ＴＡＴＴＯＯ［刺青］あり

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高校時代剣道部で有段者でもあったから　進学しても剣道
やろうと思って剣道部の門を叩いたらみんな目茶苦茶強くて
一日で退散　映画好きだからディスカスレヴュー広場みたいな
ほんわかした所と思って映研という所に行くと部室は汚くて
煙草の吸殻だらけ　一人眼光鋭い男にがん飛ばされて早々に
退散したのでありました　全共闘世代　学校はいつもお休みバイトと旅行に明け暮れ楽しい学生時代を過ごしました

社会人になったある日　事件は大阪で起こりました　
昭和54年1月26日寒い日でした　梅川昭美（３０）と言う男が
三菱銀行北畠支店に猟銃を持って乱入　行員を人質に五千万円を要求すると言う事件が起こったのです　この男は何の躊躇も無く行員を射殺　生死を確かめようとした同僚にそれを許さず
彼の耳をナイフで削ぎ落とさせると言う蛮行に及んだのです
銀行のシャッターを閉め　女性行員の衣服を脱がせトイレにも行かせず　この人たちを盾に籠城したのです　梅川の言を借りればまさに「ソドムの市」を再現したのでした　この事件に興味を持った私は色々資料を読み漁りこの事件は必ず映画になると確信したのでした

3年後「ＴＡＴＯＯ（刺青）あり」として事件は映画化されます　　「刺青あり」とは警察の検死後の所見です　監督の顔をよく見ると何と映研で私にがん飛ばした男ではありませんか　この間
みのさんの「クイズミリオネア」にゲストとして美人の奥さんと一緒に出演していた小太りのオッサン
高橋伴名監督　私は一生貴方のＮＯ１ファンです

　この映画は凄く分かる気がします。主人公の男はホントにどうしようもないヤツなんですが、私の高校の同級生にもたくさんいましたよ、こんなヤツ。そして、こんなヤツにこそ若い女は惚れるわけで、そっちもどうしようもない女なんですが、どうしようもない人間ばっかりがどんどん集まってしまう悲劇。
　宇崎竜童がサングラス外して自分のダメなところをとことん追いつめて演じています。ブサイクな顔を鏡で見ながら、「オレっていい男だな〜」とか言うところが忘れられません。その感じ、よく分かりますよね。　若いころはそういうもんだと思います。
　大袈裟にいえば、日本的な資本主義が生み出したダメ人間の典型、７０年代が終わってバブルに向かっていく時代が生み出したダメ人間の典型を、高橋伴明がギリギリと追いつめて描いてゆきます。しかし、ダメ人間を追いつめていくのがなんでこんなに面白いんでしょう。
　宇崎竜童が歌っている主題歌の「ハッシャバイ・シーガル」とともに、この映画は私にとって名作です。
　この映画のモデルになった三菱銀行強盗（梅川）から始まって、金属バット殺人、女子高生コンクリート詰め殺人事件から阪神大震災、オウム真理教、そして９・１１からイラクの虐殺まで、７０年代末以降リアルタイムで起こった一連の狂気は私の中ではつながっていて、ある種の絶望にもなっております。さまざまな映画が何とかそれらを乗り越えようとしているんでしょうね。この映画も、宇崎竜童演じる主人公をじっと見つめることで、乗り越えようとしております。
　それでもどーしても乗り越えられないのが女子高生コンクリート詰め殺人事件。映画すらまともに公開出来ないんですから。いやこれは「コンクリート」の話です。
　確かに、この事件だけは追いつめることが極めて困難ですね。余りに残虐すぎて映画のストーリーとして成立しないように思います。またこの事件があるために、すべての宗教が機能しなくなってしまい、人間の未来もなくなったような気がします。コンクリート詰め殺人を「分かるように」撮ったり、エンタティンメントとして昇華したりすることは可能なのでしょうか。

この事件が起きたとき、私は予備校生で私立大学の入試直前だった。
猟銃で4人が射殺されたのもさることながら、帽子をかぶり、猟銃を構え、くわえ煙草の犯人のふてぶてしい写真や、説得のため現場に駆けつけた母親の姿が印象に残っている。
そして何よりも、その後に聞こえてきた犯行現場での残虐かつエロチックな行為が想像をかき立てた。

この映画では、その現場は、ほとんど出てこず、犯人の生い立ちから凶行を行うまでを描いている。

この男は15歳のとき、強盗殺人事件を起こしている。
その人間になぜ猟銃の使用許可を出したのか。
保護観察期間が終われば、普通の人と同じ権利を持つことには疑問が残る。

宇崎竜童が、頑張っているとは思う。
「刺青あり」だから上半身裸になるシーンが多いが、細身ながら筋肉質の体つきでよく鍛えられており、それを見ても並々ならぬ意気込みが感じられる。
ただ、緒方拳のような演技力のある俳優が主演していれば、犯人の粗暴で神経質な性格を、より細かく表現できたとも思うが……。

母親を演ずる渡辺美佐子の演技は見事だ。
凶行を犯した息子を説得に行く前に美容院に行くような複雑な心を持つ母親を演じている。
幾ら自分の子供が起こした行為とはいえ、この仕打ちはむご過ぎたと思う。

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今の映画からみると、洗練されてはいないのかもしれないけれど、このころの映画には、なにか情熱的なものがあったような気がする。映画を作るほうにもあったし、たぶんそれをみる世間自体が、賑やかで、わやわやしてて、熱いものがあったような気がする。

　この事件（三菱銀行の）はたぶん、学生になってからのことだったと思うけれど、ものすごく衝撃的な事件で、躊躇なく人質を殺したり、女子行員を裸にして盾にしたりする、極悪非道の犯人が怖かった。その犯人が、そこに行き着くまでにどのような生活をしてきたかを、当然全てが本当のことではないけれど、描いた映画。
　
　面白かったし、１５で強盗殺人を犯して、それでも、ちゃんと社会にでてきて、結局こういう事件を起こさせてしまう、社会もおかしいと思う。猟銃まで簡単に手に入れているわけだから。

　かなり暴力的な人物らしいけれど、読書は何でも読んだらしい。そのへんも映画のなかに描かれている。西村寿行より大藪がいい、なんて面白い。

　関根恵子って、ほんとに綺麗。この映画で実感した。
　事件の詳細を描いたら、そちらが中心になってしまうから、描かなかったのだろうけれど、正解。

しっかりした作りの作品という印象は強いのですが、時代が変わってしまったのか、もう一つ感性にグッと来るところがありません。でも、見所は結構あります。高橋恵子さんの色香、ハッとしてグッときます。宇崎さんと高橋さんのDVシーンは、非常にリアル。怖さも伝わってきます。男の勝手と振り回される女性の悲しさが残りました。