ドグラ・マグラ / 二代目 桂枝雀
ドグラ・マグラ
/松本俊夫
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(5)
解説・ストーリー
夢野久作による怪奇探偵小説「ドグラ・マグラ」を映像化した野心作。殺人を犯して記憶喪失におちいった青年・呉一郎は、精神科医・若林のもとで治療を受けていた。若林の言によると、正木敬之という博士が呉一郎の担当医だったが、治療の途中で死亡したという。呉一郎は正木博士の残した論文に目を通すが、気がついたとき、死んだはずの正木博士が現れる……。 JAN:4907953067356
夢野久作による怪奇探偵小説「ドグラ・マグラ」を映像化した野心作。殺人を犯して記憶喪失におちいった青年・呉一郎は、精神科医・若林のもとで治療を受けていた。若林の言によると、正木敬之という博士が呉一郎の担当医だったが、治療の途中で死亡したという。呉一郎は正木博士の残した論文に目を通すが、気がついたとき、死んだはずの正木博士が現れる……。 JAN:4907953067356
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「ドグラ・マグラ」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
夢野久作による怪奇探偵小説「ドグラ・マグラ」を映像化した野心作。殺人を犯して記憶喪失におちいった青年・呉一郎は、精神科医・若林のもとで治療を受けていた。若林の言によると、正木敬之という博士が呉一郎の担当医だったが、治療の途中で死亡したという。呉一郎は正木博士の残した論文に目を通すが、気がついたとき、死んだはずの正木博士が現れる……。 JAN:4907953067356
「ドグラ・マグラ」 の作品情報
「ドグラ・マグラ」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
ドグラ・マグラの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
109分 |
英 |
日:モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DIGR1012 |
2016年04月02日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
6枚
|
0人
|
0人
|
ドグラ・マグラの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
109分 |
英 |
日:モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DIGR1012 |
2016年04月02日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:5件
狂気を演じる狂気
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
待望のこの作品がDVDでリリースされて喜ばしい限りです。
江戸川乱歩や横溝文学よりも、幻想的で特に映像化が難しいと言われていた夢野久作の名作。
題材が「狂気」をテーマにしている事から、いったい何が正しいのかを見極めようとすると、
益々混乱するように仕組まれている原作を見事に映像化していると思います。
もう一つは、桂枝雀、松田洋治、室田日出男それぞれベースが違う役者の個性のぶつかり合いが、
この映画の狂気具合をさらに盛り上げています。
今でも枝雀師匠の落語を聞くと、面白さの根底にある狂気と言った部分を感じ取る事があります。
そこが笑いのツボでもあるのですが...。
この作品に出てくる正木博士も、表面上の愉快さの裏側に、研究者としての狂気的な部分があって、
それは、枝雀師匠の落語に対する姿勢に共通する事なのかも知れません。
自分のイメージとして、松田洋治はアイドル路線じゃない思春期タレントとして、特に「家族ゲーム」の
イメージが強いですが、この作品の突っ込んだ演技と言い、
当時から、とても上手な役者さんだったんですね。
現在でこういった作品は、恐らく作られる事は無いと思います。
作ったとしても、何か垢抜け過ぎていて、視聴者に媚びた役者が起用されたり、
妥協の産物になるのでしょう。
この映画は、制約に捕らわれなかった最後の名残なのかも知れません。
このレビューは気に入りましたか?
