宇宙のステルヴィア

全編観ての感想です。
かなり面白かったです。次々に襲いかかる人類滅亡の宇宙的異変に、主人公達が全身全霊で挑む姿が感動的です。重厚なＳＦ設定の中での人間ドラマも魅力的。泣き笑いしながら、苦悩しながら成長していく登場人物達に目が離せません。特にしーぽんが良いですね。
ちなみに、異星人との戦争ものではありませんからね。
さわやかな感動を与えてくれるＳＦ青春アニメ。お勧めです。

個人的には隠れたＳＦジュブナイルアニメの名作だと思っています。登場人物たちのベタなキャラデザインのせいで、敬遠してしまうヒトも多いと聞いていますが、慣れてくるとあまり抵抗感がなくなってきますので、ぜひ最後まで見て欲しい骨太の作品です。

超新星爆発によって引き起こされた電磁パルスと放射線が、大津波のように何波にもわたって太陽系に押し寄せてくるという危機的な状況の中での、宇宙ステーションを舞台にしたＳＦ学園ものといえますが、人類の破滅に立ち向かっていく物語と並行しながら、宇宙船パイロット候補生の少年少女たちの恋や友情、葛藤などがとっても素直に語られていて、最後まで楽しく見ることができます。

後半、謎の知的生命体らしきものが出現してからは、ちょっと鬱な展開が続き、ストーリーが駆け足となったのは惜しまれますが・・・どうやら、第２シリーズを企画していたけど、「没ってしまった」というのが大きな原因のようです。

（以下ネタバレじゃないけど全巻見ての感想です）

　　どうしようか。もう一度一巻から通して借りようか？　最終話を見終わった今、ちょっち迷っている。

　　とてつもない名作だ。

　　少年少女たちの成長譚としてはいうに及ばず、SFとしてこんなにも直球勝負で深みのある作品が、今でも可能だという証左。

　　月並みなエピソードが、月並みな顛末を迎えても全体の中での位置づけは月並みではない。一人ひとりのお話が、やがて大きな流れへと合流していく快感。

　　丁寧に練られた物語だとは思うが、決して計算づくではない、作り手の物語への愛情。


　　ひとと自分はちがうことの大切さ。


　　やっぱもう一度借りよう。

　　最終回のレビューにはちょっち不満も書いてしまったが、今回第一話から見直して改めてその完成度の高さに感激。

　　オープニング、主人公のかわいらしいモノローグで舞台背景が語られる。ロリ的な意味でなく、素直にかわいらしいので聞き流してしまいそうだが、人類は壊滅的な災厄に見舞われ、そして189年後。
　　主人公しーぽんの旅立ち、母子分離ができてない母親との別離がうまく描かれている。こういうところで手抜きしてないのが、最終回につながっていくんだな。

　　オンエアから数えて今回で三回目になる。だからね、登場人物に対してもいろんな思いがあるわけよ、初回から。あ、この子も、気張ってるあの子も、あんな経験つらい思いを乗り越えていくんだな・・・・
　　確かに途中学園ラブコメ色が強くなりすぎるきらいもある（と思う、まだ今回はそこまで至っていない）。でも、最終回のレビューでも書いたけど、そういったこそばゆいエピソードも含めて彼らの成長の一場面。こっぱずかしいのが苦手な人も、どうかこの作品だけはぐっとこらえて観てほしい。最後にはとてもさわやかな感動が待っている。

　　あと音楽が魅力だよね。angelaといえば最近ではakiになってしまう昨今ですが、アニメファンならやっぱり「アキのナイangela」でしょう。アチキはステルヴィアでangelaを知ったのですが、このオープニングでいきなしぶっ飛んだのを覚えてます。
　　ま、オープニングはスンごくいい、でも個人的にはエンディングの「綺麗な夜空」が大好きでし。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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（全体を通してのネタバレも含んでいます、あしからず）

「光太君はすっごくできてあたし置いてきぼりだし、
　みんなはあたしが2ヶ月いない間に
　　どんどん新しいことにチャレンジしてるし、
　やよいちゃんは大人だから
　　あたしの悩みなんかわかっちゃうんだろうけど
　　あたしはお子ちゃまだし、
　りんなちゃんは、やっぱりパパやママと一緒だし
　あたし泣いてやる・・」
　　１９話「なきんぼ　おこりんぼ」をごく表層的に要約すれば主人公しーぽんのこうした心理だろうか。
　　いやそれでもいいのだ。学園ものとしてもなかなかよく出来ていて、最後に女の子４人が泣いちゃうシーンは何度見てもオジサンもらい泣きしてます（ちなみに今回４回目）。
　　だが、ドラマ全体から見ると、このエピソードは実に重要な位置にある。

　　ここでおさらい。

　　セカンドウェーブと呼ばれる太陽系壊滅の危機、人類はそれを防がんためにおよそ200年にわたって団結し、見事グレートミッションと名づけた計画をもってその危機を切り抜けた。そこまでが最初の10話。また、13話まではそのグレートミッションの余韻の中で物語りは展開する。
　　全26話中この前半では主人公しーぽんと光太の恋も、徐々に進展していく。
　　しかし14話では謎の飛行物体が現れ、それまで一枚岩であった人類のあいだにもキナ臭い空気が流れ出す。この飛行物体、果たして人類のいずれかのグループの仕業か、あるいは未知の存在か。そして光太としーぽんにもすれ違いが。
　　しーぽんは友達ともギャップを感じはじめ・・・冒頭の「あたしなんか」状態になってしまう。

　　人類相互の摩擦・・・すわ戦争か
　　謎の飛行物体・・・敵か味方か、その目的は
　　少年、少女たち・・・恋と友情の行方

　　三つの相互理解の物語が同時進行していく。それがまたシンクロしているところが脚本のにくいところ。

　　さて本レビューのタイトルはステルヴィア教官カール・ヒュッターが、一人悩む主人公にかける言葉。このオッサンがまた怪しげで、実はほんとに怪しげで・・・・えーと、ま、この言葉もそれだけを取り出すと月並みな助言なのだけど、やはり三つの物語とリンクして眺めてみるとなかなか深みがある。
　　しかも「わかりあう」とか「理解する」ではなく「知りたい」と言ってるとこがいい。
　　すれ違いけんかしていた四人の少女は、みんな泣き出したことで仲直りする。構図としては恥ずかしいくらいお約束。でも和解はしても安易に「わかった」とは言わない。
　　対して光太はラストシーンでこうつぶやく
　「姉さん、女ってやっぱりわかんないよ」

　　子供たちの友情や恋、太陽系内での人類の戦争の危機、異なる知性との邂逅・・・　理解できない、うまくコミュニケーションが出来ないことに端を発するが、無理に相手を理解しようとするのは、往々にして自身の価値判断を押し付けることになる。
　　相手は自分と違うのだという当たり前のことを改めて大前提において、まずは「互いを知りたいと思う」こと。

　　むむむ・・・　いいぞ「ステルヴィア」！

　　残すは7巻と8巻だ！