怪談かさねが渕 / 若杉嘉津子
怪談かさねが渕
/中川信夫
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(6)
解説・ストーリー
旗本・深見新左衛門は借金のいざこざから座頭の皆川宗悦を殺すが、その怨霊によって自らも狂い死にする。そして20年後、それぞれの息子と娘・新吉と豊志賀は、互いの素性を知らぬまま恋に落ちる。だが豊志賀が不注意から顔にキズを負って以来、新吉の心は別の女性に移ってしまう。やがて、自分を捨てた新吉がかつての親の仇の息子であると知ったとき、豊志賀は二人を激しく呪ったまま息絶えるが……。原作は円朝の怪談咄「真景累が渕」。
旗本・深見新左衛門は借金のいざこざから座頭の皆川宗悦を殺すが、その怨霊によって自らも狂い死にする。そして20年後、それぞれの息子と娘・新吉と豊志賀は、互いの素性を知らぬまま恋に落ちる。だが豊志賀が不注意から顔にキズを負って以来、新吉の心は別の女性に移ってしまう。やがて、自分を捨てた新吉がかつての親の仇の息子であると知ったとき、豊志賀は二人を激しく呪ったまま息絶えるが……。原作は円朝の怪談咄「真景累が渕」。
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「怪談かさねが渕」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
旗本・深見新左衛門は借金のいざこざから座頭の皆川宗悦を殺すが、その怨霊によって自らも狂い死にする。そして20年後、それぞれの息子と娘・新吉と豊志賀は、互いの素性を知らぬまま恋に落ちる。だが豊志賀が不注意から顔にキズを負って以来、新吉の心は別の女性に移ってしまう。やがて、自分を捨てた新吉がかつての親の仇の息子であると知ったとき、豊志賀は二人を激しく呪ったまま息絶えるが……。原作は円朝の怪談咄「真景累が渕」。
「怪談かさねが渕」 の作品情報
「怪談かさねが渕」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
怪談かさねが渕の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
66分 |
|
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
GNBR7932 |
2008年01月25日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
2枚
|
0人
|
0人
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怪談かさねが渕の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
66分 |
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1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
GNBR7932 |
2008年01月25日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:6件
怪談映画のお手本です
投稿日:2008/02/27
レビュアー:こんちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
なかなかに怖いお話です。特殊メイクの技術など、現代のものとは較ぶべくもないのですが、それでも十分に怖いです。
中川信夫と言えば怪談と言うほど、この手の映画の巨匠という評価ですけど、この「怪談累が渕」(長編)が初めての怪談話なんですね。
「怪談累が渕」として公開された映画の短縮版だそうです。新東宝の低予算映画ですが、役者達の入魂の演技と言い、なんとういうか落ち着いたセットの美術とか、低予算と言うことを感じさせないほど、よく出来ています。
北沢典子、和田孝なんていう役者さんは知りませんけど、人間の情念を余すところ無く描いていると思いますし、若い丹波哲朗(二枚目だったんですね〜)が、そこはかとなく嫌なヤツで、いいアクセントになっています。
「死後の世界はある!」
なんて吹いてたおっさんとは思えませんね。(陣十郎は死後の世界で活躍しているのでしょうか?)