9人の会員が気に入ったと投稿しています
頭の中がカオス
監督:松本俊夫(1988年・日本・109分)
原作:夢野久作『ドグラ・マグラ』
日本三大奇書の一つに数えられている小説の映画化作品です。
読んだ者は、必ず一度は精神に異常を来すと言われているそうです。私は、本作視聴前に読みましたが・・・
確かに原作小説は奇妙奇天烈で、分かったつもりでいたら、次の瞬間には惑わされているような、何とも説明しがたい代物(しろもの)でした。
本の扉に巻頭歌と称して次の文が掲げられています。
胎児よ
胎児よ
何故踊る
母親の心がわかって
おそろしいのか
映画の冒頭でもこの巻頭歌が映し出されます。
小説と映画の世界が私の中でゴッチャになってしまいましたが、
胎児は、母親の胎内で十月十日を過ごすと言われますが、その期間に胎児は太古からの進化の歴史を夢に見るというのです。
要約は難しいのですが、本作で正木博士(桂枝雀)が証明して見せたかったのは、「心理遺伝」だと思います。
顔や性格が遺伝するように、人の心理(精神性)も遺伝するということのようです。
舞台となるのは1926年頃の九州帝国大学医学部の精神病科です。
記憶喪失の患者に、自力で名前や自分が何者であるのかを思い出させようとしています。
この記憶喪失の患者を演じるのが、松田洋治。そして、若林博士(室田日出夫)と正木博士(桂枝雀)が治療にあたります。
差し障りはない筈なので書きますが、この青年は呉一郎(くれ・いちろう)と言い、祖先は中国・唐の時代の呉青秀(ご・せいしゅう)なのです。
呉青秀が書き遺した絵巻物が、重大な秘密の鍵であり、何代も子孫の青年にまで影響しているのでした。
原作の内容が多岐に亘り、あちらに飛び、こちらに飛び・・・という風なので、あらすじさえ書くのが困難です。
ただ、桂枝雀さんが演じる正木博士は一見の価値があると思います。
枝雀さんと言えば、落語の時も目に狂気を感じることがあったのですが、本作でもにこやかに怪演しています。(笑)
もうひとつ、先程の絵巻物は「九相図」というらしいのですが、小説では文章から想像するだけでしたが、本作では9段階の絵として描かれており、呉青秀の狂気と行動が、形として表されていました。
原作者の夢野久作氏ですが、これはペンネームで、福岡の方言で“夢想家”のこと。
なお、「ドグラ・マグラ」とは、切支丹伴天連の使う幻魔術の事を言った長崎地方の方言だそうです。
漢字を当てるなら「堂巡目眩」あるいは「戸惑面喰」の様で、これらの漢字から意味を推し測るのが良いようです。
また、日本三大奇書の残り二つは、小栗虫太郎著「黒死館殺人事件」と、中井英夫著「虚無への供物」だそうです。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
ドグラマグラてなことを申しまして。
投稿日:2017/04/14
レビュアー:ぴよさん
松本俊夫氏が亡くなった。60年代前衛的実験映画の第一人者…らしいが
浅学につき、詳しくは知らない。彼の実験的なフィルムも観たことが無い。
観たことがあるのは『薔薇の葬列』と、この『ドグラ・マグラ』だ。
日本三大奇書の一つ、夢野久作の『ドグラ・マグラ』 たとえばD・リンチ
が『イレイザー・ヘッド』で作って見せた世界は、とてもドグマグ的だった。
ドグラマグラ本編に於いては、例えば中盤、正木教授による精神学的考察や
証人による事件の証言が、延々と描写されたりする所。イメージの描写と
叙述的な描写をどう両立させ、脚本化するか、それとも何かを放棄するか。
夢野の文章が紡ぐ世界は悪夢的で、読む者(イメージする者)の狂気に
触れてくる。理解しようと不用意に心を預けると、忌まわしく汚されてし
まうような感じだ。おそらく読み込み、入り込んで、具体化しようという
過程で、作り手や演じ手は何かに感染する。心を侵食される。
この作品で、桂枝雀は侵されている感じがある。落語家は物語を読んで
諳んじるにとどまらず、身中に「取り込んで」しまうからだ。それが笑い話
なら、まだいい。枝雀が例えば『胴切り』を話す時、ただ胴を分断された人
の様子を話すだけではない。生きていられるはずのない上半身が、易々と
状況を受け入れて暮らすサマを「本当に喜々として」演じるのだ。
その時の枝雀の「目」の怖さ。また『義眼』で、目を飲み込む瞬間の描写。
枝雀はその悪夢的イメージと手をつなぎ、戯れてみせる。笑いと、仄見え
る狂気が表裏一体となる瞬間。
対して松田洋治は、俳優として脚本を再生している。戸惑いや狂いを
ちゃんと演じているのだ。距離をとっているから、侵されていない。
そして松本俊夫の演出も決して前衛的で無く、むしろ常識的だ。きちんと
原作を映像化することに徹している。「狂人解放治療場」なんかもちゃんと
分かりやすく実体化し、舞台として成立させている。(これは『ツィゴイネ
ルワイゼン』の木村威夫の手柄だろうが)
「奇怪な映画」とも、前衛的な作風とも、評せない。真面目な作品だと思う。
ああ、願わくば「ドグラ・マグラ」という演目の枝雀の落語を観てみたかった。
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3人の会員が気に入ったと投稿しています
