火火 / 田中裕子
全体の平均評価点: (5点満点)
(23)
解説・ストーリー
焼物の里、滋賀県信楽町。夫に去られ、女手ひとつで2人の子どもを育てる女性陶芸家、神山清子。彼女は、江戸時代に失われてしまった技術である穴窯による自然釉の復活に執念を燃やしていた。極貧生活の中で、失敗を繰り返し、しばしば失意の底に沈みながらも、清子は決してあきらめることなく陶芸家としての信念を貫き通し、窯焚きを続けた。そして長い歳月を経てついに清子の挑戦は実を結び、信楽自然釉の完成に成功するのだった。しかし、そんな幸せも束の間、同じ陶芸の道を歩み始めた長男・賢一が、白血病に倒れてしまうのだった…。
焼物の里、滋賀県信楽町。夫に去られ、女手ひとつで2人の子どもを育てる女性陶芸家、神山清子。彼女は、江戸時代に失われてしまった技術である穴窯による自然釉の復活に執念を燃やしていた。極貧生活の中で、失敗を繰り返し、しばしば失意の底に沈みながらも、清子は決してあきらめることなく陶芸家としての信念を貫き通し、窯焚きを続けた。そして長い歳月を経てついに清子の挑戦は実を結び、信楽自然釉の完成に成功するのだった。しかし、そんな幸せも束の間、同じ陶芸の道を歩み始めた長男・賢一が、白血病に倒れてしまうのだった…。
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「火火」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
焼物の里、滋賀県信楽町。夫に去られ、女手ひとつで2人の子どもを育てる女性陶芸家、神山清子。彼女は、江戸時代に失われてしまった技術である穴窯による自然釉の復活に執念を燃やしていた。極貧生活の中で、失敗を繰り返し、しばしば失意の底に沈みながらも、清子は決してあきらめることなく陶芸家としての信念を貫き通し、窯焚きを続けた。そして長い歳月を経てついに清子の挑戦は実を結び、信楽自然釉の完成に成功するのだった。しかし、そんな幸せも束の間、同じ陶芸の道を歩み始めた長男・賢一が、白血病に倒れてしまうのだった…。
「火火」 の作品情報
「火火」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
火火の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
114分 |
|
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語 2:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
VPBT17837 |
2006年04月26日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
2枚
|
0人
|
1人
|
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
2:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
火火の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
114分 |
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1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語 2:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
VPBT17837 |
2006年04月26日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
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2枚
|
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|
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|
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
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ユーザーレビュー:23件
「お涙頂戴の映画にはしたくない」
と高橋伴明監督は言ってましたが、もう充分すぎるほどの涙と鼻水は流させてもらいました。
苦しさのあまり無菌室からガラス越しに「俺をここから出してくれ」と叫ばれたら親としては何もしてやれない口惜しさに身を裂かれる程の辛さを味わいます。
そんな息子を看病しながら泣き叫ぶことなく淡々と演じた田中裕子という女優を改めて見直しました。あの悲しみを湛えた眼が全てを物語っているのです。ジュリーの嫁さんに納まっているだけでは勿体無い。もっとたくさんの良い作品に出てほしいものです。
しかしこの映画は女性陶芸家、神山清子の人物像を浮き彫りにしたいのか、骨髄バンクのキャンペーン映画にしたいのか、どっちなんでしょう?
