ラストエグザイル

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もう、あのわけのわからないラスト（最終話）のせいで、この作品は個人的に最低の評価です。

導入部のＣＧで描かれたヴァンシップが飛行する姿は本当に美しかったし、空中戦艦同士の戦いも目を見張るぐらいに迫力があったし、空の描写も奥行きがあってとっても良かったのですが、いかんせん、ストーリー構成が最低レベルだったように思います。

登場人物たちの心情描写も希薄なため、感情移入がほとんどできなかったし、もっぱら傍観者的な立場で映像をながめているだけといった感覚が後半に行くほどどんどん強くなり、背後に膨大な設定があるのでしょうが、それらが時折匂わされるだけで全く見えてこないため、イライラ感も増大していくという悪循環の脚本構成でした。

おまけに、この物語の大きなテーマであったはずの「ラストエグザイル」というもの自体がいったい何物だったのかさっぱり見えて来ず、結果としてラストで何が起こっているのかも不明に終わり、ＴＶの前で呆然としてしまいました・・・。制作者側の自己満足に終わる「典型的なパターンの作品」だったように思います。

人間ドラマなどは期待せずに、美しいＣＧ映像と背景を楽しむだけならば、ちょうどいい鑑賞作品といえるのかもしれません・・・。あと、個人的には、ヒロインであるはずの主人公の幼なじみラヴィに全く魅力を感じられなかったというか、たくさんの登場人物たちの中で一番埋没していたという点も大きな不満要因だったように思います。

この作品をずっと見たくてレンタル化されるのを心待ちにしていました。テレビ放送も見れず、かといってセルＤＶＤも高くて買えず、レンタル化を待望していたのです。何故この作品を待望していたかと言えば、ＧＯＮＺＯ創立１０周年記念作品だからです。ＧＯＮＺＯとはアニメ製作会社のことです。この作品はＧＯＮＺＯのオリジナルアニメーションです。どこぞの雑誌に連載されている漫画が原作ではありません。キャラクターデザイン原案を村田蓮爾、プロダクションデザインを前田真宏、小林誠が務め、ＧＯＮＺＯ名作「青の６号」を彷彿とさせてくれます。「青の６号」のレベルが非常に高かったのでこの作品もきっとレベルの高いものになっているであろうと予想出来たので是非とも見たかったのです。ようやく念願が叶い、嬉しい限りです。

その結果、やはり予想通りのハイレベルなアニメになっていました。ただし、ストーリーがまだ全部わかっていないので何とも言えませんが、作画レベルは青の６号に負けてはいません、さすがです。特に素晴らしいのはヴァンシップと呼ばれる艦載機や戦艦の独創的なデザインとそれを具現化するＣＧ技術そして時代・背景設定です。これらに村田蓮爾原案の愛らしいキャラが見事に融合し見る者を引き込む魅力ある作品に仕上っていると思います。テレビアニメシリーズとは思えない程ハイレベルです。

主役はヴァンシップ乗りのクラウスとラヴィの２人。この２人がデュシスとアナトレーの戦争に巻き込まれていきます。今巻ではまだそこまで行きません。２人が今現在抱えている問題とどういうポジションにいるかの説明に終始します。まだまだ序の口といった所でしょう。それに併せてアナトレーとデュシスとギルドの関係をも描いています。

プレステールという世界にある２大国家、アナトレーとデュシス。この２代国家を遮っているのはグランドストリームと呼ばれる嵐。デュシスがこのグランドストリームを突破しアナトレーに侵略してきたため両国間で戦争になったのです。ただ戦争といっても中世の頃のように騎士道に則ったルールある戦争です。両国を仲介しているのがグランドストリーム内にある空中都市ギルドなのです。この国はあくまで中立国なのですが本当にそうなのか疑問が残ります。次巻以降主役の２人が戦渦に巻き込まれていくところが描かれていくものと思われ、ますます期待が高まります。

第９話「Ｃａｌｃｕｌａｔｅ　Ａｌｅｘ」と第１０話「Ｓｗｉｎｄｌｅ」を収録しています。

シルヴァーナはホライゾンケイブに向かっていました。そのホライゾンケイブではヴァンシップ乗りには憧れの８時間耐久レースが開催されようとしていました。当然クラウスたちもこの大会に出る事を夢見ています。クラウス達はソフィアからこの大会に出場するように進められます。そしてこの大会にクラウス達とタチアナが出場する事になりました。ところがどうやらアレックスをはじめとするクラウスとラヴィそしてアル以外は大会出場以外に別の目的があるようです。ソフィアがアレックスに「零時決行です。闇になれておいて下さい」と言うセリフからも何かをたくらんでいる事が伺えます。どうやらそれはジャンカルロ財団主催の闇のオークションにあるようです。