奇才。
先日、なんとなくチチ松村さんと中島らもさんの対談の本を読んだ。
なんか、ぶわーーーーっと、思いもしなかった感情がこみ上げてきて、
ああ、ここでこうやってしゃべってるこのおっちゃん、もういないんだ、
とぼんやり思った。
桂枝雀さんも、もういないんだ。
この映画、ドグラマグラは桂枝雀さんの映画だと思っている。
枝雀さんという人を意識して見たことがなかった。
関西で、落語やってて、頭がうすくて、いつもへらへらわらってるおっちゃん。
それだけの印象。
ところが、このおっちゃん、すごい方だったんだと思い知る。
多分、というわたしの推測でしかないんだけど、
松本敏夫監督がああだこうだ特段の指示をしなくても、
松本監督の頭の中に描いていた絵が枝雀さんによってぱーーーーって
開けて行ったんじゃないか。
小説は未読だけど、どうにもこうにも、映像にまとめてぽんってできるような
代物じゃなさそうな感じは分かる。
でも、枝雀さんを中心にぐるぐるその世界が渦巻いて、
ドグラマグラっていう世界を作り出せてる、そんな感じがする。
だいすきな松田洋司。
私、として話をまわしていく難しい役だ。
この人は、いつも普通のかっこして、普通の顔して、でも
どこだかわからないけど普通じゃない人を演じるのがうまい。
ど真ん中に立って大声を出してるわけじゃない。
強烈な印象も与えない。
でも、見た後何年も忘れられない印象を残していく。
不思議な俳優さんだ。
このアンポンタンポカンくんなへんてこ極まりない世界の中でも、
ひとり飄々と普通に立っている。
室田日出男さんはいつもなら強い存在感をみせてくれるんだけど、
この映画の中では完全に枝雀さんと松田さんのすみに追いやられている感じ。
枝雀師匠は私生活で病を抱え、大変苦労されたようだ。
奇才って、はたからみるとなんだかすごくて凡人には理解できないような世界を
見れる人な感じがしてうらやましいけれど、
当の本人にとっては、かかえきれない重たいものなのかもしれない。
中島らもさんも、枝雀師匠と同じ匂いがする。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
カルト映画 DVDとしては初降臨 桂枝雀の名演
映画「ドグラ・マグラ」(1988年公開、カラー、109分)の初DVD化であろうと思います。
VHS時代は、レンタルされていたと思います。私は、それで見ました。
原作は、夢野久作(1889〜1936)が、1935年に書き下ろし刊行した長編小説です。
久作は、戦前の1936年に亡くなっていますから、死後、今年で80年経つのです。
彼は47歳で、急死しています。
この「ドグラ・マグラ」を、10年前から着想し、1935年に刊行したのですが、この作品を推敲し、さらに高い作品をして書き直したいと思っていたようです。
福岡県出身。家は、裕福な時期とそうでない時期が交代する。
彼の経歴も、陸軍少尉、出家、農園主、謡曲教授、新聞記者……と変転する。
原作も、映画も、幻想的ではありません。
ここが眼目です。
私小説であり、映画も冷静に撮っている。ホラーでもない。
実に真面目な私小説作品なのです。
人物も、壊れてしまったように思えるが、それは、壊れた社会に焼かれた、真面目な人間像です。
映画「ドグラ・マグラ」を撮った、松本俊夫(1932年生)監督にとって、この映画は、初期の実験映画ではない。
この監督は、「銀輪」(1955)、「潜凾」(1956)、「300トン・トレーラー」(1959)、「安保条約」(1959)、
「西陣」(1961)、「西陣」(1961)、「母たち」(1967)などの短編を撮ったあと、長編映画に行く。
「ドグラ・マグラ」は、今日現在(2016年4月25日)、長編の最新作品ということになろう。
物語は、戦前の1926(大正15)年、九州帝大の医学部の独房にいる若い精神病患者「私」(松田洋治)が語る。
彼を診察するのが、そこの教授・正木敬之(桂枝雀)である。
ここから、「私」と正木によって、驚くべき会話が交換される。
一人称による会話を証言するためん、若林教授(室田日出男)がいる。
夢野久作の原作は、ほとんどすべて、「青空文庫」で読め、この「ドグラ・マグラ」も読める。
映画は、原作を、加工している。
それで、良い、と思う。
原作を徹底的に刈り込む。
原作者が、「幻想」とも「常識への被害妄想」とも思わなかった、過度に表現された細胞を切除する。
すると、意外と、近代の私小説家が浮かび上がるだろう。
「和解」できた志賀直哉ではなく、宇野浩二のような、憤死した作家を。
夢野久作の小説は、会話が極度に少ないのである。
独白体や書簡体がほとんどである。
この小説は、不合理で不徹底な「家祖父」「家長」と、「父兄」、異母兄弟との「八俣の大蛇」の闘いの犠牲になった男の話なのだ。
ここまで、桂枝雀(1939〜1999)のことを、書かなかった。
この映画における桂雀師の演技は、とても自然である。
世間がおかしくなっているのであって、桂枝雀は自然であった。
いつも、天才は、鏡なのだが、世間がそれを観終えたあと、かれは次の鏡になっている。
「いわゆる、ドッペルゲンガーという奴!」と正木博士は、しみじみと言う!
