ほくろ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

昨年度の第3回ピンク映画シナリオコンクール・準入選作って事ですが、脚本はまずまずじゃないかな？と思います。
別れた女への未練を引きずる男を60分も掛けて描いて面白いかえ？という疑問を大いに感じますが、脚本の技を評価するなら、恋人・三七子の死に重ねるサラブレッドのアクシデントとか、展開の意外性は才能ありますね。ラストシーンにも用いているカップルもスパイスとして効いていますし、この辺は上手いと思います。

しかし、主人公の微妙な変化を描く脚本ですから、写し取る鏡が必要で、路上で歌う青年が決定打としてのその役割を担い、結ばれる方向性を示すカップルがラストシーンになりと、周囲から固めていく脚本で、主人公の感情の起伏が少ない流れなんですね。そんな流れを演出がどのように切り取るかが生命線だと思いますが、演出が全く冴えません。
鬱屈した主人公をほとんどノーライトで追う生々しさだけが立ち、彼の心に切り込むようなショットが皆無なんですよね。
また緩やかな流れの脚本であるだけに、セックスシーンが物語の流れを遮ってしまいますし、性描写する必然性すら演出が潰してしまっていると思います。
脚本が幾ら描いても、その行間を絵にする演出がなければ、映画は光を放たない典型のように感じられました。

おそらく3日ほどで撮影している映画でしょうから、あまり攻めるのも気が引けるのですが、陰鬱な雰囲気を引きずるこのピンク映画のトーンもそろそろどうにかしないといかんのじゃないでしょうか。ピンクという枠の中で縮こまって、「ピンクだから低予算でこんな程度で良いんだ」なんていう時代じゃないのではと思います。
ピンクなどという枠があるのも日本独特の物ですし、性描写も解放されつつあるのですから、もっと広いマーケットを睨んだ作品を期待したいものです。

感動エロス！気に入った！最高ですね！星５つ！
個人的見解ですが、俺には人には言えない恥ずかしい場所にホクロがあります！

観終わって・・・
「これってホントに２００７年作？」て思いました。
ぶっちゃけおよそ四半世紀前の作風ですよ。まんま「ピンク映画」です。当時年齢をごまかして（もう時効ですよね）３本立てのピンク映画を何度か観ましたが実際、昔のピンク映画ってこんな感じでした。

バタ臭い女優、マイナー感バリバリの男優、果ては「ぼかし」の入れ方まで、まるでタイムスリップしたような感じです。

ホント、当時のピンク映画って今作品のような「ちょっとしんみりするような作品」とか「コメディタッチ」とか「サスペンスタッチ」とか色々で現代のＡＶのような「ただのエロ」って殆ど無かったんですよね。いや〜懐かしい（笑）。

でも、ただそれだけ。。。

今回の評価
キャスト：★★☆☆☆
演出：★★☆☆☆
脚本：★★☆☆☆
尺：★★★★☆
映像：★★☆☆☆

総合：★★★☆☆

本来は★★☆☆☆ですが、懐かしさで★一つおまけです。

主人公（吉岡睦雄）が別れた彼女の故郷へ赴くも、彼女は数日間に事故で亡くなり、彼女の友達（水原かなえ）とラッキーHできました…ってだけの話ですが、吉岡と水原の抑えた演技と、丁寧な演出に見入ってしまう。また下元史郎と華澤レモンの歳の差カップルをはじめ、わきを固める主演陣も何気に豪華。

“官能”という部分で期待していましたが、
ガッカリしました。
全体的にぎこちない感じが…。
素人さんがお好きな方におすすめです。