そして、若杉嘉津子の妖艶な色気が何とも言えません。陣十郎に襲われかけて、新吉の前で見せる衣紋を大きく抜いたうなじから振り返るときの艶やかさと言ったら、もうゾクゾクしますね。
そして、その美しさがあるから、その後のお岩のように崩れた顔のおぞましさが、背筋がぞっとするくらいのものになるんですね〜。
怪談と言う割には、幽霊とか大げさな人殺しとか即物的な表現はしていません。そのかわりというか、人物の葛藤や心模様を丁寧に丁寧に描いています。それがまた怖いんですよ〜。
観終わった後には、怖いという感覚もあるんですけど、それ以上にもの哀しさや切なさという感覚が強く残ります。ホラーではなく怪談というのはこういうものだというお手本のような作品です。
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12人の会員が気に入ったと投稿しています
因縁と怨念が生み出すもの
監督:中川信夫(1957年・日本・66分・モノクロ)
原作:初代三遊亭圓朝『真景累ヶ淵』
脚本:川内康範
安永二年の上総羽生村。季節は冬で、按摩で金貸しの宗悦(岬洋二)は、旗本深見新左衛門(中村彰)の屋敷へ借金の返済を催促に行く。
しかし、返済できないと断られた挙句に斬り殺されてしまう。新左衛門は宗悦の遺体の始末を下男の勘三に命じ、勘三は屋敷裏にある累ヶ淵に沈めた。
この後に続く一連の忌まわしい出来事で、遺児となった赤ん坊の新吉を勘三は不憫に思った。それで、昔から懇意にしていた江戸の商家・羽生屋に新吉を託す。
年月は流れて、20年後の江戸。新吉は、羽生屋に奉公する身分だったが、羽生屋の娘・お久(北沢典子)は新吉を好いていた。ところが、お久には親の決めた縁談話が進んでいた。
お久は三味線の稽古に励んでいたが、家に居たくないのも理由の一つだった。そして、新吉に供をさせていた。
お久の三味線の師匠の豊志賀(若杉嘉津子)は、密かに横恋慕していたが、ある日、新吉が店を出されて行く当てがないのを良いことに、自分の家に新吉を住まわせた。
新吉と豊志賀(実は、按摩の宗悦の娘・お累)は、こうして不思議な因縁で結ばれて行くのだが、この時ふたりは、過去の因縁をまだ知らない。そして、此処からの展開は、四谷怪談のお岩さんの話との共通点もあり、因果応報の悲劇の連鎖となっていく。
※「ちゅく」さんのレビューで、本作の元ネタについて詳細が書かれているので参照して頂きたい。
監督の中川信夫について。以前、『女吸血鬼(1959年)』『東海道四谷怪談(1959年)』を観たことがあり、中川信夫といえば「怪談」というイメージを持っている。本作が怪談を手掛けた最初であり、以降は夏興行の定番の怪談ものを一手に引き受けていたそうだ。
また、脚本の川内康範は、「おふくろさん」などの作詞家としても有名だが、『月光仮面』の原作者でもあるという風に多才である。
私は、本作の出演者の殆どを知らず、たった一人分かったのが若かりし日の丹波哲郎(当時35歳)だった。それほど重要な役ではなかったが、眼光の鋭さは若い時から特徴的だったようだ。
ストーリーは「お岩さん」と似ている旨、既に書いた通りだが、お岩さんの夫・伊右衛門と違って、新吉の所業は怨念を持たれるほど悪くないと感じた。責められるとすれば、煮え切らないハッキリしない態度か…そのせいか、あまり怖さを感じなかった。
秀逸なのは、豊志賀の目の腫れのメイクだろう。ちょっとした傷がどんどん悪化して行く過程が見られた。
因みに、2018年の邦画『累-かさね-』で芳根京子が演じた「淵 累 ふちかさね」は、本作から取ったもので、「美醜」を扱っていたのも少しは関係があるのかも。
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5人の会員が気に入ったと投稿しています
クラシックな怪談
2007年は「怪談」という累が渕ものの佳作がありましたが、同じ原作で中川信夫が1957年に撮ったこの作品もなかなか面白くてお勧めです。
クラシックな怪談映画で、宗悦が殺される場面からネチネチと撮られております。「怪談」がオム・ファタール映画としたらこちらは三角関係がテーマ。新吉とお久が羽生村へ逃げていく途中で死ぬところで終わっています。また、「怪談」ではお累と豊志賀は別人でしたが、この映画では同一人物。脚本が非常にスッキリとよく出来ています。
中川作品はホントにきちっと怪談としてまとまっていて、豊志賀のただれた顔も大変怖いです。累が淵というより、四谷怪談のお岩さん。それがぐわーっと迫ってきますから、迫力があります。
丹波哲朗の悪い浪人なども出して、娯楽映画としてのメリハリをつけています。
