ラマン

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全編を通して虚無感が漂う作品で、無機質を演出することが廣木監督の狙いじゃないかな。そのためには肉感的表現は必要ないですし、華子・チカコ(安藤希)が脱ぐ必要がないというのも頷けます。
『醜く老いてしまう前に自らを葬ってしまおう』という華子ですが、背中に掘られた片翼だけの天使の羽が表すような、気取ったようにクールを装い、殻に閉じこもる華子の未成熟だったのではないでしょうか。虚無感の中から生まれた自虐的な愛人生活ですが、1年間の愛人生活で華子が得た物は、人を人と感じて受け入れる許容力だったんじゃないでしょうかね。

非常に女性視点の作品で、A,B,Cと呼ばれる3人の男たちは、子供がオモチャを欲しがるのと同様に愛人を欲していて、性の衝動が滑稽でもあるんですが、これ、女性に比べれば当たらずしも遠からずで、その滑稽さを少なくとも男の性として理解できるようになった華子の成長だと思います。
花火を見上げるシーンでの男たちは童心剥き出しの存在で、C(大杉漣)がその後華子に近づかなくなるのも、彼の自責の念でしょうし、華子もそのことに気づいていたんだと思います。女性を物としてしか扱わないCであっても、人間的な一面を兼ね備えていますし、腹部を刺されて入院するCを見舞う華子は、既に相手を理解するという精神的に優位な立場にいたんじゃないかと思います。
また、映画館での強姦事件は、華子にとっても自分の性に対して地に足を付けさせる出来事だったんじゃないでしょうかね。友人の弟・行人(遠藤雄弥)が華子に対して純粋な同情を注ぎますが、これもまた愛という形に変化する感情の卵でもありますし、男の一面を知る出来事でなかったと思います。
ラストシーンでは生長した華子と対比して童心のままの男たちが描かれます。男に限らず周囲の人間を人間として理解できるようになり、男たちに対して精神的に優位に立つことが出るようになった華子の成長なんじゃないでしょうかね。そのことが彼女の虚無からな脱出ではなかったのかと思います。

しかし作品的にはどうなんでしょう。無機質なクールさを奏でる演出の中で、暖かさを醸し出すシーンが花火のシーン以外は浮き上がりませんし、ちょっと分かりにくい仕上がりなんですよね。時制を越えるシーンが説明的にも使われていて、独白も彼女の心理を語るんですが、一度観た程度では消化不良が大いに残ります。
3人の男たちが醸し出すエロスの中に投じられた、堅く殻に閉じこもったような華子は際立つのですが、彼女を解きほぐし成長させる表現が物足りなかったと思います。

男はお馬鹿なんですよ、女性の方々。でも、少女が天使に決してなれないのも確かなんですよね。

エロくもなく内容も薄いし作中の疑問も解けないまま終わるし…
なんの見所もない作品！！
久々に見たのを後悔した作品

大好きな漫画のひとつで、映像化されたと知って早速レンタルしたのですが、正直「見なきゃよかった」って感じです・・・。

原作では、主人公がなんとも魅力的な少女なんですね。
まだ１５歳で、オトコなんか知ってるはずのない女の子が、１年の間に色気を覚えていく物語。
映像化するにあたって、さすがに設定が１７歳に変わってたのですが、ヒロイン役の女の子がずっとムスっとしてるのがちょっと納得できなかったです。
やっぱり映像化は難しかったのかな。

３人の男たちといい、一瞬しか出てこない男といい、ヒロイン以外のキャスティングはツボなんですけどね・・・。

ストーリーがかなりお粗末。
不思議ワールド全開なのかなんなのか...。
もっとしかっかりしたストーリーの骨組みがほしかった。
すべてがもやもやしすぎ。
ラストも私の苦手なフランス映画のようなむず痒い終わり方。
あらすじを読んだ時、ラストにもっと明確な答えがあると（私的には主人公が死ぬと思っていた...）期待していたのに。
観終わった後、消化不良な気分になった。

そもそも、私の価値観の中で、愛人として抱かれる女が乳を出さない事が納得いかない。
それはへんな猥褻さを出さないための、芸術的演出なのかもしれないけど、そこがものすごく中途半端で許せない。
美しくない話を無理矢理美しく見せてるその演出が嫌い。
だから余計に主人公を演じる安藤希の演技が中途半端に見えた。
演技も下手だし。
映画の中でよかったのは、田口トモロヲと村上淳と大杉漣、3人の男の色気だけ。

何となく出演者に引かれて借りてみたけど、結局何が言いたかったのか全然わかりませんでした。
借りたの無駄のようだったけど、何が言いたかったんだろう？ってしばらく考えさせられた。
コメンタリーが無いのが残念だった。
本読んでみようかとかも考えたので、意外と心に残ったのかも。