ラジオスター

韓国では大ヒット，日本では鳴かず飛ばずという作品も多いですよね。その代表選手といえば，「グエムル〜漢江の怪物」と「王の男」でしょう。
中でも「グエムル…」は，本作と同じ2006年に公開され，約1300万人動員という記録的な数字を叩き出して，他作を圧倒しました。
また，前年公開された「王の男」も大鐘賞映画祭で最優秀作品賞をはじめ，ほとんどの賞を総なめしたという鳴り物入りで日本公開されましたが，イ・ジュンギssiのファン層を開拓した程度の人気でしかありませんでした。
で，何が言いたいかといいますと，本作は，「王の男」のイ・ジュニク監督の次回作で，2006年公開作品の中では第14位という動員数というデータがあるのですが，そんなのは関係なく，とても良くできた作品だと思います。
まあ，数字や受賞はあくまでも参考値ですし，見る人の価値観も様々です。どこにどんな素晴らしい作品が隠れているか分かりませんので，これからも先入観なしで見ていきたいと思います。

ということで本作ですが，パク・チュンフンssiとアン・ソンギssiの7年ぶりの共演ということで注目を集めた作品です。シリアス系での露出が多いアン・ソンギssiですが，コメディ（だと思います）をやらせても上手いですね。
いつまでもスター気取りの落ちぶれた歌手の成長と，いつかまたスターの座に輝くことを願いながら献身的に世話をやくマネージャーの友情という，ヒューマンドラマも描かれているようですが，笑って，泣いて，見終わった後に心が温まるというのは，やはり良質のコメディ作品だと思います。
主演の二人はそれぞれ主演男優賞を受賞しましたが，脇役のメンバーたちも目立ちすぎず，適度にはじけて，作品を支えています。こういったバランスの良さがいい作品を生み出すカギだと思います。
そしてもう一つこの映画のポイントは，舞台となる江原道（カンウォンド）寧越（ヨンウォル）の風景でしょう。
寧越は「愛してるから，大丈夫」，「僕らの落第先生」，「天国からの手紙」などでも使われた撮影場所ですが，街並み自体に癒しの効果があり，本作の構成に一役買っていると思います。

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　なかなか不思議な良い映画。
サランヘさん同様、何も情報を入れずに見るといいと、私も思います。

　誰も期待していない地方のラジオ局の新番組。
喫茶店の店員のアガシの告白から始まって、みるみる情で覆われた番組に成長してゆきます。
その辺が非常にほのぼのして、心が温まりました。

　本筋とは関係ないのですが、最近、私が応援している美声のはげアジュシ（ユン・ジュサン）が局長役で出てきます。
「アクシデント・カップル」では郵便局長。「スターの恋人」では大学教授。「ソル薬局の息子たち」では病院長。
地位の高い役ばかりやるのかと思ったら、最近「あなた、笑って」ではコメディタッチで「肉屋のオヤジ」を演じていて、幅の広さに感動してファンになりました。（「アイリス」では、キム・テヒの上司です、、）
脇役がいいと、映画もドラマもぐーんと良くなりますよね。
この映画、そういう意味でもとてもいいですよ。

あったかい映画です。

韓国映画のみせる機微はさすが。
私の韓国映画ベスト５に入ります。
おすすめ。

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　２００７年のシネマコリアで観た作品です。

　日本で言うところのレコード大賞のような賞を受賞したあと問題を起こし、落ちぶれたロック歌手チェ・ゴンとそれを支えるマネージャー、パク・ミンスの再起のお話。

　この映画の中でマネージャーのパク・ミンスは４６歳であるということがわかるシーンがあったので、彼らの年齢は容易に想像ができます。怖いものもなく、きらきらと輝いていた若き日々はすぎて、この人生の「行き詰まり」。中年の私には、よ〜くわかります。
登場人物たちは傍から見たら、それはちょっと「大人」らしい生活をしてないのかもしれないけれど、私はこの登場人物のそれぞれをそっと抱きしめて、撫ぜてあげたいと思うほど愛すべき人間としてそれぞれが描かれていました。

　天体望遠鏡で星を眺めながら、「自分ひとりで輝いている星はない。違う星の光の力を借りながら、自分を輝かせているんだ。」（かなりうろ覚え）というような台詞がありました。この台詞も、今までに聞いたことがなかったわけではないけれど、改めて新鮮に感じられました。チェ・ゴンはパク・ミンスの力を借りながら、パク・ミンスは妻の力を借りながら、人はそれぞれいろいろな人と力を貸しあいながら、生きているのですよね。改めてこんなふうに思いました。
　中年の人生の再生という点で、チェ・ミンシクさんが主演だった「春が来れば」と重なる部分もありました。私はこうした温かい作品が大好きです。

　全体としてはコメディタッチで描かれているので、そこここに「笑い」が満載で、ちょっと笑うのにも忙しかったです。若い人たちに人気のある邦画のコメディでは、全く笑えない私なのですが、この映画には人に対するまなざしの優しさがあるから心から笑えたのだと思います。