この他に大映の安田公義が累が淵を1960年と1970年と、2度映画化しており、70年版は人間の悪を描いた傑作です。中川信夫作品と併せて、機会があれば是非ご覧下さい。
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4人の会員が気に入ったと投稿しています
怪談の名手の最初の作品
「怪談かさねが渕」(1957年、新東宝、白黒、67分)。
中川信夫(1905〜1984)の怪談映画の最初の作品。新東宝の大蔵貢の製作。
エログロではなく、本格の秀作です。
ここで、余談になりますが、原作・落語について、書きたくなりました。
原作の「悪縁の悲劇」が、分かるかもしれません。「これでもか、これでもか」という……。
興味のない方は、=====内を飛ばしてお読みください。
=============================================
原作は、三遊亭圓朝(1839〜1900)。落語家であり、怪談噺の創案者である。
「真景累ヶ淵」(1859)は、長編で、高座では、場面ごとに整理され、口演される。
六代目・三遊亭圓生(1900〜1979)、林家彦六(1895〜1982)のふたりの名人で、今は聴くことができる。
圓生師は、先代・圓楽の師匠。彦六師は、先代・木久蔵(現・木久扇)の師匠。
@ 「宗悦殺し」……金貸しの按摩・宗悦が、督促に行った旗本・深見新左衛門に無体に切られる。深見は、死体を下男の勘蔵に始末させる。
深見は間もなく、宗悦の亡霊に憑かれ、狂乱して妻を殺し、隣の屋敷に斬り込み、返り討ちにあう。深見家は潰れた。
その息子:長男・新五郎、次男・新吉。宗悦の娘:長女:志賀(豊志賀)、次女・園。
かれらは、親同士の因縁を知らぬまま、不思議な悪縁による出会い、悲劇を迎えることになる。
A 「深見新五郎」……東国放浪を経て、江戸に戻り、商家の手代になった新五郎は、その店の下女・園に惚れる。しかしお園は、無性に
新五郎のことが嫌いでならない。やがて、悲劇が訪れる。
B 「豊志賀の死」……新吉は、煙草屋になった勘三の手によって育てられる。新吉は、三味線唄(富本)の師匠になっていた豊志賀の家に商いで通う。
親子に近いほど年の差のある二人が、交わってしまう。
その後の悲劇は、大体が、この映画にある通り。
C 「お久殺し」……豊志賀の弟子に「お久」という娘がいた。彼女は、裕福な商家の娘だが、継母に虐められ、逃げ場が豊志賀の稽古場だった。
豊志賀が死んだあと、新吉とともに駆け落ちするが、ここにも悲劇が起こる。
このあと、「お累(るい)の婚礼」「勘蔵の死」「お累の自害」「聖天山」……と、後編に続く。
悪縁は悪縁を、網の目のように呼び、いっそう陰惨な物語に入っていく。
落語では、「聖天山」までだろう。
============================================
予備知識は、ここまでです。
この映画の川内康範(1920〜2008)の脚本は、@・B・Cを、うまくまとめている。
歌謡曲の超一流の作詞家として知っていたのですが、脚本家として、凄い技を見せている。
Aの、新五郎、お園の存在を、一切カットする。
勘蔵(横山運平)は、新吉(和田孝)を、お久(北沢典子)のいる商家に捨て、そこで、お久が新吉に惚れていたという設定にする。
ここまでは、正解。
宗悦(岬洋二)の亡霊、豊志賀の演技、中川信夫の演出が、良い。
とくに、若杉嘉津子。美しいときと、病気で顔が変わっていくとき、頭巾姿、さらけだした怨念の姿、それぞれの変化(へんげ)が、見事。
どの段階でも、上品な色気があります。
原作には(おそらく)存在しない浪人・大村陣十郎(丹波哲郎)。彼は、豊志賀(若杉嘉津子)に惚れている。若く、ニヒルで、ほっそりしているが、
死ななくてもいいし、そもそも必要ない役。
★後編の「お累」(のちに新吉の子の子を産む妻)を、「豊志賀」と同役にしてしまったのが、最大の失敗と思う。混乱する。
☆最後に、新吉を殺すのは、この脚本では、正解。
最後、死んだ三人(豊志賀、お久、新吉)の墓。
勘蔵と、豊志賀の乳母・お鉄(花岡菊子)が、「成仏してください」と合掌。
ここで、見事に、映画は終わる。(終わらないと、困る。)
現代怪談映画の名手・中田秀夫(1961〜)の「怪談」(2007)。
奥寺佐渡子の脚本は、原作の世界を広げている。
@、A、B、Cに、「お累」「三蔵」「甚三」など、原作・後半の人物を、整理し、上手に抱合している。
★の失敗が、ない。原作に近い。
☆の新吉が生きていくことも、正解だ。
これも観た。現代の秀作だ。次に書いてみよう。
ただ、映画の怖さは、中川信夫のこの作品が、上手(うわて)だと思っている。
このレビューは気に入りましたか?
