クイール

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　動物ものですから、覚悟はしていたのですが、やはり泣けます。
　とにかくよちよち歩きの子犬が出てくるだけで、可愛いとしか思えませんから、レビューしにくいのです。
　「今日のわんこ」や「今日のにゃんこ」にレビューを書こうとは思いませんしね。

　と言いながら、あえてレビューをする訳ですが、普通に考えても感動ものになるお話を、過度にセンチメンタルな演出にせず、淡々と描いているのは好感が持てます。
　パピーウォーカーに看取られて逝く場面なんか、特に演出なんかしなくても、犬を飼ったことのある人なら当然、そうでない人も胸が締め付けられるはずですよね。

　憎まれ口ばかり聞いている意固地な爺さん、渡辺さんを小林薫が非常にうまく演じています。登場時からの、
「なんだ、このくそオヤジ」
と思わせる演技が、その後クイールとの信頼関係を築いて行き、いつしかかけがえのない存在になるという描写に対して、とても効果的です。
　椎名詰平、名取裕子、古手川祐子と他の映画なら主役を張れる俳優さん達が、抑えた演技で突出しないようにしているのは、崔監督の手腕と言うところでしょうか。崔監督は、先日観た「犯人に告ぐ」で役者として登場していましたが、その見た目の通り、非常に優しい演出をするんですね。

　ただ、こういう物語ですから、ナレーションで物語を展開していくのは仕方ないと思うのですが、ナレーターが変わってしまうと言うところで、誰の目線でストーリーが構築されているのかが不鮮明になってしまっているのじゃないかと思います。

　先日、ＴＶチャンピオンで、「ダメ犬調教グランプリ」なるものをやっていて思ったのですが、犬というのは非常に賢くて、きちんとした躾をすれば、躾られたとおりに行動するのです。ダメ犬になってしまうのは、すべて飼い主である人間のせいです。
　こういう盲導犬（に限らず聴導犬等介助犬）が必要とされているのは確かですが、それを育てる訓練士が不足しているのですね。
　世間が、もっと理解してくれないと、ハンデがある人達にとって住み易い世の中には、なかなかならないのです。

　ストーリー的に、駆け足で展開しているようなので、機会があればＴＶドラマも観てみようと思います。

　いくら淡々と撮るのが好きな崔洋一でもねぇ。ちょっと淡々としすぎて、拍子抜け。盲導犬としてはごく普通の、しかも普通すぎてほとんど活躍の出番もなかった盲導犬の淡々とした一生。

犬に人生を重ねてしまうけど、ふつうの人の一生なんて、こんなものなんだ、きっと。盲導犬になれる犬は限られているし、そういう意味では選ばれた犬の「人生」には違いないのだが、それでも所詮はこんなもんよ、というあたりが侘しいというか達観しているというか、なんだかわたしのような花も実も咲かない人生を見せられているようでちょっと切なかったり。

　小林薫が演じた主役（クイールを飼う盲人）のキャラクターにいまいち魅力がなくて、それも減点の一因。盲導犬指導士の椎名桔平はよかったね、飄々として、いいキャラの味を自然に出していた。　

盲導犬育成推進のための啓蒙映画ですね。後半退屈でした。本「盲導犬クイールの一生」で充分でした。でも犬はかわいかったから、今度街で募金活動を見かけたら協力しよう。
もう１本みるなら、タイトルが同じなので（クイールQuillとクイルズQuills）ジェフリー・ラッシュのサド侯爵を。（これは冗談です）

そして凛々しい盲導犬よ！！子犬の時の可愛さ、そして成長過程の様々が丁寧に描かれています。訓練を受けて立派な成犬になり、盲道犬として生きる。ＴＶドラマから見ていましたが、映画版とてもよかったです。クイール役のワンちゃんの演技が、とっても自然でわざとらしくなく、素晴らしかった。最高の演技を、見せてくれました。後半はもう涙なしでは見れませんでした。最後の最後まで、愛情を注ぎ、死を看取る・・・・気まぐれで動物を飼っては、決していけませんよ！飼うなら最後まで。そんなメッセージを感じました。素直に感動できる、良い作品でした。

動物と子供使う映画って反則だよね。でも結局見てしまいた。
だってかわいいんだもん。
　なんか、これ見て涙ぐんで自分の善人度計ってるみたいで、やなんだけど。やっぱり、安心してほっとしてます。
　寺島しのぶさん、椎名吉平さん、小林薫さん演技うまいっすねぇ。
　盲導犬て一生のなかで、あんなにつらい別れを経験して人間に尽くしてくれてるんです。町で会ったら、正しいやりかたで接してあげましょう。
　今回、辛口にはなれません。