３歳で元気な姿をみせていましたが、１９８６年に世を去っています。

 タイトルからしてミュージカルの楽しさを期待したのですが、意外に曲が少なく地味な感じでした。
 ブロードウェイを目指す美人(？)姉妹が、この世界に有りがちな誘惑や煌びやかさに翻弄されてしまうという、ちょっとした人情ものですね。
 妹を思う姉の気持ちに、思わず同情してしまいます。姉妹愛がどうなるのか、惹きつけられます。
 また、女の子ダンサーがたくさん出てくるので、この世界の賑やかさがじられます。時代が古いせいか、お人形さんでも観るような少女趣味的な目線になってしまい、これはこれで観て良かったと思いました。
 音楽もどこかで聴いたことはありますが、全体的にほのぼのとした感じで、優しい映画だと思いました。★★★

1929年　アメリカ映画

今から92年前の映画で、第2回アカデミー賞作品賞をトーキー映画として初めて受賞した作品で、かなり貴重だと思います。さすがに画質は悪いですがミュージカルとしての質よりもストーリーに重きを置いている感じがしました。

冒頭の上空から映し出されるニューヨークの街並がいい雰囲気です。
このニューヨークに夢を叶えるためにマホーニー姉妹がやって来ます。
一言で言うと姉妹愛を描いた作品で、
しっかり者の姉のハンク（ベッシー・ラヴ）
美貌が売りの妹のクイニー（アニタ・ペイジ）
ハンクの恋人のエディ（チャールズ・キング）
裕福なジャック（ケネス・トンプソン）
この4人が絡み合いながら話が進んで行きます。

オーディションでダンサーと髪を掴んでの取っ組み合いがあったり、姉妹喧嘩も容赦なくあり、今見ると演技も大袈裟に見えますが、それが何故か憎めません。
冒頭で、エディは久しぶりに会った妹のクイニーの美しさに驚きますが、私は姉のハンクの方が小柄で可愛いと感じます。仕事が出来、能力を発揮する姉役ですが、クイニーより小顔で、足も細かったです。
この時代の美女の代名詞はクイニーの様なぽっちゃりな感じだったのでしょうか？(笑)
エディも姉妹にモテる役柄ですが、ごめんなさい、私はイケメンには思えなかったです。
ちょっと、ドタバタ劇っぽいですが、後にミュージカルの黄金時代を迎える基盤を作ったＭＧＭの第一作品目と思うと、感慨深いです。台詞の中にベーブルースが出てくる辺りはこの時の時代背景が伺えます。

92年前の映画です。
ハリウッドで作られる初めての音入りミュージカル映画です。
映像はもちろん白黒で粗いし
舞台の場面は学芸会並みの演出であることは仕方ないでしょう。
でもこれがアクロバティックでなかなか楽しいのです。
今見るとこういう学芸会的演出が逆に妙に楽しいのです。

会話はテンポも良く、ストーリーはいたってシンプル。
ベタベタするほどの姉妹愛と、姉のハンクの恋人エディとの三角関係を
コミカルに描いていきます。
ミュージカルというには、歌と踊りは少ないですが、楽しかったです。
難点は、若い姉妹のお相手役が皆オジサンというところ(笑)
妹のクイニーにいい寄るジャックはどうみても50歳代だし
（いや、60歳代でも十分イケルかも？）
エディにしても40歳以上にみえます。
年はくっていてもいいのですが、素敵な男性が一人も出てこないのは残念でした。

劇中では妹のクイニ―が絶世の美女みたいな役どころでしたが
私には姉のハンクの方が小柄で可愛いいのになぁ、と思いました。
まあ、殿方は今も昔も金髪美人に弱いってことですね。
女性たちのボディの露出度が高いのも、昭和4年という年代を考えると、
さすが自由の国だなぁ、とそんな所にも感心してしまいました。
姉妹の歌と踊りはこれまた学芸会並みなんですけど、まあそこはご愛嬌ということで(笑)

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　ＭＧＭのミュージカルといえば、着飾った美男美女をこれでもかというほど画面いっぱいにずらっと並べ、悪趣味に見えないのが不思議なほど(←いつもほんと不思議)豪華絢爛な演出で知られていますが、そのＭＧＭによる記念すべき第一作目のミュージカル映画がこれ。
　後のミュージカル映画黄金期にブイブイ言わすプロデューサー、アーサー・フリードが作詞を担当。多彩な人だなぁ。もともとボードビル出身の人らしいし。ちなみに「雨に歌えば」も彼が作詞を担当した映画なのですが、この一連の「ブロードウェイ・メロディ・シリーズ」で作詞した歌をいくつか流用したりしているそうです。

　この映画が大ヒットしたことにＭＧＭが味を占め、以後次々とキラキラとしたミュージカルを量産するようになったという歴史的作品なわけですから、これは見とかねばと思いレンタルしました。結論から言うとはっきりいって最初から最後まで退屈でした。といっても、制作が１９２９年だし、こういうものか、くらいな程度の退屈度です。

　ストーリーは、田舎からニューヨークに出てきたブロードウェイスター志望の姉妹が、同じ人に恋をしてしまってさあ大変☆というもの。バックステージものなので、オーディションやレビューのシーンを合間合間に楽しめるのですが、これがひどい出来。
　とくに妹がひどい。「地元じゃ負け知らず」みたいなこと言って自慢のレビューをさっそうと披露するシーンがあるのですが、なんとお姉さんにつかまってよちよち歩くだけ！　ここまでひどいと、かえって面白いなあと思いながら見ました。

　姉妹愛は美しいし、ストーリーもどうなることやらとハラハラできるし、時代感を感じられるのも楽しいしで、そういうのが嫌いでなければまあ面白く鑑賞できると思います。
　楽屋裏の様子やダンサーの練習風景なんかは素直に興味深かった。