1人の会員が気に入ったと投稿しています
お茶三つ。
今回は残念。
若々しい丹波哲郎が登場するのを
心待ちにして見ていましたが
出てきた時・・・私が丹波さんを
一番近年の映画で見たのは
石井輝男版「地獄」でしたが、
晩年の姿とまったく変わりませんでした
若々しくて稚拙さはあってもエネルギッシュとか
40年近く経て役者としての貫禄が出て
演技が素晴らしいとか、
そういった変化の無さに
丹波哲郎の存在の凄さを感じました
「四谷怪談」「怪猫屋敷」と
見てきましたが「かさねが淵」が
一番良くお話を纏めてあると思います
しかし主役の俳優さんは
絵にかいたような男前なのに
落ち武者ハゲとか沼どろどろとか
よく頑張ったと思います
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ユーザーレビュー
怪談映画のお手本です
投稿日
2008/02/27
レビュアー
こんちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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なかなかに怖いお話です。特殊メイクの技術など、現代のものとは較ぶべくもないのですが、それでも十分に怖いです。
中川信夫と言えば怪談と言うほど、この手の映画の巨匠という評価ですけど、この「怪談累が渕」(長編)が初めての怪談話なんですね。
「怪談累が渕」として公開された映画の短縮版だそうです。新東宝の低予算映画ですが、役者達の入魂の演技と言い、なんとういうか落ち着いたセットの美術とか、低予算と言うことを感じさせないほど、よく出来ています。
北沢典子、和田孝なんていう役者さんは知りませんけど、人間の情念を余すところ無く描いていると思いますし、若い丹波哲朗(二枚目だったんですね〜)が、そこはかとなく嫌なヤツで、いいアクセントになっています。
「死後の世界はある!」
なんて吹いてたおっさんとは思えませんね。(陣十郎は死後の世界で活躍しているのでしょうか?)
そして、若杉嘉津子の妖艶な色気が何とも言えません。陣十郎に襲われかけて、新吉の前で見せる衣紋を大きく抜いたうなじから振り返るときの艶やかさと言ったら、もうゾクゾクしますね。
そして、その美しさがあるから、その後のお岩のように崩れた顔のおぞましさが、背筋がぞっとするくらいのものになるんですね〜。
怪談と言う割には、幽霊とか大げさな人殺しとか即物的な表現はしていません。そのかわりというか、人物の葛藤や心模様を丁寧に丁寧に描いています。それがまた怖いんですよ〜。
観終わった後には、怖いという感覚もあるんですけど、それ以上にもの哀しさや切なさという感覚が強く残ります。ホラーではなく怪談というのはこういうものだというお手本のような作品です。
因縁と怨念が生み出すもの
投稿日
2022/11/03
レビュアー
kazupon
監督:中川信夫(1957年・日本・66分・モノクロ)
原作:初代三遊亭圓朝『真景累ヶ淵』
脚本:川内康範
安永二年の上総羽生村。季節は冬で、按摩で金貸しの宗悦(岬洋二)は、旗本深見新左衛門(中村彰)の屋敷へ借金の返済を催促に行く。
しかし、返済できないと断られた挙句に斬り殺されてしまう。新左衛門は宗悦の遺体の始末を下男の勘三に命じ、勘三は屋敷裏にある累ヶ淵に沈めた。
この後に続く一連の忌まわしい出来事で、遺児となった赤ん坊の新吉を勘三は不憫に思った。それで、昔から懇意にしていた江戸の商家・羽生屋に新吉を託す。
年月は流れて、20年後の江戸。新吉は、羽生屋に奉公する身分だったが、羽生屋の娘・お久(北沢典子)は新吉を好いていた。ところが、お久には親の決めた縁談話が進んでいた。
お久は三味線の稽古に励んでいたが、家に居たくないのも理由の一つだった。そして、新吉に供をさせていた。
お久の三味線の師匠の豊志賀(若杉嘉津子)は、密かに横恋慕していたが、ある日、新吉が店を出されて行く当てがないのを良いことに、自分の家に新吉を住まわせた。