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
狂気を演じる狂気
投稿日
2016/04/18
レビュアー
土豆
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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待望のこの作品がDVDでリリースされて喜ばしい限りです。
江戸川乱歩や横溝文学よりも、幻想的で特に映像化が難しいと言われていた夢野久作の名作。
題材が「狂気」をテーマにしている事から、いったい何が正しいのかを見極めようとすると、
益々混乱するように仕組まれている原作を見事に映像化していると思います。
もう一つは、桂枝雀、松田洋治、室田日出男それぞれベースが違う役者の個性のぶつかり合いが、
この映画の狂気具合をさらに盛り上げています。
今でも枝雀師匠の落語を聞くと、面白さの根底にある狂気と言った部分を感じ取る事があります。
そこが笑いのツボでもあるのですが...。
この作品に出てくる正木博士も、表面上の愉快さの裏側に、研究者としての狂気的な部分があって、
それは、枝雀師匠の落語に対する姿勢に共通する事なのかも知れません。
自分のイメージとして、松田洋治はアイドル路線じゃない思春期タレントとして、特に「家族ゲーム」の
イメージが強いですが、この作品の突っ込んだ演技と言い、
当時から、とても上手な役者さんだったんですね。
現在でこういった作品は、恐らく作られる事は無いと思います。
作ったとしても、何か垢抜け過ぎていて、視聴者に媚びた役者が起用されたり、
妥協の産物になるのでしょう。
この映画は、制約に捕らわれなかった最後の名残なのかも知れません。
頭の中がカオス
投稿日
2021/06/22
レビュアー
kazupon
監督:松本俊夫(1988年・日本・109分)
原作:夢野久作『ドグラ・マグラ』
日本三大奇書の一つに数えられている小説の映画化作品です。
読んだ者は、必ず一度は精神に異常を来すと言われているそうです。私は、本作視聴前に読みましたが・・・
確かに原作小説は奇妙奇天烈で、分かったつもりでいたら、次の瞬間には惑わされているような、何とも説明しがたい代物(しろもの)でした。
本の扉に巻頭歌と称して次の文が掲げられています。
胎児よ
胎児よ
何故踊る
母親の心がわかって
おそろしいのか
映画の冒頭でもこの巻頭歌が映し出されます。
小説と映画の世界が私の中でゴッチャになってしまいましたが、
胎児は、母親の胎内で十月十日を過ごすと言われますが、その期間に胎児は太古からの進化の歴史を夢に見るというのです。
要約は難しいのですが、本作で正木博士(桂枝雀)が証明して見せたかったのは、「心理遺伝」だと思います。
顔や性格が遺伝するように、人の心理(精神性)も遺伝するということのようです。
舞台となるのは1926年頃の九州帝国大学医学部の精神病科です。
記憶喪失の患者に、自力で名前や自分が何者であるのかを思い出させようとしています。
この記憶喪失の患者を演じるのが、松田洋治。そして、若林博士(室田日出夫)と正木博士(桂枝雀)が治療にあたります。
差し障りはない筈なので書きますが、この青年は呉一郎(くれ・いちろう)と言い、祖先は中国・唐の時代の呉青秀(ご・せいしゅう)なのです。
呉青秀が書き遺した絵巻物が、重大な秘密の鍵であり、何代も子孫の青年にまで影響しているのでした。
原作の内容が多岐に亘り、あちらに飛び、こちらに飛び・・・という風なので、あらすじさえ書くのが困難です。
ただ、桂枝雀さんが演じる正木博士は一見の価値があると思います。
枝雀さんと言えば、落語の時も目に狂気を感じることがあったのですが、本作でもにこやかに怪演しています。(笑)
もうひとつ、先程の絵巻物は「九相図」というらしいのですが、小説では文章から想像するだけでしたが、本作では9段階の絵として描かれており、呉青秀の狂気と行動が、形として表されていました。
原作者の夢野久作氏ですが、これはペンネームで、福岡の方言で“夢想家”のこと。
なお、「ドグラ・マグラ」とは、切支丹伴天連の使う幻魔術の事を言った長崎地方の方言だそうです。