井原正巳、東ちづる、吉井怜などを出演させて力を入れ過ぎです。だから映画としては焦点がぼけてしまって勿体無いなあというのが私の感想です。
因みに撮影途中で実際に田中裕子さんは骨折したので屋根から落ちるシーンをわざわざ付け加えたとか。でもそのおかげで松葉杖で病気の息子を叩くシーンが撮れたとの事です。
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10人の会員が気に入ったと投稿しています
陶芸にも命にも厳しいひと
監督・脚本:高橋伴明(2004年・114分)
原作:那須田稔・岸川悦子共著『母さん子守歌うたって-寸越窯・いのちの記録』
内容もよく知らず、陶芸の映画が観たくて借りました。
私も昨年まで陶芸教室に通っていたのですが、先生が急死なさって、それ以来、土に触る機会も無くなってしまいました。
陶芸教室の生徒は殆どが女性でしたので、本作で「女は焼き物を焼く窯に入れない」という不文律があったという事に驚きました。
NHKの連続テレビ小説『スカーレット』では、神山清子を深く取材し、神山の子育てをしながら作陶する姿を参考にしたそうです。(モデルではないとWikipediaには書かれている)
神山清子(田中裕子)の夫は陶芸家でしたが、ある日、弟子の女性と家を出て行ってしまいます。
清子には小学生の娘と息子がありましたが、未熟な陶芸では生活もままならず、子供たちには貧乏生活を強いることになりました。
清子は自然釉の信楽焼きを復活させる夢があり、自分が目指しているのはこれなのだと、宝物にしている古い信楽焼きの欠片を子供たちに見せました。
粘土を捏ねるシーン。ロクロで成形するシーン。穴窯に作品を入れて薪を焼べて(くべて)焼成するシーン。
炎が窯の中で暴れ、その炎の中で作品が焼かれるままにじっと耐えているのを見るのは、なんとも言えない迫力を感じました。
私は電気窯と灯油窯しか体験していないので、穴窯や登り窯を一度体験してみたかったと思います。
娘の久美子(遠山景織子)は、母に反発して高校卒業と同時に家を離れ、弟の賢一(窪塚俊介)は窯業試験場で焼き物の技術を学び、母の寸越窯を手伝い始めます。
粘土を積んで作る傍から清子に作品を潰され、焼きあがっても割られてしまいます。
確か…「カッコつけるな」「自分を捨てろ」という意味のことを言ってたように思います。
運命は、どこまでこの母子に過酷なんだろうと思います。
賢一が慢性骨髄性白血病に倒れてしまうのです。
映画前半は「自然釉」を復活させるための清子の闘い。
後半は、賢一の病気との闘いと骨髄移植のドナー探し、及び骨髄バンク設立の闘いの様子が描かれます。
神山清子さんの持つ強さなのか、田中裕子さんの演技の上手さなのか、情念のようなものが画面から迫って来るようでした。
焼き物への情熱は理解できるとしても、闘病中の息子に掛ける言葉が半端ではない厳しさであり、時には耳を疑うような言葉を発するのです。
例えば白血病が再発して息子に残された時間を分かった上で「最後の誕生日、始めようか」などとケロッと言い、周囲の人に緊張が走るほどです。
でも、病室を出て一人声を押し殺して泣くのです。どんなに気丈であっても、我が子の死を平気で迎えられる人なんていませんよね。
本作に出て来る焼き物も、NHKの『スカーレット』で使われた焼き物も、神山清子さんの作品だそうです。
男っぽくて力強い作品ばかりでした。撮影に使われた穴窯も神山さんのものだそうです。
賢一さんが作ろうとしていた天目茶碗も賢一さんの作品だそうです。天目釉を使った黒い焼き物ですが、作品中に綺麗な模様が浮き出た「油滴天目」が出来上がっていました。
中国南宋時代の物とは勿論比較になりませんが、窯の内部で化学変化を起こした偶然の模様でした。
私の説明が下手くそで、映画の内容や感動や神山清子さんのことを、十分に伝えることが出来ていません。
興味を持たれた方は、是非本作をご覧になって下さい。
それから、焼き物については、ちゅくさんのレビューが詳しいので参考になさって下さい。
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6人の会員が気に入ったと投稿しています
厳しさと可笑しさ
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
本作品の中の神山清子は偏屈で相当な変わり者である。陶芸家という芸術世界でしか生きられない性格だ。だが、すこぶる魅力的に映る。
何故なら彼女には確固たる信念があり、少しも迷いがないからだ。見る側に清々しい気持ちを抱かせる。
