クルセイダーズ

　雄大なカメラワークといい、バランスのとれた脚本、描写、わかりやすい設定、歴史ロマン、全部じゅうぶん娯楽作として合格点なのに、なぜか劇場未公開。惜しいです。

　劇場未公開作品を渉猟されているオタエドンさんに、まずはお奨めの作品ではないでしょうか。といっても、過剰な期待はかけないでくださいね(^^)。「ノッティングヒル」でお声をかけていただき、ありがとうございました。


クルセイダーズって、ジャズ・グループじゃなくて、「十字軍」。聖地エルサレムが異教徒（イスラム教徒）に荒らされているから、正義のキリスト教徒は連合軍を編成してやっつけに行くのだ。って、どこかで聞いたような話。1000年たっても同じことをやっているのだな、人間は。

　ただ、この映画はブッシュ大統領を喜ばせるような単純な物語にはなっていない。キリスト教徒もイスラム教徒も好戦的で野蛮なのは同じ。なぜかユダヤ教徒が平和を愛する無辜の民として描かれているのが不可解なのだが、これはわたしが宗教史に詳しくないからよく理解できないのだろう。十字軍の遠征のころ、ユダヤ教徒というのはこのように一方的に被害者だったのだろうか。

　エルサレムではユダヤ教徒もイスラム教徒も共存混住していて、むしろ悪いのは闖入者のキリスト教徒に思えてくる。この映画は、イスラム教徒を父に持ち、キリスト教徒を母に持つ男を主人公に据えたことにより、複雑な人間関係と心理を巧みに織りなして、物語に奥行きをもたせることに成功した。

　主人公のアレッサンドロ・ガスマンって、美形のアラビアン。エキゾティックで素敵。惚れたわぁ。ドイツ・イタリア合作なのに、登場人物全員が英語をしゃべっていたのが解せなかった。ほんとに異教徒同士であんなに言葉が通じるのかな？？？

　異教徒たちが戦争している今こそ、こういう映画をみていろいろ考えたいものだ。十字軍の結果、アラビアの先進科学が西洋にもたらされたという史実もよくわかって興味深い。

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１１世紀の混迷のヨーロッパ大陸の壮大なる歴史ロマン、堪能。
前半は、やたらアップ画面が多く、ちょっと引いてしまった。アラビアンの良い男、A・ガスマン君のお顔が超アップ。TV映画？と、ケチケチさんのご意見に同感ですが、これは、劇場作品なんでしょうね。TV画面から離れて観てしまった。濃厚過ぎて・・・

中世の宗教形態、神の名のもとに因る聖地挽回作戦。誕生、恋、そして友情、裏切り、略奪、殺戮、再生、帰還、愛の成就、そして聖者の眠る墓・・・何と、盛りだくさんなストーリー展開。天文、科学、文学的素養まで盛り込まれています。

昔は、異教徒同士が違和感なく平和に共存していたのでしょう。
キリスト教皇の命令は、聖地への純粋な民の巡礼の旅を奪ってしまった様に感じました。神の名のもとの流血は、一体、何を残したのだろうか？脈々と現代にまで続く争いの源を見る気がしました。
私は、あまり戦闘シーンが多いのは好みませんので、出来れば、もう少し尺が短くても良かったかな？とも。
後半の、故郷に戻り、新たなスタートラインに立つ姿は感銘を。
個人的には、聖人となったリチャードが好みかな？また、懐かしいフランコ・ネロの姿は、嬉しかった。
人それぞれの好みもありますが、壮大な歴史ロマン好きにはお勧めかも。時間２００分。長く感じるか？は、あなた次第です。

掘り出し物の映画というレビューを参考にレンタルしてみました。
街のＴＵＴＡＹＡさんでは置いていませんでした。
１２０分というのは誤り、２００分あります。覚悟して鑑賞しましょう。
聖地をめざした十字軍とは・・を問うた作品。今のイスラエルとの中東戦争を思いださせてくれました。
映画でも？聖地は不毛の地に見えました。
憎しみの連鎖が見事に続いていることを認識させてくれました。
確かになかなかの作品でした。
この作品はキリスト教徒やイスラム教徒の人はどう感じるのでしょうね？知りたいものです。

劇場未公開なんですね。＞吟遊旅人さん
レビューは一切読まずに、予備知識も持たないようにして見ていますので、見終わるまで知りませんでした
でも、劇場用に作られた物なんでしょうかね？やたらとアップがタイト気味なので、もしかしてTV用に作られたのかな？と見ている最中は思いました。

内容については、吟遊旅人さんが書かれているとおり、主要人物三人の個性がうまく生かされている脚本ですし、演出も良く、非常に楽しめました。内容的にも難しくありませんので、ちょっと昔まであった、お正月の戦国時代劇を見るような感覚で、ちびちびお酒を飲みながらの200分。
予算的な問題でしょうが、昨今の映画を見慣れていると、壮大さに欠けるのがちょっと惜しいですね。

脚本の良さに敬意を表して、5段階評価は4。

お金をかけているのは分かりますが、ホントにTV版の歴史物に見えました。脚本の内容が薄っぺらなのと役者さんが下手なせいではないでしょうか。歴史観を養う面では、なるほどなーと思わせるところもあり、時間の無駄とはいいませんが、あー面白くない映画だこと。期待を裏切られるとホントがっかりしてしまいます。