天才マックスの世界

芥川賞作家阿部君と　青山真治君が最近やたら持ち上げる　ウェスクレイブンじゃない　アンダーソンをやっとこ見るぞ

まずこのアホなジャケデザインとタイトルで誰も見ないやね　俺もそそられず観るの遅れたのだ　中身は外側とは格が違うぞ

マックスこいつはあれだ　思い出した高校の時か　突然俺の教室に乗り込んできて　生徒会長に立候補したので演説を聴いてくれって奴　ああ矢島だ　世の中こんな奴がいるんだなあって驚いたもんだ
ウェスのテーマはまだよくわからんな　マックスは矩（のり）を越えてしまう人間の体制とのズレを体現しているのだろう
彼は別に反抗的な者ではなく母校ラシュモアを愛す　セレブ志向のいやみなやつだ　彼の夢と現実のつかの間の和解の物語

これがデヴュ作なのか？　ビルマーレイ他の脇役陣の素晴らしさも含め完璧にプロフェッショナルな作品だ！ろいやるてねんばあむみるぞこれから　

『天才マックスの世界』はウェス・アンダーソンの二作目の作品。次作の『ロイヤル・テネンバウム』を観た時にデビュー作である『アンソニーのハッピー・モーテル』と比較して著しく進歩していると感じたが、実はその前のこの作品において彼は既に自らのスタイルをほぼ確立していたのだ。
初めて彼の作品(『ライフ・アクアティック』)を観た時にはその独自なムードに半ば飲まれてしまい自分と作品との位置をきちんと定めることができていなかったが、ようやっと彼の作品の見方のようなものが把握し得たように感じる。それを簡略化して言い表すなら、「軽さ」と言うことになると思う。そう、ウェス・アンダーソンの作品はノリやムード、テンポも作品の核となる主題もみな軽いのだ。でもこの軽さは必ずしも軽薄さと言うことではなく、べたつかない感じと言うような肯定的な言い方に変えることもできる軽快さだ。『ロイヤル・テネンバウム』を観た時にはこれまた肯定的な意味で「空っぽ」と表現したが、「空っぽ」というよりは軽い、軽快と言う言葉の方が似合っていると思う。そして、この軽快さは表面的な軽さとは裏腹に、実は忍ぶようにそして周到に観る者の心に入り込み、気が付かない部分に密かに巣くう。
こんな小難しいことなど考えずともあっさりと上っ面を愉しむこともできる作品ではあるけれど、そんな上っ面以上に狡獪で緻密な作品(作家)だと思う。

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ウェス・アンダーソン監督について、ちょっとわかってきたぞ。海の中を悠々と泳ぐお魚に好意を抱いているとか、女の人視点より、男の人視点、それも、だめだめな男の人視点が得意なことだとか。音楽の傾向や色使いの傾向も、彼ならでわの傾向があるよね。わたしは生理的にすき。すきな理由を聞かれたときに、明確な答えを持ち合わせていないけれど、なんかすき。

ウェス監督の中で、男の人に対するイメージと女の人に対するイメージが
はっきりあるような気がしていて、それがこの作品では端的に出ているところがあった。マックスの男友達とマックスが凧を揚げている。そこへ女の子友達のヤンが、
ラジコンの飛行機を持って現れる。ハイテクとロウテク、デジタルとアナログ、
自分の意思で操縦可能なものと、不可能なもの、器用と不器用。ああ、そうみえるんだって思って笑えた。で、ことごとく、ウェス監督作品の中に登場する男の人は、
子供じみているのだ。たぶん、一般的にも男の人の方がこどもっぽい割合が高いんだろうな。まあ、ほんとに大人の精神の大人なんて、少ないのだけれど。

わたしは何故か劇中劇がでてくるお話に、心惹かれることが多く、この作品でも
劇中劇が登場する。中原監督の桜の園とか、リヴェットの彼女たちの舞台とかは劇中劇が登場する作品でだいすきなものだ。たぶん、劇中劇って、ちょっとその監督のはだかというか、素顔をみてしまった感じがしてくすぐったいから好きなのかな。
ここでも、劇の寸前の独特の緊張感と興奮、幕間のざわめきや期待感、幕が下りた後の高揚がよく伝わってきた。劇中劇を撮る監督さんって、そういう、お芝居ならでわの雰囲気が好きなんだろう。なんとなく、その延長で映画を撮っている方って、信頼できるのだ。本当に、映画が好きなんだろうって。

わたしは大好きな映画だったけど、恐らくこれをすきだと思える人は少数な気がする（笑）。映画を見る人口の大半は、きっとタイトルすら知らずに人生終えるだろうし、万が一、深夜のテレビをつけたらやっていた、とかで見ても、なにがいいのかさっぱり分からん、しょうもない、という感想だろう。でも、わたしのような一部の少数の人間は、とても楽しめ、これを送り出してもらえることに、わたしは感謝する。

彼女たちの舞台のついでに、わたしにリヴェットのセリーヌに関するお話を
教えてくださった方、どうもありがとうございました！

この監督の映画を見るのははじめて。結果、かなり好きだと思ったので、他の作品も早速予約リストに入れたところです。

冒頭からにやり。地味なんだけど、ずっと見ていたい感じ。子どもがそのまま大人になったような人たち、見ていて飽きないどころか、だんだん愛情さえわいてくるから不思議です。『ナポレオン・ダイナマイト』（あえて、『バス男』とは書きませんが……）や
『モルタデロとフィレモン』が好きな人ははまると思います、この世界。

ああ、私もこういう紙一重的な天才的奇人を一人知っている。
彼は某一流国立大学を優秀な成績で卒業し、某有名メーカーの研究室で働いている。
誰もが認める天才肌。
話す言葉はちんぷんかんぷん、というのも話題がころころと逸れる。
とにかく落ち着きがないのだ。
それに人とまっすぐに目を見て話すことが出来ない。
たまに珍しく目を見て話すなぁと思うと、吸い込まれそうなほど見つめてくる。
怖い！（笑）
カラオケが大好きで、マイクを離さない。
でも決して歌はうまくない・・・というか下手くそだ。
周りの空気を全く読まず、ていうか読めず、何事も爆走する。
社会性というものが全く感じられない。
かといって決して悪人ではない。
むしろ良い人で通っているかもしれない。
だから意外にも人からは嫌われてはいない。
その彼が、30半ばにして婚約したときにはぶったまげた。
奥さんもさぞ奇人なのかと思いきや、あらま、かわいらしい普通の女性。
今は子供も出来て幸せな毎日・・・なのかは不明（笑）

マックス見てたらその知人を思い出した。
時にはうっとうしく
時には愛おしく
時には意味不明
そんな彼の行動は、人格を疑うようなものばかり。
この物語、どう締めくくるのかと思いきや
うまくまとめてきたね。

ただ、何を言いたかったのかその意図は私にはよく理解出来なかった。
つまらなくは無かったけど、今一つ乗れなかったのも事実。
あと、女教師、明らかにマックスを挑発してるだろ！
自分に好意を寄せていることは日を見るより明らかなんだから、距離をおけばいいのに！
って映画なんだから、ま、いいか(＾＾ゞ

あと、ビル・マーレーの金持ちだけど情けない感じの男が良かった。
自分の息子には相手にされず、マックスを遊び友達にするところなんぞ、情けなさ全開で
中年男の哀愁漂っていて、ビル・マーレーあっぱれ！