はりまや橋

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かつて英語教師として高知県に暮らしていた経験を持つアーロン・ウルフォーク監督が、自然豊かな高地の名所を背景に、価値観の越えた異人種間の絆を綴ったヒューマンドラマです。

主人公ダニエルの父親が第二次世界大戦の時に、捕虜収容所で殺され、日本に対して激しい嫌悪感を抱いていた矢先に、息子が日本で英語教師をしていた時に事故で亡くしたことを機に来日。

ダニエルは、過去の戦争の経緯もあり、日本のことが大嫌い。
最愛の息子が奪われた悲しみは強く、息子の遺品である絵を持ち帰ろうとします。
日本人として、不快な場面もあるのですが、日本国内の同和問題にもそれとなく触れ、私達にとってはタブーとして避けてきた部分にも真正面から向き合い、取り入る事ができたのは、アメリカ人監督だからかもしれません。

息子と親交のあった人々に出会う中で、日本人に対する誤解や偏見を乗り越え、打ち解けていくのは、今までの親子のすれ違いを埋めていく旅でもあったのかもしれません。

本作は，監督のアロン・ウルフォーク氏自身が実際にＡＬＴ（英語指導助手）として高知県須崎市で1年間暮らした体験があったからこそ生まれた作品ですが，何でこの作品のタイトルを「はりまや橋」としたのかを考えてみたとき“深いなあ”と感じました。
はりまや橋は，日本三大ガッカリ名所（札幌の時計台，沖縄首里城の朱礼の門）といわれることもありますが，“土佐の高知のはりまや橋で…”と歌ったペギー葉山さんの「よさこい節」は，僧侶の恋という“禁断の恋”を歌ったものとしてよく知られています。

人の心の中にある，予断や偏見が同和問題をはじめとした差別を生み，憎しみや誤解が人としての交わりを阻み，孤独と悲しみの淵に追いやります。
映画は，アメリカと日本の間にある戦争という歴史，黒人と日本人という人種の壁，英語と日本語という言葉の壁など，様々なわだかまりや壁にさえぎられた人たちの，心と心を結ぶ架け橋として，禁断の恋の象徴である“はりまや橋”をリンクさせ，かの地で新たな絆を築いてゆく父の姿を描いています。
ロケ地は高知県内とサンフランシスコで，日米韓の合作映画となっていますが韓国の匂いはほとんど感じられません。むしろ，外国人が感じた日本という感じで，ジンワリと泣ける作品に仕上がっていると思います。

雰囲気がとても良く、内容も真摯で良かったです。
差別は千差万別で、どこの国にいても結局なくなりはしないのだなぁと改めて知った思いです。
アメリカ人の監督が日本で撮影している所に意味がある。
それぞれの立場が伝わってきました。

監督は高知で１年間英語の教師として従事したアフリカ系アメリカ人。自らの体験を織り交ぜながら、繊細に描いていて、これまで日本を舞台にした外人監督の映画の中では巧く作っている。河瀬監督のような雰囲気の絵を撮るが、”この風景が日本は美しい”のようなものがみえ、日本を好きなのも伝わってくるが多すぎる気もする。邦画によくあるわびさびの展開を理解しているからでこそ、このような作品に仕上げたのかもしれないがもう少し冒険してもよかったようにも感じた。しかし、この映画で伝えているものは非常に素晴らしい。戦後60年以上も経っているのに未だにＷＷ2の日米の見解の違いや、人種、文化の違い、そして日本人同士の偏見まで描いている。

日本を舞台にした外国人監督の映画は多くなってきているが、どこかおかしい映画が多かった。ここへきて正統派で丁寧に描かれた作品が出てきたのは喜ばしい。アーロン・ウールフォーク監督は是非とも日本を舞台にした映画を作っていってもらいたい。（デジタルで撮っているのか映像が綺麗過ぎてハッキリしているので、今度はフィルムの味のある映画にして欲しいな。）

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全然期待しないで見始めたのですが、なかなかよかったです。

高知の田舎町にＡＬＴとしてやってきた黒人青年が不慮の死を遂げる。
かつて戦争で日本軍の捕虜となった父親を無残に殺されたことで、日本人に対して嫌悪感を持つ青年の父親ダニエルは、息子の遺品である絵を引き取るために土佐を訪れる。
ダニエルはそこで、息子とひそかに結婚していた日本人女性紀子の存在を知るのだった。

日本人に対して激しい憎悪を抱き、自分を世話してくれる日本人たちに敬意も払おうともせず、傲慢な態度で接するダニエルだが、息子とかかわったたくさんの人たちと接するうちに、徐々に態度を軟化させてゆく。
宿泊する場所として提供された部屋に、初めは土足で上がろうとしたダニエルが、最後にはきちんと靴をそろえてあがるほどになる。

戦争はどちらの側にとっても不幸なことだし、人に残酷な行為を強いる。
そして、差別はどこに行ってもある。そんなことを肌で感じとったのでしょう。

＜ネタバレ＞
しかし、ダニエルの心を決定的に氷解させたのは、息子の忘れ形見の存在。
そこからが急展開すぎて、「そんなにうまくはいかないだろう？」と思ってしまったのも事実。
まだまだ偏見のある田舎で、見た目の異なった子供を育てるのは、大変な苦労だと思います。

misonoちゃんのキャラが役にあっていて、なかなかよかったです。
坂本龍馬ゆかりの地も登場、大河ドラマで「龍馬伝」もはじまったことですし、タイムリーですよね。

特典映像で、紀子役の高岡早紀が、「私も一人で子供を育てているので、紀子の気持ちはよくわかります。」と力説していたのが笑えました。