ハッダーの世界

頬にそっとキスをする
夜の間中　みつばちのようにポスターを貼り街をかけめぐるパパ
目覚めないパパを置いて学校に出かける。
ぼくには友達はいない。
ハンサムでもないし　運動ができるわけでもない
頭がいいならいいけれど　全然そんなこともない

ぼくは　先生のかおり
あの香水の名前は　なんだろうって考えてる


「現代の５人の美少年」にも入りそうな
美しいフレデリック・クリスティアン・ヨハンセンの寂しげな眼差し。
９歳のハッダーのみる世界はとても過酷です。
早くに母を亡くし　男手ひとつで育てる父とのふれあいはほんのわずかな時間だけ。
待ち受ける学校にも心を許せる相手はいない。
そんな時　妖精が現れて　「あなたは選ばれし勇者」と囁き
冒険の仲間を探すけれど　クラスの子からも相手にしてもらえない。

これは子供向けの映画なのかしら
結局　少年は冒険には出かけることがありません。
ちっとも冒険に出かけないこの物語、クラスからつまはじきの少年の物語と
その結末の機微は子供というよりは　親たち向けのものです。
小さな少年が　肌に優しい空想世界に別れを告げて
いいところも悪いところもある現実へと向き合うまでの奮闘記です。
美しいけれど　とても奥ゆかしい作品ですね。

華々しい喜怒哀楽を求めるなら「トムとトーマス」をどうぞ。

まさに、「幻想的」でした。
主人公の想像の世界と現実の世界が当然のように入り混じり、どこからが何なのか徐々にわからなくなります。
そしてこれは、一見すると児童向け作品のように思えますが（特に序盤）、なかなかに重いテーマと沈んだ雰囲気のある作品で（こういうと語弊がありますが）、大人向けの作品といった風情です。

この作品は、レビューを見るより、興味があれば借りて見るほうが良い作品だと思います。

ハッダー君は可愛かった。
だけど、どうしてあんなに何でもかんでも受け流しちゃうのか。意地悪されても文句を言われてもニコニコしてるだけだなんて。
大人の今、彼に会ったのなら、彼の性格を受け止めることもできるだろうけど、小学生の時にクラスにあんな子がいたら、なかなか仲良くはなれなかっただろう。彼は相手の側に立って言葉を選ぶということを知らないから。そして、彼の良さを理解できるほど小学生時代の私は大人ではなかったから。

それはそうと、ハッダーのクラスメイトのちょいデブ男子、彼のどこを見たら「クラスで一番かっこいい」と評することができるのだろうか。ヨーロッパの美的感覚はわからない

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心が優しくて、学校の仲間にうまくなじめない少年の前に、「世界を救うのよ！」という妖精が現れる。もし、ディズニー映画ならここから少年の大冒険が始まるところだけれど、この映画はそうなりません。小さな事件が起こりつつ、生活がたんたんと進みます。その分人物が割としっかり描かれていて、子どもたちの抱える苦しさや、微妙な関係の変化など、時に胸を痛めながら、時に共感しながら楽しめました。出番の少ない大人たちも、このひとこういう人なんだろうな、と想像できるような描き方。
派手さはないけど丁寧に作られたかわいい作品でした。