フラガール

実話ベースということもあり、物語自身は予定調和の中で進みます。でもこの普遍的な部分があってしかもそれを上手く描いたからこそこの映画がこれほど好評を得たのでしょう。

私がこの映画でいいなぁと思ったのは廊下を女の子達が駆けて行くシーン。実は2シーンあって、最初はフラダンス説明会から憤慨して飛び出していくシーン、そしてその同じ廊下を初めてフラダンスの衣装を着て、恥じらいながらも嬉しいそうに飛び出していく、この二つのシーンの対比に女性達の成長と努力が凝縮されていて感動を覚えたのです。

そして映画での一番の見所は最初の踊れなかった頃の田舎娘のおどおどした表情と大円団のダンスシーンの彼女達の輝いた表情の対比でしょう。ラスト本当に本当に嬉しそうな表情で踊る彼女達の姿を見ていると熱いものがこみ上げてきます。またダンスもこれがほんとに素人集団か？と思うくらい素晴らしい。この映画によって多くの人達がフラダンスへの認識を新たにしたことでしょう。私自身フラダンスがこんなに奥の深いものであるとは全く知リませんでした。きっと次にフラダンスを見るときには新しい目線で見ることが出来ると思います。

でも蒼井優にはビックリ、今まで売れっ子なのか・・・、一体どこにそんな魅力を感じるのかという疑問があったのですが、この作品を見て「ああこの人は白いキャンバス、あるいは多面カットの水晶のような女優さんなんだ」と感じました。この映画の中では野暮ったい田舎娘、愛らしい妹像、夢に向かう乙女、こうしたごく普通の女の子を演じているかと思うと、一転してステージでスポットを浴びると煌くスターのオーラを放つ。普段からオーラを放っている人や普通ぽい役が似合う女優さんは数多くいるれど、こうしたスター性を役柄によって切り分け出来ると言うのは、彼女は実は凄い逸材なんだろうと思います。

さすがに、人気があるようで、レンタル出来ませんでした。昨年、映画館で鑑賞し、感動の心震える体験が鮮明に残った作品です。今も手元にとっても素敵なパンフレットを大切にしています。もう、何も書く必要がない位、名実共に認められた１本となっています。
ラストシーンの感動と共に、ダンスの手の仕草が伝える愛のメッセージに痺れました。多くの人々の願いと、努力が一つになって、実を結ぶ熱さに、心からのエールを送りたい思いです。
出演者全員の汗と涙の結晶が、心を温かくしてくれる、そんな作品。松雪さん、蒼井優さんのダンスシーンも感動でした。と、私は何回感動の言葉を発したのでしょうか？オーバーに聞こえるかもしれませんが、素直にすばらしかった！とお伝えしたいです。

ご覧になった、あなたの心にも、ハイビスカスの花が咲き開きます様に。未見のお方は、どうぞお楽しみ下さい。

私は昔から感激屋で、映画でも小説でも良い作品に出会うと
うれしくて、泣いてしまうのです。（外見からは想像できない
と言われますが）

　作品中の女性達も頑張った。キャストもみんな頑張った。
よかったよかった。オ〜イオイオイ。

　蒼井優という女優さんは、いままで私の中では
「綺麗だけどインパクトがない」
という位置づけだったのですが、（事実、ＴＶドラマのＤｒ．
コトーくらいしか印象にないし。「星になった少年」に出て
いたのも最近知り、ああ、そうだっけ？と思いました）
実のところ、芯の強いしっかりしたパーーソナリティを
持った人なのだと言うことを、この作品の画面から感じ取り
ました。
　「蟲師」では、自らオーディションを受けて、役を勝ち
取ったとか・・。
　あれだけのフラを踊れるようになるまでには、想像を絶する
訓練があったのでしょう。今後、注目したいと思います。

　松雪泰子は、白鳥麗子の印象が強くて、あの圧倒的な美しさもあり、おそれ多くてあまり好きではありませんでした。
「小ぎつねヘレン」での役柄に、あまり共感できなかったし、
どちらかというと嫌いな部類だったのですが、本作では喜怒
哀楽の激しい先生の感情の機微をうまく演じていて、これもまた
見方が変わりました。

　うちのかみさんが”サクサスストーリー嫌い”（なおかつ
邦画も好きじゃない）なので、敬遠していたのですが、もっと
早く見ればよかった。「スイングガール」とともに、最近の
邦画の中では出色の出来だと思います。

　
　私事ですが、今日レビュー広場を開いたら、私の拙い
レビューを「気に入った」と投票された得票数が急に
増えていて、大変驚きました。
　毎日、少しずつ増えるのを見て
「ああ、少しは賛同して下さる方がいらっしゃるんだ」
とうれしく思っていたのですが、この急激な増え方には
過分な評価を頂いたような気がしております。
ありがとうございます。
と同時に、これだけの方が見ていて下さるのだから
もしかしたら批判的なことも出てくるのではないかと
ビビっております。
　皆様、（特にparoleさん、ラヴァさん、勝王さん、JUCEさん）
お手柔らかにお願いします。

