悪魔とダニエル・ジョンストン

ある種の疲労と共にこのフィルムを見終えた時、あなたはどう変わっているだろうか。（それとも始まって５分で、『××』ボタンを押している？）

ダニエル・ジョンストンという人間が、何故成立しえたのか。ナイーブで不均衡、周囲の信頼を裏切り、社会には不適応。無自覚で無責任。想いは一途だが、意志は薄弱。ヤクもやれば、躁鬱も病む。こんな人間が、なぜ愛された？　

彼が創り出した物のおかげだろうか。山のようなカセットテープに、イラストブック。それらは、免罪符たりえるのだろうか。

思うに、「創り出す者」の精神がノーマルであるはずは無くて。心が強ければ強いで、理性は創造の仇敵になる。だから、そうでない者から見て、アーティストは狂気を帯びていて当然なのだ。狂気込みで、彼は愛を授かっているといえる。逆説的だが彼が正気なら、このような愛は得られなかったのかもしれない。

ダニエル・ジョンストンの曲は、何処にとどまる？彼の演奏、彼の歌唱を、初めて聴いた時、激しく戸惑わずにはおれない。
「これは、一体なんだ？」が正直な感想だろう。しかし聴くうち、ある場所に違和感が生まれる…その場所とは「心臓」だ。不整脈が起こり、触手が絡みついてくる様だ。キャスパーが膜となり、ハートを締めつけてくる。　耳管をただ、通り抜けてゆく曲との差は、そこにある。

音楽という奇跡の業について、ふと思いを馳せてみたくなった。これも『××』ボタンを押さなかったおかげだ！


私の拙い文章で分かりにくい部分は、先の「真」さんのレビューに良く書かれているので、どうぞ。（丸投げ御免）

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去年暮れ、わたしのかばんやリングの製作者であったり、
お洋服のバイイングをしている方と久しぶりにじっくり
話し込んだ中で、彼からダニエル・ジョンストン知ってる？
ってダニエルの名前が出てきた。
全く聞いたことの名前だけど、ダニエルの周囲に出てくる名前は
わたしの大好きな人たちばかり。
話を聞いていると、すごく興味深々になってしまい、
離れなくなった。
音楽を先に聞くか、映画を先に見るか少し迷って、
後者を先にした。

天才と気狂い。
無と無限。
紙一重とは、よく言ったものだ。
その紙一枚の際を、ダニエルは言ったり来たりしている。

コードは２つ、多くて７つくらい、
ギターはストロークのみ、
鍵盤は力任せにただたたき、
声も感情のままに発する。
技術皆無。
でも、そこからあふれ出てくるものは、
誰も体験したことのない何かでつまっていて、
だから、初めて体験する我々は、
無防備な彼を前にしばし呆然としてしまい、
そして、なんだろう、この感覚は、
と驚きを隠せない。

同じコードが８小節も続くのに、
飽きないし、成立している。
ダニエルが歌い、ダニエルが奏でてしか成立しえない
楽曲。
宅録のワントラックだから録音状態も酷い。
なのに、とても切なくて美しい。

ペンと水彩絵の具。
考えない。
出てくるものをそのまんま画用紙に描く。
技術も道具もないけど、成立する。

お金に繋がるもの以外のクリエーションなら
すべて完璧に美しい形で具現化できる人。
こんな人、他にいるだろうか？

我々が理解できない世界に生きている。
故に、本人含め、家族、周囲の人は
生活という人間が営んでいかなければならない
土台に着地するのに、本当に大変だし、苦労が多い。
愛情と彼から溢れる作品の素晴らしさのおかげて、
やっと乗り越えているのだろう。

見ていて、折り合いをうまくつけられず
のたうちまわるような辛い状況の彼に、
すごく苦しくなる。
最後のシーンに辿りついたときには、
カートのようにならずによかったと
心から思う。