そんな彼女を田中裕子が好演。厳しさと可笑しさが表裏一体となっている。
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5人の会員が気に入ったと投稿しています
火火っとくるけど涙までは流れない映画。母親像を参考に…
現在(2006年)70歳の滋賀県信楽町在住の女性陶芸家、神山清子の物語。
この映画に登場する陶芸作品(信楽自然釉)は、神山清子自身の作品で、自宅の庭の古代穴窯やカメラの前で吹き上がる火も本物。
前半は妻と女を捨て、陶芸家としての使命に執念を燃やす姿と母親像。
とても熱い温度で描かれています。
(陶芸制作のリアルさと田中裕子の熱演に、かなり感情移入できました)
後半は「白血病と骨髄移植」vs 母親像。
原作「母さん子守唄うたって」の難病モノに変わり温度が低く、空気も重くなります。
それでも単純な難病モノ“お涙頂戴映画”には、なっていません。
テーマがテーマだけに脚本に悪い評価できませんが、実在人物映画の弱点で、途中から「骨髄バンクのキャンペーン映画」に変更したのが、とても残念。
それでも、ラスト。
「私は『火火』の神山清子」で終わります。
前・後半変わらずの「母親像」は、火のように人生を生きる一途さ。
若いお母さん、これからお母さんになる人、あるいは、今、子供と、どう向き合っていいか分からない人は学べることが多い映画です。
自分が生きてる姿のありのままをさらけ出して子供と向き合えば、かならず子供も向かってくる…。
「カタチのあるモノはいつか壊れる。壊れたら、また作ればいい。でも心が壊れたら、もう作りなおされへんやろ」
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「火火」。「土」と「火」が闘い出会う「日日」。
神山清子(こうやまきよこ)さん。
1936年、長崎県佐世保に生まれる。
滋賀県の信楽で、寸越窯(ずんごえがま)を開き、作陶する。
昔の穴窯(あながま)は、文字通り山丘の斜面に穴を掘り、入り口を土と石でふさぎ、焼く窯です。
原始的な窯です。蒸し焼きです。初期の弥生土器はこうして焼かれたものではないか。
ふさぎ口だけから水分が逃げていく。数千度の高温に達しないので、焼締めはできず、自然釉も流れない。
素焼きです。埴輪の素朴さ、脆(もろ)さ。それなりの美しさはあります。
次の過程として、穴窯の上層部・側面の土を取り除き、原始的な穴窯を一つの小山にしてしまう。
すると、小山の側面から穴をあけ、窯の内の温度を調整できるようになります。
そこから火が飛び出、火が弱まればその穴から木を投入しできる。
現代で穴窯と言われるものは、この形態であろうと思う。
神山さんが使う土は、信楽の山から手掘りで採った土です。
その土を水に入れ、何度も漉します。
こうして出来た粘土を轆轤(ろくろ)で成形、そして乾燥したあと、釉薬をかけず、穴窯に入れます。
火加減を調整し、穴窯に槇(まき。信楽では杉の木が多いのではないか……)を放り込みながら、二週間焚き、焼き続けます。
その間、窯の中で槇の木が燃えて灰があがり、成形した陶器の上に落ち、陶器からは蒸発する水分とともに土に含まれていた鉱物分が窯の中に舞い上がる。
窯の中で、さまざまな化学反応が起こります。
出来上がった焼き物の上に、巧みない自然の作用が、様々な景色になって残る。これは、数千度で定着したものなので、消えないのです。
「自然釉(しぜんゆう)」と言われるものです。
窯の中で火が風を起こし、その風はさらに高温の火を起こし、熱は対流し、柔(やわ)な成形のものはひしゃげてつぶれる。
窯から出したあと、パリンと割れる。
それらを全部消去してしまう。残ったものしか、売れないのだ。
そうならんため、というより、その確率を上げるため、陶芸家は、窯入れ前の土選び、土の精製、成形、乾燥、窯入れを準備し、槇を投入し、2昼夜、窯を焚き続ける。
過酷な生業です。
焚く時期(雨季か乾季か)によって、条件は変わる。
一流の陶芸家は、その時、その土の経験によって予測し、焼き物を作っている。
それでも、満足する作品が少ないのでしょう。
現在の信楽には、昔ながらの大手の大量生産の窯元があり、さまざまな雑器や茶器を安価に提供してくれる。
神山清子さん、高橋楽斎さんなどの陶芸家の陶房も、事前に了承を得られれば、見学したり、陶芸家さんと話をすることも可能だ。
狸も大きなのから小さなのまで、外来のお客さんを迎えている。
全国から、陶芸修業の若者が集まり、定着している。
