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ピアニスト / イザベル・ユペール

ピアニスト /ミヒャエル・ハネケ

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DVD

映画賞受賞作品

旧作

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解説・ストーリー

ウィーン。小さい頃から母親に厳しく育てられたエリカ。40歳を過ぎてウィーン国立音楽院のピアノ教授となった今でも母と二人暮らし。ある日、エリカは私的な演奏会の席で青年ワルターに出会う。彼のピアノの才能に特別な感情を抱くエリカだったが、それ以上にワルターのエリカに対する思いは強かった。彼女に執拗につきまとい、ついには音楽院の試験に合格し彼女の生徒となってしまう。ワルターはある日、思いあまってトイレにいたエリカに強引にキスを迫る。ワルターの思いが通じたかと思われた瞬間、エリカがひた隠しにしていた秘密があらわになる……。

作品情報

製作年:

2001年

製作国:

フランス/オーストリア

原題:

LA PIANISTE/THE PIANO TEACHER

受賞記録:

2001年 カンヌ国際映画祭 グランプリ

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旧作

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ジャンル :

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「ピアニスト」 の解説・あらすじ・ストーリー

解説・ストーリー

ウィーン。小さい頃から母親に厳しく育てられたエリカ。40歳を過ぎてウィーン国立音楽院のピアノ教授となった今でも母と二人暮らし。ある日、エリカは私的な演奏会の席で青年ワルターに出会う。彼のピアノの才能に特別な感情を抱くエリカだったが、それ以上にワルターのエリカに対する思いは強かった。彼女に執拗につきまとい、ついには音楽院の試験に合格し彼女の生徒となってしまう。ワルターはある日、思いあまってトイレにいたエリカに強引にキスを迫る。ワルターの思いが通じたかと思われた瞬間、エリカがひた隠しにしていた秘密があらわになる……。

「ピアニスト」 の作品情報

作品情報

製作年:

2001年

製作国:

フランス/オーストリア

原題:

LA PIANISTE/THE PIANO TEACHER

受賞記録:

2001年 カンヌ国際映画祭 グランプリ

「ピアニスト」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

TSUTAYAだから可能な圧倒的作品数!!

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35,500
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国内・海外ドラマ

5,400
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アニメ

9,200
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R-18

210,000
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CD

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1〜 5件 / 全141件

「男」目線でも考え込む作品 ネタバレ

投稿日:2006/10/07 レビュアー:masamune

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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Michael Haneke監督最新作「隠された記憶」リリース記念でレビューを。同名に91年日仏合作の映画も有りますのでご注意下さい(奥田瑛二も出演)。本作は監督の作品の中で最も温かみの有る演出だが(これでも)最初は特に「音」に拘って見てみました。監督の作品は映像を注視する(させる)演出が極めて特徴的なので、どの作品を見ても音楽が印象に残る作品は「無い」。しかし本作は主演がピアニストで有る為、特に前半のクラッシックの使い方は監督が実は音楽にも鋭い演出能力が有る事を示唆してる。但し楽曲の使い方は屈折してたりする辺りは、ドイツ人監督としてのお国柄を垣間見た気がした。前半と後半で映画のジャンルが違う気もするが、これも計算の内。フランス映画故に女性の描き方もハリウッド映画を見慣れた目には新鮮だ、この突き放した演出に共感出来る価値観は日本には無いと思う。監督自身はソープオペラのパロディだと本作を語っていたが額面通りには受け取れない。女性を変質化させた様に見せて、実は本質は男の方が・・・と言う映画なのだ。外周は「重い」テーマを描いてる様に見せて、そのコアの部分は明かさない監督の薄ら笑いが透けて見える。けど悪い気はしない不思議な魅力がある、それは優れたドラマ性によるもので、特にラストの演出が何よりの証拠だと思う。本作は稀に見る激戦となった01年カンヌ映画祭で審査員特別グランプリと男優賞と女優賞をゲット!。前作「ファニーゲーム」は日本なら偏見を持たれて当たり前だが、本作もかなりヤバイ。まあ一般受けは悪いと思うが、私は深いテーマ性を持った優れた映画だと思うし、百歩譲っても本作はパロディでは無いと断言したい。それこそ監督の思う壺だ。

