ジャッカー

　年々もの忘れがひどくなって、ディスカスから届く作品に「なにコレ？」って驚くことが多々ある。予約リストに入れた記憶がまったくないとは我ながら恐れ入りますですよ、トホホ・・・。

　で、この作品もタイトルと言いジャケ写の雰囲気と言い、絶対にアタシが好きな映画の訳ないじゃんコレとガックリきたのだけども、まぁ86分だしサクッと観るかって感じで観始めたらこれがもうビックリの面白さなのでした。原題は「コーエン＆テイト」で、まるで刑事２人組のバディ・ムービーみたいなんだけど、出てきたロイ・シャイダーは悪役で、じゃあピカレスク・ロマンなのかと思えばやってる事が冷酷非道すぎて、愛すべきキャラには到底見えない。この不思議テイストは個人的にはかつて観たことがないもので、アクション、スリラー、クライム・サスペンスといったジャンルをクロスオーバーした新奇性に富んでいて実に見応えがあった。

　主要な登場人物は、冷静沈着な初老の殺し屋コーエンと、血の気が多く知性は極少の若造テイト、そして拉致された少年トラヴィスの３人だけ。それぞれが自分の「強み」を駆使してその場の主導権を握って事態を自分の優位に動かそうとする、場面ごとのパワー移乗が実にスリリングだ。なかなか緻密で巧い脚本だと思う。「赤ちゃん」「地図」「補聴器」といった小道具の使い方も秀逸。また、９歳ながらアッパレと最後にコーエンも賛辞を贈る、トラヴィスという子供の賢さ、抜け目のなさには目を見張ると同時にかすかな戦慄も覚えた。自分を殺しかねないテイトから身を守るために、コーエンを利用せんと彼の心理を完全に読んで罠を仕掛けるあたりは可愛げが無いどころじゃあないもの。まったく末恐ろしいガキんちょである。

　冒頭からクール一直線、観客に媚びずにひた走ってきて迎えたラストはダメ押しの辛口（苦笑）。思わず「ウェッ！」っと声を上げてしまった。未見の方は是非この衝撃を味わっていただきたい。

ハララドキドキするのがサスペンス映画の醍醐味ですが、
この映画は全く次の展開が読めない、とても出来のよいクライム・サスペンス。
田舎の一軒家に住む一家がボディガードらしき二人の人物に警護されているにもかかわらず襲撃を受け、犯人は子供を拉致する。
この一家は何者なのか？犯人の目的は？何が起こっているのか？
そういったことが謎のまま話が進みます。
これらの謎は次第に明らかになってくるのですが、いったいこのお話、これからどうなるのと、
次の展開が全く予測不能でした。
善悪がはっきりしているのが、アクション映画の常套手段ですが、
この作品ではロイ・シャイダー演じる悪党に感情移入してしまい、
悪党が本当に悪党なのかどうか、わからなくなってきます。
これは、意図的に曖昧にされているように思います。
善悪の曖昧な描き方が面白さのひとつになっています。
また、拉致された子供が、大人顔負けに狡猾で、これも犯人の方に肩入れしてしまう原因。
主役の善悪が判別不能という、通常の娯楽映画とは異なる手法をとっています。
娯楽映画の定石を無視しながらも、娯楽映画に仕上げているという離れ業を成し遂げているのではないでしょうか。
田舎町から大都会ヒューストンまでの車での悪党二人と子供の三人の旅を、
各人の心情をうまく描写しながら、スリリングな展開をみせる面白い映画でした。

エリック・レッド初監督作品だから脚本を書いた「ヒッチャー」にあやかって「ジャッカー」だとか。

いったい何が始まっているのか？という不気味な雰囲気のオープニングがまず良くて
あれよあれよという間に車中の恐怖へ舞台は変わり、その密室は狂気に満ちた力関係の
推移激しく、いつ殺るか殺られるか、誰か誰を、何をどんな？と展開はまったく読めない。

原題の「コーエン＆テイト」、ミッションのための俄か仕立てのミスマッチな殺し屋ふたり。
狂犬テイトが吠えればコーエンがすかす、誘拐されたトラヴィス君の底知れぬ人間観察力、
機転の良さがアンバランスなトリオ編成を盛り上げる。

ラストシーン、「Nine. How about that.」 ロイ・シャイダーの台詞、坊やの歳を尋ね、大したもんだと。
あの時、取り囲んでいるパトロールカーは本物のヒューストン警察のものだとか。

アクションシーンにおいて細かいこと気にしなければ、本当に楽しめる。おすすめです。

　エリック・レッドは『ヒッチャー』なんかの脚本で知られる人で、これが初監督。VHSレンタルで初めて観たときにはあんまり面白くてびっくりしました。
　ひじょうに出来のいいサスペンス・アクションで、未見の方にはお勧めです（何度も観ているので見直さずに書いちゃいます）。
　『刑事ジョン・ブック』のようなFBIの証人保護プログラムが背景になっているわけですが、のっけから説明なしの襲撃が格好いいです。
　その後誘拐劇になるわけですが、窮地に追い込まれた少年が二人のギャングに「心理戦」を仕掛けていくあたり、タイトによく練られた脚本が魅力的です。
　ふたりのギャングのうち、やはりロイ・シャイダーが魅力的です。沈着冷静で補聴器をつけているシャイダーが次第に（わずかに）少年に関心をもっていく。
　あくまで冷酷な悪役には変わりないのですが、粗暴な相棒よりも少年との対決を楽しんでいる風もあって、魅力的です。
　補聴器という小道具が見事に生かしかた、むかえるラストでのシャイダーの格好よさにはぐっときます。
　もちろん細部にはやや緩さが皆無とはいえず、完ぺきとは言い難い。けれどもこれだけ短い上映時間にきりりと見せてくれたサスペンスアクションには、その後あまりお目にかかっていないような気もするのです。
　エリック・レッド畢生の傑作。彼のその後の波乱万丈な（？）人生については町山某氏の書いたものがどこかで見つかると思います。思い切って、８０点。　

ってのは 僕じゃなくて 解説がそこで終わってる ちょうどいいとこで
終われない解説なのは 脚本がいいからか 解説しすぎで尻切れトンボw

さてツィッターで篠崎誠さんがメリックを賞賛しているのでデスカス
チェキ ありゃ ラヴァ様とした事がエリックのこの作品見てなかったよ
内容は ポッシュさんやよふかしさんカプちゃんが目一杯レヴューして
ますので そちらをこれがアメリカ映画だにゃ