不確かなメロディー

毎年、フジロックフェスティバルで「イエーイって言え！」って叫んでる本当はすごいシャイな中年最強ロッカーのツアー日記。こんな生きてることがロックな男はそうはいない。音楽番組で放送禁止の歌を突然歌っても、プレスリーの「LOVE ME TENDER」を「なに　やっ　てんだぁ〜」と和訳して歌っても、ホームドラマにでても、ＣＭで情けない中年を演じても、ドラゴンズのファンでも、なんでもカッコイーの一言。しかも、人にやさしい。（タイマーズももう1回やって。）

８年前、ラフィータフィーを組んでた頃の、元気な清志郎の姿がここにある。小さなライブハウスをバンド仲間達と巡る、オフショットの清志郎の姿が淡々と、しかし生き生きと映し出される。初めてギターを手にした頃のことをポツポツと話す姿が、何とも可愛らしい。

高校時代、熱狂的なＲＣファンの同級生Ｓがいた。童顔で、ちょっと無理してつっぱってみせていた。
美術室にラジカセを持ち込んで来てはＲＣをかけ、真面目な女子部員のひんしゅくを買っていたＳ。『トランジスタ・ラジオ』を気取って、閉鎖された屋上に細い足がかりを使って上がって行ったＳ。（あの時落ちて死んでいても、不思議は無かった）コマゴマとしたヤンチャをやっては、小さな騒動を起こす男で、巻き込まれて嫌な思いをさせられたこともあった。卒業後、故郷を離れてからは音信も途絶え、Ｓのその後も聞かなくなった。

そんなＳの近況を、２０年経った近頃になって聞いた。地元で小さなイタリアンレストランを開いたという。いつもダラダラしていて、何に対してもやる気を見せ無かったアイツが、シェフで、店長かぁ。
まさか、店でＲＣをかけちゃいないだろうが、厨房で口ずさんでいるかもしれないな。


闘病が続く清志郎。敵は手強いが、飄々と打ち勝ってくれることを祈る。ただ祈る。

　二週間くらい前だろうか、あるテレビ番組を見ていると、８０年代のヒット曲を歌うアーティストの後でユカリさんがドラムを叩いていた。当時はＥＸＯＴＩＣＳのメンバーとして、ジュリーと一緒に頻繁にテレビで見かけたことを思い出し、急に懐かしくなり、映画館へ行きそびれたままになっていた、この作品を借りることにした。
　ＲＣサクセションを知らない世代にとっては、忌野清志郎はソロアーティストの印象が強いのかも知れない。不敬罪のない時代にレコードのリリースが中止され、新聞にはまるで「際物」のような記事が踊った、そんなことがあったことさえ、既に過去になっているのだろうか。テレビのＣＭに出て来る彼しか知らないというひとが多分殆どなのだろうか。そんなことを思いながらこの作品を見た。
　人気歌手のツアー同行取材がテレビで放映されることも多く、この作品もその方法や様式に特別なところは何一つない。ただ、忌野清志郎というアーティストがどのように音楽に関わってきたのか、またこれから関わってゆくのか、バンドのメンバーとともに、自然体のまま、画面に映し出されている。好きな音楽を気心の知れたメンバーと創ってゆく、そしてライブ会場へ足を運んだひとたちが束の間の楽しい時間を共有することが出来る、そのことがとても素敵なことのように感じられた。
　最近はライブ会場から足が遠のいていたが、この作品を観終わってから、たまらなく生の音楽を聴きたくなった。

清志郎さんの個性や音楽性に興味を持っていたので、どんなかなーと思って借りました。結果は、かなり平凡で、クラッシック好きの私には向いていませんでした。ロックは、少し狂っているほうが面白いと思うのは間違えでしょうか？

清志郎に再会したような気分になりました。
変わってない彼、でも同じじゃない彼。
RCの再結成は必要ないな、って本気で思いました。
おまけ映像が“清志郎節”全開でめっちゃ可愛いです。