ホテル・ビーナス

正直ここまでいい作品だとは思ってもみませんでした。スイマセン（＾＾ゞ。見始めて５分とたたない時点で「あっ、凄くいい雰囲気（＾○＾）」と感じました。なんか心地いいんですよ、これが。それぞれのシーンとＢＧＭとのマッチングが最高ですばらしく、いい雰囲気なんです。参りましたって感じです。それからモノトーンの映像がウラジオストクにマッチしているのもいい雰囲気をかもし出している要因なのかもしれません。ん？逆かな？ウラジオストクがモノトーンにマッチしているのかな？ま、いずれにせよいい感じなんです。

テレビ番組の「チョナン・カン」から派生した作品だと聞いていたのでモスクワ国際映画祭で賞を取ったと聞いても「ウラジオストクで撮影したことが評価されたのでは？」と思っていましたがおいらがバカでした、反省しきりです（＾＾ゞ。

ワケありの流れ者たちがひっそり暮らすホテルビーナスに、ある日不思議な父娘が現れます。娘は頑なに心を閉ざしますが主人公のチョナンが気配りすることによってしだいに彼女も心を開いていきます。それがきっかけになったかのようにホテルの住人たちの過去が少しずつ描かれていき、立ち直ろうとしていく描写はどれも感動的でした。すごく切なさが心地よかったです。切なさでこんな風に感じたのはこの作品が初めてです。ちょっと泣いちゃいました（＾＾ゞ。エンディングもおいらの好きな終わり方だったので良かったです。

市村正親さんの存在感は圧巻の一言に尽きますね。映画初出演とのことですが彼にとっては舞台も映画も変わらないのでしょうね。サイを演じた子役のコ・ドヒちゃん。彼女がいなかったらここまで良い作品になっていたのか疑わしいぐらい良かったと思います。ホテルの住人以外にも色々な方が出ていましたね。つんくさんとか松尾貴史さんとか香取慎吾さんまで（笑）。草なぎ剛さんの人柄も少しでていたかな？彼はいい人が本当に似合いますよね。タップダンスも見事でした。草なぎさん以外の日本人俳優陣はなれない韓国語でさぞ大変だったのではないでしょうか？うまいのか下手なのかおいらには判断できませんがあまり違和感はなかったです。韓国語を使っていてもやっぱり邦画の匂いがしました（＾＾ゞ。その辺も良かったのかもしれませんね。

非常にいい作品です。見る時はハンカチをお忘れなきように（笑）。

全体を通して、まずまず良かったです。最後は感動して涙も出そうになりました。LOVE PSYCHEDELICOの曲が良く、PVかと思うこともありました。それ以外の挿入歌もすばらしく、おかげで睡魔に襲われそうになりましたね。

気になる点は、なぜ韓国語なのかということです。あの町並みに全然マッチしていないし、日本人の話す韓国語はどうなんだろうって思ってしまう。韓国人が聞いたら、ぎこちなく感じるだろう。

あと、つんくと香取慎吾は余計だったですね。

深夜番組の「チョナン・カン」は、たまに観る程度でしたので、この映画の企画のことも、全く知りませんでした。なんでも、番組のスタート当時は、意味もわからないまま丸暗記で話した様子を、会話している感じに編集していたんだとか。ですが、今では韓国の人たちに誉められるほど、流暢な韓国語を操れるようになった草�gくん。努力家なんですね。ヨン様からはじまった韓流スターブームも手伝って、韓国語を習う方が増えているんだそうです。歴史や政治の難しいことは、とりあえず横に置いといて、仲良く出来たら嬉しいですね。

草�gくんの「情熱」と、市村さんの「安らぎ」。個人的な印象ですが、いつもお二人から感じているのとは、真逆のイメージ。そこがまた、この映画の魅力なのかもしれません。どうせ歳をとるなら、ビーナスのようにロマンチックに生きたいですねぇ。「ホテル ビーナス」観てよかったです。

この映画の世界が気に入った方に、「ホテル ビーナス」の公式サイトをご紹介します。スペシャル・コーナーの韓国語レッスン（ミニ辞典）も楽しいですよ。

http://www.hotelvenus.net/
　
サイトを見たついでに、キャスト情報も書いてみました。
↓羅李様、鑑賞後では遅いかもしれませんが、参考になりましたら幸いです。


☆☆☆ キャスト ☆☆☆

【０号室】チョナン…草�g剛
【１号室】ドクター…香川照之、ワイフ…中谷美紀
【２号室】ガイ…パク・ジョンウ、サイ…コ・ドヒ
【３号室】ソーダ…チョ・ウンジ
【４号室】ボウイ…イ・ジュンギ
【オーナー室】ビーナス…市村正親

初老の男…伊武雅刀
花屋の店長…松尾貴史
闇医者…勝村政信
警官Ａ…田中要次
ダスター…ピート
チョナンの恋人…金子りずむ
カフェの客…つんく♂
旅行者…香取慎吾

市村さんのヴィーナス、大好き。最高です。

観ている間はそんなこと思いもしませんでしたけど、皆さん韓国語の台詞を覚えるのも、それで感情を表現するのも、さぞや大変だったでしょうね。みごとです。草なぎ剛さんのベラベラっぷりもさすが。

全編、韓国語だし、モノクロームだし、とっつきにくくて、ロードショーに行かなかったんですよね。あ〜、映画館で観ればよかったな〜。

ホテルというより、掃き溜めのようなぼろで贅沢なアパートに集まった、クズのような人たち、そして鶴のような中谷美紀。
みーんなワケありの罪人だけど、ヨルシミ生きてる。インセンてそうじゃないかい？といったテーマがこれでもかい、これでもかいと、問いかけてくる。
どこの国か分からないような、ホテルというかアパートは、地価の高い日本では無理な位広い。カフェにもろくな客が来なくて採算があわなさそうだし、ホテル代も、賃金も、まともな人間がいないのですべて滞っていそうなかんじで、まず実際にはありえないだろう。
それにしても豪華キャストだ。「王の男　」のイ・ジュンギをはじめここで「嫌われ松子」や「鬼が来た」の香川さんを観てたので、実力のある役者さんたちが揃っていた。

今日、いつの間にか隣の住民が死んでいたり、オートロックやインターホンで雁字搦めになっている人間関係の冷たい日本のマンション生活よりは、こんな風にお隣さんの生活が見え見えの「ホテルビーナス」に住んでみたいものだ。