彼ら・彼女たちの作品を展示し、その器で食事できるカフェもある。
海外の陶芸作家が、信楽も目指してやってきて、この地の土と窯で新作をつくる。
個展も、現地で開かれる。
平安時代の古陶「信楽」から現代の「シガラキ」まで、当地で俯瞰、体験できる。
信楽は、古い、やきものの里から、陶芸のコミューンになった。
その一端を開いた一人が、神山清子さんにちがいない。
この映画「火火」で映る信楽焼の「やきもの」は、すべて神山さんの作品です。
今、僕の前に、神山さんの、ぐいのみと、徳利が、あります。
ぐいのみは、20年前、信楽で買ったものです。
酔余、洗うときに二回落としましたが、割れません。びくともしない。
一回目は、ごわごわ音を立てて、高台(底)を上に伏せた。
二回目は、床から跳ね上がって、すっくと立った。
強い器です。
信楽の土は、長石(ちょうせき)が多く混じっていて、これは漉せないし、数千度の火の風にも溶けない。
焼きあがると、長石の白い粒が点々と光り、大きな粒の周りには「はぜ」という土の亀裂がはじける。
これが信楽。
古い平安時代の壺。
これは、明るい大らかな明るさをもっています。
壺自体が宇宙であるようです。
僕の掌中にある神山さんのぐいのみは、手からあふれる。大きい、重い。明るさよりも厳しさが立っている。
「ほんのり」した要素を排除した、固く堅く焼き締められた、無音の力を感じる。
大らかさはない。
縁あって、六年前ここにやってきた徳利は、このぐいのみに合うものを選んだ。
ぐいのみの連れ合いを探したのだ。
並べてみると、どちらも、立っている。
安易に共調はすまい。
お互い「そっぽ」向き合っているが、人間がよそ見しているときは、油断ならん共闘をしているにちがいない。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
「お涙頂戴の映画にはしたくない」
投稿日
2007/01/28
レビュアー
おうち大好き
と高橋伴明監督は言ってましたが、もう充分すぎるほどの涙と鼻水は流させてもらいました。
苦しさのあまり無菌室からガラス越しに「俺をここから出してくれ」と叫ばれたら親としては何もしてやれない口惜しさに身を裂かれる程の辛さを味わいます。
そんな息子を看病しながら泣き叫ぶことなく淡々と演じた田中裕子という女優を改めて見直しました。あの悲しみを湛えた眼が全てを物語っているのです。ジュリーの嫁さんに納まっているだけでは勿体無い。もっとたくさんの良い作品に出てほしいものです。
しかしこの映画は女性陶芸家、神山清子の人物像を浮き彫りにしたいのか、骨髄バンクのキャンペーン映画にしたいのか、どっちなんでしょう?
井原正巳、東ちづる、吉井怜などを出演させて力を入れ過ぎです。だから映画としては焦点がぼけてしまって勿体無いなあというのが私の感想です。
因みに撮影途中で実際に田中裕子さんは骨折したので屋根から落ちるシーンをわざわざ付け加えたとか。でもそのおかげで松葉杖で病気の息子を叩くシーンが撮れたとの事です。
陶芸にも命にも厳しいひと
投稿日
2020/12/07
レビュアー
kazupon
監督・脚本:高橋伴明(2004年・114分)
原作:那須田稔・岸川悦子共著『母さん子守歌うたって-寸越窯・いのちの記録』
内容もよく知らず、陶芸の映画が観たくて借りました。
私も昨年まで陶芸教室に通っていたのですが、先生が急死なさって、それ以来、土に触る機会も無くなってしまいました。
陶芸教室の生徒は殆どが女性でしたので、本作で「女は焼き物を焼く窯に入れない」という不文律があったという事に驚きました。
NHKの連続テレビ小説『スカーレット』では、神山清子を深く取材し、神山の子育てをしながら作陶する姿を参考にしたそうです。(モデルではないとWikipediaには書かれている)
神山清子(田中裕子)の夫は陶芸家でしたが、ある日、弟子の女性と家を出て行ってしまいます。
清子には小学生の娘と息子がありましたが、未熟な陶芸では生活もままならず、子供たちには貧乏生活を強いることになりました。
清子は自然釉の信楽焼きを復活させる夢があり、自分が目指しているのはこれなのだと、宝物にしている古い信楽焼きの欠片を子供たちに見せました。
粘土を捏ねるシーン。ロクロで成形するシーン。穴窯に作品を入れて薪を焼べて(くべて)焼成するシーン。
炎が窯の中で暴れ、その炎の中で作品が焼かれるままにじっと耐えているのを見るのは、なんとも言えない迫力を感じました。
私は電気窯と灯油窯しか体験していないので、穴窯や登り窯を一度体験してみたかったと思います。