独身男の私としては「見てはいけないもの」を見たかもしれない、そんな気にさせるMichael Haneke。アンタって人は・・・。

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現実感の喪失と現実への船出 ネタバレ

投稿日:2008/01/22 レビュアー:JUCE

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 ハネケ監督作品のテーマのひとつとして「現実感の喪失」があると思います。「ベニーズ・ビデオ」しかり、「ファニー・ゲーム」しかり。ただしこの2作では比較的若い世代を主題に置いた描きこみで、そういった意味では若者の現実離れを描く事でそうした若者を作り上げた社会を風刺するのがメインだったのですが、本作「ピアニスト」はパブリックな話題では無く、もっとパーソナルな部分に踏み込んだ作品です。
 主人公エリカと現実の接点はピアニストとしての自分のみ。特に性の問題に関しては、彼女にとってはアダルトビデオの世界が彼女にとって唯一の情報源であり、その中の世界こそが彼女にとっては現実なのです。
 彼女が人格を形成するに至った背景は、ハネケ監督としては珍しく丁寧に描写されていますので、ハネケ監督の他の作品と比較するととても分かりやすい作品だと言えるでしょう。もちろん背景が分かったからと言ってエリカを理解できるかということは別問題です。

 こうして自分だけの世界に生きているエリカに、現実が突然にやってきます。それがワルターです。このワルターによってエリカの世界はこじ開けられて、エリカは現実世界に引きずりだされて行きます。もちろんこれまで現実との接点が無かったエリカとワルターの関係がうまくいくはずもありません。エリカのアダルトビデオの世界で培った自分の性の世界は現実にぶち当たる事で粉々に砕けていくのです。
 ここで女性を主人公にしているのがやはり効いています(女性著作の原作があるそうです)。もしこれが男性が主人公であれば、性犯罪者の物語のひとつになってしまうところです。主人公が女性だからこそ、ここまで痛ましく、胸にグサッと突き刺さる物語になったのでしょう。
 さらにエリカにとって悲劇(もしかするとラッキー)だったのは、ワルターが若くエリカのそうした屈折した人格や境遇を理解も受容も出来なかった事でしょう。このためエリカは今まで殻に閉じこもって現実を遠ざけてきたにも関わらず、ワルターによって現実に投げ出され、しかもひとりで現実に直面する事になってしまったのです。

 そしてエンディングはガラリーナさんが仰るように様々な解釈ができると思います。ハネケ監督の他の作品から考えるとそこに救いは無いような気もするのですが、私が純粋に本作から感じたのはラストはエリカの新たな出発です。(おうち大好きさんの意見に同意)
 エリカが自らを傷つけ、そして演奏を放棄したと言う事はピアニストとしてのキャリアや居場所を断ち切り、もう戻れない状況をつくったという証。エリカが踏み出した現実は厳しいものかも知れません。しかし彼女はとりあえず前に一歩進んだのだと思います。

これほど人間の内面に切り込んで正面から人間と向き合った作品は少ないのでは無いでしょうか。綺麗な面だけが人間ではありません。
 とても意欲的な作品です。

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★★★★★ あまりの痛ましさにエリカが神々しくさえ見える ネタバレ

投稿日:2007/02/10 レビュアー:ガラリーナ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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ここまで一人の人物をいたぶってもいいものだろうか、と思うほどの凄まじい描写である。我々観客自身もこの映画を見ていることそのものが、エリカをいたぶっているような気にすらさせる。映画の存在そのものがSMだ。エリカは「女性として」愛された経験がなく、ピアニストとして出世することを強いられてきた。故に、彼女の倒錯した性衝動は男が持つものと女が持つものが奇妙に合わさったへんてこりんなものである。それらが滑稽であればあるほど、彼女の存在の痛々しさが胸に迫る。

父と息子という関係の場合、父は息子に越えられることを畏れ、息子は差し違えても乗り越えようとする。しかし、母と娘という関係性は不思議だ。そこには憎悪とともに同化が存在する。母は自分を娘に重ね、娘も自分を母に重ねる。今作のエリカと母の関係は異常で、母は常にエリカを監視し檻の中に閉じこめるように育て、かつ同性として耐え難い罵詈雑言を娘に放つ。こんな母親、放っておいて出ていきゃいいのに、娘はできない。そこで自分を傷つけ、歪んだ性行動を取ることで精神的不安をごまかす。母親による変質的な愛によってここまで娘が無惨になる作品は他にはないだろう。

中年女の憂鬱という観点で考えれば、さすがはヨーロッパ、描き方が半端じゃない。中年女でもまだまだ恋ができるわ、なんてなまっちろいテーマを扱ってるようじゃ、まだまだひよっこ。これくらい冷徹にその存在自体をこれでもか、これでもかとえぐり出すような作品は、日本じゃなかなかお目にかかれませんもの。

