風のダドゥ〜いのちのひびき〜

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心に傷を負った少女が、阿蘇の牧場で元競走馬との出会いや、牧場で働く人々とのふれあいを通して再生していくという話。

少女は、生きる力を馬と、じい（犬塚弘）に教えてもらったという感じです。「生きることを、そんなに難しくかんがえるんじゃない」と。

阿蘇の山は雄大だし、朝日や夕日はとても綺麗だし、風の音は心地良いのですが、全編に渡り盛り上がりもなくちょっと退屈です。

馬や、牧場など生あるもの全てと関わりあうことで、得られた生命の力は、こういう大自然の中でしか味わえないもの。
この自然の中で生きる喜びを得た主人公は、母親に連れられて戻ってしまうのですが、果たして雑踏の中でやっていけるのでしょうか？
むしろこういう自然の中で、自分のできる事などを見つけ、生きがいを見つけていくほうが良いのでは？なんて思ってしまいましたが・・・

ダドゥが馬の腸が動く音だったとは、初めて知りました。
心臓ももちろんそうですが、ダドゥも同じ命の音ですね。
この命の響きを言葉も交わさずに馬と一緒にいることで、共有した主人公は動物ってやっぱり凄いなぁと。
人が頑張ってなどと言うよりも、はるかに癒し、励まされちゃうんだよね。

　北海道で子供たちと馬に囲まれて数日過ごした経験があります。
自然の中で、失いつつあった力を取り戻すこと。
ホースセラピーって本当に良さそうだなあ。

　阿蘇の大自然や馬や人々に見守られて、傷ついた人間が再生してゆくお話です。
テンポが遅くて、もうちょっと作りようがあったんじゃないかと思わせますが、観た誰もが善良なまっとうな気持ちを思い出すことでしょう。
自分にまとわりつく面倒事が、ちっぽけに感じられ、「いのち」や「人生」について、大きく捉えられるようになるかも。

大好きな阿蘇山
大好きな馬たちを眺めながら
私が≪ホースセラピー≫されてしまいました。。。
（アニマルセラピーはお薦めですよ〜♪）

リストカットを続ける少女歩美とその対応に悩む母
今、世の中に問題をかかえた家族が
どれだけいるのか、私には想像もつきません。
ですが
家族だからこそ許せないという事もあるのでは
無いでしょうか。
家族と距離を持つことで
そして、心が通じ合うものを感じることが出来た
競走馬メイワジョニーとのかかわりで
徐々に心を開いていく歩美。

そして、そこには
決して押し付けのない優しさで包んでくれた≪じい≫の
愛もありました。。。

牧場のオーナー役の勝野洋さんは
御殿場に住んでいらっしゃるのですが
何回か日常で偶然お会いしたことがあります。
とても良い方で
ドラマの良い印象そのものでした。。。

近場にこんな環境（牧場等）があるのでしたら
ぜひ、単なる乗馬クラブだけでなく不登校児のための
施設もあるといいのですが。。。


★★★☆☆

“馬”と“犬”は，昔から人間の一番身近な動物として愛されてきましたし，映画の題材としても，この二種が動物映画の双璧として扱われてきました。
とりわけ“お馬さん”には，“ホースセラピー”という言葉まであり，近年の世知辛い世の中では，誰もが“癒されたい”という気持ちがあって，“お馬さん”映画がウケているのだと思います。
さて本作は，リストカットを繰り返してきた女子高校生の歩美（木村文乃）が，家出をして阿蘇山を彷徨った挙句に意識を失って倒れ，「阿蘇ふれあい牧場」に運び込まれ，そこで乗馬指導員（夏木孝明）に出会い，引退した競走馬を世話することになりなって，生きる力を取り戻していくという物語です。
木村文乃は，不登校の女子高生の屈折しながらも立ち上がろうとする難しい少女期の心象を好演していますし，脇役のベテラン陣も素晴らしい演技でこれを支えています。
犬塚弘の飄々としたお爺さんもいいし，勝野洋の乗馬クラブのオーナーも，”いるいる，あんな人”と思わせる感じだし，暴れ馬が少女になついていく姿や，馬の美しさや逞しさが，ありきたりなドラマを新鮮に見せてくれます。
勝野さんと榎木さんが馬に乗って草原を疾駆するシーンが有りますが，実は二人とも俳優の中では乗馬に長けていることで有名で，納得のナイスシーンでした。
ちなみに，韓国で初めての動物映画といわれる「角砂糖」も“お馬さん”物ですよ。

( ネタばれあり　)

生きることに意味を見失いリストカットを繰り返す少女が、阿蘇の雄大な大地で見守る大人たちや馬とのふれあいの中で、生きる意味を見出していく・・・・・。

癒しの映画とか、感動作とか、薬の効能書きじゃないんだから、そうした形容はむしろ虚しい。
逆に動物と子供たちが主人公の、あまりにストレートな内容と表現は、文化庁推薦とか道徳映画みたいなどと揶揄するレッテルを貼られかねません。
言葉なんていくらでも修飾・美化できるし、劇映画なんてしょせん作り話。
同じ脚本家が書いた『　なごり雪　』はだめでしたし・・・・・。

ですから、観てよかったというのは、あくまで僕の個人的な感想で、感動はお約束などできません。　人によってはだめでしょう。
だだ作り話に仮託して語られることがある、伝えられることがあるとしか言いようがありません。

生きることを難しく考えるな、という老人の言葉。
いのちの意味は言葉や頭の中でわかるものではない、ということでしょうか。
いのちには肉体性があって、その重みは考えるのではなく、感じるしかない。

いのちあるものを失うことの哀しみ、痛みを感じるか、失いたくないと思えるかどうか。
そして自分を越えるものの存在を感じ、誰かを愛せるかどうかが、自縄自縛から抜け出られるヒントとなるのではないでしょうか。
自分を愛せないものは他人をも愛せないのはたしかですが、誰かを、何かを愛することができた時、人は自分を肯定できるのではないでしょうか。

それは子供たちだけへのメッセージではなく、大人でも同じことでしょう。

出演陣は男優たちも、女優たちも、子供たちも、みんな誠実に演じていて好感を持ちました。
それでも改めて犬塚弘はさすがと思います。