空軍／エア・フォース

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　1941年12月７日、ハワイの基地に向かう米空軍の爆撃機Ｂ−17「メアリー・アン」は、ヒッカム基地との無線交信で日本軍の真珠湾攻撃を知る。映画はこの機のクルーを主人公として、ハワイからウェーク島、フィリピンと、太平洋戦争序盤の米軍の敗走を辿る。その中で、和平を口にしながら奇襲攻撃をしかけた日本のやり口の汚さが語られ、軍に失望して除隊を考えていた砲手（ジョン・ガーフィールド）は翻意し戦いを決意する。あるいは、パラシュートで脱出した丸腰の兵に執拗に追い討ちをかけ撃ち殺すゼロ戦を映し出しながら、ホークスが登場人物の感情を極力抑制して演出しているだけに、かえって画面に静かな怒りを醸し出す。見事な戦意高揚映画である。

　オアフ島やマウイ島に日本軍が上陸していたり、あるいは日系人が呼応して基地攻撃を仕掛けたごとくに描かれる史実上の誤りがあるのもむべなるかな、この映画は開戦後一年と少しで仕上げられた。だから、映画の終盤にオーストラリア近海で大海戦があり、そこまで敗けっぱなしであった米軍が大勝利を得るという映画にカタルシスをもたらすシーンは、あるいは撮影と同時期のミッドウェイ海戦の情報が入っているのかもしれないが、ほとんど創作というか希望的観測というか、決意表明の類である。ラストは、東京空襲に出撃する爆撃隊の出陣の様子で、司令官の「地獄を見せてやれ」という台詞で締めくくられる。

　その瞬間、僕は映画から離れていろいろの史実を思い起こし、そうだ、本当に地獄を見たのだ、と思う。たとえこのようなプロパガンダ映画であっても、現実にひきつけて不用意にナショナリズムをかきたてられることにあまり意味はないけれど、開戦後まもなくの米国の国民感情を知るにはよい素材かもしれないと思いながら、徹底して顔のない悪役としてぎこちなく描かれる日本兵の向こうに、様々な物語や思いを想像してしまうのも、日本人の特権だろうと思う。
　そしてまたそう思った瞬間、ぐるっと回って、本作を映画そのもの、ハワード・ホークスの作品として愉しみたいという欲望がいつものように湧いてきて、ここでもプロフェッショナルが手際よく分担してコトを成し遂げるさまが生き生きと描かれ、映画の大きな魅力になっていることなどを反芻するのである。５５点。

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　第二次世界大戦中に製作された、アメリカの戦意高揚的映画。陸軍Ｂ−１７フライングフォートレス爆撃機の搭乗員を主役に、真珠湾攻撃、マニラ、リンガエン沖海戦を描いたドラマ仕立てとなっている。戦時中製作だけあって、登場する兵器類も本物が多くみられ、アクションとしてもそれなりにリアルな作りとなっているのが興味深い。

　ストーリー自体はフィクションのようだが、日本軍敵視とアメリカ人の戦意高揚を高めるために、真珠湾奇襲など史実に沿ったエピソードを散りばめた作りとなっている。特に、Ｂ−１７爆撃機がアメリカ本土からハワイに空輸される設定は、1941年12月8日の真珠湾攻撃の際に、アメリカ軍レーダーが日本軍攻撃隊を誤認したＢ−１７爆撃機編隊と一致するものである。
　ただし、詳細な部分についてはかなりの史実誤認と歪曲が見られる。真珠湾攻撃時に飛行場に日本陸軍兵士が潜入していたり、スパイが自爆テロを起こしたりしているし、ウェーキ島でも日本兵スパイがアメリカ軍航空機を爆破するなど、汚いジャップという印象を操作している。また、落下傘脱出兵を日本軍機が機銃掃射するなどのシーンも、あくまで日本兵は汚い奴だと思わせたいらしい。
　上記の点もあって、ストーリー自体は日本人にとって決して面白いものではない。その分を差し引いたとしても、アメリカ万歳的な内容なので面白みはさほどない。

　唯一本作で興味深いのは、やはり登場する実機だ。Ｂ−１７フライングフォートレス爆撃機が登場するのは当然だが、実機のエンジン音や内部映像が興味深い。飛行シーンや空中戦シーンはミニチュア使用となっているが、地上、離陸シーンは実機の迫力が楽しめる。また、アメリカ軍機としては、Ｐ−３９エアコブラ、Ｐ−４０ｃウォーホーク戦闘機の影像が見られるほか、アメリカ軍偵察機及び日本軍ゼロ戦役としてＡＴ−６テキサン練習機が飛行シーンを見せてくれる。日本軍機役にはＰ−４３Ａランサーの姿も一部見える。また、地上機ではＢ−２６マローダー爆撃機が登場している。海軍機は記録影像シーンのみだが、空母から発艦するＴＢＤデバステーター艦上攻撃機が出てくる。
　作品後半には日本海軍船団に対する攻撃シーンがあるが、艦船類は皆ミニチュアとなっており、戦艦や空母のほか、変な工作船のようなものが多数出てきて爆発している（笑）。このあたりは日本軍だし、どうでもいいやという感じなのだろう。

　戦意高揚映画なため、史実的にも内容的にもあまりリアリティがないのが残念だが、戦時中にアメリカがどのように日本を見ていたのかということを知る上では貴重な映画と言える。まあ、とにかくハワイに日本軍が上陸していたとは驚いた（笑）。

内容はともかく作品が古すぎてビックリ！！！！

最近の作品に見慣れてると映像の古さに耐えられないかも？？？？

途中で寝てしまったので
お薦め度？？？？
つけられません

1943年当時に製作された、アメリカ国民の戦意高揚を意図してのジャパン・バッシングのプロバガンダ映画である。日本軍部の暴走に端を発する戦争は決して許されるものではないが、当時の、日本への石油を含めた資源の禁輸などの経済制裁は、資源の乏しい日本への打撃は大きく、国運を賭けて開戦したのも、分かる気がする。
アメリカは奇襲を口実にしているが、戦後の公刊資料などで、日本の暗号解読で事前に、開戦を把握していたとことが定説である。
だから、一面から見ただけの、アメリカのみが正義であることを、強調する本作には腹立たしいものがある。

ジョン・ガーフィールド