昭和40年、閉鎖に追い込まれた炭鉱の町で
誰の目にもフラダンス＝その半裸な衣装が、
保守的な人々の目には、ストリップと混同されてしまうなど
ちょっと笑ってしまいましたが、炭鉱町にとっては、
ダンサーの候補集めには、苦難の連続で、大変な事だったと・・・
多くの男達と違い、不安を振り切って勇気を出して、
全く新しい事に　飛び込んで行く　その前向きなエネルギー
努力する姿が　見ていてさわやかです。
松雪泰子の名演技もさることながら、
村人たちの言動が、田舎の人達の保守的な融通は、
きかないところも　あるけれど、くそ真面目で、優しい気質を
表現して温かい印象を受けました。
面白さの筆頭は、なんといっても
アマチュアが、プロに変身していく過程のトラブルとサクセス。
フラダンスを人生を変える契機として全てをかける
蒼井優や、山崎静代らダンサーたち。
友達との別れ、落盤事故があり、親との別れ・・・
その都度、フラガールズの絆が固くなり・・・
そのパワーが、炭鉱にしがみついている人々の
価値観を変えていくところが、見ていてワクワクしました。

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一時期、スパリゾート・ハワイアンズには毎年のように、時には年に何度か行っていました。プール好きでその上子供のくせに風呂好きだった息子にせがまれてのことだったのですが、車を使えば日帰りも難しくなかったため家族サービスにはうってつけだったのです。・・・と言うのは表向きの理由で、実は私自身にもフラダンス・ショーを見るという目的がありました。ダンスそのものが好きと言うこともあったのですが、年を経るごとにトップスターが変わり、端の方で恥ずかしげに踊っていた新人ダンサーがだんだんと中央で踊るようになるその遷移を見届けるのがとても楽しかったのです。

そんな見方をし、それを毎年の楽しみにするようになったのは、知り合いの女性によく似た新人に目を留めたからでした。その女性は、恐らくは私たちが家族と初めてスパリゾート・ハワイアンズに尋ねた年に舞台デビューしたらしく、恥ずかしそうな表情や小さな動作がそれを強く物語っており、そのことが逆に強く印象に残ってしまったのです。しかし、半年後に訪れた時にはそんな初々しさと拙さが取れすっかりプロらしくなっており、それに伴い彼女の立ち位置も一番後ろの端から、少しばかり内側になっていました。

その後半年から一年のサイクルでスパリゾート・ハワイアンズに訪れたのですが、彼女は次第にベテランの立場になっていき、最後にはとうとうクライマックスの時に真ん中で踊るトップ・スターに、そう『フラガール』における蒼井優の位置付けになっていたのです。舞台で踊ることすら恥ずかしがっていた彼女が数十人のダンサーを従えるようにして堂々と踊る様はいたく感動的で、数年間その経緯を見続けていただけだけの私なのに、なんだか自分が手塩に掛けて育てた教え子の晴れ舞台を見ているような気持ちになり思わず涙ぐんでしまいました。

ステージの上と下とで、一方的に接していただけの彼女でしたが、一度だけステージ外ですれ違ったことがあります。彼女のステージを見た二回目か三回目の頃の出来事で、それは文字通りすれ違いの経験で、彼女がステージを終え楽屋に帰るまでの一瞬のことでした。芸能人というわけではないダンサー達はステージを終えると一般客も行き交う通路を通って楽屋へと引き下がるのですが、私が彼女たち一団とすれ違った時、まだ新人だった彼女は先輩達の最後尾を大きく遅れて一人で恥ずかしげに歩いていました。既に彼女のファンになりかけていた私は一目で彼女を認め、思わず「あなたのファンです。頑張って下さいね」と声を掛けたくなってしまいました。でも、単なる一人の客である私がいきなり声を掛けるのもおかしいと感じ、それ以上に多くの客が行き交う中で声を掛ける事への気恥ずかしさもあり、結局その場で足を止め彼女が私の脇を通り抜け通路の向こうに過ぎゆく様を見届けることしかできませんでした。彼女が見詰める客の視線に耐えるかのように、恥ずかしげな笑みを浮かべながら、でも考え込むようにゆっくりと歩んでいく様が今でもはっきりと脳裏に残っています。

私がこんなセンチな想い出を今でも消さずに残しているのにはもう一つ理由があります。それは本作の物語とも関係があるのですが、彼女たちダンサーは今でも一切の例外なく常磐音楽舞踊学院で学んだ地元の女性達なのです。スパリゾート・ハワイアンズにあるダンサーや学院に関する説明パネルにはそのことが触れられているのですが、その慎ましやかな、でも強い自負を感じさせる説明に、彼女たちの想いと彼女たちを育てている人々との熱い気持ちを感じたことも、私の「フラガール」体験を色濃く彩っているのです。


そして、『フラガール』は私のそんな思いと想像とをまさに裏付けるような作品でした。お涙頂戴物のようでありながらも、細部に至るまでしっかりと作られているところや、さましくクライマックスと呼ぶにふさわしいラストのダンスシーンの素晴らしさや、このシークエンスに全てを集約させる物語の運びなど、一つの映画作品としてそれなり以上に良くできた作品だと思いますが、劇場での私はそんな冷静な判断や鑑定をする余裕など無く、ラストシークエンスはスクリーンがよく見えなくなってしまうほど涙が溢れ出ていました。いやラストに至る以前に、上記の「フラガール」への想いとスクリーン上の出来事が重なってしまい、幾度もハンカチを手にせざるを得ませんでした。