そして耐久レースにはなんとあのティーオも出場するようでわざわざクラウスに挨拶に来ます。そしてタチアナに喧嘩を売って去って行きます（笑）。そしていよいよ耐久レースが始まりクラウスとディーオの一騎打ち状態になりますが、その勝敗は・・・。そして時同じくしてオークションでは「エグザイル」なるものが出品されていました。アレックスの狙いはこれだったようです。何でもこれを手に入れるともの凄い力を手に入れる事が出来るのだそうです・・良くある話ですが（笑）。オークションの値段が尋常でなくつり上がっていきます。５００クラウディアスタート→１億→３億→１０億→５０億・・・と歯止めがききません。果たしてアレックスは「エグザイル」なるものを手に入れれるのでしょうか？果たして「エグザイル」とは一体何なのでしょうか？

今回は８時間耐久レースとオークションの同時進行という形をとります。レースではクラウス＆ラヴィの活躍をオークションではアレックスらの暗躍を描きます。ここでアレックスは今後に影響しそうなミステリオンを手に入れます。それは「記憶の彼方にあるものは　問いかけは３つ　ついなる答えは４つ」という３節の詩です。これ以外にもたくさんあるようです。このミステリオンなるものが「エグザイル」とどんな関係があるのか興味が尽きない所です。またクラウスとラヴィの方向性がここで固まります。ラヴィはレース後ある決意を固めクラウスに告げ、クラウスもそれを承知します。この２人これからどうなるのか本当に楽しみです。

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第１５話「Ｆａｉｒｙ　ｃｈｅｓｓ」第１６話「Ｂｒｅａｋｔｈｒｏｕｇｈ」を収録しています。

前巻での窮地をタチアナとクラウスは何とか乗り越え無事に生還しますが、クラウスの服を着ていたタチアナを見てラヴィはショックを受けます。ここからクラウスとラヴィの仲がギクシャクし始めます。と同時にあの堅物のタチアナにも変化が見られそれによってゴドウィンらはクラウスとタチアナを噂の的にします（笑）。どうやらクラウスの優しさがタチアナを変えてしまったようです。落ち込んでいるラヴィの乙女心をわかっていないクラウスはラヴィをますます傷つけてしまいます。そんな時、ディーオがクラウスにある写真を見せます。それはここにあるはずのない写真でした。この写真騒動でこの作品を見ている人にはわかっていた事実がようやくクラウスに判明します。

一方、シルヴァーナにウルバヌス４隻を沈められたヴィンセントはウルバヌス艦長の座から追われてしまいます。そしてシルヴァーナ副長ソフィアにも何らかの秘密がありそうで彼女はこの作品の今後を占うような行動を起こします。アレックスがグランドストリーム突入時の恋人と何らかの関係があるようですし、彼女自身がシルヴァーナにいるべき人ではない事がここで初めてわかります。

そんな折、アナトレー帝国はデュシス残存艦隊に襲撃され帝国が火の海と化してしまいます。そして事もあろうにアナトレー皇帝がマリウスと差し違えて命を落としてしまうのです。戦闘は激化をたどる一方で、混乱は必至だと思いましたが・・・・。

今巻では色々な事が判明します。ソフィアの秘密、アレックスの狙い、クラウスとラヴィの父達とアレックスらがグランドストリーム越えを行った理由と父のものと信じて疑わなかったヴァンシップがそうではなかった事などなど・・。作品的にはいよいよクライマックスに向けて本当の敵が誰なのかゆっくりと見えてきます。少し残念だったのはマリウスとソフィアの関係とマリウスとアナトレー皇帝との確執をもっと描いて欲しかったという事です。何故、マリウスとアナトレー皇帝が差し違えなければならなかったのか説得力に欠けています。そしてクラウスとラヴィの仲はどうなるのでしょうか？クラウスも自分の進むべき道を見失い迷いに迷っているようです。ここに来て何やら混沌としてきました。

第３話「Ｔｒａｎｓｐｏｓｅ（トランスポーズ）」第４話「Ｚｕｇｚｗａｎｇ（ツークツワング）」を収録しています。

前巻で主な人物紹介が終わり、今巻でいよいよ物語が動き始めます。クラウスとラヴィがヴァンシップレースに参加するのですが、ラヴィはいつの間にかブーストを手に入れ、しかもヴァンシップに装着させていました（笑）。そしてレース当日、前巻でラヴィのセリフに出ていたキャラが実際に登場します。「ファット・チキン」「ハリケン・ホーク」「サニーボーイ（鼻毛）」がそれです。レース中のアクシデントからクラウスとラヴィは星７つの仕事を引き受ける事になってしまいます。星７つということでとても危険な仕事です。案の定、二人は危険な目に合いながらも何とか任務をこなそうと必至です。今巻はこの引き受けてしまった任務に対してのクラウスとラヴィの考えの相違と新しく登場してきた「アル」なる謎の人物が見所でしょう。クラウスとラヴィがシルヴァーナと接点を持つ事になる出来事が今回の任務です。この先どうなるか楽しみです。

この作品の見所のひとつである、ヴァンシップの飛行シーンのスピード感は本当に良くできています。爽快感まで感じられる程、ハイレベルで制作されている事に驚きさえ感じてしまいます。キャラクターの性格付けもちゃんと個性を持っていて、尚かつ、今巻には新登場キャラも出てきてますます今後に期待です。クラウスとラヴィは今後どうなってしまうのか気になって仕方がありません（＾＾ゞ。