漢字を当てるなら「堂巡目眩」あるいは「戸惑面喰」の様で、これらの漢字から意味を推し測るのが良いようです。
また、日本三大奇書の残り二つは、小栗虫太郎著「黒死館殺人事件」と、中井英夫著「虚無への供物」だそうです。
ドグラマグラてなことを申しまして。
投稿日
2017/04/14
レビュアー
ぴよさん
松本俊夫氏が亡くなった。60年代前衛的実験映画の第一人者…らしいが
浅学につき、詳しくは知らない。彼の実験的なフィルムも観たことが無い。
観たことがあるのは『薔薇の葬列』と、この『ドグラ・マグラ』だ。
日本三大奇書の一つ、夢野久作の『ドグラ・マグラ』 たとえばD・リンチ
が『イレイザー・ヘッド』で作って見せた世界は、とてもドグマグ的だった。
ドグラマグラ本編に於いては、例えば中盤、正木教授による精神学的考察や
証人による事件の証言が、延々と描写されたりする所。イメージの描写と
叙述的な描写をどう両立させ、脚本化するか、それとも何かを放棄するか。
夢野の文章が紡ぐ世界は悪夢的で、読む者(イメージする者)の狂気に
触れてくる。理解しようと不用意に心を預けると、忌まわしく汚されてし
まうような感じだ。おそらく読み込み、入り込んで、具体化しようという
過程で、作り手や演じ手は何かに感染する。心を侵食される。
この作品で、桂枝雀は侵されている感じがある。落語家は物語を読んで
諳んじるにとどまらず、身中に「取り込んで」しまうからだ。それが笑い話
なら、まだいい。枝雀が例えば『胴切り』を話す時、ただ胴を分断された人
の様子を話すだけではない。生きていられるはずのない上半身が、易々と
状況を受け入れて暮らすサマを「本当に喜々として」演じるのだ。
その時の枝雀の「目」の怖さ。また『義眼』で、目を飲み込む瞬間の描写。
枝雀はその悪夢的イメージと手をつなぎ、戯れてみせる。笑いと、仄見え
る狂気が表裏一体となる瞬間。
対して松田洋治は、俳優として脚本を再生している。戸惑いや狂いを
ちゃんと演じているのだ。距離をとっているから、侵されていない。
そして松本俊夫の演出も決して前衛的で無く、むしろ常識的だ。きちんと
原作を映像化することに徹している。「狂人解放治療場」なんかもちゃんと
分かりやすく実体化し、舞台として成立させている。(これは『ツィゴイネ
ルワイゼン』の木村威夫の手柄だろうが)
「奇怪な映画」とも、前衛的な作風とも、評せない。真面目な作品だと思う。
ああ、願わくば「ドグラ・マグラ」という演目の枝雀の落語を観てみたかった。
奇才。
投稿日
2017/08/29
レビュアー
真
先日、なんとなくチチ松村さんと中島らもさんの対談の本を読んだ。
なんか、ぶわーーーーっと、思いもしなかった感情がこみ上げてきて、
ああ、ここでこうやってしゃべってるこのおっちゃん、もういないんだ、
とぼんやり思った。
桂枝雀さんも、もういないんだ。
この映画、ドグラマグラは桂枝雀さんの映画だと思っている。
枝雀さんという人を意識して見たことがなかった。
関西で、落語やってて、頭がうすくて、いつもへらへらわらってるおっちゃん。
それだけの印象。
ところが、このおっちゃん、すごい方だったんだと思い知る。
多分、というわたしの推測でしかないんだけど、
松本敏夫監督がああだこうだ特段の指示をしなくても、
松本監督の頭の中に描いていた絵が枝雀さんによってぱーーーーって
開けて行ったんじゃないか。
小説は未読だけど、どうにもこうにも、映像にまとめてぽんってできるような
代物じゃなさそうな感じは分かる。
でも、枝雀さんを中心にぐるぐるその世界が渦巻いて、
ドグラマグラっていう世界を作り出せてる、そんな感じがする。
だいすきな松田洋司。
私、として話をまわしていく難しい役だ。
この人は、いつも普通のかっこして、普通の顔して、でも
どこだかわからないけど普通じゃない人を演じるのがうまい。
ど真ん中に立って大声を出してるわけじゃない。
強烈な印象も与えない。
でも、見た後何年も忘れられない印象を残していく。
不思議な俳優さんだ。
このアンポンタンポカンくんなへんてこ極まりない世界の中でも、
ひとり飄々と普通に立っている。
室田日出男さんはいつもなら強い存在感をみせてくれるんだけど、
この映画の中では完全に枝雀さんと松田さんのすみに追いやられている感じ。
