クライング・フィスト　泣拳

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ボクシングは韓国語で拳闘。

元銀メダリストの４０歳過ぎのボクサー。今や借金まみれのドン底生活。全財産を差し押さえられ家族とも離婚。職も無く下記のようなボードを掲げ殴られ屋として生計を立てる。
“ストレスを解消してあげます、男１分、女２分で１万ウォン”
そんな彼は視野がボヤケたり物忘れするなど選手特有の脳に損傷性の痴呆症状が。あのモハメド・アリの末期症状に近づいていた…
(日本でも数年前新宿歌舞伎町に殴られ屋が登場し話題になりましたね、でもそのボクサーは凡人のパンチを喰らわずに俊敏によけてばかり？だったので余計ストレスになったような・・)

同じ頃もう一人の主人公の若者は無鉄砲で救いようのない不良。揚げ句の果て強盗を働き刑務所に収容。レゲエの髪型もバッサリ。喧嘩早い事からボクシング部に入るが腕っ節や意地が強いだけじゃ試合には勝てない。やがて貧しい家族に不慮の事故と病が襲いやっと自分の愚かさに気づく。

そんな恵まれない二人はいよいよボクシング新人王戦の決勝戦で出会う。一人は生計のため、もう一人はマジメな人間に更生し親孝行するため。死ぬまでリングからは絶対に下りないと互いに決死の覚悟！この映画はロッキーの現代版のようで、且つ現実味があります。

さあ、感動のラストはリングサイドでご覧下さい。きっとあなたのコブシも泣いている事でしょう。

元アジア大会の銀メダリストで、借金のために今は殴られ屋におちてしまったテシク。どうしようもないチンピラで、強盗で刑務所にいれられたサンファン。ラストの試合のシーンまで、全く接点をもたないふたりの登場人物のエピソードが交互に語られることで、徐々にふたりに感情移入していき、「どちらにも勝たせたい」という気持ちにさせられました。父親としてのプライドを息子に見せたいテシク、病気の祖母に立派になった自分の姿をみせたいサンファン、しかしきちっと勝負をつけてくれたところにも好感が持てた。
またボクシングのシーンが非常に迫力ありました。ボクシングを題材にした映画はいろいろありますが、試合の迫力という点では、かなりの出来じゃないかと思います。

新宿歌舞伎町の元、殴られ屋のハレルヤ明と、韓国の少年をモデルに、こんな二人が対決したら・・・で、この作品が出来上がったそうです。この作品、痛い痛い、見るからに壮絶極まりない闘いぶりでありました。そしてラストは、ボクシングファンなら、感涙かな？さほどのファンでない私も、心を打たれてしまいました。
格好よさなんて気にせず、ホンマモンをつくるんや！という監督の思いに、二人の男が真っ向から熱演。
チェ・ミンシク、やっぱり熱い方です。リュ・スンボム君も一回り『アラハン』の時より成長しています。今後が楽しみかな。
ガチンコ勝負、どうぞ最後まで見届けて下さい。

『泣拳』と書かれると、私はなぜだかジャッキー・チェンを想像してしまいそうです（笑）

冴えない中年男を演じさせると、右に出る者はいないんじゃないか？と言うくらいバッチリはまるチェ・ミンシク。
『ラブレター〜パイランより〜』でも冴えない中年男でしたが、今回は過去の栄光から離れられず、見下されるのに憤慨するさまがよく伝わってきました。
サンファン役には若手のリュ・スンボムが見事に演じきっていましたが、『復讐者に憐れみを』の障害者役で出ていた時から　その演技力は秀でていましたね。

最後の新人戦の試合は、台本がなかったそうです。演じる・・と言うよりガチンコで戦う二人にも先が分からない戦いだったそうです。

『優勝さえできれば、俺は変われるかもしれない』

どん底の生活から、一筋の光を求めるように優勝を掴もうとする二人。
どちらを応援すればいいか、決めかねているうちに映画は終わってしまいました。

２時間１５分と、少し長い気もします。
大きな盛り上がりもそれほどありません。

ただ、映画が終わった時、きっとあなたの目を潤ませてくれるのではないでしょうか。

熱く感動したい方にお勧めです☆

おすぎさんが絶賛していたので観てみました。
今までのボクシング映画ではどちらかをクローズアップして観客は安心して応援していればよかったんだけど、この映画ではふたりのドラマを同時進行で見せ最後に対戦させる。観ているほうは「さあどうしよう。どっちにも勝たせてやりたい」
まるで今年の高校野球の決勝戦のような展開になります。
男と男のガチンコ勝負が観れる訳です。
（少し前に物議をかもした試合とは大違い）
そしてラストの２ショットが素敵でした。

この映画には二組の父子が登場します。私は女なので父子の間での言葉少ない感情のやりとりはよくわからないところがありますが、観ていてこれもまた好いものだなぁと思いました。