バカルー　バンザイの８次元ギャラクシー

アメリカ人の父と日本人の母を持ち、天才的脳神経外科医にして物理学者、そしてロック・グループ“香港騎士団”のヴォーカリストでもあるスーパーヒーロー、バカルーと彼の仲間たちの活躍を描くという、何もかもが酷すぎる設定が、返って魅力になっているマジックな作品。今思えば豪華なキャストが繰り広げる、真剣なのかふざけているのか、正に神憑り的なＢ級テイストに初めから終わりまで包まれてのアドヴェンチャー。特にラストシーンは秀逸で、ウェス・アンダーソン監督が「ライフ・アクアティック」の中で忠実に再現している（両作品に出演しているジェフ・ゴールドブラムの存在感が際だっている）。加えて音楽もナイスな、８０年代の空気が生み出したチアフルなカルトシネマ。
今更インディ・ジョーンズやランボーが復活しているこの変なご時世、私は真剣にバカルー・バンザイの次の冒険を待望している一人である。

　TETSUYAさんのレビューに惹かれ手にとりました。
　こ、これは・・・。
　低予算SFの・・・コメディなのでしょうか？　いやどうにもチープなシナリオを、今から思えば豪華なキャストに大真面目に演じさせています。こういう作品はジャンルを偏愛する作り手の思いが強く込められていて辟易することが結構ありますが（『ギャラクシークエスト』もちょっとそう感じた）、この作品からはあまり作り手の熱気が感じられない。狙いではないとは思いますが、なんだか映画自体を突き放しているというか、冷めている感じが漂ってきて、そこになんとも言えない魅力があるように思います。
　点数という形で表現すると３５点くらいなんですが、いつかまた観てみたいと思わせます（後悔するかもしれませんが）。

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ロボコップのピーターウェラーがその製作の前に主演したSF「カルト」アクション。
何故、そうなのかと思うと一々設定に仰々しい裏付けの言葉と怪しげな設定がなされており、実際には大して考えていない筈なのに何か「考えている」様な雰囲気だ有る点だろうか？。
この辺りは私のレビューに似ているので更に親近感がわく＾＾。
安普請では有るが舞台設定にも凝っており、小物の配置も万端で「何故、公衆電話を使う必要が有るか？」等と言う点もさり気無く表現している滑稽では有るが「何となく」納得する展開も多い。
一応「アメリカ人の父、日本人の母」を持つと言う設定の「バカルー・バンザイ」だが、母はかなり彫りの深い美人だったのだろう。
彼の遺伝子は日本人っぽくは無い＾＾。
名前は「ばかやろう！」「ばんざい！」と言う日本の二大有名絶叫言語から来ているが劇中の設定からすると「馬駆る」と言うのが正しい名前の由来らしい。
日系人なのに「ヒカルゲンジ」では無く「香港騎士団」と言うロックグループのボーカルにして脳神経外科医、著名な物理学者と言う設定は神経質でどこか「イッテしまっている」感の有るピーターウェラーの顔を見ていると何となく納得してしまう。
脇を固める俳優人もどこかで見た人ばかりなので現在の姿と照らし合わせて見ると更に楽しさ倍増。
スタイリッシュで何となくオシャレな感じのする映像は今見てもセンスが良いとも思う。
エンドロールを見て次回作公開を心待ちにして既に幾星霜。
多分、この先も煮え切らないまま22世紀を迎えるのだろう。

レビュアー諸氏が書かれている様に、妙な上滑り感があって居心地が悪い。設定はおフザケっぽいが、バカルーとその仲間（スタッフ＆キャスト）達は、とても真剣（というか、これ一応、真っ当なＳＦドラマなのだ）。そして我々観客は、なぜかこの世界観に同化しづらい。これは例えるなら、元々あるドラマを「シーズン�U」から観始めてしまった「置いてきぼり感」と言えようか。

ピーター・ウェラー、ジョン・リスゴー、クリストファー・ロイド、ジェフ・ゴールドブラム、エレン・バーキンと、やたら豪華な顔ぶれにも驚くが、彼達が「奇妙な役柄を一生懸命演じている姿」に、さらに驚く。
もっとも時代は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』（85）『ザ・フライ』（86）『ロボ・コップ』（87）等の直前で、まさにこれは、彼達それぞれがブレイクする前夜だったのだ。そのルーキーという身分ゆえの、自由さと懸命さは、確かに表れている。

バカルーが駆るジェットカーには、分子間の隙間をすり抜け、物質内部に広がるという８次元に潜る機能がある。これはまさしく『キテレツ大百科』に於ける「潜地球」と同じ理論だ。さらにモトネタがあるのかもしれないが（それは未確認）、あの時代の少年漫画に「潜地球」を登場させた藤子Ｆ先生は凄いなあ、と再認識させられる。

ストーリーは終始、フワフワして落ち着かない。一応、筋は通っているのだが、Ｂ級特有のノリの悪さが全編を貫く。あのオーソン・ウェルズの「火星人襲来」の真相が解き明かされるクダリも、「ああ…」と脱力するばかり。エンディング・ラン（これは幾つかの作品で試されているパターン）のシーンなんか、当人達（スタッフ＆キャスト）だけはノリノリだったというのが、よーく伝わってくる。

とにかくこれは、シーズン�Tから、観ないとなぁ。（無いけど）

タイトル、登場人物の設定、ストーリー全てＢ級の要件を満たしているのに、Ａ級のキャストと予算で製作されているのが凄い！？

アメコミにこういうシリーズがあったのかどうかは知りませんが、既定の事実としてバルカー・バンザイの世界観が出来上がっており、登場人物が画面に出てきた段階で拍手を送るくらいでないと理解しにくいシロモノかと思います。
でも「知ってるつもり」になって鑑賞するとそれなりに楽しめるかもしれません。
まさにカルトムービーの世界？
アマゾンの中古ＤＶＤ市場で定価の倍のプレミアム付きで販売されているほどです。

ストーリーは紹介するのもばかばかしいのでやめますが、「異色のスラップスティック・ファンタジー」を味わってみるのも一興かもしれません。

そうはいうものの、少しは理解して鑑賞したいとお考えなら、特典映像の「もうひとつのオープニング」の方を先に鑑賞するとバンザイのことが良くわかると思います。

カルトＢ級ファンにお勧めします。