娘の久美子(遠山景織子)は、母に反発して高校卒業と同時に家を離れ、弟の賢一(窪塚俊介)は窯業試験場で焼き物の技術を学び、母の寸越窯を手伝い始めます。
粘土を積んで作る傍から清子に作品を潰され、焼きあがっても割られてしまいます。
確か…「カッコつけるな」「自分を捨てろ」という意味のことを言ってたように思います。
運命は、どこまでこの母子に過酷なんだろうと思います。
賢一が慢性骨髄性白血病に倒れてしまうのです。
映画前半は「自然釉」を復活させるための清子の闘い。
後半は、賢一の病気との闘いと骨髄移植のドナー探し、及び骨髄バンク設立の闘いの様子が描かれます。
神山清子さんの持つ強さなのか、田中裕子さんの演技の上手さなのか、情念のようなものが画面から迫って来るようでした。
焼き物への情熱は理解できるとしても、闘病中の息子に掛ける言葉が半端ではない厳しさであり、時には耳を疑うような言葉を発するのです。
例えば白血病が再発して息子に残された時間を分かった上で「最後の誕生日、始めようか」などとケロッと言い、周囲の人に緊張が走るほどです。
でも、病室を出て一人声を押し殺して泣くのです。どんなに気丈であっても、我が子の死を平気で迎えられる人なんていませんよね。
本作に出て来る焼き物も、NHKの『スカーレット』で使われた焼き物も、神山清子さんの作品だそうです。
男っぽくて力強い作品ばかりでした。撮影に使われた穴窯も神山さんのものだそうです。
賢一さんが作ろうとしていた天目茶碗も賢一さんの作品だそうです。天目釉を使った黒い焼き物ですが、作品中に綺麗な模様が浮き出た「油滴天目」が出来上がっていました。
中国南宋時代の物とは勿論比較になりませんが、窯の内部で化学変化を起こした偶然の模様でした。
私の説明が下手くそで、映画の内容や感動や神山清子さんのことを、十分に伝えることが出来ていません。
興味を持たれた方は、是非本作をご覧になって下さい。
それから、焼き物については、ちゅくさんのレビューが詳しいので参考になさって下さい。
厳しさと可笑しさ
投稿日
2006/05/31
レビュアー
スターダスト
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
本作品の中の神山清子は偏屈で相当な変わり者である。陶芸家という芸術世界でしか生きられない性格だ。だが、すこぶる魅力的に映る。
何故なら彼女には確固たる信念があり、少しも迷いがないからだ。見る側に清々しい気持ちを抱かせる。
そんな彼女を田中裕子が好演。厳しさと可笑しさが表裏一体となっている。
火火っとくるけど涙までは流れない映画。母親像を参考に…
投稿日
2006/11/25
レビュアー
ひらり
現在(2006年)70歳の滋賀県信楽町在住の女性陶芸家、神山清子の物語。
この映画に登場する陶芸作品(信楽自然釉)は、神山清子自身の作品で、自宅の庭の古代穴窯やカメラの前で吹き上がる火も本物。
前半は妻と女を捨て、陶芸家としての使命に執念を燃やす姿と母親像。
とても熱い温度で描かれています。
(陶芸制作のリアルさと田中裕子の熱演に、かなり感情移入できました)
後半は「白血病と骨髄移植」vs 母親像。
原作「母さん子守唄うたって」の難病モノに変わり温度が低く、空気も重くなります。
それでも単純な難病モノ“お涙頂戴映画”には、なっていません。
テーマがテーマだけに脚本に悪い評価できませんが、実在人物映画の弱点で、途中から「骨髄バンクのキャンペーン映画」に変更したのが、とても残念。
それでも、ラスト。
「私は『火火』の神山清子」で終わります。
前・後半変わらずの「母親像」は、火のように人生を生きる一途さ。
若いお母さん、これからお母さんになる人、あるいは、今、子供と、どう向き合っていいか分からない人は学べることが多い映画です。
自分が生きてる姿のありのままをさらけ出して子供と向き合えば、かならず子供も向かってくる…。
「カタチのあるモノはいつか壊れる。壊れたら、また作ればいい。でも心が壊れたら、もう作りなおされへんやろ」
「火火」。「土」と「火」が闘い出会う「日日」。
投稿日
2015/06/16
レビュアー
ちゅく
神山清子(こうやまきよこ)さん。
1936年、長崎県佐世保に生まれる。
滋賀県の信楽で、寸越窯(ずんごえがま)を開き、作陶する。
昔の穴窯(あながま)は、文字通り山丘の斜面に穴を掘り、入り口を土と石でふさぎ、焼く窯です。
原始的な窯です。蒸し焼きです。初期の弥生土器はこうして焼かれたものではないか。
ふさぎ口だけから水分が逃げていく。数千度の高温に達しないので、焼締めはできず、自然釉も流れない。
