ノー・マンズ・ランド

　立ち往生する敵兵同士、動けば地雷が爆発する負傷兵、それを救助にやってくる国連軍、現場を生中継しようとするアメリカの報道陣。彼らが入り乱れて、妙におかしげな騒動を繰り広げる。

　映画のタッチは乾いていてユーモラス。宣伝ではコメディだとの触れ込みだったが、これは決してコメディではない。腹をかかえて笑うような場面も、手を叩いて喜ぶような場面もない。
　
　これは一種の不条理劇だ。中立地帯の塹壕からほとんど場面が変わることなく、そこでの兵士達のやりとりによって、内戦の愚かさを観客はアイロニカルな笑いのうちに知ることができる。どちらが悪者かなんて、誰も決められない。銃を持った方が、つまり強い方がその場その場で決める。

　制作費は限りなく低い。派手なドンパチもない。けれど、ここには戦争のすべてがある。戦場を虚構へと作り変えるテレビ報道、形だけでやる気のない国連軍、敵兵同士は言葉が通じあうのに、救援者たちとはコミュニケーションが危ういという内戦、時間きっちりにやってくるドイツ兵。すべての描写がどこかコミカルで、相当にブラックユーモアが効いている。

　そして何よりもばかばかしい結末。ラストシーンの悲惨には、観客の笑いも凍りつく。

　せめて死ぬ前にボスニア兵にウンコさせてやりたいと思ったのはわたしだけではあるまい？

　・・・・・・・・・・・

　リナさん、不快シリーズ、好調ですね。おかげさまで大変参考になっています。「あ、ぜぇったい見るのやめよう」とか思いますもん（笑）。

見てください。

血みどろの戦争映画じゃない。でも、こういうのこそこわい。これが戦争なんだという事実をつきつけられます。

まさに一触即発、ぎりぎりのところで繰り広げられる会話。
国連軍やメディアの裏事情。

でも、一番皮肉なのは、それを自宅で飲み物片手に見ている自分の存在。

少々物足りないと思う人もいると思うが、派手な戦闘がメインの
戦争映画よりも、ある意味では戦争を実によく表現していると思う。

結局、戦争ってこういうことなんだぁって実感した。
お互い引くに引けなくなり相手が悪いんだと思い込んでいる。
もちろんそれを自分でも知りながら・・・
それと国連軍やマスコミが戦争当事者といかに違った感覚で
戦争に関係しているかということを痛烈に批判しているのだろう。
問題のジャンプ式地雷を体の下に仕掛けられた男は結局、
見捨てられてしまう。エンディング・・・
最高のエンディングだ。
あそこでは絶対に爆発させてはいけない。

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事前情報なく、なんとなく観た１本だったのだけど
これはなかなかでしたー。

ボスニア紛争を描いた戦争映画なんですが、
派手に撃ち合ったり、人がどんどん死んでいったりとか
そういうものではなく。

塹壕の中で鉢合わせになったボスニア兵とセルビア兵、
それと地雷の上に寝かされている兵士。
敵同士が、極限状態の下どんな風になっていくのか・・・？
と思いながら観てましたが、すぐに殺しあったりはしなかった。
やっぱり罵倒しあい。
お前らのほうが悪者、いやお前の見方が穿ってる・・・etc

兵士のほかにも
戦地をリポートするマスコミ、国連、ドイツ兵など
すべてがほんのちょっと（いやけっこう？）皮肉られた描写で、
われわれがイメージする「それら」がブラック風味満載なのです。
戦争映画でこんな感想もおかしいのですが、
なんかユーモラスなのです。

結局のところ他の戦争映画と同じく、
戦争は不条理で意味がないことを言いたいのでしょうけれど、
まあとにかく辛らつな感じが伝わります。

ラストがこれまた痛烈というか、
なんつーか、唖然というか、悲しいというか。

彼、あのまま放置かよ・・・・・・


オイ！マスコミ！国連！


っていう観客の声が聞こえてきそうです（爆


後から知ったけど、本作、評価高いようですね。
なんか、納得。

あまり目にすることのない、ボスニア紛争のお話。興味深い。地味ながら、ネタも良い。
ボスニア兵とセルビア兵が一つの塹壕の中で鉢合わせ。にらみ合い、罵り合い、殴り合い、殺し合い。運悪く生きたまま地雷の上に寝かされた兵士をどう救出するか（動くと爆発する）。戦争には関わりたくないが、マスコミに批判されたくもない国連の立場とは。
戦争とはかくも珍妙なもの？　監督自身が体験した戦場のナンセンス。
国連が戦争にどう関わるのか、国連防護軍がどのように戦場に登場するか。なるほど、といったところ。妙な知識が身に付いてしまいました。必ず急ブレーキで止まる装甲車の登場シーン、国連がバカに見えるように仕立て上げられています。
戦争のエスカレート、傍観者の責任も重大ですか？