新吉と豊志賀(実は、按摩の宗悦の娘・お累)は、こうして不思議な因縁で結ばれて行くのだが、この時ふたりは、過去の因縁をまだ知らない。そして、此処からの展開は、四谷怪談のお岩さんの話との共通点もあり、因果応報の悲劇の連鎖となっていく。
※「ちゅく」さんのレビューで、本作の元ネタについて詳細が書かれているので参照して頂きたい。
監督の中川信夫について。以前、『女吸血鬼(1959年)』『東海道四谷怪談(1959年)』を観たことがあり、中川信夫といえば「怪談」というイメージを持っている。本作が怪談を手掛けた最初であり、以降は夏興行の定番の怪談ものを一手に引き受けていたそうだ。
また、脚本の川内康範は、「おふくろさん」などの作詞家としても有名だが、『月光仮面』の原作者でもあるという風に多才である。
私は、本作の出演者の殆どを知らず、たった一人分かったのが若かりし日の丹波哲郎(当時35歳)だった。それほど重要な役ではなかったが、眼光の鋭さは若い時から特徴的だったようだ。
ストーリーは「お岩さん」と似ている旨、既に書いた通りだが、お岩さんの夫・伊右衛門と違って、新吉の所業は怨念を持たれるほど悪くないと感じた。責められるとすれば、煮え切らないハッキリしない態度か…そのせいか、あまり怖さを感じなかった。
秀逸なのは、豊志賀の目の腫れのメイクだろう。ちょっとした傷がどんどん悪化して行く過程が見られた。
因みに、2018年の邦画『累-かさね-』で芳根京子が演じた「淵 累 ふちかさね」は、本作から取ったもので、「美醜」を扱っていたのも少しは関係があるのかも。
クラシックな怪談
投稿日
2007/12/27
レビュアー
勝王
2007年は「怪談」という累が渕ものの佳作がありましたが、同じ原作で中川信夫が1957年に撮ったこの作品もなかなか面白くてお勧めです。
クラシックな怪談映画で、宗悦が殺される場面からネチネチと撮られております。「怪談」がオム・ファタール映画としたらこちらは三角関係がテーマ。新吉とお久が羽生村へ逃げていく途中で死ぬところで終わっています。また、「怪談」ではお累と豊志賀は別人でしたが、この映画では同一人物。脚本が非常にスッキリとよく出来ています。
中川作品はホントにきちっと怪談としてまとまっていて、豊志賀のただれた顔も大変怖いです。累が淵というより、四谷怪談のお岩さん。それがぐわーっと迫ってきますから、迫力があります。
丹波哲朗の悪い浪人なども出して、娯楽映画としてのメリハリをつけています。
この他に大映の安田公義が累が淵を1960年と1970年と、2度映画化しており、70年版は人間の悪を描いた傑作です。中川信夫作品と併せて、機会があれば是非ご覧下さい。
怪談の名手の最初の作品
投稿日
2015/10/01
レビュアー
ちゅく
「怪談かさねが渕」(1957年、新東宝、白黒、67分)。
中川信夫(1905〜1984)の怪談映画の最初の作品。新東宝の大蔵貢の製作。
エログロではなく、本格の秀作です。
ここで、余談になりますが、原作・落語について、書きたくなりました。
原作の「悪縁の悲劇」が、分かるかもしれません。「これでもか、これでもか」という……。
興味のない方は、=====内を飛ばしてお読みください。
=============================================
原作は、三遊亭圓朝(1839〜1900)。落語家であり、怪談噺の創案者である。
「真景累ヶ淵」(1859)は、長編で、高座では、場面ごとに整理され、口演される。
六代目・三遊亭圓生(1900〜1979)、林家彦六(1895〜1982)のふたりの名人で、今は聴くことができる。
圓生師は、先代・圓楽の師匠。彦六師は、先代・木久蔵(現・木久扇)の師匠。
@ 「宗悦殺し」……金貸しの按摩・宗悦が、督促に行った旗本・深見新左衛門に無体に切られる。深見は、死体を下男の勘蔵に始末させる。
深見は間もなく、宗悦の亡霊に憑かれ、狂乱して妻を殺し、隣の屋敷に斬り込み、返り討ちにあう。深見家は潰れた。