イザベル・ユペールは、エリカという難役に体当たりで挑み、この実に哀れな女を魅力的にみせている。物語だけを追えば、エリカほど乾いた痛々しい存在はなく、見方によっては侮蔑や嫌悪が沸いてもおかしくない。しかし、イザベル・ユペールが演じるエリカの孤独と焦燥、そして愛への渇望は観客の心を揺さぶる。

そして驚愕のエンディング。ここにあなたは何を見るだろう。これはエリカの自己破壊衝動か、それとも過去との決別か、はたまた生まれ変わりを意味する希望か。沈黙のエンドロールが流れる中、我々はエリカの悲しみを心の奥深くで共有する。

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映画を読み解くという事は・・・ ネタバレ

投稿日:2005/06/27 レビュアー:スターダスト

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カンヌ国際映画祭で3部門受賞したという以外、内容的には前知識もなく観ました。ポスターのイメージから音楽家の恋愛ドラマだろうと予想していたら、あまりの凄まじい内容に唖然としてしまいました。まず、この驚きがひとつ。

その内容については語りませんが、席を立ちたくなるような居心地の悪さをおぼえました。この感じは若松孝二監督の「水のないプール」(1982)を見て以来のことであります。

もっとも不可解だったのは、幕切れのエリカの行動。自殺にしてはあまりに中途半端だし、怒りの納めどころをなくし思い余って自分の胸を突いたのかと思っておりました。しばらくしてキネマ旬報を読んでいたらこの行動の意味を解説してあり、大いに感銘を受けました。彼女が傷つけていたのは、指先に関係する筋らしい部分であり、つまり、そこを切断すればピアニストとしてのキャリアを終えるということであったのだ。そうであれば、私が漠然と感じていたことでなく、非常に重要な意味を持つ場面になる。彼女を束縛してきた世界から自ら解放し、新たな旅立ちととらえることもできるのだ。映画を読み解くという事は実に奥の深いものである。

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あれだけ理性を保てるのは悲しくもある ネタバレ

投稿日:2009/01/29 レビュアー:ミルクチョコ

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有名音楽教師であるエリカのストイックな見た目と、私生活では全く裏腹の病的な覗き趣味などを持つマゾヒズムな屈折した性への渇望の見られますが、その差が圧巻です。
多分これは、母親の厳格な支配から逃れられずに生きていたからなのかもしれません。

しかし、エリカは異常なほどに不器用で、危うさや、痛々しさを感じるのですが、人目をはばからないのは、彼女は、逆に強さなるものを感じました。ワルターに手紙を渡し、自分の欲望を訴える時にも、微塵の恥じらいもないのです。
しかし、彼女の行動を見ているうちに、その行為自体が異常な性の求め方である筈なのに、何故か異常と呼べない感情に私は陥りました。彼女の抑圧された教育環境や、ぱっとしない外見からも欲求不満の塊である彼女を愛おしくさえ思えてしまったのです。

社会性がなく、うまく対人関係を築けない彼女は、健全な青年ワルターに引かれ、ワルターもまた彼女の内に潜んでいる他人とは異なった部分に引かれたのではないかと思います。
多分、それはワルターの若さとエリカの少女のような純真な心がお互いに引かれあったのかもしれません。
欲望が満たされぬまま年を重ね、満たされ方が分からないままに、健全な精神を持った、どこからどう見ても健全な若者に興味を持ったことが、不幸の始まりだったのかもしれません。

ワルターが綺麗すぎて、かえって中年の地味なエリカとの対比が痛々しかったです。ラストのワルターの笑顔はきつすぎました。
ラストのエリカの行動は、呪縛からの解放でしょうか?



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ユーザーレビュー

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「男」目線でも考え込む作品

投稿日

2006/10/07

レビュアー

masamune

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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Michael Haneke監督最新作「隠された記憶」リリース記念でレビューを。同名に91年日仏合作の映画も有りますのでご注意下さい(奥田瑛二も出演)。本作は監督の作品の中で最も温かみの有る演出だが(これでも)最初は特に「音」に拘って見てみました。監督の作品は映像を注視する(させる)演出が極めて特徴的なので、どの作品を見ても音楽が印象に残る作品は「無い」。しかし本作は主演がピアニストで有る為、特に前半のクラッシックの使い方は監督が実は音楽にも鋭い演出能力が有る事を示唆してる。但し楽曲の使い方は屈折してたりする辺りは、ドイツ人監督としてのお国柄を垣間見た気がした。前半と後半で映画のジャンルが違う気もするが、これも計算の内。フランス映画故に女性の描き方もハリウッド映画を見慣れた目には新鮮だ、この突き放した演出に共感出来る価値観は日本には無いと思う。監督自身はソープオペラのパロディだと本作を語っていたが額面通りには受け取れない。女性を変質化させた様に見せて、実は本質は男の方が・・・と言う映画なのだ。外周は「重い」テーマを描いてる様に見せて、そのコアの部分は明かさない監督の薄ら笑いが透けて見える。けど悪い気はしない不思議な魅力がある、それは優れたドラマ性によるもので、特にラストの演出が何よりの証拠だと思う。本作は稀に見る激戦となった01年カンヌ映画祭で審査員特別グランプリと男優賞と女優賞をゲット!。前作「ファニーゲーム」は日本なら偏見を持たれて当たり前だが、本作もかなりヤバイ。まあ一般受けは悪いと思うが、私は深いテーマ性を持った優れた映画だと思うし、百歩譲っても本作はパロディでは無いと断言したい。それこそ監督の思う壺だ。

