空へ　─救いの翼　ＲＥＳＣＵＥ　ＷＩＮＧＳ─

この川島遥風３尉は高卒で20歳でパイロットということは、実は私の後輩である。
（航空自衛隊には高卒でパイロットになるコースがあります。最近は戦闘機乗りの志望者が少ないそうなので、体力のあるお子さんがいるかたは【女の子も含む】応募して下さい）

しかし、この映画はこの仕事の実像を実によく描いていてとっても感心した。
救えなかった事の苦悩。ベテランはみんな経験しています。救いに行って、どうしても救おうとしたために還ってこなかったクルー。私も友人を何度か失いました。
メディックの一人がパイロットだった私にこう言った事がある。「僕は妻に、僕が殉職しても決してパイロットの奥さんに恨みごとを言うな、と言ってあるんです。事故はクルー全員の仕事の結果ですから。」本当にいい奴だった。あいつはその時24歳だったと思うが、俺より大人びていた。若くして悟った事を言う奴は長く生きない運命なのかも知れない。

この映画に出てくる連中も同じだ。川島もメディックも整備士も、純粋で真っ直ぐ。実際の隊員もみんな、そうです。世間の事はよく分かっていないが【自衛官は概ねみんなそうです】、真面目に実直に仕事に取り組んでいる。皆さんの税金を決して彼らは無駄にしていません。

セリフが棒読みだという意見を読みましたが、何を言う。自衛官はみんなそれで普通なのです。

スナックのママが「二度と帰ってこないかも知れない人たちだから必ず笑顔で送り出すんだよ」と言うが、これは有名な話です。パイロットの奥さんは、前日の夜にたとえ口喧嘩しても、朝出勤する時は夫を笑顔で送り出せ、と、先輩の奥様から申し伝えられている。【お宅もそうしてみては如何ですか】

この映画はそういう隊員たちの実像です。実際のレスキューの姿をそのまま描いています。海上救出のホバリング操縦等、映像を見ても本当に上手い。空自のレスキュー技術は世界最高レベルだと国民は誇って良いです。星の出ていない暗夜でも彼らは海上救出しますから。

地味で顧みられる事の無かった救難の仕事を映画にして戴いて、ありがとう。感動した。星五つ。

※専門用語がそのままばんばん出てくるが、この映画を観る人は知ってる、と言う事なんでしょうか。
念のため書いておきます。
F転…Fighter PilotからRescue Pilotに転換した人
OR…Operation Readiness 実任務可能パイロット
WOC…Wing Operation Center 航空団司令部
DD…Defense Destroyer 汎用の護衛艦
火工品…海を緑に染めて黄色い煙を出したヤツ　飛行機から投下する
木村佳乃…肌がきれいだ

航空自衛隊レスキューの女性パイロットの話。
ベタな話の中に、厳しさって面では抑えられたようだが、かなり忠実とも
思われる自衛隊の描写。
レスキューといいつつ、海猿のような派手さもなく、谷間のホバリングとか
護衛艦への着艦など、こちらのほうが断然リアル。
自衛隊員の演技はややどうなのっていうところはあるものの十分堪能。

後半にいけばいくほど、面白くなってくる。
着艦出来たときはもうちょっとした感動もの。

震災復旧・復興が続く中、まさにこれが今、毎日のように展開されているか
と思うと自衛隊員の方々にも敬服するばかりです。

演技がいいとか、演出がいいとか、脚本とかいいとか色々あるんだけど、
それらとはまたちょっと違った良さが満ち溢れていた作品。
たくさんの人に観て欲しい。

　あの名作アニメ『よみがえる空』を原作とした実写です。

　あの雰囲気が好きなら問題なし。派手さはないけども実直な姿が描かれています。
　なので、逆に派手な救出シーンとかが見たいならオススメしません。ただ、それでも見てほしいという気持ちはある。

　見ていて素直によかった……と思えた。

　確かにベタな展開かもしれないが、そこがこの作品のいいところだし求めたいところでもある。

　人命救助の困難さ。
　救助する側の苦悩。
　それらを感じ取ってほしい。

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　航空自衛隊小松基地の小松航空救難団における、新人女性パイロットを中心に繰り広げるレスキュー活動や私生活を描いたドラマ。原作はアニメーションの「よみがえる空-RESCUE WINGS-」、コミックの「レスキューウイングス」で、その映画化である。主役のヘリＵＨ−６０パイロット川島３尉役にはなんと１６歳の高山侑子が抜擢され、脇には三浦友和、中村雅俊、木村佳乃などが固めている。当然のことながら撮影には航空自衛隊や海上自衛隊が全面協力しており、特に空自の航空救難団（小松、浜松など）の航空機が飛びまわり、小松基地での撮影も多い。

