クリクリのいた夏

この映画、すごく好きです。
見終わった今、余韻にひたっています。

とにかく見ている間私の心はウキウキしっ放し・・・
自由気ままなガリスやリトンたちがとても楽しそうなのが
私にも伝染していたみたい・・・

自由と心の豊かさと友情と恋（恋はちょっぴりだけど）といった
エッセンスがたくさん詰まった映画です。

クリクリを演じた女の子もとてもキュートです。

そんな派手な出来事の起きるストーリーではないのに
胸の高鳴りを抑えられない、珠玉の逸品という感じです。

動物とのひと夏の触れ合いを綴ったドラマだと勘違いして借りちゃいましたが、感動はしないもののほんのり心にツヤを与えてくれるほのぼのとした人間ドラマでした。
クリクリって女の子の名前で、年老いてから己の歩んできた人生を回想するんですが、クリクリがメインじゃ無くあくまで語り部の役目です。
特段事件らしい事件が起きる訳ではなく、豊かな自然が広がる沼地の畔で自然に囲まれ大らかに暮らすクリクリの一家や父の友人、町の人間とが織りなすドラマを少々メルヘンチックに描いてます。
ただ終盤にメルヘンから現実に引き戻されるエピソードが少々切ないですが。
ほんのりまったり過ごすお伴に最適な作品ではないでしょうか。

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物語の始まりは、復員兵ガリスが
マレの沼地にたどり着き、住み着くところから始まる。
戦争の傷跡が心の奥底に残り
戦後の豊かさから取り残された若者の
翳りある人物像をジャック・ガンブランが好演していた。

一転、そんなマレの畔にやがて住み着いた人々が
復員兵であるガリスの心を癒していく。

「奇人達の晩餐会」でお馴染みのジャック・ビレルが
リトンという、へまでおっちょこちょいの父親を演じていて
違和感なく次から次へと騒動を起こしていく。
それをいつもガリスが助け、事なきを得ている始末。

ガリスはいつか、もっと広い世界へ旅立たなければいけない
もっと違う自由があるはずだと、自問自答を繰り返しながら沼地の生活を送りはじめる。
そんなガリス頼みのリトンは
いい旦那様でもなく、いい父親、いい友達にもなれず
怠け者で頼りない、けれどそこに疑問を抱くこともないままに
沼地の生活を送っている。
唯一　奥さんの束縛からは逃れたいと思いながら。

沼地の暮らしは、物質的な豊かさには程遠い。
けれど　自然と共存する自給自足の中で
お互いを助け合う心豊かな暮らしは都会の人間をも魅了していく。

大金持ちの初老の紳士。
戦時中苦労を重ね一代で富を築いたが、家族からは敬遠され交流が少なく、古きよき時代の心ある、心通う豊かな暮らしに思いをはせている。
純粋な心を持つ紳士は、自然な暮らし、人を騙したり欺いたりせず
暮らしを楽しめる生き方に共感し、足しげく沼地に通っている。
そしてリトンの騒動のせいで
沼地へと復讐へやってくるボクサーでさえも
やがて人々の温かさと優しさに触れ新しい人生を手に入れていく。

皆　違う形で違う自由を求めていて
マレの沼地の生活を通して新しい自由を発見していく。
それはタイトルにもなっているクリクリという少女も同じ
リトンの娘である愛らしい彼女は
この沼地に集った様々な人たちの変化と共に成長したのだ。
彼女がやがて大人になり
この沼地での生活を振り返るとき
やっぱりそこには本当の豊かさがあり
そこが自由を求めて集まった素晴らしい人たちとの
出会いの場だったのだと
あらためて気がつく。

懐かしいというより
すがすがしいというような気持ちが
観た後の心を満たしてくれる。

タイトルからして、カワイイ少女のひと夏の思い出…的な映画かと思っていました。でも、違うんですね〜。クリクリの記憶の中のステキな大人たちのお話でした。とにかくマレの緑の美しさ、鳥の声、自然がイキイキとして本当にキレイでした。そして、自由に生きる…というコトへの憧れ、大好きな仲間たちとワインを飲んで笑って…。いくら裕福な生活ができても、本当に必要なのはココロの豊かさなんだなぁ〜と改めて感じました。クリクリが病気が治ってピエロに逢ったとき、本当にうれしそうでかわいかった♪キモチに余裕がなくなったときのビタミン的映画だと思います。

不思議な関係で結ばれている男達の話。
なかなか良い友情で繋がっている感じです。
タイトルの『クリクリ』が主役って訳ではないけど、要所要所で彼等と係わっている作り方が結構好きかも！
特別スゴイ出来事が起きる訳ではない普通の展開だけど(最近の映画としては・・・)、見終わった時にチョット良い気分になれる作品でした。