独身男の私としては「見てはいけないもの」を見たかもしれない、そんな気にさせるMichael Haneke。アンタって人は・・・。

現実感の喪失と現実への船出

投稿日

2008/01/22

レビュアー

JUCE

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 ハネケ監督作品のテーマのひとつとして「現実感の喪失」があると思います。「ベニーズ・ビデオ」しかり、「ファニー・ゲーム」しかり。ただしこの2作では比較的若い世代を主題に置いた描きこみで、そういった意味では若者の現実離れを描く事でそうした若者を作り上げた社会を風刺するのがメインだったのですが、本作「ピアニスト」はパブリックな話題では無く、もっとパーソナルな部分に踏み込んだ作品です。
 主人公エリカと現実の接点はピアニストとしての自分のみ。特に性の問題に関しては、彼女にとってはアダルトビデオの世界が彼女にとって唯一の情報源であり、その中の世界こそが彼女にとっては現実なのです。
 彼女が人格を形成するに至った背景は、ハネケ監督としては珍しく丁寧に描写されていますので、ハネケ監督の他の作品と比較するととても分かりやすい作品だと言えるでしょう。もちろん背景が分かったからと言ってエリカを理解できるかということは別問題です。

 こうして自分だけの世界に生きているエリカに、現実が突然にやってきます。それがワルターです。このワルターによってエリカの世界はこじ開けられて、エリカは現実世界に引きずりだされて行きます。もちろんこれまで現実との接点が無かったエリカとワルターの関係がうまくいくはずもありません。エリカのアダルトビデオの世界で培った自分の性の世界は現実にぶち当たる事で粉々に砕けていくのです。
 ここで女性を主人公にしているのがやはり効いています(女性著作の原作があるそうです)。もしこれが男性が主人公であれば、性犯罪者の物語のひとつになってしまうところです。主人公が女性だからこそ、ここまで痛ましく、胸にグサッと突き刺さる物語になったのでしょう。
 さらにエリカにとって悲劇(もしかするとラッキー)だったのは、ワルターが若くエリカのそうした屈折した人格や境遇を理解も受容も出来なかった事でしょう。このためエリカは今まで殻に閉じこもって現実を遠ざけてきたにも関わらず、ワルターによって現実に投げ出され、しかもひとりで現実に直面する事になってしまったのです。

 そしてエンディングはガラリーナさんが仰るように様々な解釈ができると思います。ハネケ監督の他の作品から考えるとそこに救いは無いような気もするのですが、私が純粋に本作から感じたのはラストはエリカの新たな出発です。(おうち大好きさんの意見に同意)
 エリカが自らを傷つけ、そして演奏を放棄したと言う事はピアニストとしてのキャリアや居場所を断ち切り、もう戻れない状況をつくったという証。エリカが踏み出した現実は厳しいものかも知れません。しかし彼女はとりあえず前に一歩進んだのだと思います。

これほど人間の内面に切り込んで正面から人間と向き合った作品は少ないのでは無いでしょうか。綺麗な面だけが人間ではありません。
 とても意欲的な作品です。

★★★★★ あまりの痛ましさにエリカが神々しくさえ見える

投稿日

2007/02/10

レビュアー

ガラリーナ

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ここまで一人の人物をいたぶってもいいものだろうか、と思うほどの凄まじい描写である。我々観客自身もこの映画を見ていることそのものが、エリカをいたぶっているような気にすらさせる。映画の存在そのものがSMだ。エリカは「女性として」愛された経験がなく、ピアニストとして出世することを強いられてきた。故に、彼女の倒錯した性衝動は男が持つものと女が持つものが奇妙に合わさったへんてこりんなものである。それらが滑稽であればあるほど、彼女の存在の痛々しさが胸に迫る。

