剣

ムーンも大学時代、ある武道部に入っていたので、夏の合宿を思い出しました。伊豆に一週間でしたが、あんな感じでした。
今では考えられないような、スパルタンで非科学的なトレーニングでしたが、全国大会なんてレベルではなかったし、超軟派な大学でしたので、都内の大学の大会では◯◯館とか明◯とかが、とーっても恐かった思い出があります。同じ学生とは思えなかった。
もう３０年近くも昔の話。すでにその部も無くなったそうです。

お話の方は、もう三島由起夫氏の十八番（おはこ）。ATGみたいなオープニングで、子供がいきなり太陽の本質を悟ってしまう所から始まって、純粋すぎる大学剣道部の主将、雷蔵さんがもう遮二無二なって純粋さを磨きまくるので、周りが付いていけず、ライバルの川津雄介さんの扇動でタブーを犯し、傷ついた雷蔵さんが死んじゃいます。最後もATGのようにブッツリ切れます。

その話中にプレイガールの誘惑や、男同士の裸の取っ組み合いを含め風呂場のシーンが２回、川津雄介さんのフンドシ姿などが拝めます。もちろん雷蔵さんの肌も見れます。百合の花で顔に付いた血を拭いてもらったり。　バラ？　薔薇は出てこなかった。

三隅監督も良ーく解っています。いつも雷蔵さんを仰角にとらえて、英雄の様です。

太陽、ギリシヤを思わせる海、剣道、男の肉体、早すぎる死によって伝説化されることなど、三島氏の好きなマテリアル満載。

雷蔵ファン、三島ファン、そっち方面の方は見て損はないでしょう。モノクローム作品です。

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わき目もふらずひたすら剣道の道につきすすむ主人公。
一応大学生なのだから、もっと迷いがあってしかるべき。
ゆらめく雷蔵さんが見たかった。。。
そのあまりの真摯さゆえに最後は自ら命を絶つことになる彼の姿が、今となっては三島の最期とかぶって見える。
その真摯な情熱は雷蔵さんの映画への想いとも通じるところがあるような気はするけど。

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「剣三部作」の第二作と云うことなので、「斬る」の続きを観るようなつもりで観始めたら、時代はほぼ現代、大学の剣道部が舞台ときたので、いささか拍子抜けしたのでした。とは云え本作の前に観た「炎上」は、現代劇で雷様がハンサムでない映画だったから、のっけから颯爽と登場する本作の雷様に、胸をなでおろしはしたのですけれど。
物語の流れ方（映画としての構成）も「斬る」と違ってオーソドックスなもので、なかなか三部作を貫く芯が見えてきません。ラスト、国分・市川雷蔵の自死の突き放されたような感じで、ようやく「斬る」と平仄が合ったのです。となると第三作の「剣鬼」も観ない訳にはいかないだろうじゃないか、と云うことになります。

剣道部監督役の河野秋武さんがいい味を出していました。
第一作でプチ敵役の稲葉義男さんが雷様のお父様役です、同上。
この二人の＊大人たち＊がそれなりにきちんとした人物であることが、あるいは本作の裏メッセージなのでしょうか。

剣道部員がわっと海岸に繰り出すシーンがなんだかとても目に残りました。三隅監督のただならぬ力量を思ったのだけれど、これはぼくの思い込みなのかも知れません、と云うのも、腕立て伏せ目線のシーンには笑ってしまったのだから。やれやれ。

全体のストリーはわかるが少しもの足りない。三島作品はどれも似かよっている。雷蔵だから役は許される。

男性社会に生きていると、男って二種類に分かれるようだ。
市川雷蔵と川津祐介にそれを演じさせたのは、流石。
ちなみに川津祐介も藤由紀子も松竹からフリーになり、長谷川はもともとフリーだったようで、相手役に苦心の跡が見られる。