アートスクール・コンフィデンシャル

　とっても面白い映画です。前半は「オレンジカウンティ」（これもお勧め映画）を思わせるような才能はあるけど、冴えない男の子がアートの世界で花開く事夢見ると共に憧れの女性の気を引くために奮闘するラブ・コメ路線。アートスクールを舞台にした話ですが、私のイメージする芸術系の学校のイメージそのもので、とてもシニカルなユーモアに満ち溢れた展開です。実際私が聞いていた関西の某芸大は変人達の巣窟だと言われていて、普通の人がいると逆に変わって見えたらしいです。
　「オレンジカウンティ」でもトム・ハンクスの息子コリン・ハンクスの二世俳優が主演でしたが、この作品の主演ジェロームは「イングリッシュ・ペインシェント」の監督アンソニー・ミンゲラの息子マックス・ミンゲラが演じています。脇を固める俳優陣もマルコヴィッチ、ブシェミなど豪華で味があります。

　この前半のほのぼのムードから一点、物語は学内で起こる殺人事件をメインとしたパートに転調します。しかしこの転調も実にスムーズで全く違和感を感じません。他人事に思っていた殺人事件が身近に迫ってきた主人公とともに観客自身も戸惑いながらもサスペンスに引き込まれていくのです。しかもこの筋書きはかなり捻りが効いていてサスペンスとしても本格的です。私はそのさり気ないミスリードなんかにまんまと引っかかってしまいました。

　ラストには好き嫌いがありそうですが、これこそテリー・ツワイゴフ監督とコミック作家ダニエル・クロウズの『ゴースト・ワールド』コンビの持ち味で、現代社会をシニカルに笑う最大の皮肉だと思います。オブラートに包んではいますがきつい皮肉がタップリです。

　これだけ面白い映画なのに日本ではＤＶＤスルーです。まさにこの映画の皮肉そのままですね。ということで私としてはかなりお勧めの映画です。欲を言えばヒロインが私好みだったら言う事無いのに。

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「ゴーストワールド」も大好きな映画でしたが。

いやああ、ほんまありがとう。
万人受けする映画だとは思えませんが
武蔵野婦人という映画好きニンゲンのハートには
直球ど真ん中でヒット。

こういう映画が大好きな人なのね、私って。。。。。。
と、改めて自己確認しちゃったよ。

もう、この皮肉にまみれた
世界を揶揄した
それでいて愛と知性に満ちた
こういうテイストがたまりませんわ。

このテリー・ツワイゴフ監督。特典映像を見ていると、チャップリンにそっくりなのね。目はニコラス・ケイジにも似ている。
この監督をめぐる、周囲の人間関係なんかもとってもいい感じです。

以前、週刊文春で近田春夫が「いい音楽ができるための大きな要因に”バンドのメンバーが仲がいい”ってのは絶対ある」と書いていて、うんうん、なるほどねー！　と思ったのですが。
この映画でもそれを感じます。好きで好きでたまらない世界を、仲間で楽しく撮ったという感じ。
根っこが揺るいでいないので、最後まで無理やほころびがないんです。とっても上手。

監督を評して、出演者が「彼はとっても素敵。すごくシニカルなんだけど、でもどこかでたまらなく無邪気なの」と評しているのですが、まさにそんな感じです。
無邪気なシニカルさ。
私の好きな映画って、きっとそこにあるように思います。


美大に行きたくてずっとデッサンばかりしていた高校時代の自分がよみがえります。あの、あほくさくて愛すべき世界を再体験。
絵画としてどうよ？　ってぐらいのど素人の作品が、評論家の絶賛を浴びていく過程、教授として威張ってる存在の作る作品が、もう笑っちゃうような作品というのが、たまりません。
これらの絵の作品を見るだけでも一見の価値あり。

なんたって、「ひと目で駄作とわかる絵を作らせる」ことに心血注いだそうで。で、これがまたほんとに、いいころあいをついて駄作＞笑　最高におかしいです。

映画作品としてどうかね、というよりも
自分史的な視点で、武蔵野婦人としてど真ん中ヒットの作品でした。

シニカルで無邪気な映画が見たいと思ったとき、ぜひ手にとってほしいです！！！

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ＪＵＣＥさんのレビューにひかれてレンタルしました。おもしろかったです。ありがとうございます、JUCEさん。