父と息子という関係の場合、父は息子に越えられることを畏れ、息子は差し違えても乗り越えようとする。しかし、母と娘という関係性は不思議だ。そこには憎悪とともに同化が存在する。母は自分を娘に重ね、娘も自分を母に重ねる。今作のエリカと母の関係は異常で、母は常にエリカを監視し檻の中に閉じこめるように育て、かつ同性として耐え難い罵詈雑言を娘に放つ。こんな母親、放っておいて出ていきゃいいのに、娘はできない。そこで自分を傷つけ、歪んだ性行動を取ることで精神的不安をごまかす。母親による変質的な愛によってここまで娘が無惨になる作品は他にはないだろう。

中年女の憂鬱という観点で考えれば、さすがはヨーロッパ、描き方が半端じゃない。中年女でもまだまだ恋ができるわ、なんてなまっちろいテーマを扱ってるようじゃ、まだまだひよっこ。これくらい冷徹にその存在自体をこれでもか、これでもかとえぐり出すような作品は、日本じゃなかなかお目にかかれませんもの。

イザベル・ユペールは、エリカという難役に体当たりで挑み、この実に哀れな女を魅力的にみせている。物語だけを追えば、エリカほど乾いた痛々しい存在はなく、見方によっては侮蔑や嫌悪が沸いてもおかしくない。しかし、イザベル・ユペールが演じるエリカの孤独と焦燥、そして愛への渇望は観客の心を揺さぶる。

そして驚愕のエンディング。ここにあなたは何を見るだろう。これはエリカの自己破壊衝動か、それとも過去との決別か、はたまた生まれ変わりを意味する希望か。沈黙のエンドロールが流れる中、我々はエリカの悲しみを心の奥深くで共有する。

映画を読み解くという事は・・・

投稿日

2005/06/27

レビュアー

スターダスト

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カンヌ国際映画祭で3部門受賞したという以外、内容的には前知識もなく観ました。ポスターのイメージから音楽家の恋愛ドラマだろうと予想していたら、あまりの凄まじい内容に唖然としてしまいました。まず、この驚きがひとつ。

その内容については語りませんが、席を立ちたくなるような居心地の悪さをおぼえました。この感じは若松孝二監督の「水のないプール」(1982)を見て以来のことであります。

もっとも不可解だったのは、幕切れのエリカの行動。自殺にしてはあまりに中途半端だし、怒りの納めどころをなくし思い余って自分の胸を突いたのかと思っておりました。しばらくしてキネマ旬報を読んでいたらこの行動の意味を解説してあり、大いに感銘を受けました。彼女が傷つけていたのは、指先に関係する筋らしい部分であり、つまり、そこを切断すればピアニストとしてのキャリアを終えるということであったのだ。そうであれば、私が漠然と感じていたことでなく、非常に重要な意味を持つ場面になる。彼女を束縛してきた世界から自ら解放し、新たな旅立ちととらえることもできるのだ。映画を読み解くという事は実に奥の深いものである。

あれだけ理性を保てるのは悲しくもある

投稿日

2009/01/29

レビュアー

ミルクチョコ

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有名音楽教師であるエリカのストイックな見た目と、私生活では全く裏腹の病的な覗き趣味などを持つマゾヒズムな屈折した性への渇望の見られますが、その差が圧巻です。
多分これは、母親の厳格な支配から逃れられずに生きていたからなのかもしれません。

しかし、エリカは異常なほどに不器用で、危うさや、痛々しさを感じるのですが、人目をはばからないのは、彼女は、逆に強さなるものを感じました。ワルターに手紙を渡し、自分の欲望を訴える時にも、微塵の恥じらいもないのです。
しかし、彼女の行動を見ているうちに、その行為自体が異常な性の求め方である筈なのに、何故か異常と呼べない感情に私は陥りました。彼女の抑圧された教育環境や、ぱっとしない外見からも欲求不満の塊である彼女を愛おしくさえ思えてしまったのです。

社会性がなく、うまく対人関係を築けない彼女は、健全な青年ワルターに引かれ、ワルターもまた彼女の内に潜んでいる他人とは異なった部分に引かれたのではないかと思います。
多分、それはワルターの若さとエリカの少女のような純真な心がお互いに引かれあったのかもしれません。
欲望が満たされぬまま年を重ね、満たされ方が分からないままに、健全な精神を持った、どこからどう見ても健全な若者に興味を持ったことが、不幸の始まりだったのかもしれません。

ワルターが綺麗すぎて、かえって中年の地味なエリカとの対比が痛々しかったです。ラストのワルターの笑顔はきつすぎました。
ラストのエリカの行動は、呪縛からの解放でしょうか?



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