　正直言って、ストーリーや映画の雰囲気は自衛隊ＰＲか、隊員勧誘映画的（笑）。さらにシナリオやセリフに問題があったのか、もしくは自衛隊を描くとこうなってしまうのか、主役を除けば皆立派な役者のはずなのに、べタベタかつ棒読みの演技はちょっと失笑を誘う。ストーリーもレスキューシーンも、恋愛シーンも、友情シーンも超ストレートで、捻りも深みもあったものではない（笑）。素直に興行映画的に評価を下すと★２から２．５が良いところだろう。
　だが、私の評価は★４つ（笑）。何故かといえば、棒読みセリフやベタな芝居に、いい加減にしろよと失笑しながらも、私の視線はスクリーンに釘付け状態。ベタな友情、恋愛に思わず涙。映画を観終わった後の爽快感も良い。
　この映画、空自のドキュメンタリーだと思ってみると、随所に美化しすぎ、やりすぎの設定などおかしな所も多々あるのだが、元がアニメーションだから気にしてはいけない（笑）。ストーリーもはっきりいって今時ありえないほどＢ級の内容なんだが、実はそれを超越するほど登場人物が格好いいのだ。逆にベタベタなＢ級だからこそ引き立つ格好良さなのかもしれない。それに加えて、自衛隊全面協力の救難ヘリＵＨ−６０や救難捜索機Ｕ−１２５、戦闘機Ｆ-１５の航空機飛行シーンは迫力十分。地上、機上撮影のリアル感はドキュメンタリーにも匹敵するほどで、特に救難ヘリのコックピットシーンやＵ-１２５の機首下の暗視カメラ作動シーンはまさに垂涎もの。また、私も航空祭で何度も行った小松基地を使用した撮影は、何だかとってもドキドキするのだ。いわゆるミリヲタ的には見どころ満載で、スクリーンに釘付けなのだ（笑）。
　そういう意味で、真面目に映画を楽しもうという人には余りお勧めできないかもしれないが、ミリヲタ的に航空機アクションを楽しみたい人は、あえて自衛隊美化の罠にはめられるつもりで見ると堪能できるだろう。

　主人公の川島３尉役の高山侑子はまあまあかわいい。美人過ぎないのが控えめでいいかも。何でも、実の父親が新潟救難隊のメディックで３年前に殉職しているのだそうだ。そういう関係で抜擢されたのかな。空士長役の鈴木聖奈もブスなんだかチャーミングなのか微妙な感じがいい味。３佐でＵー１２５パイロット役の木村佳乃も凛々しくて格好良かった。Ｆ-１５パイロット役の金子賢はなかなかのマッチョで、いかにも自衛隊員らしい。
　あと、気になったのは、３尉の主人公に空士長や３曹の女性がため口なところ。お友達と言うことなのだろうが、もはや自衛隊は軍隊ではなく職場ということなのかな。また、２曹の男性隊員もため口だったりするが、これは星の数よりメンコの数といったところかな。

　映画中に登場するレスキューは、離島の病人輸送、遭難漁船からの救出、火災タンカーからの救出、山岳遭難者の救出、墜落したＦ-１５パイロット救出だが、本来の救難団の業務は最後のパイロット救出。民間遭難者の救出は警察、消防防災、海保のヘリが行うが、困難な場合は救難団に出動要請が出るのだそうだ。山岳遭難で自衛隊が出動した例はあまり聞かないが、実際出動する県警や消防防災ヘリのパイロットは自衛隊上がりが多いらしい。なお、主人公は空自初の女性救難ヘリパイロットということだが、実際にはまだ存在していない。
　登場する機体ではタンデムローターのＫＶ−１０７IIＡ（74-4844)は浜松救難隊のもの、救難ヘリＵＨ−６０Ｊは小松救難隊(78-4587,88-4585,58-4582)の３機が登場、Ｕ−１２５Ａは小松救難隊（22-3020)が主に登場している。Ｆ-１５Ｊは小松基地306飛行隊(924 948)の３機が協力。海自の護衛艦は「はるさめ」で搭載のＳＨ−６０Ｋ哨戒ヘリも登場。願わくばもう少しＦ-１５あたりの機動飛行が見たかったな。

　本作は見る人によってかなり評価が分かれるだろう。私のようなミリヲタにはかなり楽しめるだろうが、もっと真面目に検証しちゃう人や自衛隊に興味ない人にとっては酷い映画かもしれない（笑）。　

自衛隊の全面協力ということで、救難ヘリや救難捜索機のみならず、F-15イーグルや
護衛艦までも実機を使用しての撮影ということで非常にリアリティがあります。
ヘリのローター風の迫力、滑走路の陽炎のようにゆらめく様等、リアルな映像は
非常に秀逸です。
派手さや迫力という点ではハリウッドのCGを駆使した大作には敵いませんが、
実写に拘った映像もいいものです。
一般受けを狙うなら派手な災害救助を題材にすればいいところですが、
何とも地味な救助に好感が持てます。
それにしても主演が僅か15歳とは思わなかった。