美術学校に集まる生徒たちは、よくいえば個性豊かな、普通の感覚でいえばwiredな人たちばかり。
そんな中では、それなりに才能もあり、ごく普通の感覚をもっている主人公のジェロームがものすごく変人に見えてしまうところがおもしろい。他人の作品に対してごくまっとうな意見を言っているのに、それがものすごくういてしまったり。教授陣も生徒に劣らず変わり者。ジョン・マルコビッチ（ものすごくはまり役ですね。）演じる教授の抽象画作品なんて、笑っちゃうような代物なんだけど、本人は傑作だと信じていたり。

JUCEさんがおっしゃってるようにちょっと「オレンジ・カウンティ」に似ています。
そういえば、コリン・ハンクスとマックス・ミンゲラも雰囲気が似てるし。
私は始め、「オレンジ・カウンティ」のような純粋なコメディだと思ってみてたので、そのわりには突き抜けたところがないというか、コメディにしては暗いような気がして、それは青空の下のカリフォルニアと保守的な東海岸という舞台の違いなのかなあ〜と思ったりしてました。
それが後半こんな展開を見せるとは予想もしませんでした。
改めて初めから見直してみると、いろいろヒントを用意してるんですよね。

シニカルでブラックなコメディ。ラストも気にいりました。おすすめします。

この前に観た『君とボクの虹色の世界 』もおもろかったけど、これもおもろいやんけー♪両方ともアートにたいする自嘲気味な視線があるんやけど、こっちはもう完全にコメディとして笑い飛ばしとります（´艸｀）

まぁ、笑い飛ばしてるっつっても、"どんだけ狭いターゲットやねん！!"っつーぐらい、これを笑える人って少ないと思うけど・・・まぁ、自分はむちゃくちゃ爆笑してもーたっす♪

とくに、みんなで提出した作品について批評するとことか、ワザとダブってるやつの系統診断とか、教授の家で飾ってる教授の作品とか・・・他にもイロイロ・・・前半部分は爆笑の連続（´艸｀）

このへんのコメディ重視のあたりまでは、むちゃくちゃ大好きっすね〜〜〜♪

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ただ、ここから・・・ストーリーが転がり始める中盤からだんだんとマジメになりすぎて面白くなくなっていくんよね〜・・・いや、映画やからメインのストーリーはマジメでもええんやけど、そのストーリーがイマイチ面白くない（´・ω・`）

まぁ、言いたいことは非常によくわかるんやけど、前半に比べてあまりにもストレートなんで感動したり笑えるとこまではいけへんのよね〜・・・

ははは・・・っつーレベル・・・

全体的には好きやけど、どーせやったら前半の感じでラストまでいってくれたらよかったのにな〜

□■□■□■□■□

っつーことで、ごく一部の人は爆笑それ以外の人は"ふーん・・・"っつー映画っす。オススメはしないっすけど、『君とボクの虹色の世界』が好きな人は多分この映画も好きなんやないかな〜

自分はけっこー好きなタイプの映画っすね〜♪

満足度　75点

芸大は変人の巣窟・・・きっとそうなのだろう。
そして、作風にしろ、物言いにしろ、普通じゃないことがアーチストの条件だと思っているのかもしれない。
本気で自分に才能があると思っているのか、
あると言いきらないと砕け散ってしまいそうだからなのか、
不遜で底の浅い学生達の生み出す駄作の数々・・・
25年同じモチーフで駄作に磨きをかけているという教授も同類だ。
マルコビッチの演技は素晴らしいが。

ストーリーの流れから言うと、主人公ジェロームは
他の学生とは違って、駄作を駄作と言える普通の感覚を持ち、
その実、今は認められなくても宝石の原石のような才能を秘めている
・・・のじゃないかと思うだろう。ふつう。

しかし、、、
はっきり言って、単にアホだ。
真に自分の中にある何かを作品として生み出したいという創造意欲からでなく、「有名な芸術家」という職業、世間に認められることに憧れ、いい作品で女が釣れると思っている俗物だ。
創作への情熱や自信、作品への誇りなど微塵もないから、
真の芸術家なら絶対にやらないことをやらかす。

皮肉な結末が、この映画の言いたいことの全てかもしれない。
ゲージュツが飯の食い種になるかどうかは運次第。
それよりなにより、若者にとって重要なのは恋らしい。
ヒロインもどうかしてるよ。。。

世間が認めようと認めまいと、真に何かを表現したくて生み出した作品は、作者にとっては至宝であるはずだ。
真の芸術家は、死後、作者の所行とは関係なく純粋に作品の持つ芸術性が適正に評価されて初めて認められるものかもしれない。
・・・軽い映画なのに、何語ってるんだろう？＞私。

そういうことを考えさせる映画だったということにしておこう。