三人の妻への手紙

「あなたたちの夫のうちの誰かと駆け落ちします」

「仲良しグループ」のひとり　マドンナ的存在のアディが
仲間の3人の妻たちに向けた手紙。
陽光輝く　ボランティアの場を離れ　それぞれの思いの中を彷徨う。

愛する男が何かにつけ褒める人が
女である時ぐらい癪に障るものはないでしょう。
美女で　ちょっと気が利いて
シングルだったりすると心穏やかでいられないもの。
彼女の存在は　そのまま女たちのコンプレックスになる。

女性たちの描写の細やかなことは感動的ですね。
それぞれのライフスタイルがあり　足りないものを知っている
大慌てして騒ぎ立てたくとも　そうはさせないプライド
焦り　嫉妬　生い立ち　その性質
そして　どこかで勝てない大きな影アディ。
彼女の顔がちょっと映るんじゃないかしら
ひょっこり最後に現れるんじゃないかしら　そう思わせてしまう構成。
とてもお洒落で　最後ににっこりできる後味の良さ。

ローラメイの衣装がとても素敵。　黒い髪　チマチョゴリのようなゆったりとしたドレス。
大富豪の妻らしく素材のとても良さそうな衣装がとても素晴らしい。
彼女がとても魅力的に撮られた作品です。

この映画は、あの「デスパレイトな妻たち」の原型でしょう。
画面に登場しない三人の妻の友人のモノローグで始まるところも似ています。
「デスパ妻」とは違い、その友人は生存していて、三人の妻のいずれかの夫と今日駆け落ちをするという。
そういう内容の手紙が三人の妻がボランティアのためにフェリーに乗りこむ時に届けられるのですが、今からすぐに家に帰るわけにもいかず、三人がデスパレイトな状態になり、それぞれの夫とのことを回想する。
設定は面白いのですが、妻役の三人の女優に魅力が感じられないのが欠点。
デスパレイトの程度も今のアメリカとでは差がありすぎて、この程度なら何も心配しなくてもと思えてくるのは、いかに現代がひどい状態かということでしょう。
コメディ的な作りなのに笑えるところがなくて、楽しめませんでした。
結末は想像していた人物とは違う人がその駆け落ちの相手だったということで、意外性はあります。
その決着のつけ方は倫理的に納得性があり、時代を反映しています。
コメディにミステリィの要素を持ち込んだせっかくのアイディアを生かせなかった残念な作品。

３人の回想から成り立つオムニバス風の作品。今や禁じ手になっているような回想への導入シーンには製作年の古さを感じないではなかったのですが、マンキウイッツのストリーテイリングのうまさに乗せられて終幕まで一気に観てしまいました。
会話が辛辣かつウイットにあふれ実におしゃれで知的。かつてのアメリカ中産階級が物質的なのはもちろん精神的にも豊かだった表れでしょう。
この年代のアメリカ映画がお好きな人に、特に女性にお勧めします。
品の良いコメディの名作です。

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大変に面白いです。いわゆるコメディー的演出はほとんどありません。列車が通るたびに揺れるローラメイの実家くらいでしょうか。

慈善活動か何かで、ピクニックのお手伝いに参加、乗船しようとした三人の女性たちが、友人のアディーから手紙を受け取る。三人の夫のうちの誰かと駆け落ちをするという内容である。動揺して船着き場にある電話に意識が集中するが、プライドからか平静を装う。
アディーはこの三人の夫にとりマドンナ的存在であり、三人の妻たちは自分たちには欠けたものを備えた女性として彼女を強く意識している。
そしてピクニックの間、それぞれ夫との生活を振り返る。
デボラが、昔話を聞きながら回想へと入るところなどはとてもうまい。

果たして誰が駆け落ちをするのか、ミステリ的興味もつのりますが、三様の夫婦関係、交友関係そしてそれぞれの価値観の違い、個性など興味深く面白い。
全般に台詞もしゃれているように思えます。
そして、脇役のセイディーがなかなかいいキャラです。

また、アディーが姿を見せず（ちらりと肩の辺りが見える場面はあります）、語り手であることが大変効果的で、後味の良さにも貢献しています。その語りは最初と終わりくらいで説明的なものではなくうまい使い方です。
ラスト、夢中になっていたせいか、この終わり方には全く思いが至りませんでした。

あまり欠点の感じられない映画で、とりわけ脚本、演出が見事だと思います。
俳優陣では、リンダ・ダーネルが役柄の面白さもあって魅力的。80点では辛過ぎか。

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ナイーブなデボラ、仕事熱心なリタ、計算高いローラメイ、そして、バツイチのアディ。
バツイチのアディは他の３人の旦那たちの憧れの存在。
旦那達は何かにつけてアディをほめるのだ。３人の妻達は面白いわけがない。
アディは結局最後まで画面に登場するシーンがないのだが、
夫たちのほめぶりには私だって、アディって超ムカつく女だなって思ったもん。
そんないけ好かないアディから３人のもとに手紙が届く。
この中の誰かの旦那と駆け落ちしますだって！
渦中の誰かに手紙をおくればいいのに、わざわざ他の二人にまで不安を与えるなんて、
ほんとイヤな女。まぁそうこなくっちゃドラマが始まらないんだけど。
きっと幸せな結婚に嫉妬してたんでしょうね。

３人の妻は妻でそれぞれ欠点もあるわけだが、私はデボラもあまり好きでない。
友達になりたくないタイプだな。なんかネクラなんです。

男性からモテル女は、女性にとっては苦い存在なのかもしれない。
その苦い存在に勝てるのか？それとも、負けるのか？というお話でした。