ダニエルと同じ時代に生まれてよかった。
ただ、ダニエルを知ってしまうと、
他の映像を見ると薄っぺらく感じ、
ＦＭから流れてくる音楽をこれまた薄っぺらく感じてしまう。
一度本物を口にすると、以後偽者を食べられなくなるように。

ちなみに、日本での公開ではジャーナル・スタンダードが
協賛している。
恐らく、ジャーナルの顧客の嗜好とは重ならないであろう
この作品を、支持したジャーナルの判断は正しい。
きっと、反対もあっただろうけど、
この作品とダニエルにとりつかれてしまったわたしのような
誰かが、希求したのだろう。
元々ジャーナルはすきだけど、よりジャーナルに
親しみを持った。

最後に、この作品とダニエルを紹介してくださった方に、
ありがとう！

波乱に満ちた半生を送る、生きる伝説ダニエル・ジョンストンのその魅力の全てを余すところ無く納めた傑作ドキュメンタリー。波乱に満ちた半生の生きる伝説のドキュメントといえば「テルミン」を真っ先に思い出すが、膨大な楽曲と映像と音声と資料と同時代性という部分で、本作は「テルミン」より遙かに生々しく迫ってきます。
強烈なイノセンスの爆発の記録は、根源的な琴線に触れまくり、涙を流さずにはいられない美しさと脆さで突き刺さります。それは紛れもない赤裸々な真実が根幹を支えているからです。決して営利目的や興味本位ではない、愛とユーモアに貫かれた１０年に一本の傑作を、全アーティスト、アーティストを志す人、かつてアーティストを志した人に、またはアートの対極にいる人にも（結局はすべての人々）、体験して何かを感じてもらいたい作品です。

ダニエル・ジョンストンという人物をあまり知りませんでしたが、
確かに作詞や作画等、アーティストとして凄い才能だと思いました。
（楽器の演奏はあまり上手とは言えませんが…）
馬鹿と天才は紙一重。
狂気と言うより。。。。
しかも、入退院を繰り返している訳ですから、れっきとした御病気。

それを受け入れたマネージャーや仲間達。
彼の芸術的才能だけではなく、人柄も関係しているんでしょうか？
ケそして何よりケアを続けるご両親。脱帽です。
彼の才能は、彼だけのものでなくご両親の力でもあると感じました。

作品中にもありましたが、ゴッホ等、狂気の芸術家は多い。
逆に言うと、芸術の才能が有り余り過ぎると、病んでしまうのでしょうか…！？

　見終わって感動しています。

　でも、コメントが難しい・・・

　ロックはあまり知らないけど、ジャケットのデザインに惹かれて借りてみました。
　彼の音楽については純粋さが溢れていて、俗世間慣れした私の心にも、キリキリと入ってきました。
　私は彼のようには・・・

　でも彼のような子供がいたら大変だろうな。
　純粋過ぎて、傷ついて・・・
　芸術家ってどこかに狂気を秘めているんですね。
　ダリ、ピカソ、チャップリン独創的な作品を残す人は、凡人に無い感性を持ってる。
　それが時に苦しみにもなってしまう・・・
　彼にとって、鬱病は辛い病気だけど、救いは彼を支える人が素敵なこと。
　それと、障害を持つ人に対する偏見が、日本と比べて少ないように思います。
　日本で、ミュジシャンが彼のような問題行動を起こした場合、マスコミや世間の反応は・・・容易に想像できますね。
　ところが、かの国では退院したら再びチャレンジできる、勿論彼を支える人がいることが重要な要素ですが、その事実に感動します。

本編が終わってから、彼が一生想い続けていた、初恋の人との再会シーンには、正直言って「グッ」ときました。

　あんなに長い間、一人の人を思い続けられたら・・・
　彼の想いは遂げられないだろうけど、彼には幸せになって欲しい。
　つくづく、そう思いました。
　
　ロックに興味ない人も是非観て下さい。