枝雀師匠は私生活で病を抱え、大変苦労されたようだ。
奇才って、はたからみるとなんだかすごくて凡人には理解できないような世界を
見れる人な感じがしてうらやましいけれど、
当の本人にとっては、かかえきれない重たいものなのかもしれない。
中島らもさんも、枝雀師匠と同じ匂いがする。
カルト映画 DVDとしては初降臨 桂枝雀の名演
投稿日
2016/04/25
レビュアー
ちゅく
映画「ドグラ・マグラ」(1988年公開、カラー、109分)の初DVD化であろうと思います。
VHS時代は、レンタルされていたと思います。私は、それで見ました。
原作は、夢野久作(1889〜1936)が、1935年に書き下ろし刊行した長編小説です。
久作は、戦前の1936年に亡くなっていますから、死後、今年で80年経つのです。
彼は47歳で、急死しています。
この「ドグラ・マグラ」を、10年前から着想し、1935年に刊行したのですが、この作品を推敲し、さらに高い作品をして書き直したいと思っていたようです。
福岡県出身。家は、裕福な時期とそうでない時期が交代する。
彼の経歴も、陸軍少尉、出家、農園主、謡曲教授、新聞記者……と変転する。
原作も、映画も、幻想的ではありません。
ここが眼目です。
私小説であり、映画も冷静に撮っている。ホラーでもない。
実に真面目な私小説作品なのです。
人物も、壊れてしまったように思えるが、それは、壊れた社会に焼かれた、真面目な人間像です。
映画「ドグラ・マグラ」を撮った、松本俊夫(1932年生)監督にとって、この映画は、初期の実験映画ではない。
この監督は、「銀輪」(1955)、「潜凾」(1956)、「300トン・トレーラー」(1959)、「安保条約」(1959)、
「西陣」(1961)、「西陣」(1961)、「母たち」(1967)などの短編を撮ったあと、長編映画に行く。
「ドグラ・マグラ」は、今日現在(2016年4月25日)、長編の最新作品ということになろう。
物語は、戦前の1926(大正15)年、九州帝大の医学部の独房にいる若い精神病患者「私」(松田洋治)が語る。
彼を診察するのが、そこの教授・正木敬之(桂枝雀)である。
ここから、「私」と正木によって、驚くべき会話が交換される。
一人称による会話を証言するためん、若林教授(室田日出男)がいる。
夢野久作の原作は、ほとんどすべて、「青空文庫」で読め、この「ドグラ・マグラ」も読める。
映画は、原作を、加工している。
それで、良い、と思う。
原作を徹底的に刈り込む。
原作者が、「幻想」とも「常識への被害妄想」とも思わなかった、過度に表現された細胞を切除する。
すると、意外と、近代の私小説家が浮かび上がるだろう。
「和解」できた志賀直哉ではなく、宇野浩二のような、憤死した作家を。
夢野久作の小説は、会話が極度に少ないのである。
独白体や書簡体がほとんどである。
この小説は、不合理で不徹底な「家祖父」「家長」と、「父兄」、異母兄弟との「八俣の大蛇」の闘いの犠牲になった男の話なのだ。
ここまで、桂枝雀(1939〜1999)のことを、書かなかった。
この映画における桂雀師の演技は、とても自然である。
世間がおかしくなっているのであって、桂枝雀は自然であった。
いつも、天才は、鏡なのだが、世間がそれを観終えたあと、かれは次の鏡になっている。
「いわゆる、ドッペルゲンガーという奴!」と正木博士は、しみじみと言う!
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- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ご利用の流れ
@ 会員登録
申し込みフォームへ記入したら登録完了!
A 作品をレンタル
借りたい作品をリストアップするだけ!
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B ポストに返却
商品をポストに投函すればOK!
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※1 無料お試し期間中の「新作」レンタルは対象外です。
ドグラ・マグラ
※こちらはイメージ画像になります。