ジョンＱ　最後の決断

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　だいぶ前に観ていたのですが、レビューしないままになっていて、たまたま地上波でやっていたので再見しました。
　まあ、日本語吹き替えになってしまうと、どうしても重厚さが無くなり、緊迫感が嘘臭くなってしまうので、しょうがないのですがテーマの割には薄〜い印象しか残りません。
　デンゼル・ワシントンは良い役者だとは思うのですが、あくまでも善人しかやりたがらないのでしょうね。本作においても、犯罪行為に手を染めながらも、病床の息子のためという言い訳があるので、善人で通します。まわりも善人ばかりで、感動というかカタルシスも確かにあるのですが、どこか嘘臭いというのか、リアリティに欠けるような気がするのです。（「ドリームズ・カム・トゥルー」の全てが善人というのとは、質が違うのです）

　「息子のためなら、どんなことだってやってやる」
という覚悟の強さが今ひとつ伝わってきません。子供を持つ親として、大いに感情移入は出来ますが、
「そんなもんじゃないだろう。もっと、もっと必死なはずだよ！」
と、胸の奥で叫んでいるのです。
　子を持つ親として・・・あるいは愛する者を持つ身として、そんな相手が「金さえあれば」助けられるような病気になったとしたら、どうするでしょう。
　誰もが思うはずです。
自分の命などいらない。
必死になって全力でできることを模索する。

　だからといって、犯罪に手を染めるかというとそういうことは、現実にはありえない（こともないか・・）
　フィクションの映画（しょせん絵空事と言っても）であっても、認めてはいけない行為を正当化するための強いモチベーションが感じられないのは、脚本の弱さのせいでしょうか。
　ドナーが見つかったことを知らずにジョンは自殺してしまった方が（自殺も、認めてはいけないことですが）ドラマとしての整合性が取れたような気もします。

　ＨＭＯの制度に対する批判がメインのプロパガンダの臭いがする点も問題ですが、臓器移植や保険制度に関して考えさせられることは多々あります。私も、すべての臓器に関してドナー登録はしていますが（私の臓器をもらう人が気の毒だと、かみさんは言いますが・・）実際に臓器バンクがどれくらい有効に稼働しているのかと言えば、ちょっと悲しくなるような実態です。

　ちょっときれいにまとめすぎているので、一応は感動作なのですが、辛目のレビューでした。

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（公開時映画館で見たときの感想）
なんだかB級映画の匂いのする映画だなあ。
いきなり交通事故のシーンではじめて、「最後に子供は助かるんだ」ということを示唆しているのは、ハラハラ感をそがないか？
デンゼルの奥さん役の人もあまりきれいじゃないし（その後デンゼルの出演映画で時々見かけますが）、息子役の子もいたって普通の感じ。
医療保険制度というアメリカの社会問題をあつかっている点は評価できるが、ほかの移植希望患者を差し置いて、自分の息子を先に治せと要求するのはあまりにも乱暴じゃないか？
だいたいってＨＭＯよく知らないし。
と、こんなことを話し合った映画友達のAちゃんは、いまや異国の空の下。会いたいな。

（再見後の感想）
医療ドラマ「グレイズ・アナトミー」にはまっていることや、マイケル・ムーアの「シッコ」をみたこともあり、医療や保険の問題に興味をもち、見直してみた。

アメリカのほとんどの労働者が加入しているＨＭＯ（Health Maintenance Organization)。
私は夫の駐在時代に入っていた自分の保険がＨＭＯだったことに、「シッコ」をみて初めて気づいたのだが、ＨＭＯといってもいろいろな種類があり、どのくらいの保険料を払っているかによって、coverageがかなり違うようだ。
この映画の主人公ジョンの年収は１万８０００ドル、日本円にすると２００万円ちょっとというところだろうが、ジョンも奥さんも低賃金ながらきちんと仕事をして、welfareのお世話になっていないことを誇りに思っている。

しかし、息子の心臓移植にかかる費用は最低２５万ドル。
そして保険の担当職員はいう。「生活保護は受けてませんよね。困りましたね。」
つまりちゃんと働いて保険を払っているというのに、ＨＭＯでは心臓移植は受けられないのだ。

デンゼルの体つきが、ほかの映画にくらべてちょっとブヨブヨしてるような気がするのですが、「低所得者ほど肥満率が高い」というのはアメリカではみんな知ってる事実で、役作りのためにわざと太ったのだろうか？

冷酷非道な病院長（アン・ヘッシュ）や有名心臓外科医（ジェームス・ウッド）の憎らしさがうまいです。ひとりひとりの医療関係者は何とかして患者を救いたいという気持ちを持っているにかかわらず、拒否しなければならない現実。病院や保険会社という組織についても考えてしまいます。

心臓提供者が運良く現れるなどうまく行き過ぎの部分もあるけど、いろいろ考えさせる映画です。（Ｂポジティブって珍しい血液型なんだ!私Ｂ＋です。）「シッコ」とあわせて見ることをお勧めします。

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よふかしさんの「ザ・シューター」のレビューを真似させていただきました。

おそらく実際にこんな目に遭っている人たちもたくさんいるのでしょうね。
お金がなくて子供の命が救えない・・・
とても辛いことですし、アメリカの保険制度も問題点を抱えているのも
よくわかります。

でも、その割りになんだかリアリティが感じられない気が・・・

ロバート・デュバルはともかく、警察は間抜けすぎるし
あんなに事務的で冷たかった病院長が急に良い人になっちゃうし
タイミングよく適合する心臓が見つかって（しかも多くの待機者の中で
たったひとりだけ適合するなんて・・・）

失業問題や保険の問題の問題提起としては成功なのかもしれません。
でも、ドラマとしてはもうひとつ・・・といったところでしょうか。

冒頭のシーンの無理な追越による事故というのも
あんまり見せ方として好感が持てませんでした。
なんだろう、ショッキングな描き方で感情を煽ろうとするような・・・
あざとい感じですね。
でも、くれぐれも無理な追越などの無謀運転には気をつけないと！
という教訓は心に刻みましたけどね。

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純粋な父親像をみました。
病院に立てこもって、息子を移植リストに載せることを要求するのですが犯罪行為は犯罪行為です。
しかし、人の情ってのがデンゼル演じるジョンを応援していきます。

思いやり、愛、医療制度、保険制度、裁判制度に対しての問題提起といった作品です。

脱線しますが
もし、日本で心臓移植受けたい場合はどうなんでしょうか？
ドナーカードの提出している方が事故にあって
移植コーディネーターがあてはまる条件を導き出した時なのでしょうか？
よく、ニュースで○○ちゃん渡米にて心臓移植。募金募集というのを見ます。国内では無理なんでしょうか？
さらに言えば、発展途上国ではまずアウトの状況ってことですよね。

世界規模の医療格差って怖いですよね。経済、宗教が絡みますから

蛇足で申し訳なかったのですがいろいろなことを考えさせてくれる作品でした。

　アメリカの医療保険問題を訴えつつ私たちの日本はどうなのか、もし同じ立場に立った時自分はどう行動するか、逆に息子の場合はどうか、などいろいろ考えさせられます。メッセージ性の強い映画ですね。