その息子:長男・新五郎、次男・新吉。宗悦の娘:長女:志賀(豊志賀)、次女・園。
かれらは、親同士の因縁を知らぬまま、不思議な悪縁による出会い、悲劇を迎えることになる。
A 「深見新五郎」……東国放浪を経て、江戸に戻り、商家の手代になった新五郎は、その店の下女・園に惚れる。しかしお園は、無性に
新五郎のことが嫌いでならない。やがて、悲劇が訪れる。
B 「豊志賀の死」……新吉は、煙草屋になった勘三の手によって育てられる。新吉は、三味線唄(富本)の師匠になっていた豊志賀の家に商いで通う。
親子に近いほど年の差のある二人が、交わってしまう。
その後の悲劇は、大体が、この映画にある通り。
C 「お久殺し」……豊志賀の弟子に「お久」という娘がいた。彼女は、裕福な商家の娘だが、継母に虐められ、逃げ場が豊志賀の稽古場だった。
豊志賀が死んだあと、新吉とともに駆け落ちするが、ここにも悲劇が起こる。
このあと、「お累(るい)の婚礼」「勘蔵の死」「お累の自害」「聖天山」……と、後編に続く。
悪縁は悪縁を、網の目のように呼び、いっそう陰惨な物語に入っていく。
落語では、「聖天山」までだろう。
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予備知識は、ここまでです。
この映画の川内康範(1920〜2008)の脚本は、@・B・Cを、うまくまとめている。
歌謡曲の超一流の作詞家として知っていたのですが、脚本家として、凄い技を見せている。
Aの、新五郎、お園の存在を、一切カットする。
勘蔵(横山運平)は、新吉(和田孝)を、お久(北沢典子)のいる商家に捨て、そこで、お久が新吉に惚れていたという設定にする。
ここまでは、正解。
宗悦(岬洋二)の亡霊、豊志賀の演技、中川信夫の演出が、良い。
とくに、若杉嘉津子。美しいときと、病気で顔が変わっていくとき、頭巾姿、さらけだした怨念の姿、それぞれの変化(へんげ)が、見事。
どの段階でも、上品な色気があります。
原作には(おそらく)存在しない浪人・大村陣十郎(丹波哲郎)。彼は、豊志賀(若杉嘉津子)に惚れている。若く、ニヒルで、ほっそりしているが、
死ななくてもいいし、そもそも必要ない役。
★後編の「お累」(のちに新吉の子の子を産む妻)を、「豊志賀」と同役にしてしまったのが、最大の失敗と思う。混乱する。
☆最後に、新吉を殺すのは、この脚本では、正解。
最後、死んだ三人(豊志賀、お久、新吉)の墓。
勘蔵と、豊志賀の乳母・お鉄(花岡菊子)が、「成仏してください」と合掌。
ここで、見事に、映画は終わる。(終わらないと、困る。)
現代怪談映画の名手・中田秀夫(1961〜)の「怪談」(2007)。
奥寺佐渡子の脚本は、原作の世界を広げている。
@、A、B、Cに、「お累」「三蔵」「甚三」など、原作・後半の人物を、整理し、上手に抱合している。
★の失敗が、ない。原作に近い。
☆の新吉が生きていくことも、正解だ。
これも観た。現代の秀作だ。次に書いてみよう。
ただ、映画の怖さは、中川信夫のこの作品が、上手(うわて)だと思っている。
お茶三つ。
投稿日
2010/10/24
レビュアー
泡子
今回は残念。
若々しい丹波哲郎が登場するのを
心待ちにして見ていましたが
出てきた時・・・私が丹波さんを
一番近年の映画で見たのは
石井輝男版「地獄」でしたが、
晩年の姿とまったく変わりませんでした
若々しくて稚拙さはあってもエネルギッシュとか
40年近く経て役者としての貫禄が出て
演技が素晴らしいとか、
そういった変化の無さに
丹波哲郎の存在の凄さを感じました
「四谷怪談」「怪猫屋敷」と
見てきましたが「かさねが淵」が
一番良くお話を纏めてあると思います
しかし主役の俳優さんは
絵にかいたような男前なのに
落ち武者ハゲとか沼どろどろとか
よく頑張ったと思います
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怪談かさねが渕