わが心のボルチモア

20世紀初めにアメリカに渡った東欧系移民の家族の変遷を、時代の移り変わりとともに描き出したノスタルジックな一編です。
「レインマン」のバリー・レヴィンソン監督が、自らの家族の歴史をモデルに描いたらしいです。
東欧育ちのサム・クリチンスキーが初めてアメリカの地を踏んだのは、１９１４年の独立記念日のこと。
映画はサムの兄弟４人がそれぞれの家庭を持ち、孫たちも交えた感謝祭の光景から始まります。
サムは、孫のマイケルに昔の苦労話をするのが習慣になっています。アーミン・ミュラー＝スタールのお祖父ちゃんが、しみじみと良い味を出してます。特に何かが起こると言う訳でもないのですが、一つ一つのエピソードに、趣とリアリティがあるので引き込まれました。

マイケル役のイライジャ・ウッドがこんなに小さい時から出ていたのを見れて良かったです。
当時９歳らしいですが、「この子誰？上手い！可愛い！！」と言われたそうです。結構目立ちますね。
芸達者な大人の俳優さんに囲まれて負けない位の存在感が凄いです。
父のジュールスが経営する大型デパートが全焼した時の原因がイライジャ・ウッド演じるマイケルの告白が胸を打ちます。
古き良きアメリカの、皆で助け合い、ほの甘くどこか切ない郷愁を感じさせてくれる、素敵な映画だと思います。

家族はもちろん、一族が力を合わせるのは当たり前だった時代が日本にもあった。このことを今さらながら思い出した。
仲のよかった兄弟が年取ってから仲違いする。悲しいことだが現実には起りうる。
主人公と孫の関係が実にいい。

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ユダヤ系移民の、父親のサム、息子のジュールス、孫のマイケルの３代記です。心に余裕がある時に楽しみましょう。

私が好きな良きアメリカがここにあります。

中産階級の勤勉な生活、家族愛、健全な上昇志向、7月４日を祝う自然な愛国心。感謝祭。

ゆったりと流れる時間、50年代を捉えたボルチモアの街角。延々と続くタウンハウス、自動車、路面電車、レストラン、バーと続くノスタルジックな美しい絵。

サムの兄弟を中心とする強力な家族の絆が次第に薄れていき、息子のサクセスと挫折、マイケルの成長が描かれます。家庭がテレビにじわじわと侵食されていくのが印象的です。

最後の、サムが老いたシーンはなかった方がきれいに終われたかなあ、ちょっと残念でした。お話でもユダヤ人家族であることはほとんど意識されていません。アイルランドでもイタリア人家族でも変わらない話になったでしょう。

こういう映画好きです。

ポーランド系アメリカ人一家の移民ライフ。
ユダヤ人は商売上手だ。家族会議やら感謝祭の食事会やら家族行事が一大事。
それにしても、かつてヨーロッパ大陸で住むところを追われたユダヤ人のうち、アメリカにわたった人たちは運がよかった。
もっと歴史を勉強したくなりました。

　1914年にボルチモアに渡ってきたサム・クリチンスキーは、兄弟たちと靴屋を始める。これが成功し一族は繁栄する。サムは妻エヴァとの間に子息子ジュールズをもうける。そしてジュールズはアンと結婚しマイケルが生まれて一族はどんどん
　成長する。家族会を欠かさず行いみんなで助け合いながら生きてきた。ある時、ジュールスといとこのイジーは、当時まだめずらしかったテレビを売る仕事を始める。仕事は大繁盛し二人は店をどんどん拡張させていく。アンは、エヴァが自分の
　ことをよく思っていないと不満を持っていた。マイケルは、好奇心旺盛な少年でサムのこととても慕っていた。クリチンスキー一族はどこにでもあるような一家である。

　若いときに成功し一族は反映するが、時の流れの中で築いてきたものが一つ、また一つと掌からすり抜けるように失っていくとこの無常が繊細に描かれています。災難や不慮の事故や病気など様々なことが降りかかるが、それよりも
　人生の終わりを迎えるときに訪れる無常が、心のには苦しいものなのだと思いました。映画は時の流れを３世代を描くことで表現していて、それぞれの悩みは誰もが共感できる普遍的なものです。これといった悪があるわけではない
　のですが、うまくいかなくなってしまう悲しみに涙がでました。

　サムがボルチモアにきたときは、ちょうど独立記念日で夜空には花火がいくつも上がっていました。映画の中で何度か花火のシーンがありますが、喜びと悲しみの両方が夜空に輝く花火となってクリチンスキー一家の心を映しているようでした。