素焼きです。埴輪の素朴さ、脆(もろ)さ。それなりの美しさはあります。
次の過程として、穴窯の上層部・側面の土を取り除き、原始的な穴窯を一つの小山にしてしまう。
すると、小山の側面から穴をあけ、窯の内の温度を調整できるようになります。
そこから火が飛び出、火が弱まればその穴から木を投入しできる。
現代で穴窯と言われるものは、この形態であろうと思う。
神山さんが使う土は、信楽の山から手掘りで採った土です。
その土を水に入れ、何度も漉します。
こうして出来た粘土を轆轤(ろくろ)で成形、そして乾燥したあと、釉薬をかけず、穴窯に入れます。
火加減を調整し、穴窯に槇(まき。信楽では杉の木が多いのではないか……)を放り込みながら、二週間焚き、焼き続けます。
その間、窯の中で槇の木が燃えて灰があがり、成形した陶器の上に落ち、陶器からは蒸発する水分とともに土に含まれていた鉱物分が窯の中に舞い上がる。
窯の中で、さまざまな化学反応が起こります。
出来上がった焼き物の上に、巧みない自然の作用が、様々な景色になって残る。これは、数千度で定着したものなので、消えないのです。
「自然釉(しぜんゆう)」と言われるものです。
窯の中で火が風を起こし、その風はさらに高温の火を起こし、熱は対流し、柔(やわ)な成形のものはひしゃげてつぶれる。
窯から出したあと、パリンと割れる。
それらを全部消去してしまう。残ったものしか、売れないのだ。
そうならんため、というより、その確率を上げるため、陶芸家は、窯入れ前の土選び、土の精製、成形、乾燥、窯入れを準備し、槇を投入し、2昼夜、窯を焚き続ける。
過酷な生業です。
焚く時期(雨季か乾季か)によって、条件は変わる。
一流の陶芸家は、その時、その土の経験によって予測し、焼き物を作っている。
それでも、満足する作品が少ないのでしょう。
現在の信楽には、昔ながらの大手の大量生産の窯元があり、さまざまな雑器や茶器を安価に提供してくれる。
神山清子さん、高橋楽斎さんなどの陶芸家の陶房も、事前に了承を得られれば、見学したり、陶芸家さんと話をすることも可能だ。
狸も大きなのから小さなのまで、外来のお客さんを迎えている。
全国から、陶芸修業の若者が集まり、定着している。
彼ら・彼女たちの作品を展示し、その器で食事できるカフェもある。
海外の陶芸作家が、信楽も目指してやってきて、この地の土と窯で新作をつくる。
個展も、現地で開かれる。
平安時代の古陶「信楽」から現代の「シガラキ」まで、当地で俯瞰、体験できる。
信楽は、古い、やきものの里から、陶芸のコミューンになった。
その一端を開いた一人が、神山清子さんにちがいない。
この映画「火火」で映る信楽焼の「やきもの」は、すべて神山さんの作品です。
今、僕の前に、神山さんの、ぐいのみと、徳利が、あります。
ぐいのみは、20年前、信楽で買ったものです。
酔余、洗うときに二回落としましたが、割れません。びくともしない。
一回目は、ごわごわ音を立てて、高台(底)を上に伏せた。
二回目は、床から跳ね上がって、すっくと立った。
強い器です。
信楽の土は、長石(ちょうせき)が多く混じっていて、これは漉せないし、数千度の火の風にも溶けない。
焼きあがると、長石の白い粒が点々と光り、大きな粒の周りには「はぜ」という土の亀裂がはじける。
これが信楽。
古い平安時代の壺。
これは、明るい大らかな明るさをもっています。
壺自体が宇宙であるようです。
僕の掌中にある神山さんのぐいのみは、手からあふれる。大きい、重い。明るさよりも厳しさが立っている。
「ほんのり」した要素を排除した、固く堅く焼き締められた、無音の力を感じる。
大らかさはない。
縁あって、六年前ここにやってきた徳利は、このぐいのみに合うものを選んだ。
ぐいのみの連れ合いを探したのだ。
並べてみると、どちらも、立っている。
安易に共調はすまい。
お互い「そっぽ」向き合っているが、人間がよそ見しているときは、油断ならん共闘をしているにちがいない。
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- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
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- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
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