事件

野村芳太郎監督の名作。公開当時は評価が高かったにもかかわらず、その後、忘れられている感があるのは、地味な法廷劇だからか。演技が達者な役者たちの熱演を見ているだけでウットリしてしまいます。高度成長期の地方都市事情がリアルに描かれていて、そのころの雰囲気を知っている人には「ああ分かるなあ」という感じ。それにしても、厚木から東京（新宿）に出て行くだけで、登場人物たちがまるで外国に行くような感覚なのは面白い。あのころはそんなムードだったのだろうか。それとも、やや大げさか。最近の韓国映画『殺人の追憶』と同じような雰囲気の映画なので、『殺人の追憶』が良かった人にはお勧めです。

私生活でも常に三角関係でスキャンダラスなニュースで華やかだった松坂慶子さんと大竹しのぶさんが激突！バトルを繰り広げます。
当時26歳と、20歳ぐらいでしょうか。女ざかりムンムンの松坂さんにまだまだ未熟な大竹さんが、なかなかしたたかで負けていません。その後の人生を、暗示してるかのようです。

事件が明らかになっていく過程もおもしろく、まだの人にはお勧めです。

とても面白かったです。
と思って楽しみにレビュー広場を覗いてみたら、レビューがとても少ない・・・。
これは勿体無いですねぇ。
確かに前半地味なんです。
いきなり法廷の場面で、裁判官、弁護人、検事、証人のやり取りをずっと眺める感じで。被告は無表情だし、画面からじめじめと暑苦しい印象を受けてしまいます。
と言いつつも、出演者が豪華！観ているだけでおぉっと楽しめますね。丹波哲郎に、証人の森重久彌、西村晃、チンピラ役に渡瀬恒彦、・・・・そして姉妹に松坂慶子と大竹しのぶ。
若い方でも新鮮に楽しめるのではないでしょうか。
そしてラストに向かう姉妹の愛憎劇。
妹（大竹しのぶ）のしたたかで怖いくらいの強さ。
姉（松坂慶子）の見た目とはうらはらな脆い心。
切ない、切ない、切なすぎる・・・と哀しい思いで観ました。
愛ってそんなにも狂おしいものなんですね・・・・。
「砂の器」、「鬼畜」、「事件」と野村監督の作品を観てみましたが、生々しいほどの人間のドラマにしばし心を揺さぶられます。こんちゃんさんと同じく他の作品も追っかけていこうと思っています。

３０年前以上の作品ですが原作が大岡昇平としっかりしているせいもありますがとても見ごたえがありました。

大竹しのぶの、幼さの中に潜むしたたかさ、あいかわらず、ああいうはすっぱな役の似合う松坂慶子、佐分利信の重厚な裁判長（この人、けっこういいよ。亡くなりましたが。。）
芸達者ぞろいで見ててあきません。

この当時にすでに少年法に対する批判が出ているのが（綿引勝彦氏がいうのですが、痩せてます〜）ああ、いつの時代も論じられていることだったのねと妙なところに感心します。

説明文もなしにカメラワークと話のすすめ方だけで、人間関係を把握させるやり方は相変わらずうまいですね。
脚本が新藤兼人ですからね〜。

キャストが豪華で、一人一人に見所を作ってあるのがうまいところです。
久しぶりに森繁久弥をみましたわ。

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面白い映画です。

大竹しのぶの略奪愛、見ごたえ十分です。
海辺ではしゃいで砂を蹴ったりしながら走り回ってる姿は無邪気そのもの。
ホテルに入って、背中に腕をまわしながら、好きな男を勝ち取った勝利の微笑みは策士そのもの。
二十歳かそこらであの演技力、脱帽ですね。
ラストシーンでお腹の大きい大竹しのぶが、橋を渡って歩いて行く後ろ姿は、本当に幸せそうで、強くて逞しくて、貪欲で美しかった。


松坂慶子が自らナイフに刺されに行く瞬間の表情も、もう何とも言えず切なくて悲しくてやりきれない。

なんでこんなに男の心は移り変わってしまったんだろう。
自分だけ捨てられてみじめになってたまるか。
愛する男を妹と駆け落ちさせてたまるか。
二人の幸せを阻止するには、自分の命を引き換えにしても構わない。
とばかりに、好きな男を殺人犯にさせる松坂慶子。

まー、今の時代背景とは随分ちがい、新宿に働きに出ることがまるでニューヨークで一旗あげるくらいのイメージで描かれていたりしますが、女同士の戦いの根底にあるものは、今も昔も変わっていないんですね。

ホント、見ごたえの有る映画でした。